2019年9月21日土曜日

夏合宿薮隊 和賀

今年の夏合宿薮隊は和賀岳から秋田駒ヶ岳までをつなぐ、いわゆる仙岩国境へ行って来ました。惜しくも完遂とはなりませんでしたが、14日間に渡る長大な合宿になり、今までのワンゲル経験の集大成となったと思います。

記:黒瀬

メンバー
3年会 :E浦中、L黒瀬、WH嶋中 
2年会 :F今田 
1年会 :曽根、西田、西村

合宿1日目、和賀岳にて




○計画段階

1年会で初めて薮合宿に参加した時から、3年会になったら自分が薮合宿の企画者になろうと決めていた。目指したのは、長大な薮区間、オアシスのような薮サイト、予想外のアクシデントによる冒険感、そして、マイナー12名山への登頂。

最初は新しい薮合宿のコースを切り開いてやろうと飯豊山地の烏帽子山を目標に据えた合宿を考えていたが、水場・ERの不確定さ、林道の崩壊、 Maxの深さなどの様々な問題から断念せざるを得なくなってしまった。

そうして次にたどり着いた選択肢が、名峰羽後朝日岳を抱える和賀山塊での夏合宿であった。

幸いこのルートは過去ワンゲルの夏合宿でも多く行かれており、記録も豊富、企画するのは容易と思われた。しかし、71週の偵察兼デポ山行でERに使うはずだった林道の崩壊が発覚。2つのERが使用不可能になってしまう。そこから何とかMax12pに収めるための再予備審、1984年まで遡って引っ張り出してきたERを追加する再々予備審を緊急で追加、審議段階で他の34年会には随分と迷惑をかけた。心から感謝している。

また、早稲田大学ワンダーフォーゲル部の方から連絡があり、奇遇にも同じ時期に羽後朝日岳へ登るということで、これは何としてもショボい合宿にするわけにはいかないとLのモチベーションは俄然上がった。

夏合宿というものは実のところそんなに無理がきかないものであるし、長大な行程をなるべく安全に切り抜けなくてはいけない。この合宿は、なるべく楽になるように計画したつもりだったが、最初の二日間が9p近くの行動であること、最初の三日間が森林限界上のサイトであることがネック。

そんな中、東京で天気予報を見たLは、向こう5日間ほど和賀は晴れであることを知って非常に喜んだ。



○行動記録

8/4(0日目) 晴れ

渋谷=(電車)=角館=(タクシー)=甘露水登山口避難小屋▲0

アプローチは学生らしく青春18切符を使用してノロノロ行くことに。当日はLだけ池袋出発、他の人は渋谷出発だったが赤羽駅ですぐに落ち合うことができて一安心だ。

EFLが言う前にEFチェックをしてくれていた。忘れ物はくれぐれもしないようにと皆に固く言っておいたおかげか一人を除いて装備に不備があるものはいなかった。その一人とは、誰とは言わないが、Lである。じゃがいもと玉ねぎを間違えて持ってきてしまった。ごめんなさい、角館駅で買い足します……。

東京から角館までローカル線を乗り継いで行くのはさすがに疲れる。仙台駅では乗り換え時間に余裕があったので、一度改札の外に出てみることにした。

浦中嶋中と一緒に仙台駅前をうろうろ歩いていると外国人観光客の人に声をかけられる。なんでも、友達と寿司屋で待ち合わせをするのだが、店の写真しか持っておらず店名がわからないのでどこにいけばいいか分からないらしい。店の写真には店名が写っていたが、漢字だったので読めというのは確かに酷だ。検索して地図を見せてあげると大変感謝された。こうやって、日々人徳を積むことが大切なのだ。

そのあとNewdaysで夕食と翌日の朝食を買っていると、今田に声をかけられた。はあ、西村がケータイを失くしたぁ!?急いで改札に戻り、みんなで西村のスマホを捜索する。運よく、このスマホは誰か心優しい人が拾って駅員に届けられていたため、すぐに回収することができた。

西村によると、ポケットの片方に穴が空いていて、よくそこから物が落ちるのだと言う。そんなポケットある?

そのあとは電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、特に問題もなく角館駅に着いた。ここで入山連絡を豊島さんに入れる。いよいよ夏合宿が始まるのだと、今更ながら緊張してくる。

ちなみに、この時Lが最後に見た天気予報によると5日後に台風が秋田に最接近して天気が崩れると出ていた。順調に行くと5日後は藪の中なので雨薮かぁ、やだなあ。

甘露水登山口前の、林道が車両通行止めになるところまでは中仙タクシーを利用した。林道はジャンタクだと通れないらしいので普通のタクシーとなり、45分ほどかかる。お値段は×7710也。

車両通行止めの付近には前評判通り小屋が建ててあった。中はキレイな二階建てでトイレに布団もある。よくよく考えたら、前夜泊で小屋に布団で泊まれるなんてのは贅沢な話である。水はドバドバ出ていたが飲用には適さないらしいので翌日甘露水で汲むことにする。


綺麗な避難小屋



嶋中が東京からはるばるボッカして来てくれたOB1中津さんからの差し入れのメロンを西村に切ってもらって食べ、他愛のない話をしたあと就寝。夏合宿に向けて期待不安の入り混じる夜であった。


とても甘いメロン



8/5(1日目晴れ

0甘露水避難小屋4:314:42甘露水口4:49(たるみ10)5:43滝倉5:526:32倉方6:427:20薬師岳7:318:07小杉岳〜(たるみ12)9:17和賀岳9:4310:37 1412先雪渓(水汲み偵察)11:3312:23和賀岳13:0013:51小杉岳14:0214:35薬師岳〜(たるみ14)15:40滝倉▲1 9.22p

3:45、誰かの目覚ましがなって起床。と、起きたのは上級生だけで一年会はスヤスヤ寝ている。続けて二人目の目覚ましもなり始めるが一向に起きる気配がない。この時もそうだが、今合宿は一年会の睡眠力に大いに驚かされることになる。

朝食を食べ、荷物をかたづけ、体操したら出発。

小屋を出てみると空は高曇りで絶好の登山日和だ。車両通行止めのカラーコーンを避け、林道を少し歩くと甘露水登山口に着く。ここの甘露水という水場は和賀の名水3選に選ばれているらしく期待していたのだが、予想に反してチョロチョロとしか水が出ていなかった。前一週間の日照りの影響だろう。一発汲むだけでも時間がかかるのでとりあえず2発だけ汲むことにする。


少ない水量だ


ここから山道に入る。朝とはいえとても暑く、歩くだけで汗がだらだらと出て来た。滝倉には1pほどで到着。甘露水がアレだったので滝倉もどーだかと思っていたが、こちらは水場というよりはむしろ沢のようで水はジャブジャブ。今日はもう一回水汲みをする予定だが、その時にかかる時間を減らしたいので一人2発汲むことにした。



水量の多い滝倉水場


ここから急登という記録もあったが、別に大したことはない。普通の登りで倉方につく。森林限界は1150mほどだろうか。枝尾根の稜線上はガレている箇所もあるが問題はない。雲は次第に消えていきギラギラと太陽が差してくる時間帯になって来た。



目の前のコブが薬師岳


少し急になった登りを超え主稜線に至ると一気に展望が開けた。周りを高山植物の咲き乱れる草原に囲まれ非常に美しい光景だ。このあたりで甲山の方からの道と合流するはずだが、薮に包まれているようで確認できなかった。

今合宿最初のピーク、薬師岳の上でたるみを取る。360度展望があり、トンボがたくさん飛んでいていいピーク。曽根田さんからいただいた塩分チャージが振舞われる。そういえばここでは集合写真を撮らなかったな。

その先、薬師平は最盛期を逃したとはいえ綺麗に花が咲いていて非常に気持ちがいい。道が笹に埋もれていて歩きづらかったのだけが難点だ。



薬師平、池塘もあったが飲用には適さない


みんなとても良いペースで歩いてくれるので小杉山によることはせず、2p弱で和賀岳に着く。

今日は視程が良いので遠く羽後朝日岳まで見渡すことができた。薮稜線になっている方の稜線は山頂直下はお花畑(いままでが山のお花畑だとすると、こっちは本物のお花畑のよう)になっていて、さすがは花の200名山といったところである。もちろん集合写真を撮った。


浦中が撮ってくれた

さて、ここからは薮入りのお時間。見たところ1412pまで尾根は明瞭である。今日はその先にある雪渓で水を確保する予定だ。薮入り直後はお花畑を踏み歩かなくてはならず少し心苦しいが、すぐに肩丈の笹薮になる。1412pからの下りではニッコウキスゲが群生しておりとても綺麗だった。

今日は予報通りのピーカンで、薮を漕いでいるととても暑い。早く雪渓に着いて火照った体を冷やしたい!一気に薮を駆け下りて1412p北東の沢へ。



1412p先雪渓


……は???雪渓が見えない。Lの勘違いかもしれないので隣にいた浦中に確認したが浦中にも雪渓が見えてないらしい。他の誰に聞いてもほっぺをつねっても逆立ちしてもやはり雪渓は現れない。

雪渓が無い!これは困った。雪渓がない=水がない、水がないと人は死んでしまう、つまり……QED. が、一回落ち着こう。雪渓が無いとはいえ沢状地形は残っているわけである。水が欲しいなら沢を下れ。この教えのもとに急遽、浦中嶋中と水汲み隊を結成、空ポリを持って沢を下る。

–––けどやっぱり!どこまで下っても!水がない!!!

