秋藪 小出俣・俎嵓

秋藪 小出俣・俎嵓 

秋藪企画としてtwvでは初めて、谷川連峰の小出俣・俎嵓に行ってきた…つもりだったのですが、いつの間にか雪藪企画へと変貌していました(;・∀・)

晴れた瞬間も無かったわけではない(めっちゃ雲あるけど)

◎メンバー OB2 黒瀬、嶋中 4 CLsW西田 3 sLsEsF春木、船引  1 WH加納、FW松尾、EW道下

記:春木佑香

10/28(金) 東京=(車)=川古温泉▲0 今回の山行はちょうど谷川初冠雪の時季であったため、そもそも決行できるかかなり怪しかった。sLは直前一週間、一日4回はWindyくんやらtenki.jpくんやらヤマテンくんやらを開いてそわそわしていた。絶望的な予報が出てきた時もあったが、木曜のお昼には、土曜に小雪が降るが量は少なく、日曜は晴れ、となっていたので、微妙なラインではあるが、西田さんのカッコいいLineにも励まされ、決行することとした。ただ、めちゃめちゃ寒いのは確実なので毛下着用を必須とするなど、防寒に関してはうるさくアナウンスした。嶋中さんのお仕事の都合もあり、19:30に本郷に集合し、車で川古温泉に向かう。車内では上級生中心に話に花が咲いた。sLは黒瀬さんが資料を褒めてくださってとても嬉しかった。ちなみに、黒瀬さんは予備地図で等高線をex.”1700”ではなく”17”と書いていたら、来てくださらなかったらしい笑 危ないところだった。途中で運転を黒瀬さんに交代し、川古温泉には22:30ごろ到着。車中泊とテント泊に別れて、好天を祈りつつ就寝。加納はオカンしていたがとても寒かったらしい。そりゃそうだ。星空がとても美しい夜だった。


10/29(土) 曇り時々小雪

▲0川古温泉 05:10~06:01 千曲平(藪入り) 06:15~07:00 たるみ 07:15~08:03 たるみ 08:17~08:35 1450岩峰 ~09:08 たるみ 9:25~9:45 1600ベロ~10:04 たるみ 10:22~11:21 小出俣山 11:54~13:14 1653ピョコ 13:31~14:00 谷川乗越 ~14:30 谷川乗越先のコル▲1  

最初の1ピッチは林道区間なので、日の出前行動とした。ヘッデンをつけ、とぼとぼ林道を歩く。この林道、実は200m上げなくてはならず、意外と侮れない。kwv曰く藪入り地点には看板やら赤テープやらがあるとのことだったが、全く見当たらない。流石に行き過ぎでは、と思ったので、トップを止めて、林道を引き返すがよくわからないので適当なところから藪入りし、尾根を探すこととする。RF箇所でもないので、基本トップ2人、中継無しの体制で、一年会3人+補佐船引さんで回す。藪入りしてすぐにトップから尾根に乗ったとの報告が来た。思っていた通り、最初は薄い笹藪で踏み跡らしきものも所々ある。ただ、ひたすら急登が続くので、頑張りどころ。空は青く、あたたかい。これは、雨や雪なんて降らないんじゃないか?あれだけ寒いと脅したけれど実は暖かいんじゃないか?とこのときはまだ思っていた。加納のカルピスも美味しくいただく。

薄っ薄だけど急登がしんどい
1450岩峰は実際には1420~30くらいのところにあったと思う。二つの岩峰が連続して登場するが、あっさり右巻きした。大したことはない。しかし、このあたりから、徐々に雲行きが怪しくなってくる。青空が見えず、高度を上げたこともあってか寒い。加納は目出し帽まで用意していたようで、すっかり強盗のようである。だが、このときはまだ、いずれ晴れるだろうと思っていた…。1450岩峰を過ぎて、その次のたるみ地点あたりから徐々に藪が濃くなってくる。笹藪+灌木といった感じだが、とはいえ、過去記録から予想していたほど濃いわけでは無い。しかし、まだ藪に慣れていない道下には少しつらかった模様で、前に進むのが大変とのこと。

