2017年8月24日木曜日

夏合宿白山藪隊(北方鳴谷山・南方願教寺山)


2017年度夏合宿白山藪隊FB

今年の夏合宿藪隊は白山に行ってきました。12日間に渡る壮絶で本当に毎日が濃すぎる合宿でした。これこそが東大ワンゲルにしかできない最高の夏合宿であったと自負しています。
シゲジにて白山バック
企画・記録 中津


〇参加者:3 L中津 sW張 2 F今本 H勝木 W坂田 F佐久間 E曽根田 1黒瀬

〇企画・準備段階
 今年の夏合宿藪隊の山域選定にかなり難儀し、予備審直前まで計画が何度も変更された。4月の段階では知床に行く気満々でいたが、日程的に3年会の主要な藪面子を揃えることができなかったため、断念した。その後、白山・和賀などが候補に挙がったが、南会津の山々に魅力を感じ、丸山岳をメインピークに据えた長期藪合宿の計画を立てていた。また、偵察山行として藪トレを一つ潰して梅宮に企画も出してもらった。が、偵察山行に行く前に、沢の渡渉を伴うことによるあまりにも厳しい入山条件とMaxの深さにより半分ほど出来上がっていた計画を潰さざるを得なかった。夏合宿の計画は62週にして全くの白紙に戻った。
概念図
ただ、数年ごとに出ているようなコースに行く気はさらさらなかった。TWVではここ1520年近く行かれていないが相当昔の藪合宿のメジャールートである、白山北方鳴谷山稜線と南方願教寺山稜線を繋ぐ欲張りな企画を土壇場で作り上げた。審議ではいろいろ迷惑をかけた。この合宿の参加者は強い面子もいたが、体力的に心配なメンバーもいない訳ではなかった。全員に負担をかけると到底完遂はできないなと感じていたので、企画する上でのモットーは、「非常識的な藪をいかに常識的な考えで負担を軽減して切り抜けるか」であった。6月末に最も頼りにしていた3年会久保が日程の都合により合宿不参加となり、不安にはなったが、合宿はそのままの形で行うことになった。デポでは小屋などがないため近年では珍しい一斗缶と土嚢袋を採用し2か所(鳴谷山とシゲジ)72週に行った。そこで見たシゲジ付近での光景はこの世のものとは思えないほど美しかった。この頃には南会津や知床への未練は薄れ、Lのモチベは最大限に上がっていた。
また、2年会の勝木が駒場で秋新歓のビラ配りをしていた際に、03年の最後の白山北方鳴谷山稜線の夏合宿企画者でかつその時の主将の藤本さんに出くわし、話を聞けたという。その日中に新歓メールにも助言のメールもくださった。その後も何度か白山の藪の厳しさやその他の注意事項、過去の事故例を伝える助言メールを現役メールに送ってくださった。評判通りの厳しい藪ということで、Lは俄然やる気が上がった。藤本さん、色々参考にさせていただきました。ありがとうございました。
また8/1の夏合宿壮行会の前には、危険個所を想定したFix通過の下界訓練及び沢での水汲みで使えるかもしれないロープワークの訓練を行った。実際にはFixは使わなかったが、沢ではロープが大活躍した。

〇入山前・行動記録
8/5()
迷走を続けた台風5号が接近していた。7日は大丈夫そうだが、8日以降直撃の恐れがあるよう。山中でやり過ごすことは当然リスクが大きすぎるので、とりあえず2日以上の延期を決定する。入山予備日1日と行動予備日1日を削ることになった。食料や燃料の割り振りをEFにやり直しさせる。何事もなかったら行くつもりであったショウガ山ピストンはこの段階で断念すると決めた。代わりにその食料を使って鳴谷山で1日停滞とすることにした。これは03年に企画された最後のこの稜線の夏合宿の企画者である藤本さんの助言もあってのことである。もともと追予備審で加えたルートでOR扱いのつもりであったので特に完遂には関係はない。無理はしないほうが良いということであろう。

8/6()
 Lはとにかく暇なのでボロボロだった眼鏡を新調した。上野をぶらぶら歩いた。東京は暑かった。

8/7()
 暇なので御殿下の開館時間ちょうどの11時から藪隊の一部(L・坂田・佐久間・黒瀬)を集めてウォール会をやる。インドカレーを食った。そのあとLは新たに思いついた使えそうな小物やさらなる差し入れを買いに行った。8日の一番雨が強いときにアプローチすると、増水した小嵐谷付近に近づくことになり危険だと判断し、もう1日行動予備日を削って入山を遅らせる。ただ、デポまでの前半藪で行動日程が延びる可能性もあったので、予備日はあと1日しか残っていなかったが、2日分の予備食を持っていくことにした。東京はこの日も暑かった。