一旦みんなのいるところに戻る。ずっと行動してたので暑くて死にそうだ。とりあえず残ってる水をゴクゴクと飲む。

はあ、これでもうやることは決まってしまった。ここに水がない以上どうしたって前の水場に戻るしかない。今までここの雪渓がこの時期無くなった記録は無かったのに!前の水場の滝倉までが5pで水が残り5発、ギリギリ戻れるか。本当に、さっき滝倉で水を一人2発汲んでおかなかったらどうなっていたことか…。



写真を撮ってお別れ


水汲みやらで一時間近く雪渓跡にいたので、さっさと引き返す。たるんでいたとはいえずっと日差しの中にいたわけだしみんなかなり辛そうである。和賀岳までがとても遠く感じられる。暑い。暑い。長い。薮の中には風も吹かない。気を抜いたら倒れこんでしまいそうだ。

這々の体で和賀岳に帰ってくる。浦中にはロングピッチ切ったねとか言われた。確かに長かったなとか思いつつ時計を見るとなんと50分しか経っていない。え〜、めちゃくちゃ長く感じたけどなあ。水はきちんと摂っているので脱水症の心配はないが、みんな、特に曽根が日射病気味だった。冷えピタやプラティパスで体を冷やしたりして長めにたるむ。

13時をまわり、ここからさらに暑さが増してくる。たるみの時はなるべく日陰でたるむことを心がけた。道に出たら風が吹くかもとか思っていたが全くの無風、とにかく暑い。みんなでせっせと歩いて読みでは4ピッチかかるところを3ピッチで滝倉に着くことができた。

もう暑い!着いた時間は遅かったが、サイトの準備なんてそっちのけでみんなで滝倉で冷たい水を飲み、浴びる。は〜生き返った〜。

ひとしきり、1時間くらいかな、水場を堪能してクールダウンした後は水汲みである。滝倉のサイト地(滝倉避難小屋跡)から水場までは5~10分ほどかかるのだがみんなで頑張って往復した。嶋中がザックを使って10発以上の水を一気に運んでくれてとても助かった。

今日の夕飯はラタトゥイユ。ズッキーニなんて食べるのは久しぶりでとても美味しい。夕食後には幕内さんからもらった差し入れが出る。なんとビタミン剤。あーこれ、ちょうど合宿で欲しかったんだよね〜、とはならない。西村は飲まないらしいが、果たして違いは出るのか。

美味しいものを食べた後は日射病チェックの時間。みんなで体温を計ってみる。するとやはり全員の深部体温が上がっているようで、1位は浦中嶋中曽根の37.5℃であった。サイト場に着いてから結構たってるし、水浴びもしたのに、恐ろしいね。

また、この間、Lはずっと明日の行程についても考えていた。和賀岳〜羽後朝日岳間は水場が特に少ない区間で、唯一の水場であった雪渓が消し飛んだいま、もう下山するしかないのではないかと一時は思われた。しかし、慎重に検討を重ねた結果、水を一人4~5発持って、ここから2日かけて沢尻岳まで行ったのち、翌日に羽後朝日岳をピストンすれば、羽後朝日岳でのサイトは出来なくなるものの合宿の完遂はまだ可能であるという結論に至った。

だが、今日、水2発を持って和賀岳に登るのですらみんな日射病気味になり、下手すれば明日まで引きずる勢いだ。しかもこの酷暑は明日も続く。そんな中、水4~5発を持って和賀岳に登り薮入りまでするのは少し無謀なのでは…?

う〜ん、合宿まだ1日目だというのに色々ありすぎた。疲れた、寝よう。

今合宿で初投入された2天は綺麗で居心地が良かったが、Lがこの夜、落ちるように眠りについたのはまた別の理由だろう。


8/6(2日目) 晴れ

1滝倉4:545:24倉方〜(たるみ10)6:14薬師岳〜(たるみ10)6:59小杉岳〜(たるみ10)8:03和賀岳8:459:35小杉岳9:4710:18薬師岳〜(たるみ10)11:20滝倉▲2 5.82p

合宿中は基本34半だった。朝食は、曽根のザックの中で破裂したキムチを早く使ってしまおうということでキムチチーズリゾット。キムチの程よい酸味で箸が進む。美味。

合宿が始まったので一分間スピーチも始まる。今日は西田で高校の時の山岳部の話をしてくれた。10泊とかはしたことないので緊張すると言っていたが、高校時代に山で5泊もしていたら十分だと思う。

さて、今日の方針だが、前に書いたように色々な懸念があったため、今日は、和賀岳までピストンをして水をデポしに行くという作戦を取ることにした。そうして今日は半停滞のようにして明日(予報だと曇り)にがっつり登ろうと、そういうわけだ。

出発前に水を全発になるように汲み、サブ装で出発する。日射病に気を使い、倉方から10分ほどの森林限界ギリギリの日陰でたるみを入れる。その後のたるみも全部茂みの中だ。今日は昨日より少し雲の量が多くなっている。台風も近づいてきているので明日はもっと曇ってくれるだろう。フフフ、計画通り。



主稜線に出たところ





水は全発持ったが流石にサブ装なのでペースは早い。すぐに和賀岳に着き、薮入り直前の茂みに計23発、水を隠しておいた。


ポリを隠すなら藪の中


昨日と合わせて和賀岳に登るのは3回目である。せっかくだからということでブログ用の写真を何枚か撮って帰る。



キラキラジャンプ


帰りに小杉岳の山頂にも寄って行ったが三角点があるだけで展望はまるで無かった。

滝倉に戻ってきたのは11:20。昨日よりましとはいえ今日もかなり暑かったのでまた水浴びをする。めちゃくちゃ気持ちいい。特に嶋中は滝倉の水をたいそう気に入った様子。Lも同感で、これだけ水量が豊富な水場があるというのはありがたいことだと思う。



命の水場、滝倉


以前からはがれかけていた西田の足の親指の爪が剥がれたので処置をしておく。痛みなどはないそうだ。その後はインディアンポーカーに興じたりのんびりしたり。サイトは予備食で済ませた。

せっかく暇があるので天図大会も開催。上級生の教え方はグダグダだったが、一年会は初めてにしては結構上手かった。西田はもうWあげていいんじゃない?ってくらいだった。

また、忘れないうちに早大ワンゲルさんに1412先の雪渓が無かったという報告をしておく。根菅分岐の方から知らずに入山したら遭難しかねない。

今日は浦中嶋中はオカンをするらしい。おかげで2天を一人で使えて快適性はさらに上がった。明日からが本番だと自分に言い聞かせ、就寝。


8/7(3日目) 晴れ

2滝倉4:54(たるみ10)6:15薬師岳〜(たるみ10)7:12小杉岳〜(たるみ10)8:40和賀岳9:099:53 1412先雪渓跡〜(たるみ12分、16)11:31ひょうたん池〜12:15治作峠▲3 7.28p

34半。今日の朝食はニョッキ、ニョッキってこんな味だったっけ?曽根の靴擦れを処置する。痛いけど歩けはするそう。

今日の1分間スピーチは西村。入学当初は5つのサークルに入っていて、今も3つのサークルを掛け持ちしているらしい。ワンゲルだけでも忙しいだろうに、すごいなぁ。

出発した後最初のたるみは例によって森林限界ギリギリの木陰で行う。このルートも今日で3回目だが、薬師岳の稜線に出るところは何度通っても気持ちいい。

和賀岳への登頂はもう4度め、さすがに集合写真は撮らなかった。昨日デポした水を回収していく。温くなっているかと思いきや意外と冷たいままで嬉しい。ここでLからフルーツ缶の差し入れ。ここから一人4,5発持つことになる。頑張ろう、ここからが本当の薮合宿だ。

肝心の天気は、天気予報が外れて本日もまた快晴。こんな中でも薮は長袖じゃ無いといけないから大変だ。Lと浦中は半袖+100円のアームカバーで漕いでいた。ゴアマよりは涼しいので、本当にオススメ。

暑さが身にしみる時間帯になってきた。笹薮を漕いで行くと1412先雪渓『跡』に2度目の到着。未練がましいが何度見てもここに雪渓は無い。が、くるぶし丈の草原になっていて綺麗なところではある。もう本当に、あとは雪渓さえあれば…(しつこい)。

さて、ここから先は未知の領域である。薮は基本的に右側が笹で進みやすかった。下っていって1290のあたりに岩があったが容易に巻ける。

ひょうたん池のあたりは二重稜線になっていて、今回は左側の稜線を進むことにした。稜線上からひょうたん池が望めたが、ここ最近の日照りの割には水がある。まあ、積極的に飲みたいものでは無いが。

とにかく日射病には気をつけて、たるみ中は灌木中の日陰に座し、浦中の持ってきた冷感スプレーで気持ちだけ涼しさを味わったりして暑さに耐えていた。



曽根、西村ほーや

西田ほーや

治作峠に着いたのは12時ごろ。ここまでの暑さでみんなもう十分に参っていたのでひとまず隊を休ませ、Lと浦中でサイト地を探しにいく。治作峠上はびっしりと灌木に覆われていて軽く絶望していたが、西の尾根に少し入ったところの南斜面に気持ちの良い草原が見つかったためそこをサイト地とすることにした。

サイト地に着いた後は、日中は日向にいると暑いので各自灌木の下で寝転がったりして体を休める。水5発持っての行動とはいえ下り基調だったので疲れは思ったより少ないが、この三日間、暑さがどうにも予定外だ。つい、ほんとはここに1日目に来るはずだったんだよな〜と思ってしまうが、同時に、ようやく薮合宿が軌道に乗り出したという安堵の気持ちを強く感じていた。

火照りが少しおさまったら、せっかくなので脛丈の草原でお昼寝。雲に日差しが遮られて風が吹いたりするとまあ気持ちいい。



爽やかな草原


15時になって日が少し傾いてきたので夕サイトを始める。暑いので折りたたみ傘を日傘にしてサイトをした。今日の夕飯はカレーポトフ。あ、角館でジャガイモ買い足すの忘れてた!よって今日は玉ねぎ量2倍のカレーポトフになったのだが、これもこれで甘くて美味しい。前々から思っていたけど一年会はサイトの手際がいいなぁ、素晴らしい。

電波はしっかり入るので天気図を取る必要はなし。サイトの片付けをしテントを建てていると、遠き山に日が沈んでいく。ああ、綺麗だなあ。これぞ薮の限界上サイトという感じで1年会も満足げだった。



夕景


あまりに気持ちが良いので三年会は全員と曽根がオカン。居住者を失った2天はただの荷物置きになっていた。


8/8(4日目) 晴れ

3治作峠4:47(たるみ11分、11分、10分、13)9:54根菅分岐10:03(たるみ10)11:10大荒沢岳〜(たるみ10)11:52水場14:1514:28沢尻岳▲4 8.48p

3時の起床コールと共に目を覚ます。目を開けると、そこに広がっていたのは一面の星空!周りにガスも、朝露も無い。すべてのものがサラサラしている。思えば夜中、虫も一切いなかった。こんなオカンが今まであっただろうか、いや無い。間違いなく今回がワンゲル人生でのベストオカンだった。

3:15に少し雨がぱらついたがすぐやむ。この雨すらも予め薮を冷やしておこうとする天の心遣いに思えた。朝サイトは使い果たしたのでジフィーズを食べ食べ出発の準備を整える。

今日の1分間スピーチは曽根で、我らが山口部長の授業形式についての話をしてくれた。



月と稜線


限界上の綺麗な朝日を見つつ出発。治作峠先、1290pまでは右側笹薮だったが、その先は全面的に灌木薮になる。1180cには小さな池塘がある。1200pは一部薮が低く、展望が良かった。一方、1226pはしっかり灌木薮で普通に通り過ぎる。


途中でパシャり、こんな絵画があったような


朝は涼しかったが7時を回ると太陽の照りが強くなってくる。おまけに隊のみんな軽い熱射病をずっと引きずっているものだから進みが遅い。本当は4pで薮を抜けたかったのだが、5pかかってしまう。薮抜け直前は、Lは元気があったので本体を追い越して先んじて薮抜け。少し待ってから本体も1回目の薮抜けをした。おめでとう!