ちょっと濃くなってきたあたり
ここから先、小出俣山頂までは基本尾根をたどってひたすら登るだけなので、トップを加納or松尾として一列で進むことにした。相変わらず雲は厚い。小出俣は360°の展望が素晴らしいとの話だったので、ぜひ晴れて欲しい所である。船引さん曰く、小出俣はあの雲の上にあるから晴れているらしい。なるほど。山頂が近づくと、やや藪が薄くなってきたが、雲は薄くならない。そうこうしているうちに山頂についてしまった。あれ?ガッスガスですけど?いや、これは待てば晴れるやつですね!ということで、長たるみをとる。めちゃめちゃ寒い。小雪や氷の粒が舞って顔に当たるのが痛い。西田さんのテルモスのおしるこが冷えた身体に染みわたる。とりあえず写真を撮るが、ただ白い背景にみんなが集まっているだけの写真となった。あとで背景を合成しよう。

小出俣の三角点!
しばらくするとあたたかくなってきたと思ったら、空から薄っすらと青空が…!ここまで読みは伸びていないし、川棚ノ手前コルの草原サイトモチベが上がる。そろそろ出ようかと思ったら、里菜ちゃんが寒さにうずくまっているではないか…!すぐに気づいてあげられなくて申し訳ない…。もっと一年会の体調に気を配るべきであった。里菜ちゃんはダウンを持ってきていたらしいがそれが行方不明とのことで、嶋中さんのフリースをお借りして事なきを得た。小出俣から先は気持ちの良い稜線歩きである。ここからは、藪陣形に戻し、トップ加納・松尾、本体誘導船引さんにしたが、トップを伸ばしているうちにトップの声が届きづらくなったので、船引さんにトップ補佐をしていただき、黒瀬さんが本体誘導をしてくださった。天気がややよくなった時には、遠くまで見渡すことができた。基本笹で、シャクナゲ等も混じっており、そこそこ濃いが、灌木トラップが無くて快適な藪漕ぎができる。

快適な藪漕ぎ(晴れてたら絶対最高なのだが…)
遠くに見えたテーブル型の山が印象的だった。小出俣からしばらくはただ尾根にそって下ればよいのだが、1653ピョコに向かって角度が変わるあたりから、地形が分かりづらくなる。加納と松尾は藪を漕ぐ力はあるのだが、トップとしての技量はまだ成長の余地があって、ピョコやコルの報告など度々抜けており、本人たちも現在地を把握できていないときもあるようで1653ピョコまで二人でトップをやらせるのは少し荷が重そうだったので、船引さんがトップに入り、黒瀬さんが中継、本体誘導は嶋中さんにお願いした。1653ピョコから谷川乗越までがこのルートの最大のRF箇所である。散開して正確に角度を切る技術が求められる。ただ、1653ピョコからはガスっていなければ乗越まで見渡せる。ここでついにOB2がトップに登場。黒瀬さんと嶋中さんが松尾を挟む形で散開し、中継は加納にお願いした。CLが仰るには、RFをミスって乗越に乗れなかったら、そのまま谷を下りて即下山らしい(´Д`)が、イモらず乗越に乗れた。流石です!谷川乗越はサイト適地としていたが、実際には”適地(笑)”だった。乗越から先は特にRFポイントはないので、再び加納、松尾コンビにトップを任せる。小雪やら氷の粒やらが時折パラパラ降ってきて寒い。また、ここまでの行程はそこそこの藪+アップダウンが激しく、若干疲労しているメンバーもいる模様で、これは草原サイトが若干怪しいかも?と思ったので、次のたるみはkwv2021がサイトしたコルにして、そこで判断することにした。乗越先のこのコルは、kwvはディスっていたが、正真正銘の”適地”であった。若干狭いものの、傾いていないし、適度な笹丈である。ここで方針について話し合う。嶋中さんはここでサイトしたいお気持ちらしい。また、道下は、ここから手前コルまで250mほど上げないといけないと聞いて、エッ?という顔をしている。正直sLもこの名もなきコルの適地っぷりに、「ここでええやん」という気持ちになってしまったので、名もなきコルサイトの機運が爆上がりしてしまい、そのまま決定した。