8/8()
Lは本郷部室に行って差し入れの回収をした。OB1の差し入れはスイカだった。軽量スイカと書いてあったが、普通に大きい。絶対嘘だ。少しイラついたがありがたい。村田さんの差し入れはアミノバイタルだった。OBとは違って差し入れも軽量化への気遣いを感じられる。久保からの差し入れはニンニクチューブ・ショウガチューブ・塩キャラメル・塩分チャージ・グミなどいろいろ入っていた。どれもつまらないギャグが書かれていた。(ただ、山の上では何度か癒された。) 9日には台風は日本海に抜けるようだ。10日の入山を決める。

0日目】
8/9() 東京=金沢=深瀬~林道終点▲0 晴れ時々曇り 0.66p(33)
東京=金沢駅17:35=深瀬バス停19:37~小嵐滝20:0320:10林道終点
 電車組(L・今本・勝木・黒瀬)は早朝から東京発。池袋で3人集合し、大宮で勝木も回収。途中から第三セクターを使うので18切符をフルで使えないため7000円くらいした。越後湯沢で試食を堪能してラーメンを食べ、途中トランプで遊んだりもした。今本が地図を用意してなかったので金沢駅でコピーして与える。2年会にもなって地図を用意していないとは。張・佐久間・曽根田は新幹線でリッチにアプローチ。坂田は一人高速バスを安く予約できたようでうらやましい。集合は金沢駅17:00集合とし、白峰行きのバス停付近にザックを集める。Lは多少重くても十分判断を下せるだけの余裕がある自信があったので、Lのザックだけ自分と他人の大量の差し入れにより異常な重さになっていた。ただ、スイカは入山前に消費させてもらうことにした。他の面子は軽量化しろと脅した効果もあってほとんど差し入れを持ってきたやつはいなかった。それでよろしい。Lは知らないおばちゃんから金沢市内のバスのフリーパスを押し付けられるようにしてもらって一瞬喜んだが、残念ながら目的地には使えないっぽい。その後テレビ金沢かなにか忘れたが、山の日に関する企画で少し話を聞かれた。正直に1週間以上かけて藪尾根から白山を目指すと言ったら、一般人の理解の範疇を超えていたようで、それ以上何も聞かれることはなかった。17:35発のバスに乗り、後部の座席3列を陣取る。この隊は進振り面子を5(張・今本・勝木・佐久間・曽根田)も抱えており、進振りの話で盛り上がった。今本はバスの中で第二段階に必要な志望理由書をずっと考えていた。バスの中で書き終えたようで良かった。深瀬で降りる。一人1300円で、合計10400円。入山連絡を入れる。後で気付いたが、このときショウガ山ピストンを削って鳴谷山で停滞する予定であることを伝え忘れていた。真っ暗な中ヘッテンをつけて林道をしばらく歩く。
林道歩き
小嵐谷沿いの林道に出ると、デポにきた面子と前回来た時より沢の音が大きい気がするねと話す。また、林道沿いの落石が多くなっている気がする。増水の跡であろうか。夜で沢の状況がよく分からないので、林道終点にてオカンし、翌朝に本ルートの小嵐谷か、尾根沿いの
ER0を使うか判断することにする。林道終点の取水口で水を汲み、就寝前にスイカを全員で食す。
OB1の差し入れのスイカ
かなり量が多くて満足。沢の音が不気味で、少し寒い夜だった。明日以降の行程に思いを馳せて、
Lは緊張しながら就寝した。