薮装を解除させ、少したるんでから、ここからは1年会をトップに据えて出発。L自身も道のトップは苦手なので評価するのもアレなのだが、みんなそこそこうまくできてたように思う。トップについて1年会同士で注意しあったりしてる姿なんかは自分が1年会の時の夏合宿では見られないものだったので、ああ、なんかいいなと思ってしまう。



大荒沢岳と羽後朝日岳


合宿最初の三日間がずっと同じ稜線を行き来してたからだと思うが、薮抜け後の道を歩いていると目の前の稜線が見慣れないものであるのでワクワクしてくる。道中の大荒沢岳はまた来るだろうと思って山頂はカットした。

しかし、こうして気持ちの良い稜線を歩いていても常に気にしているのは水のことである。ひとまず最初の薮区間は抜けたが、沢尻岳に水場が無い場合は実はERで下山しなくてはならない。水がなければ即下山という窮状に我々がまだいることに変わりはないのである。しかも、アテにしている沢尻岳の水場というのが7月の偵察ではどうも雪渓によるものっぽい、ので、ここに水場があるのかはだいぶ懸念事項だった。

そんな中歩いていると目の前に沢状地形が。これは沢尻岳の西の登山道上、1200mに端を発する沢状地形である。ここは本来予定していた水場では無いが、こうした状況であるのでおりやすそうならダメもとで降りてみようと考えていた沢だ。


右が当初行く予定だった沢、左が急遽行くことにした沢



実際に目の当たりにすると存外降りやすそうだったので、とりあえず空身で、浦中とLで降りてみる。下って下って、おや、足元にほんの少しだが水の流れが。さらに下ると右手から水量豊富な沢がドーン!ここで思わずLと浦中はガッツポーズ。標高を確認すると1100mほどであった。ダメもとで見つかったこの水場、我々は「蛇口」と呼ぶことにする。



水量豊富な「蛇口」


急ぎみんなの元に帰る。片道15分ほど。道中、難しい滝などもまるで無かったので、せっかくだからと隊の全員を連れて、今度は30分ほどかけて下っていく。ここでもみんなで水汲み&水浴び。これでまだ合宿が続けられる。だいぶホッとした。



簡単に上り下りできる


一人3発になるよう汲んで沢尻岳へ向かう。ようやく着いた沢尻岳は偵察の時と違って晴れ渡っており、展望は最高、心地よい風の吹く良い山だ。遠くに見える積乱雲が夏の空を演出している。よし、今日はここをテン場にしよう



夏だな〜


感動もつかの間、今日はこれからやることがたくさんある。まずはデポの回収、これは嶋中今田曽根西田西村に任せる。その間Lと浦中は沢尻岳の本来の水場を確認しにいく。ER2を少し降り、草原から薮入りして沢に降りる。まあ、予想通り雪渓は無くなっており、この時点の水はない。それでも、さっきの水場くらい下ればあるかなと思って降りていくと、どうにも降りづらい2mほどの滝が現れる。う〜ん、ギリ下れるかな。一箇所だけあった足場にゆっくりと体重を乗せていくと…、ゴロッという音とともに足場は0箇所になった。降りづらい滝が降りれない滝になったのでこれにて下降終了。

ってことはつまり、あの時ダメもとであの沢を下っていなかったら今頃ER下山になってたわけだ…。いやほんと、まじで、ギリギリで生きてるなぁ。

ハズレに終わった時の水汲みほど疲れるものはない。傷心でテン場に帰るとサイトが始まっていた。漂ってくる良い匂いで思わず元気になる。一斗缶を並べていたので一瞬何をやっているのかと思ったが、風除けに使っているらしい。なるほど、頭いいなあ。今日の夕サイトは石狩鍋。魚を食べるのは久しぶりだったのでめちゃくちゃ美味しい!



完全に頂上を私物化してる(笑)


食事が終わった後はテントを建てる。風が強いので飛ばないように石で念入りに固定する。その後はみんなでデポ缶潰しだ。誰に習ったわけでもないのにみんな器用に潰していく。一番うまかったのは今田。さすがの2年会だ。曽根は三つ折りという独自の道を切り拓いていく。



潰して、折り曲げていく

お見事!


日が落ちようかという頃、やっと全ての仕事が終わったのでみんなで沢尻岳の集合写真を撮る。大雪隊は今日一時下山したらしい。さて、やっとこさ就寝。サイマスは今日は曽根だったのだが、順番だからと自分を起床係に指名していた。えらいね。



今日も1日頑張った。


8/9(5日目) 曇り 強風

4沢尻岳4:555:13沢尻岳の肩1130mくらい▲5 0.36p

夜中、テントに何かが打ち付ける大きな音で目覚める。果たして打ち付けているもの、確認してみるとそれはテントを覆うフライであった。そう、この時、テントはものすごい強風に晒されていたのだ。

あ〜、結構やばい音してるなあ。今ぐらいの風だったら飛ばされることはないと分かりながらも、それと反対にいつ強くなるかと緊張は高まっていく。ずっと目が覚めてて、起床コールでみんなが起き出した時は正直ホッとした。

朝食は鯖そば。マヨネーズとよく和えて食べるとうまい。万が一にでもテントが飛ばされると嫌なのでさっさと撤収をする。気象庁のサイトを見ると今日は午後から雷注意報が出ている。夜には寒冷前線が通過するらしい。今日の予定は羽後朝日岳ピストンだったのだがあいにくと全てのコースが限界上、おまけにこの風とガスである。こりゃー今日は停滞かなぁ?

停滞といっても、この風の中、沢尻岳山頂にずっと留まるわけにいかないので限界下まで避難してテントを張り直そう。明日以降もう一度戻ってくるので、今日使うぶんの食材と水以外は山頂にデポっていくことにした。

出発前、強烈な風が吹きすさぶ中、みんなで小さく輪になって1分間スピーチを始める。今日は今田で、ストレス解消には瞑想がいいと語ってくれた。おっ、今日の停滞でやること決まったな。

この天気に少しでも反抗を、ということでみんなで満面の笑みの集合写真を撮ってから出発する。



精一杯の強がり


ER2を少し下っていくと、森林限界下に入ったところに御誂え向きに平らな場所が見つかったのでそこを今日の停滞地とすることに。もろ登山道の真上だが、こんな日に登ってくる人もいないしいいだろう。



明らかに場違いなテント


他の人がテントを建てている間に空ポリを全部持ってLと浦中と今田は例の「蛇口」へ水汲みに行く。今下ってきたところをすぐに戻るのも変な話だが、これ以上天気が悪くなる前にこういうのは行っておいた方がいい。沢の水量は気持ち増えていた。

水汲み後は暇だったので大富豪をして暇を潰す。西村が結構強く、西田は札運に恵まれていなかった。一度も富豪以上になれないってのも才能かな。他の人はトントンくらい。

天気は低気圧の接近とともにどんどん悪くなっていくと思っていたが、昼頃になると嫌味なくらい晴れだしてきて、登山道整備のおっちゃんも登ってきた。このおっちゃん達、登山道を不法に占拠していた我々に、親切にも避けないでもいいよと言ってくれた

お昼寝を挟んで14:15サイト開始。せっかく限界下の停滞中なのだから正直なところ雷でも雨でも今のうちに降ってくれと思っていたが、相変わらず風が強いだけで天気はいいので外サイトにする。停滞だが荷物を軽くするためにF共装から使っていく。今日の夕食はクラムチャウダー。貝の風味を強く感じて美味しかった。サラサラしていて停滞日にも食べやすい。

夕飯が終わったら天図大会。今回は大きめの台風に前線が4種出てくるという難しいやつであったが、西田はもうお上手。西村も前より飛躍的に上達していた。曽根は気象庁式で書いたとか言っていた。

今まで一回も出来ていなかったので5時から合宿初宴会。今回は軽くジャブ程度ということで、春雨スープにカルパスに坂田さんから貰ったイチジク、今本さんにもらったグミが出てきた。

明日こそ羽後朝日岳に登頂しよう!明日の起床を早めの2:45とする。完遂の決意を固くして就寝。


8/10(6日目) 雷雨のち晴れ

5沢尻岳の肩5:035:43郡界分岐手前790mとか11:38(たるみ10)12:51沢尻岳の肩▲6 2.06p

無事2:45に起床。あの強かった風の音が聞こえなくなっている。よしよし。朝食は梅ささみうどん。無塩うどんは合成繊維にもなっておらずいい感じ。梅ねりチューブが酸味を加えてあっさりと食べられる。

さっさと外に出てテントを片付ける。と、遠くから不吉な音が…。うん、間違いない。これは雷だ。今日こそ羽後朝日岳をうつ予定だったのに!

ひとまずは限界下なのでここで耐えられるかと思って待っていると、どんどん雷の音が近づいてくる。近づくとわかる、あ、これは結構やばい。避難しよう。限界下とは言ってもここはまだ主稜線の近くであるので、もう一つ尾根を入ったところに逃げて、平らなところで雷がおさまるのを待つことにしよう。すぐにみんなに指示をする。

樹林下の尾根を隊は黙々と下っていく。隊の緊張を和らげようと雷に関して小粋なジョークをLは飛ばしていたが、浦中だけがツボってくれた。

結構下って郡界分岐につこうかという頃、うまいこと高い木に囲まれた平地が見つかったのでここらでいいだろとテントを建てる。2天は荷物置きにして6天にみんなで入った。下ってる間も、テントに入ってからもつんざくような雷鳴がそこかしこで聞こえてくる。まあ正直、ここまで降りてきたら雷に会うことはほぼないと思っていたが、一回だけ、近くに落ちたようなひときわ大きな音がした時はビビった。

7時には雷はピークを過ぎたが遅れて雨がやってくる。ちなみに、ここら辺の雷、雨についての判断は気象庁の雨雲・雷レーダーをめちゃくちゃ参考にした。ここが峠でここを超えたら大丈夫とかが1時間の範囲でだがわかるので非常に便利。ちなみに、それまでは国際気象海洋とかいう会社が出している発雷確率の長期予報を判断の参考にしていたのだが、昨日は雷が無かったし今日はヤバめの雷だしで悉く外しており、Lはこの予報はもう信用しないことにした。



ジャストヒットである


例によってテントの中ではずっと大富豪をしていた。昨日西村とLで、西田が富豪以上になれないことをいじっていたからか、今日は西田が少し健闘していた。また、昨日に引き続き今日も停滞と決まってしまったので消費できていない行動食を懸命に食べていく。雷の音が聞こえなくなったのは9時ごろだが、まだ外の雨は強い。

停滞中、誰かが沢尻岳からの道を降りて行く音がした。でも沢尻岳には人はいないはずだし、この雷の中それ以外の人がこっちにおりてくるのはおかしいし…。え、今の人どこで何してたの?怖い怖い、深く考えないことにした。

雨が止み、日差しが差し込んできた11時ごろテントを撤収する。ここはブヨが非常に多く、テントとフライの隙間に勝手にブヨが入ってきて死ぬのでサルガッソーのようになっている。うええ。