思ったより適地だった乗越先のコルでサイト
それにしても、まだMaxに達していないとは、山深さを感じる。1年会3人は天図をとったが、松尾、道下はまさかの撤退で、なんとか書き上げた加納も西田さんからあっさりNGが出た。じじテンと若テンに別れてサイト。適地ではあったものの、テントの下に巨大根っこ?があったりと、流石の”藪クオリティ”だった。サイト中、かなり激しく氷の粒が降ってきて、ここでサイトしてよかったと思った。宴会では、すさまじい量の差し入れが出て、食べきるのが大変なほどだった。加納はラーメン5人前にポッカレモンとそれに伴う水を歩荷していた。若テンは1年会のキャラクターや進振りといったほんわかトークで盛り上がったが、なんとじじテンはお給料トークで盛り上がり、生生しい数字が飛び交っていたらしい。盗み聞きすればよかったと後悔した。



10/30(日) 曇り時々小雪時々晴れ

▲1谷川乗越先のコル 6:13~7:00 たるみ 7:11~7:51 川棚ノ頭手前コル 7:58~8:23 川棚ノ頭 ~9:00 俎嵓最高点 9:24~10:08 オジカ沢ノ頭(藪抜け) 10:55~11:36 着衣調節 11:46~12:14 谷川岳肩の小屋(隊分離) 12:19~12:23 トマノ耳 12:32~12:45 オキノ耳 12:49~13:07 谷川岳肩の小屋 13:16~14:22 熊穴沢避難小屋 14:29~14:50 田尻尾根分岐 ~15:15 天神平(ロープウェイ乗車)~15:40 土合口

朝は4半6。サイト地は電波が入らないので、最新の天気予報は不明だが、金曜夜の時点では、ヤマテンくんは晴れると言っていた。撤収が終わってボーっとしていると、遠くの山の稜線から太陽が出てきてとても綺麗だった。それと同時に急に警笛が聞こえたと思ったら、船引さんが木に登って、朝日に向かって奇声を発していた。

日の出
今日の藪区間はRFポイントは無いのでトップ加納・松尾、本体誘導船引さんor黒瀬さんで回す。晴れるはず…なのにガスっている。なんで?しかも、氷の粒がまた降ってきた。いや、そんなん聞いてないよ。更に、藪に雪がついて、真っ白なところもあり、いよいよ”雪藪企画”になってきた。「下手な初冬より冬っぽい」とのお言葉をいただく。手が冷たくて、指が固まりそうだ。テムレスをしている西田さん、船引さんだけは平気な顔をしている。稜線の東側は紅葉に染まり、西側は雪がついて真っ白になっていて、そのコントラストが面白い。

寒い!
藪はそれほど濃くないが、ところどころかなりの細尾根で、転んだら一巻の終わりといった箇所があった。さすがに俎嵓は晴れてほしいが、ガスは依然として濃い。船引さん曰く、俎嵓最高点は雲の上にあるから晴れているらしい。なるほど(二回目)。神テンバと評判の川棚ノ頭手前コルだが、たしかに気持ちの良い草原ではあるものの、結構斜めっている。しかも、限界稜線上なので、昨日の夜のような強い風が吹いていたらかなり影響を受けるだろう。正直、乗越先の名もなきコルの方が好テンバだと思う。一方で、川棚ノ頭の先のコルは広くて、素晴らしいテンバ適地であった。ここでサイトできれば最高だが、一日目にここまで辿り着くのは容易ではない。また、このあたりから、ところどころ踏み跡があった。ここからさらに高度を上げて、俎嵓最高点に辿り着く。と、同時に船引さんの奇声(第二弾)が聞こえた。相変わらず基本的にはガスっているが、たまにガスが少し引くと素晴らしい景色が垣間見え、晴天ならば最高だろう。もう、これで満足だと思った。sLはみかんを放出した。