すっかり晴れた空、ぬかるみの道を通って沢尻岳の肩まで帰る。あしたこそいい天気になりそうだがここまででもう行動予備日を全て使い尽くしてしまった。よって、もう羽後朝日岳にいくことはできず、明日には本ルートの方の薮区間を進めなくてはいけない。戻ってテントを張ったあとはLと浦中で水汲み。この「蛇口」を利用するのもこれで最後だと思うと名残惜しい。

Lたちが水汲みしている間、他の人たちは山頂に今日の食材を取りに行ってくれていた。今日の夕飯はクッパ風スープ。鶏ガラを山頂におき忘れたとのことだが、食材からだしが出ていて美味しい。さらには西田が山頂から缶潰し用の石を拾ってきてくれたらしい。その機転には感心する。おかげで夕食後の缶潰しがとても楽に出来た。

羽後朝日岳に行けないのは残念だが、明日はいよいよ一年会の初トップである。若天からは明日のRFについて一年会が話し合ってる声が聞こえてくる。素晴らしい心がけだ。本当にいい下級生に恵まれたと思いながら、安心して眠りにつく。


8/11(7日目) 曇りのちガスのち晴れ

6沢尻岳の肩4:284:40沢尻岳5:09(たるみ10分、10分、15)9:24モッコ岳9:45(たるみ10)12:05 1211手前コル13:28(たるみ11)15:58 1100ベロ▲7 10.02p

3時起床。今日の朝食は麻婆鯖そうめん。もちろん無塩そうめんを使った。どうしても合成繊維はできちゃうものだ、しょうがない。天気は雨が降っていないのだけは分かったが樹林下なので曇りか晴れかは判然としない。

1分間スピーチは嶋中。応援している阪神タイガースになぞらえて、薮隊にも役割のバランス、若手の台頭が大切であると説いた。いいこと言うねえ。

ひとまず荷物をまとめてさっさと沢尻岳へ行き、デポ回収を行う。今日は山頂にガスもなくこれから向かうモッコ岳の稜線が見渡せる。雲海が朝日に照らされてなんともいい景色。



朝焼けと雲海


これまでの経験(トラウマ?)から水計算には細心の注意を払う。水は、次に行く水場と次の次に行く水場の両方で水が取れなくても最悪ERから下山できるように一人3発とした。

さて、いよいよ今合宿最長薮区間に突入である。1年会をトップに1人、本体誘導に1人つけるようにした。出発してみると、やはり最初の方は沢尻岳から正しい尾根に乗るのに苦労していたが、それ以降は尾根が細くなってRFがほとんどいらないので楽でいい。3pかけて1年会に一通り体験させた後は一回全員本体に下げる。

ここらの薮の濃さはそこそこで、西側が笹で薄くなってることが多い。最後のモッコ岳の1260mベロで薮が濃くなったのか隊の歩みが遅くなる。ここにくる頃にはもう今朝の雲海が上昇してきて一面ガスで真っ白だった。

それでも霧の間、尾根の東側にLが草原を見つけたので浦中とLがちょっと隊を離れて偵察しに行く。おお、これはこれはそこそこいい感じの草原。きっとtwv2013FBにあった草原とはこのことだろう。



少々斜めっているが良い草原


この草原からは山頂が遠そうだったので本体には尾根を行ってもらって、モッコ岳山頂で合流する。朝露で全身びしょ濡れで少し寒い。山頂には立派な三角点と山名標があったので写真を撮る。モッコ岳って茂古岳って書くんだね。展望がないのだけが少し残念。



山頂は少しだけ刈り払われていた
三角点


ここから先、また1年会をトップに出し、薮を掻き分けて行く。モッコ岳先の1210ベロでは背丈を超えるブナと膝丈の笹薮になり、とても歩きやすい+果樹園を歩いているようでとても気持ちが良い。

1211手前コルで水汲みをする。例によってLと浦中で行くことに。沢を降りて行くこと15分、水がチョロっと出てきた、かと思ったらすぐに伏流になってしまう。諦めきれずにもっと降りて行くと右側から豊富な水量の水が流れ込んでくるのに遭遇出来た!場所は1211手前コル東の沢標高1030mくらい、片道24分。5発汲んで帰る。これでまた合宿を続けられる!



水量豊富な沢発見!バンザーイ!


そのあとも大したハプニングはなく進んで行く。13時ごろから晴れ出してきて今度は逆に暑い!最後のピッチ、1100ベロに降りるところは確かにRF注意だがそれ以上に謎にトップが警戒して進んでくれない。そんなに難しいところでもないだろう。そんな理由で最後だけ少しロングピッチを切ってテン場に到着。平らではあるが灌木が少し邪魔なので開拓することにした。

開拓後、みんなにサイトを作ってもらってる間にLと浦中は1100ベロ北西の沢へ行く。水は足りているが、ここにも水があると行動の幅が広がるし水に余裕ができると宴会もできる。そんな淡い期待を抱きながら降りて行くと…、水は、どこにも、ありませんでした。まあ、過去記録で「水すぐ黄色」と書いてあった時点でそれ雨水では?と思っていたので想定内。1000mほどまで下ったのだが、この先出るとしたら900mくらいかな〜、それは行くのがめんどくさいので大人しく帰る。

テン場に戻ると鼻腔をくすぐるスパイスの香り。おっ、今日はカレーか!しかもライスはターメリックライスという徹底っぷり。Fのセンスが光ってる。こういうご飯は炊くのに失敗しがちだが、西田がうまいこと炊き上げてくれた。見た目だけでとても美味しそう、味はもう言わずもがなである。



サイト風景、美味しそう!


その後は、デポ装に混入していた勝木さんからの差し入れに書いてある気の抜けるようなメッセージをひとしきりいじったあと就寝。8時くらいかな?結構遅い時間になってしまった。


8/12(8日目) 雨のち曇り

7 1100ベロ4:576:08 ER3分岐少し先6:20(たるみ10分、11)8:30 1025p 8:40(たるみ13分、10)11:03 979p11:37 900c 12:5013:50五番森南ピーク14:1514:45五番森手前コル▲8 8.48p

起床。今日の朝食は鮭とコーンと醤油マヨパスタ。この組み合わせでまずいわけがない。

今日の1分間スピーチは浦中で小3〜中3まで通っていたそろばん塾の話。珠算3段・暗算5段だそうで、道理で、いつも暗算が早いなとは思っていた。

今日は朝から軽い雨で気分もブルーだ。1100ベロからまずはうまいこと主稜線に乗らないといけない。ER3分岐はガスってると正直よくわからなかった。角度を気にしてたらもしかすると分かるかなぁ。例によって薮は左が薄い。その先、980c北西の沢は当初は過去記録もあるので水汲み予定地だったがよくよく考えたらここに水がある確率は低いだろ。今回はパスすることにした。1025pへの登りから笹薮が太くなってくる。ここから尾根が明瞭なのでラッセル陣形で行くことにする。

1025pへの登り中、今田の呼吸がおかしいということで一旦止まる。とりあえず荷物を降ろさせ水を飲ませたるみにする。本人の言によると、今までにもこういったことはあったそうで、最近はなかったので油断してたとのこと。激しく運動すると気道がすぼまったようになり上手く呼吸できなくなるらしい。とりあえず今田のザックから水を抜いて上級生に振り分ける。

少し休んだらおさまったらしいので再出発。1025pを超えたあたりで雨が止む。この先のベロから北西に伸びる間違い尾根は意外と明瞭だったので注意。979pの登りあたりからもずっと2mほどの笹薮。今までより太い笹だと感じていたが、あとあと思うとここは序の口に過ぎなかったなぁ。

979pを超え、五番森南ピークの手前、900cに着く。ここでLと浦中で水汲みに。ちょうど日が差してきたので、待ってる隊もあまり体温が冷えないでちょうどいいだろう。深い笹薮を超え、枝沢から本流に入るとそこそこの水量がある。ただこれが雨の後だから流れているだけなのだと言われたらそんな気もするくらいの水量である。汲みやすい場所を探そうと下って行くが結局延々と蛇行していて傾斜の殆どない沢だったので、ある程度のところで諦めて、汲みづらいが水を汲んでしまう。雨の心配がなければここをサイト地にするのも面白そう。900c西の沢片道20分といったところ。



平らな沢、河原でキャンプとかしてみたい


五番森南ピークへの登りは、ちょうど気温が上がってくる時間帯にあったせいかとても暑い。それでも1ピッチで抜けてしまいたかったので少しロングを切る。ここのラッセルでトップをやってくれた人たちは本当にお疲れ様でした。みんな疲れていたが、特に曽根がくらくらするという。どうやら曽根は暑さに弱いらしい。



小休憩


みんなを休ませてる間はLと浦中で五番森南ピークにサイト適地がないか探してみる。確かに上の方は笹が柔らかいが、過去記録では踝丈の笹となっていた薮が見事に腰丈の笹薮になっており、おまけに密度も高いのでここはサイト不適地。



くるぶし丈って聞いてたのに…


ということでサイト適地を探して前進してみると五番森手前コルはなかなか良さそう。少し開拓してテントを張った。

前回の水汲みで必要最小限の量は汲んだが、もっと水に余裕が欲しかったので浦中とLでまた水汲みに出かける。他のみんなには夕サイトの準備をお願いした。コルの真ん中くらいまで沢筋が入ってきているので、沢が見つけやすくて助かる。少し急だが下って行くと水がチョロチョロと出ている。これは雨によるものだろう。だがまあ汲みやすそうではあったので妥協してここで水を汲んだ。コル南西の沢930mほどで片道15分ほどであった。

帰ったらサイトに参加。曽根は今日の笹薮でビリビリになっていたゴアマを縫っていた。去年、Lも通った道である。わかるよ、大変だよね。今日の夕食はブイヤベース。トマトと魚介のダシがとてもいい組み合わせで美味しい。ニンニクにもぴったりで消費が加速する。

ここのテン場は平らなのだが、今までよりブヨが多かったように感じる。今日は久しぶりのちゃんとした雨で、今まで鉄壁の守備を誇っていたLでさえも靴に浸水をゆるしてしまった。おまけに明確な晴れ間が少なかったため、ろくに衣服を乾かせていない。久しぶりに気持ち悪いのを我慢しながら就寝。


8/13(9日目) 曇りのち晴れ

8五番森手前コル4:505:25五番森5:35(たるみ12分、10)8:35 986p(たるみ10分、21)11:55 ER4分岐先コル13:2013:45 ER4分岐先ピョコ▲9  7.88p

起床。今日の朝食は鶏レモンそうめん。焼き鳥缶の塩味とレモン果汁がもうすごかった。もっと焼き鳥を増やして食べたいってなるくらい美味しい。軽量化のためFのメニューを優先して食べてきていたのだが、今日で使い切ってしまった。次のデポ回収まで、今夜からジフィーズ生活である…。

今日の1分間スピーチは西田で、今まで見てきたアニメを省みて、どんな構造のアニメが自分に合っているのかを自己分析していた。

準備を整えて出発。五番森は是非とも三角点を探して欲しいとトップには伝えておいた。笹が濃いし最高点もわかりづらかったが、結果、トップの曽根がうまいこと見つけてくれた!お手柄だ!見つからないと早々に判断して先に行ってしまっていた浦中を呼び戻して集合写真を撮る。



念願の五番森!


今までLはほとんど撮る側で集合写真には写れていなかったのだが、ここはさすがに撮られたがっていると気づいてくれたのか、嶋中が交代してLが写ってるver.の集合写真も撮ってくれた!ありがとう、嬉しい!



嬉しい!
三角点も忘れずに


この先も背丈笹が続く。ここまででみんな疲れ気味の中、西田はとても速いペースでバキバキと薮を漕いで行っており素晴らしい。ブルドーザーみたいだ。ベロの980mくらいの地点は特に尾根東が切れ落ちていて展望が良かった。ここからみると、下が雲海かつ上空も雲に覆われていて我々が雲同士の間にいるのがよくわかる。地平線が上下の雲で判然としなくなっていて、なんとも趣深い風景になっていた。



雲海


RF注意ポイント、986pは南西に流れ出る沢が東西方向で深くまで入り込んでいた。このため、986pの尾根の向きがあたかも東西方向を向いているようになっていてこれがトップに混乱を与える原因となっていた。明らかに角度がおかしい尾根に出てトップは右往左往している。ちょっと前に出て木登りをしたところ正解尾根が見つかったのでトップには角度を信じて進むように指示するとうまいこと正解尾根に乗ることができた。

正解尾根に乗った後は薮がかなり薄くなる。旧道の名残なのだろうか、道のような踏み跡もたくさん残っていてうまいこと繋いで歩くとスイスイ歩ける。が、本体誘導はよく踏み跡を見失って薮漕ぎを強いられていた。9:30ごろから上空の雲がなくなり日が差してきて暑い。ER4分岐への登りの最中、西村の鼻突きと西田の靴擦れの処置で少し長くたるむ。

暑さに苦しみながらER4分岐を超える。そしてこの先からがやばかった。コルへの下りで急に笹の密度が濃くなる。この笹、今まで見たことないような太さのもので断面が5円玉くらいある。こいつをなんとか掻き分けER4分岐の先のコルに降りる。

コルに着いた頃には曽根が熱中症気味になっていた。ここでも浦中とLは水汲みに行く。毎度のことながらここに水が無かった場合は即下山である。祈るような気持ちで沢床を下って行くと、あった!水量はそれほど多くないがありがたい。北東の沢770mくらい。水を背負ってきた道を帰る。ただ、この沢は最後のツメが急でズルズル滑る。一瞬這い上がれないんじゃないかと思ったくらいだ。逆目の太笹をゴリゴリ漕いでみんなの元に戻る。

帰ってみて気づいたのだが、ひょっとしてみんな結構疲れてる?ここまでも読みより伸びてるし、あと3pでテン場につけるか急に不安になってきた。しょうがないので本当は地森前コルまで進むつもりだったが、この辺りでテン場を探すことにする。コルは訳分かんないくらい太い笹薮が密生してるのでテントは張れない。他の人はまだまだ休ませておいて、水汲みが終わったその足でLと浦中で先のピョコまで行ってみる。すると、ピョコでは笹が薄く柔らかくなった。ここならうまいこと張れそうだ。

一度コルまで戻って、またみんなと一緒に登り返す。笹はどんなに太くても普通はバキボキと折れて行くものだが、ここの笹は藪漕ぎで折られるとカランコロンと音をたてる。もう竹じゃん、竹薮じゃん。そうして笹薮改め竹薮を漕いでピョコにたどり着いた。

急遽ここに泊まることになり薮での泊数が一日増えたので、テン場の開拓は他の人に任せてもう一回浦中と水汲みに行く。ここからだと往復1時間くらい?竹やぶが強烈だが覚悟を決めて行く。日々の水汲みは大変だが、毎日を生きているって感じがしてなんかいいなとこの時思った。



サイト場開拓中の風景


水汲みを終えてピョコに戻ってくると、なんということでしょう。爽やかなサイト地が完成していた。コルじゃないので虫が少なく眺めも良いのがいいところである。



すっかり展望が良くなった。
反射板の立っている前方のピークが1026pである


16時からサイト。夕食はジフィーズだがやっぱり物足りない!そこで宴会もやることにした。宴会で出たのは棒ラーメン、今本グミ、勝木グミ、サラダチキン、チータラ、味噌汁、クランベリー、カルパスなどなど。特に棒ラーメンとサラダチキン、F装のニンニク&ショウガを駆使して作ったラーメンは涙無しでは食べられない美味しさだった。

途中、マダニを見つけたので捕まえて殺す。みんなに注意喚起もしておいた。また、西村が行動食が足りないというのでLのまだ開けていないフルグラを一袋全部あげた。西村は大変喜んでその場でボリボリ食べていたが、Lはもともと行動食の消費が少ないのでこんなもので感謝されるなら安いものである。

就寝前、浦中と西田がかぶれの処置をしていたが痛そうだった。


8/14(10日目ガス時々霧雨

9 ER4先ピョコ4:50(たるみ10分、10)8:25トンネル上ピョコ〜(たるみ14)9:33地森前コル〜(たるみ10分、23)11:51地森西ベロ12:5014:20 1026手前コル▲10 9.68p

朝起きると雨が少々ぱらついている。朝食がジフィーズだとイマイチ元気が出ない。撤収時、またもダニを見つけたのでサイマスゴミの中に突っ込んでおいた。

今日の1分間スピーチは西村で、西村がワンゲルでソーセージを焼かない理由について。曰く、シャ●●ッセンなどの高級なソーセージはカリッと焼くのが美味しいが、ワンゲルで持ってくるような皮があるのかないのか分かんないようなソーセージは焼いても満足感があまり変わらないので、おやつ感覚で食べれた方がいいということである。この際のソーセージの描写が妙に上手くてLはソーセージが食べたくなってきた。

さて出発。ここから先は尾根がぐねぐねしていて今日のようにガスっている時は非常にわかりづらい。それでもなんとか進んでいたのだがトンネル上ピョコに至る最後のカーブ、ここが曲者であった。

稜線の左右の傾斜が緩く尾根っぽくない、また特徴的な地形も周りに無く全体的に緩やかに落ちていてRFしづらい。おまけにガッスガスで先の稜線なども見えず、あまりに背丈笹が濃いので身動きも自由に取れない。ここだけで一時間以上はイモっていた気がする。Lも落ちてから気がついたが正解尾根に戻るまでに時間がかかり、120分という超ロングピッチを切ってしまった。

トンネル上ピョコに着く。ここは、秋田新幹線のトンネルと仙岩国境の交点が偶然にもピョコの上だったという素敵スポットである。が、ここまででみんな疲れているのだろう、感動していたのは唯一嶋中だけだった。

その先は特に問題無く進む。地森前コルは笹も少なく確かにテン場適地。地森の急登はラッセル陣形で進む。嶋中は脛のズレが痛むらしく、またそうで無くても各人さっきのイモとかで疲れているので隊はゆっくり進んだ。

途中、斜面でのたるみで標高当てクイズを出す。まあ正直最後は勘なのだが、西田がぴったり910mと正解していて驚いた。おめでとう。地森の肩についた時点でもう一度たるみ、嶋中の脛の処置をする。西ベロに着いたら荷物を置いて空身で地森山頂に向かう。西ベロに着いた時には嶋中の足はだいぶ痛くなってるらしく、空身で地森の三角点に向かうのも辛そうだった。嶋中に限って体力的な心配は無いので、相当足が痛むのだろう。

地森の三角点付近はそこそこの薄薮だったが、テントも張れないくらいの広さ。山名標と三角点があったので集合写真を撮る。相変わらずガスで眺望はないが、この薮区間の三角点を全部見つけることができてとてもうれしい。普通に行ったら西ベロから片道10分くらい。



1/25000地形図記載の中で薮中最後のピーク「地森」
当然三角点も


西ベロに戻って再出発。ゆっくり進むことに。340度の尾根に乗る時、トップは焦りすぎたのか変なところで曲がって尾根から落ちていた。1026手前コルはロクなサイト地では無いと知っていたのでトップにはサイト地を探しながら前進してもらった。そしてちゃんとコルに着く前にサイト適地があったのだがトップはそれをスルーして薮の濃いコルへ一直線に降りて行く。あれれ。

慌ててLだけ追いかけてトップを止めるが、もうその時にはトップはコルに着いていた。嶋中含む本隊もすでに前のサイト適地から降りてきていて、また登り返してもらうのも心苦しかったので、このコルを開拓してテン場にすることを決意する。

コルには細い稜線上にしか平らな場所がなかった。薮がたくさん生えていたのでとりあえずはそれをバシバシ切る。すると今度は薮に隠れてた凸凹がたくさん現れてきた。Oh....間違いなく今までで一番ヤバいテン場だ。苦肉の策として、刈り取った笹の、なるべく上の方の柔らかそうな部分だけ切り取って地面の凹みに敷き詰め、なんとか整地することに成功する。

この開拓中に浦中が両手人差し指をそれぞれ薮ノコと笹の切り残しで切ったので、この隊で満足に動ける人材がLのみになってしまった。嶋中が一番重症で歩行に支障が出るレベルに足が痛くて、今日だけで随分と悪化したっぽい。今田は気分が悪いらしく、曽根も脛がだいぶ痛い、西田は足がカブれて痛いし西村は関節痛だ。おまけにみんなシワシワ病とズレに苦しんでいるらしい。満身創痍とはこのことで、明日が薮抜けで本当に良かった。

テントの中はサイトもしたので蒸し暑い。ジフィーズだけではやっぱり物足りないので今日も宴会を執り行う。薮抜けの前祝いとも言えよう。今日出たのは麻婆春雨、杏仁豆腐、チータラ、今本グミ、マシュマロ、スープ、ぜんざい。これで、下から持ってきた宴会用の差し入れは全部出し切った。ジフィーズの物足りなさを宴会でカバーするというのは、こと合宿という長期のキツめの山行においてはとてもいいことのように思える。

今日も体がびしょ濡れ、居住環境も最悪だが、今日1日の我慢だと思って就寝。


8/15(11日目雨のちガスのち晴れ

10 1026手前コル5:14(たるみ11)7:21 1026p(たるみ11分、11分、19分、10分、13分、10)14:41貝吹岳15:1815:38仙岩峠〜16:10ヒヤ潟16:2016:50旧国道ゲート〜17:10国見温泉▲11 11.7p

今日はなんでかわからないが2:54に起床コールがかかる。ここのテン場はブヨがめちゃくちゃ多い。天気を見るために一瞬だけ外に出した手のひらにブヨが56匹着いてた時はさすがに引いた。α米を一袋食べて撤収。