凍てついた俎嵓の山頂標
ちなみに電波が入ったのでヤマテンくんに問い合わせたところ、今日は「霧ときどき晴れ」らしい。そうですか、そうですか。そのままオジカ沢ノ頭で藪抜け。sLは土下座藪抜けをしようとしたら躓いて手を擦りむいた(´-ω-`)避難小屋でぬくぬくと長たるみをとる。嶋中さんがたまごスープを作ってくださり、船引さんは”社会人になって買えるようになった”ハリボーを出してくださった。なんだかんだ4,50分ダラダラしたあと意を決して小屋に別れを告げ、肩の小屋に向かう。sLはおじいさま方に、合宿で盛り上がった昨年の白神での珍エピソードを披露したりしながらゆるゆると歩いていた。しかし、本当の核心部はここからだったのである。トップから「鎖場です」との報告が来た。まあ、それほど大したことはないだろうと思い、上級生たちは某部員に関する下世話ネタで盛り上がって1年会が通過するのを待っていた。しばらくしてsLも鎖場を通過しようとしたのだが、これが超恐怖スポットで、sLはビビりまくって、黒瀬さんや船引さんに足場を指示していただいてなんとか通過できた。本当にすみません…あっさり通過した1年会はすごいと思った。また、このあたりから急にガスが晴れて、俎嵓の稜線まではっきり見渡すことができた。やっぱり俎嵓はかっこいい。「本当の谷川」の名に相応しいと思った。せっかくなので、道区間ではあるが、「藪風」の集合写真を撮り、全体Lineに投下。

藪区間の偽造を試みる
肩の小屋に到着後、車の回収が1時間ほどかかる都合で、黒瀬さん・船引さんを分離隊として先に下山していただくことにする。残り6人は空身でOR2ピストン。ここまでの区間はほとんど人がいなかったが、流石双耳峰、急に人が増え、スニーカーで歩くお兄さんやロングヘアをなびかせるお姉さんがいて、もはや下界。西田さんは危うく道アレルギーの発作を起こしかけた。しかもまたガスガスになったので消化試合でしかない。全くこんな天気の日に日帰り登山する人の気が知れない。

消化試合の双耳峰。なんの感動もない。
あとはただ下山するだけである。一年会3人は真面目にサクサク歩いていたが、嶋中さん、西田さん、sLは一年会のだいぶ後ろで、ワンゲル部員の登山思想について話しながらダラダラ歩いた。ロープウェイが近づくにつれて渋滞が度々発生したりしながらも無事天神平に到着。ロープウェイの列は想像の4,5倍の長さで、心底ビビったが、回転が早く30分ほどで乗車できた。しかし、ここで西田さんから、よく考えると打ち上げどころか温泉さえも行くとレンタカーの返却時間に間に合わないのではないかというご指摘を受ける。冷静に考えるとその通りである。雪藪で温泉カットは誠に遺憾だが、仕方ない。谷川岳インフォメーションセンターで車を回収してくださった黒瀬さん・船引さんと合流。そのまま東京に向かったが、結局渋滞に巻き込まれて、4時間以上休憩なしで運転するはめになり、なんとかギリギリ(ちょっと遅れたけど)車を返却して、本郷のやよい軒で打ち上げをして解散。長い一日だった。


◎総評

想定以上に雪が藪につき、寒さとガスに悩まされた山行になったが、僅かな時間であっても見えた景色は素晴らしく、来てよかったと思えた。晴れていれば本当に最高だと思う。山深く、夏期には藪でしか来られない俎嵓の稜線は、RF箇所が少ないのは惜しいが藪の魅力が詰まっていてkwvの定番ルートなのも納得である。ぜひ、twvでも定番化してほしい。(ただ、山行強度がそこそこあり、転んだら終わりの細尾根も含まれるルートなので、藪トレはやや厳しいかも?小出俣周回なら出せるかもしれない)


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