朝が雨なのでみんな撤収が遅い。今日の1分間スピーチは曽根で、気象庁の観測所の記録について。観測史上1位の最高気温は大体が1990年代以降の記録であるが、稀に昔のものが最高気温の地点がある。その中で金沢は1902年の9月が38℃でこれが今でも観測史上1位の最高気温なのだが、さっき気象庁の天気予報を見た所、今日は金沢の最高気温が38℃と予報されているのでもしかしたら今日、記録が塗り替えられるかもしれないという話。それは興味深い&よく覚えてるね。

一面ガスの中出発。1026pまでの登りはラッセルで行く。940mには人一人分くらいの細いところがある。とりあえず今は通過に問題はない。1026p(下地森)には災害時用の反射板が設置されている。本当はじっくり見たかったが、進めるうちに今日は進みたかったのでたるみは取らなかった。



奥には対になる反射板の影も見える
ということらしい


ここからトップを前に出す。薮は今までよりは楽な胸丈薮。ここに大きな反射板があるので期待したが、踏み跡などは着いていない。嶋中をセカンドに置いて、本体誘導にはコース取りに気を使って進んでもらった。急ぐ必要はないのでペースはゆっくりで進む。このペースなら嶋中も問題がないと言ってくれた。また、今日は西田も昨日の夜、体を冷やしてしまい風邪気味だそうで辛そう。曽根と西村と浦中に今日は一日中トップを頑張ってもらう。

一面ガスなので進んでいる実感が湧かないが、1ピッチで地図上の1cmくらいずつ進んでいる。このペースでも大丈夫、と思ったが後半はもっとペースが落ちてきた。西田今田嶋中が特に辛そう。

さすがにこのペースではあかんと思ったので、13時、隊にハッパをかける。急ぐ必要はない、ただ、今までのペースは維持して、あと2ピッチで薮抜けしようと声をかけた。

するとその時、急に風が吹き始めた。みるみるうちに周りのガスが取れていく。視界がひらける…、薮抜け箇所の貝吹岳が見えるようになった!振り返ると今まで歩いてきた稜線も一望できる。嘘みたいなタイミングで日が射し始め、隊のモチベーションはグンと上がる。



今まで歩いて来た稜線、1026pの反射板も見える
こちらは貝吹岳反射板、もう少しだ!


少しでもペースを上げるためにここからはラッセルで進む。目標のペースより少し早いくらいで進んでいる。雲間から差し込む陽光に背中を押され、ついに、貝吹岳で2度目の薮抜け!!!



ついにたどり着いた、貝吹岳!


長かった〜、と同時に薮区間を抜けた安堵の気持ちが湧き上がってくる。みんなには随分無理をかけてしまったが、最高の薮抜けだ。浦中がここまで持ってきてくれたポンジュースをあけ、薮装を解除する。

しばしゆっくりしてから、もう今日はER5で国見温泉に向かう。道では足に何も当たらないので、足を痛めてた人たちもいいペースで歩いてくれる。



ヒヤ潟
貫通記念碑(現在は廃道)

たるみ中

旧国道ゲートは扉が閉まっていた。長い影を引き連れながら舗装路をテクテクと歩き、17:10、ついに国見温泉に到着!やったー、助かったー。



国見温泉、到着


デポ山行で来た時と違って、ほとんどの温泉旅館が閉まっている。そんな中、唯一空いていた森山荘さんにテン場を提供してもらう。一泊一人1500円。最初聞いた時は結構高いな、と思ったが、よくよく聞いてみると、炊事場待合所使い放題に温泉入り放題。は、最高かよ!明日は停滞の予定だったので即座に72泊分の料金を支払った。

どこから来たのと聞かれたので、和賀の方から来ましたというと、何年も前に同じような団体来たよと言われた。多分、それもうちです…。

テン場について一安心、だがまだやることは残っている。笹森山にデポ品を回収しに行かないと我々は本日食べるご飯すらないのだ。ということで下級生にはテントを立ててもらっておいて、Lと浦中嶋中でデポ品を回収しに行く。

ER6を使って快調に笹森山へ飛ばして行く〜はずだったが、登り、めちゃくちゃ頑張ったのに20分もかかってしまった。デポ山行の時はデポ装持ってて15分かからなかったのに…。自分は疲れてないと思っていたが、実のところ少しは疲れていたのだろう。無事デポ品を藪の中から回収してまた20分かけて下山。下山したのは18:26、日の入りは18:35だったので今日は日の入りギリギリの行動だ。

テン場に戻り、今度は、薮抜け直後に判明した嶋中がダニに噛まれていることについて対処する。国見温泉で治療できれば良かったが、国見温泉には常駐しているお医者様はいないらしい。ここは電波がほとんど通じないので、国見温泉の方に電話を借りて雫石タクシーを呼ぶ。嶋中には一時下山してもらい、停滞中に帰ってこれるようなら帰って来てもらうという方針で一旦嶋中とはお別れした。

西田は熱を測って見たところ38.3℃だったが、1日停滞すれば治るとの本人の判断で、一時下山はせずにテントでゆったりしていてもらう。

明日には台風が来る予報なのでテントの中に荷物を全て入れて、デポ缶を開けてみんなで配分し、みんなで炊事場に移ってまずはサイトをする。案内してもらった炊事場は、靴を脱いで入る、キッチンみたいなところだ。汚い我々が入るのはとても申し訳なかったが、ともかく、これで落ち着いてサイトができる。今日の夕飯は栗ご飯と鳥のすまし汁!美味しそう!すぐ作り始めて、サイトが出来上がったのは20:30、明日が停滞でなければ許されないような時間である。

西田は体調が悪いため、今日は汁と茶飯だけ食べるらしい。なので、本日は7人ぶんのご飯を5人で分けることになった。普段はともかく今日は腹一杯食べられることがとてもありがたい。毎度のことながらFがうまい。栗ご飯はこんぶ茶を用いて炊くという発想に舌を巻いたし、この風味高さが鳥のすまし汁と絶妙にマッチしており最高だ。

ひとしきり食べてお腹いっぱいになった後は風呂である。このために持って来た風呂装だ。国見温泉はシャワーもシャンプーもしっかりあるからとても山中の湯とは思えない。国見温泉のお湯は世にも珍しい緑色をしている。熱めのお湯が足の切り傷や腫れにしみるので最初は入るたびに悲鳴をあげていたが、だんだんと体に馴染んで来て、ゆっくり浸かると全身がポカポカだ。薮の汚れとともに穢れも洗い流される感覚である。

腹一杯の食事に最高の温泉、後は十分な睡眠だ〜と思っていると、22:30、今田もダニに噛まれていることが発覚した。ダニが大きくなってるから、数日は噛まれていたのだろう。とりあえず、ダニに噛まれた人は即下山は元から決めていたことなので、今田も一時下山だ。宿の方はすでに寝ていたが起きて来ていただき、もう一度電話を貸していただいた。電話の結果、今からじゃどこの病院も空いていないので、明朝8時に雫石タクシーさんに来てもらうことにした。

そんなこんなでテントに戻って寝たのは23時過ぎ。昨日のテン場に比べたら天国のような寝心地だった。フッと意識が途切れるように眠りにつく。


8/16(12日目曇りのち暴風雨

11国見温泉(終日停滞)12 0p

今日は停滞日なので5時起床。いつも3時に起きていたので外が明るいのに違和感がある。今日の朝食はトマトチーズのお雑煮風。トマトとチーズで旨味の相乗効果が起きており非常に美味しい。餅は 3*7人で21個持って来ていたが、西田は体調が悪いため1つだけ食べて、他の人は一人4つ食べれるようになった。体が栄養を欲していたのか、魔法のようにするする入る。

朝食後、西田の熱を測ると38.2℃。あまり良くなっていない、今日一日は安静にしておいてもらおう。

少し山側の斜面をよじ登ったらかろうじて電波が入ったので見てみると、嶋中からLINEが来ていた。なんと、精密検査の結果、大事をとって入院することになったらしい。3~4日入院することになったので合宿中はおろか乳頭温泉にでも合流するのは無理そうだ。ダニに刺されただけでそんなことになるなんて…、とこの時は思っていた。

7:20、宿の方に再度電話をお借りして雫石タクシーを呼ぶ。この際、宿の方から、午後は雨がだいぶ厳しくなるので、宿の空いている部屋を提供していただけるとの申し出があった。こんなに親切にしてもらって、もうどれだけ感謝しても仕切れない。

もともと今日は台風だったのでお客を取っていなかったらしく、6人で過ごすには大きすぎるくらいの一番広い部屋と、プラス荷物置き用の部屋も提供していただいた。もう恐縮しきりである。それに、なるほど、他の宿が軒並み閉まっていた理由にも得心がいった。



荷物置き用の部屋


急いでテントを撤収し、荷物を部屋に運び込ませていただく。また、8時にタクシーが来て、ここで今田とも一旦お別れ。とりあえず嶋中と同じ病院に行ってもらうように指示した。

荷物を運び込んだ後は天気が崩れないうちに寝込んでいる西田以外でデポ缶を潰しに行く。音がうるさいので少し離れた駐車場まで行って缶潰しを行なっていたが、それでも音が届いていたらしく、宿の方が心配をして様子を見に来た。申し訳ない…。缶潰しは、相変わらず曽根が独自のルートを開発していて見てて面白かった。

宿に戻り、普段は作らない昼食を作る。予定ではあと2日で下山だが、3日分の食料をデポで回収したので、Fが余っているならどうせなら食べ切ろうの精神だ。今日の昼食はビーフシチュー。西田は食欲も少しづつ戻って来たみたいで、今回はご飯も少し食べられるようになっていた。体温を測ると36.7℃、これなら明日は行動できそうだ。



食事風景


ビーフシチューはとても美味しかったが、もともと7人前をほぼ4人で分配して食べたので量がめちゃくちゃ多かった。それでも、夏合宿ブーストで完食!サイトの途中、宿の方が、外で捕まえたミヤマクワガタを僕たちに見せに来てくれた。ありがとうございます。



ミヤマクワガタ


満腹になるとどうにも眠くなってしまう。大部屋に帰って昼寝を楽しむ。畳の感触が心地いい。引き込まれるように眠りについた。

次に目を覚ますと少し外が暗くなっていた。どれくらい寝たのかわからない。時計を覗くと、なんだ1時間ちょっとしか寝ていないのか。それでも随分深い眠りだったなとか思いながら辺りを見渡すと…、あれ、今田が帰って来てるじゃん。正直、嶋中と一緒で入院コースかと思っていたのでこれにはびっくりした。

さっそく話を聞いてみると、今田は嶋中と同じ先生にかかったが、ひょいとダニを取り除いて消毒しただけですぐに帰されたらしい。嶋中が精密検査されたのはダニのせいではなく、足の異常な痛みかたの方が原因だったそうだ。なんにせよ、今田が帰って来てくれてありがたい。

15時くらいから雨と風が強くなって来る。Lと浦中は、森山荘にお礼の意味も兼ねて明日用の差し入れを買い足す。その後は各人適当に暇つぶしをしていた。Lは風呂に1時間くらい入っていた。



暇つぶし風景


適当な時間に夕食を作り始める。今日の夕食はサムゲタンだ。生姜をたっぷり入れて食すと体が内側からポカポカ温まっていくのを感じる。この時は西田はもう一人前を食べれるくらいに回復していた。今日はいつもの1.5倍ほどの量のサイトを3食食べたのでお腹がはちきれそうだ。

サイト中、天気はどんどん悪化していっており、雨風の音が部屋に響く。これはテントだったら間違いなく浸水&倒壊してたな。

明日は朝早く出発する予定なので今のうちに森山荘の方にこの度のお礼を言いに行く。本当に、森山荘さんのおかげで心身共に回復した状態で夏合宿を続けることができる。戻るときに共用スペースのテレビでちらっとニュースを確認したが、どうやら明日も台風の影響がかなり残ることになるらしい。明日はどこまでいけるかな。

今日の就寝は20:30。部屋に備え付けの布団で寝る。この感触を知ってしまったらもうテントになんて戻れなくなりそうだ。


8/17(13日目曇り時々雨 限界上暴風

12国見温泉6:066:55 1175分岐7:057:40男岳分岐7:50(引き返したのちたるみ10)8:58 1175分岐14:3515:07男岳分岐(たるみ10)15:58横岳〜(道迷い5)16:17 阿弥陀池避難小屋▲13 4.8p

今日も一応3時に起床。もっとお布団で寝ていたかった。今日の朝食はフォー・カー(海鮮フォー)。Lの好きなエスニック系の料理だ。ナンプラーを利かせるとたいそううまい。

今日の1分間スピーチは今田で今までワンゲルで登って来た山について。色々なことを体験して世界が広がったと語ってくれた。この合宿も隊のみんなにとってそういう合宿になるといいなと思った。

外は雨は降っていないが風がまだ強いので出発を遅らせ、その間にお借りしていた部屋と炊事場をみんなでお掃除する。結構綺麗にはなったかな。体操を済ませて部屋で待機。

6時ごろ、外に出てみたら風も少し弱まったみたいなので出発。停滞のおかげかみんないいペースで登って行く。



いざ出発


1175分岐で秋田駒の尾根上に出た。さぞや強い風が、と思ったが、両側に生えている灌木が風よけになっていてあまり風を感じない。おっ、これなら今日は余裕そうだ。田代平山荘までいっちゃうかな。意気揚々と歩いていく。男岳分岐を通り過ぎ、大焼砂に至った。

と、その瞬間、横殴りの風が吹き荒れる。体がよろめく。やはり来たか。大焼砂には灌木が生育していないため、稜線上では遮蔽物がなくなり強風をダイレクトで受けることになる、ここまでは考えていた。予想通りだ。しかし、少し歩いて様々な予定外に気づかされることになった。

まず風の強さだが、思っていたよりだいぶ強い。一歩進むのにも苦労を強いられるし、気を抜くと風で息が詰まりそうになる。さらには足場が蟻地獄のような砂地で足を激しく消耗させる。そして一番の問題が隊の歩きだ。予め強風であることは伝えたし強風時の歩行方法については教えておいたのだが、みんな慣れない強風でプチパニック状態だ。後ろから見ていて歩き方が不安定だし、少しの風で勝手に立ち止まる。こうもメンタル的に気圧されている状態では行けるものも行けなくなる。10分ほど歩いたところで撤退判断を下した。回れ右して元来た道を帰って行く。帰る途中には雨粒も弾丸のようにゴアマに打ち付けてきた、最悪だ。

灌木帯に入ってからも落ち着ける場所を探してまだ戻る。戻っている途中にオコジョを見つけたが追いかける雰囲気ではなかったのでスルーした。結局1175分岐まで戻ってたるみ。もう少し天気を見ておさまって来た頃に再アタック、今日は阿弥陀池避難小屋まで歩くという方針にする。

幸いにも1175分岐は道幅が広いので、邪魔にならないところに6天を建ててその中でみんな待機。雨と風にやられて体が一瞬にしてビショビショのヒエヒエだ。どうせガスは余っているのでテントでガンガン火を焚いて温まろう。まったく、ひどい目にあった。

気分を変える目的もあって、ここで余っているFを食べることにする。CHPが余っていたのでこれを作って食す。暖かいというだけでとても美味しく感じる。電波をとって天気図を見ると、あまり今日は天気はよくならなさそう。でも、一応回復基調ではあるのでそれを信じて、待てるギリギリまで待つことにした。

11:00ごろ、誰かの声が聞こえる。登って行くのだろうか。したら今度は13時ごろ、降りてくる人の声が。きっとさっきの人だ。テントから出て話を聞く。やっぱり、風が強すぎて行くのを諦めたらしい。そうだよな〜。

それでも、もう一回はチャレンジしないと諦めきれない。ゴアマもほぼ完全に乾いた14時ごろ、テントを撤収。パッキングをして再アタックの準備を。さらに、今回はペースを正確に知るためにLGPSガン見で歩く。大焼砂手前の最後の灌木でたるみを取り、さあ、気を引き締めていこう。

正直、朝と風の強さはほとんど変わっていない。大焼砂では、相変わらず、バランスを崩すと体を持ってかれそうな強風が絶え間なく吹いている。でも、前回よりも隊のみんなが落ち着いて歩けている。これは、後ろから見ていてはっきりと分かった。これなら行けると思って前進を続ける。

あとは我慢の時間だ。ルート上に転滑落の危険がある箇所はないが、それでも慎重に、一歩づつ歩いて行く。まだつかないのか、永遠にも感じられるような時間を過ごす。GPSを駆使してみんなに、「今どこどこだからあとどのくらいだよ〜」とか言って励まそうと思っていたが、風が強すぎてまるで言葉が届かない。

そんなとき、目の前に小さな灌木帯が見えた。助かった、そこへ逃げ込んで一旦たるみを入れる。この時ほど薮をありがたく思ったことはない。GPSによるとほとんど横岳の直下である。阿弥陀池避難小屋までもう少しだ。

水を一口含んで再出発。横岳を過ぎ、西の尾根に乗ると灌木が現れ風は弱くなる。だが、まだ安心はできない。風が弱くなってホッとしたのか、トップは分岐と間違えて崩落地を降り始める。確かに踏み跡も紛らわしい看板もあったが、普段なら絶対にしないようなミスであり、このことからもみんなの消耗具合が伺える。正しい道に戻る。

ようやく阿弥陀池避難小屋に着いた頃にはもうみんな体が冷え切っていた。小屋は当然のごとく誰もいない。こんな日に山に登る人はどうにかしている、と自分たちのことを棚に上げて笑い合ったのは一瞬で、荷物を広げてすぐに夕サイトの準備と水汲みに取り掛かる。まだ落ち着いてはいられないのだ。メンバーの体調を確認し、一発水を汲むのに3分もかかる外の水場で寒い中の水汲みを終え、出来上がった暖かいFを口に含んだ時、やっと落ち着くことができた。



in阿弥陀池避難小屋


今日のサイトはトマトクリームシチュー。冷えた体に美味しさが素早く届く。小屋の中は寒いしガス缶は余っているので、予備ヘッドを含めてヘッド3台の火を付けっぱにして暖をとった。多分、これまでの合宿生活の中で一番気を張ったのがこの日だったと思う。

食事が終わったあとは今合宿のラスト宴会だ。国見温泉で買い足したものを出す。今日はカルパス、さきいか、ピーナツせんべい、タコちく、いかチー、チーちく、乾燥パイナップル、ストロベリーミルクティーが出た。いっぱい食べていっぱい温まろう。宴会が終わった頃にはかなり体が乾いていた。

夜になっても風が強く、窓がガタガタ鳴っている。阿弥陀池避難小屋は二階建てになっており、一階が土間、二階が板間という構成だ。二階には毛布も置いてあったためこれを使って各自あったかくして寝る。今日という日を乗り越えた安堵からか、ストンと眠りに落ちていった。


8/18(14日目) 晴れ!!!

13阿弥陀池避難小屋4:454:55男女岳5:105:20阿弥陀池避難小屋5:325:44横岳5:485:55焼森5:59(たるみ10)6:55湯森山6:59(たるみ10)8:31笊森山8:56(たるみ10)10:10乳頭山10:4011:08田代平山荘11:17(たるみ12)12:40乳頭温泉孫六湯 6.6p

3時に起床。今日の朝食は塩昆布ツナパスタ。塩昆布って美味しいね。これが合宿で食べる最後のご飯だ。噛みしめる。外に出てみると、見えたのは満月と夜明けの星空。昨日とは打って変わって穏やかな空、今日は文句なしの快晴だ!

荷物を片付け、小屋から出る。澄んだ朝の空気が気持ちいい。ちょうど日の出どきで、卵の黄身のような太陽が地平線からジリジリと登ってくるのがわかる。



思わず記念撮影


まずは空身で男女岳まで行こう。朝焼けに照らされる道を軽い足取りで登って行き、ものの10分で頂上に着いた。おお、すごい!素晴らしい景色だ。昨日の荒天は何処へやら。山頂から、男岳も女岳も、岩手山も、昨日あんなに苦労した大焼砂も、阿弥陀池のさざ波に陽の光が反射してキラキラしているのも全部、全部見える。感動したので写真を撮りまくった。集合写真だけじゃなくて一人一人の写真もふんだんに撮る。こんなに最高の山頂を貸し切りできるのなら、昨日暴風の中を強行した甲斐があったってもんである。



最高の山頂だ!

小屋とみんなと阿弥陀池と


十分堪能したら下山して、今度は乳頭山と温泉に向けて出発である。今日はとても天気が良く気分がいい。全ての山頂で集合写真を撮ることにした。横岳もいいピーク、焼森ももっといいピークだ。



バイバイ


横岳山頂

焼森山頂


道中の上り下りにも、全てに感動する。次はどんな景色が見えるのか、歩くのが楽しくてしょうがない。誰かがどこを撮ってもいい写真になると言った、全くその通りだと思う。これだから山はやめられない。最終日にこんなゴホウビを用意してもらえるとは思ってもいなかった。



ピークを目指す上り

新たな展望が開ける下り


湯森山からは秋田駒ヶ岳がよく見える。カッコいいなあ。その先の熊見平は綺麗な湿原が広がっている。道標は、2.5万図の位置とは違い、コルのところにあった。風になびく草原が美しい。宿岩は登りやすそうないい岩。登りたかったがたるみとの兼ね合いでスルーしてしまった。



湯森山山頂
熊見平の草原


笊森山でたるみを入れる。どこがピークか分からないようなのっぺりとした山で、360°景色を見渡せてとても良い。見渡してみて思うが、このあたりの山々の雄大さには驚かされる。どこをみても魅力的な湿原と山が控えているため山好きにはたまらない山域だ。



振り返って秋田駒ヶ岳
笊森山山頂

山頂にはガンコウランに黒い実が生っていたのでみんなで食べてみた。あまり甘くないな、まだ熟しきってないのかな。みんなにもあまり好評とは言えなかった。残念。



ガンコウランの実

長めにたるみ、いよいよ最後のピーク、乳頭山に向けて歩き出す。と、この道中でやっと今日最初の登山客に会った。思えば、今までの道中で人と全くすれ違っていないなあ。

乳頭山はここら辺ののっぺりしたピークとは違い、ゴツゴツした岩肌が露出しているかっこいいピークである。他の人もいるかなと思っていたが、嬉しいことにまたも山頂は貸切状態だ。やったー!ここで、合宿初日から持っていた差し入れ、カルピスとフルーツポンチが出る。ずっと出す機会を逸してきたが、最後にこんな素晴らしい山頂で出すことができて嬉しい限りである。



乳頭山から秋田駒ヶ岳


ここでは天突きの口上をLが考えていたため、随分長くたるむ。この間他の登山客が来なかったのは全く奇跡としか言いようがない。みんなも昼寝などして思い思いの時間を過ごす。最後に集合写真を撮って山頂とはお別れだ。



展望最高!乳頭山


乳頭山を出発したら、一転してまた今度は結構な頻度で人とすれ違うようになった。こんなに素晴らしい天気の日に、こうも徹底して全てのピークが貸し切り状態だと、うっかり運命というものを信じてしまいそうになる。

田代平山荘にはトイレ目的で立ち寄った。そして、そこから一気に最後は乳頭温泉まで駆け下りる。名残惜しさもあったが、途中から頭の中は下山後の温泉と打ち上げの焼肉のことしか考えられなくなっていた。ちょうど暑くなってきた頃合いに乳頭温泉へゴール!!!長い夏合宿だった。お疲れ様でした。

下山したら河原を探して天突きを行う。一年会の時とかはこういう昭和で体育会的なノリが嫌いだったが、Lを通してやってみると、やはりやってもらいたくなるものだ。何せ14日に及ぶ長大な夏合宿だ。天突きの文言も長くて、何回か噛んじゃった。総計ピッチ数は92.38pで大満足。カウントの西村はいい声を出してくれていた。感謝。

そのあとは孫六湯に入って、バスで寝て、下山連絡を入れて、盛岡駅に戻って、反省会して、焼肉キングで打ち上げして、公園で寝て、翌朝みんなで始発で帰った。楽しかったなあ〜


○まとめ

14日間というのはこれまでのワンゲルの3年間で言っても最長の合宿だった。そんな今夏合宿を一言で表すならば、これは山の中でずっと考えていた、"不屈"の夏合宿である。

思えば初日からほぼ下山寸前まで追い込まれた。雷にあってER2も末端近くまで追いやられるし、水場も分かった範囲で3つは使い物にならなかった。薮中でも予定よりピッチが増えて泊数が増えたし、大焼砂でも暴風に押し戻された。

でも、その度に知恵と、工夫と、折れない心で乗り越えてきた。今合宿の様々なハードルはこの7人だからこそ乗り越えられたものであるし、挑み続ける姿はまさに"不屈"だった。惜しくも完遂には届かなかったが、頑張っただけの素晴らしい結果は残せたと思う。

この先2年会1年会は夏合宿を自分たちの手で出すだろう。激しい合宿にせよとは口が裂けても言えないが、この経験を十分に生かして、決して後悔しない夏合宿を作り上げていってほしい。

差し入れにアドバイスに応援に緊急連絡先に遭対に、関わってくださった上級生のみなさんありがとうございました。そして、浦中、嶋中、今田、曽根、西田、西村、付いてきてくれて本当にありがとう。最高の毎日だった。


最終日、男女岳山頂にて












おまけ〜下山後〜

天突きが終わったあとは乳頭温泉「孫六湯」に入った。こちらもちょうど人と入れ違いになって運良く我々の貸切状態。噂に違わぬ秘湯で、温度もちょうどいいし、木材の香りとかですごいリラックスもできた。のだけど、シャワーがないのは予想外だったかな。夏合宿の下山後に入る温泉はもう少し下界的な方が良かったのかも…?と考える。

孫六湯から乳頭温泉郷のバス停(妙乃湯のあたり)まで片道20分かかるそうなので、そこまで歩く。下界はピーカンだった。バスの中では全員爆睡していた。たどり着いた田沢湖駅はガラス張りでとても綺麗な駅舎をしている。電車まで時間があったので幕内さんに下山連絡を入れる。他の人も、お土産見たり軽食を買ったり色々していた。

田沢湖線で盛岡まで出る。盛岡に着いたら嶋中のお見舞いに行こうと思っていたのだが、嶋中の入院していた盛岡つなぎ温泉病院というのがとても盛岡から遠い。田沢湖線を途中下車したりバスを使ったり、色々考えたのだが、打ち上げとかも考えるとどうにもお見舞いする時間がない。残念。代わりに嶋中に電話をする。入院中、脈拍が28にまで落ちたとかいう話を聞いてめちゃくちゃビビったりしたが、とりあえず元気そうな声が聞けて安心した。退院は明日の昼頃ということで、こっちが帰るのにギリギリ間に合わないのが悲しかった。

盛岡駅近くの公園の四阿で反省会を行う。夕日に照らされながら卓を囲んだ。みんな、たくさん反省していて、とてもいいことだと思う。プラス、たくさんLのことを褒めてくれたのでLは嬉しかった。反省会が終わったら、意気揚々と焼肉きんぐという焼肉屋さんに繰り出す。ここは、今年の3月合宿の打ち上げも行った場所で、Lと浦中と今田にとっては思い出の地である。予約したのであまり待たずに着席、よし勝負の始まりだ。



夏合宿第二ラウンド、焼肉キング


合宿後の焼肉食べ放題、これは合宿よりもきついとまで言われる恐ろしい儀式である。焼肉キングはタッチパネルによる注文制。ここは食べ放題におけるいわゆるチュートリアルのようなものはないので、まずは浦中にタッチパネルを渡してどんどん肉を頼んでくれと指示をした。

日曜日の夕飯時で店内は混雑していたが、さすがは焼肉キング、注文から届くまでが早い。こちらも届いたその場で焼き始め、食べ始めるが、あっという間に肉でテーブルが埋まる。でもこのくらいならすぐに食べ尽くして〜とか思っていると、こっちの消費を上回るペースで肉が来る。ちょっと、もう皿置くスペースないんですけど!くそっ、斯くなる上は…。

––––右手に箸を、左手に肉の皿を、さらに膝の上にも肉の皿を!これぞ焼肉における究極の解。取り皿には焼き終えた肉が次々と盛られていくので、なんの肉かわからないままそれらを口に運ぶ。うん、あーー、美味い!!!絵面からしてダメな焼肉のお手本みたいなことしてるな。

筋肉を使い尽くした肉体にタンパク質が染み渡って来る。一通り肉を堪能したところで今度はライスだ。素人はここでただの白飯に行きがちだが、玄人は間違いなくカルビ用ライスを頼む。キタキタ、白米の上にふんだんにかけられた味付け海苔、よくわからないけど美味しいタレ、中央に鎮座している卵の黄身をほぐしその上にカルビをワンバウンド、一気に口の中にかき込む。ああ、至上の喜びだ。

しばらく食べ進めると肉の脂で口の中がこってりして来る。ついついイレギュラーなものに手が伸びがちな時間帯だ。こういう時も玄人は焦らない。予め頼んでおいた塩ダレキャベツやキムチ、場合によってはそうめんなどで口の中をリフレッシュ、これでさらに肉を食べ進めることができる。

と、ここで店員がやって来る。「お待たせしました、フライドポテトで〜す」。–––そんなまさか、席を間違えているのか?この神聖なる肉の円卓においてフライドポテトはあまりにも異質。注文する者などいるはずが…。その時、不意に手を上げてポテトを受け取った人物をみてLは驚愕した。まさかっ、お前だったのか…。

お前だったのか、今田!Lが驚きの目を向ける中、今田はそれがさも当然のようにポテトを食べ進める。

さらにそれに感化されたのか曽根もポテトを頼み始めた。しかも2皿。へっ、この食べ放題も面白くなってきたじゃねえか。このLの強がりも、次の今田の一手で完全に打ち砕かれる。独自のルートを歩み始めた今田の次の一手は、カニクリームコロッケ!揚げ物二連発、だと…。ここまで来ると今田に対して驚きよりも畏怖に近い感情を抱くようになる。

さらに、「お待たせしました、いちごミルクムースで〜す」。そしてこれももちろん今田が受け取った。くっ、こうなったら負けていられない。戦いも終盤ではあるが、他の人間も呼応するように肉を大量注文、さらにLは「ぶっかけうどん」と「いちごミルクムース」を召喚。そのまま流れるようにラストオーダーのデザートへと進み、食べ放題は終局を迎えた。

まとめて会計を済ませて外に出る。焼肉で火照った体に夜風が心地いい。今年の打ち上げも、壮絶な戦いだった。この打ち上げで勝ったのは誰か、なんて今更語る気は無い。ただ食べ終わった後、浦中は何分もトイレにこもって出てこなかった、曽根はうずくまって撃沈している、L10分間は席を立つことすら不可能で、今も真顔で吐き気をこらえている、という結果が残った、それだけだ。

歩けるみんなは軽い足取りで盛岡駅へ戻っていく。Lは今にも…なので近くのTSUTAYA2時間ほど立ち読みをして、それから盛岡駅へ帰った。みんなはさっき反省会をした公園に集まって寝ているらしいのでLもそれに合流した。今日の朝にはまだ秋田駒ヶ岳にいたなんて信じられない。下界はやっぱり暑いな、そんなことを思いながら眠りについた。


8/19晴れ

今日はみんなで青春18切符を使って始発で帰ることにする。特に話すことはないが、途中で一回今田が寝過ごして降り損ねた。それがちょうど昼頃だったので、郡山で降りて郡山のデカ盛りグルメを食べにいく。

着いたのはみたか食堂という名前の定食屋さん。靴を脱いで座敷に通されるが、襖で締め切りにされるので家の中に通されたみたいだった。Lは開化丼というものの大盛りを食べた。初ネーミングは文明開花にちなんで、明治初年にできたらしい。初めて食べたが、豚肉で作った牛丼と親子丼の合いの子みたいで美味しかった。量的には水上のあしまえんの普通盛りくらいで、ちょうど腹9.5分目になるくらいの量。



開化丼、スープとお新香も着いてくる


店のおばちゃんが個性的ないい人で、帰り際には「ええと、850円だから800円!」とナチュラルに50円割り引いてくれた。この後は今田と無事合流して、今田は駅弁味の陣2018で一位に輝いたこともある郡山駅福豆屋の海苔のりべんを食べていた。これも本当に美味しいから、みんなぜひ食べてみてほしい。

西田とは、実家に顔を出しに行くとのことで黒磯でお別れ。他の人たちとは一緒に東京に帰っていった。いい夏合宿だった。


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