1日目】
8/10() 林道終点▲0~小嵐滝~ヒアイのピョコ~ヒアイ台地▲1 曇り後雨後晴れ 11.42p(571)
4:50沢偵察・引き返す~林道終点5:00~5:12小嵐滝のトンネル出口5:28~(藪入り)~5:50 530mコル~5:54たるみ6:08~6:48 720mたるみ7:15~7:18(今本つる)7:21~8:08 900mたるみ8:27~8:43小嵐山~9:06 1000mたるみ9:21~9:24(今本つる)9:34~10:25 1200mたるみ(進振り確認)11:08~11:57 1280mたるみ12:10~13:05 1400mたるみ13:19~13:29(めがねバンド作成)13:42~14:50ヒアイのピョコ(たるみ)15:17~17:20ヒアイ台地草原
昨晩はやはり寒かった。起きてみると、やはり沢の音は変わらず大きい気がする。今合宿は、一分間スピーチを予告せずに一二年会にさせることにする。初日は黒瀬で、大好きだというきのこの話をしてくれた。しめじはオルニチンが豊富だとか。早速全員サンダルで沢の偵察に行く。堰堤を越えて沢に入ってみると、前回デポで来た時よりも水量は多めで、渡れないことはないが、深いところは水流によって川底が見えづらい。さらに相当冷たい。ここで消耗してもしょうがないので、せっかく林道を登ってきたが、ER0から尾根に沿って藪入りすることにする。小嵐滝先のトンネルは冠水していることはデポ時に確認済みなので、そのままサンダルで林道を下る。ささっと下る。小嵐滝が爆音をたてている。トンネルの入り口と出口は足の甲が完全に浸かるくらい。登山靴では即浸水するだろう。真っ暗なトンネルを歩いていると、これからの長い行程への興奮と不安が掻き立てられる。
小嵐滝先のトンネル
トンネルを出ると、トップの曽根田はまっすぐ前回確認した取りつきに向かおうとするが、
Lがふとトンネルを振り返って見渡してみると、案外トンネルの左側が緩やかで登りやすそう。トップを引き止めて、そこから取りつかせることにする。藪装を着け、登山靴に履き替える。今回、暑さ対策の一環として、Lは久保方式を採用しておばちゃんがよく使うアームカバーを装着して臨んだ。実際これのおかげで暑さから腕まくりすることが無くなり、今合宿Lだけ異常に傷が少なかった。藪トップは二年会5人で回すことにする。はじめは尾根に取り付くために急な斜面を無理矢理登る。ところどころ踏み跡っぽいものがついている。トップは530mコルまではトラバースのルートを選ぶ。しかし、途中でトップをやっていた今本がトラバース中に5mほど滑落。藪入りして早々ヒヤヒヤする。何度も滑っているようなので、危なっかしい。急な登りと不安定なトラバースで消耗が早そうだったので、コルで尾根に取り付いた後、すぐ先の場所で早めのたるみをとる。次のピッチは、佐久間が早速辛そう。何度か他のトップを待たせる。佐久間は720mのたるみで吐いたようだ。どうやら朝の段階から調子が悪く、風邪気味であったそうだ。なぜそれを出発時に言わないのか。取りあえず佐久間は本隊に入れ、Lが本隊誘導で最後尾は張にやってもらう。だが、出発早々、今本が脚をつる。少し経ってから出発。また佐久間がかなり鈍足で、Lが普通に歩くと間があっという間に空いてしまう。速度調節が苦手なLには誘導しきれないので次のピッチは張に代わってもらう。佐久間の荷物を抜いて、今本・勝木・曽根田に振る。小嵐山は看板もなにもないピーク。ここらへんまでは下る方向に目をやるとところどころ赤いペンキで木に印がついていたり、赤テープがついていたりしており、踏み跡も明瞭。1000m付近で今本がまたつったのでたるみ。さすがにおかしい。本人もなぜこんなにつるのかよく分からないようだ。後藤さんおすすめの芍薬甘草湯を飲ませるも、たるみ後すぐにまたつる。L自らマッサージを施し、塩分チャージを食べさせ、ゆっくり進むことにする。藪自体は薄く踏み跡もまだまだ多い。1200mのたるみで電波が入ったので、長だるみして進振り状況を確認することを許す。
佐久間はだんだん調子が上向いてきた。今本は何度も脚をつらせて元気がない。今度は今本の荷物を抜いて分配する。電波が強くなかったので意外に時間がかかってしまい、結局30分たるんでしまった。次のピッチでは今本は意外と調子が良さそうに見えたが、残り5 分でまたもやつる。1280mのたるみ以降は次第に踏み跡が消え、藪が濃い区間が増えてくる。今本や佐久間もまともに歩けるようになり、ようやく快調に進み始める。天気は曇りがちになる。1400mを過ぎたあたりで、トップの坂田がメガネを紛失するも、程なくして発見。どうやらメガネバンドをつけていなかったよう。曽根田も付け忘れていたので、エキボのタコ糸で作らせる。また、勝木はコンパスと笛を藪に持っていかれる。コンパスは見つかったが、笛は見つからなかった。仕方ないので、Lの笛を貸して、Lはオスプレイのザックの胸ベルトについている笛を使うことにする。ヒアイのピョコの手前から次第に藪が濃くなっていき、灌木の空中戦も出てくる。さらに雨も降り始めるが、ヒアイのピョコまでロングピッチを切る。ヒアイのピョコの頂上だけは薄いという情報だったが、頂上付近に来ても薄いところが見当たらなかったのでしぶしぶ灌木藪中でたるむ。一応ピークだし、あとは草原に行くだけなので長だるみする。
ヒアイのピョコたるみ風景
また天図たるみ回避のため、スマホで天気図もとってもらう。行動を再開してすぐ、トップが薄いところを見つけてしまう。もう少し粘って探せば良かったと思いつつも、素通りし、先に進む。雨は次第に強くなるし、植生は灌木主体でいまいちペースはあがらない。東側に草原があるようなので、トップは尾根の東寄りを確認しつつ進む。途中東側にある間違い尾根に乗りそうになるが、修正し、先に進む。その後、地図上のヒアイ台地草原のピンあたりに着くが、草原が現れる気配はない。おかしい。何度か隊を止めてトップに尾根東側を探してもらうが、やはり見つからない。
GPSを起動させて確認するも、ピンのところにいるようだ。焦る。ここで張が、事前にGoogle Earthで見たところ、確かに草原はあったと言う。スマホで確認してもらうと運よく電波が入り、ヒアイ台地の南端近くに草原があると判明する。この時点で90分以上行動していたが、日の入りも近くなっており、一刻も早くテン場に辿り着きたかったので、そのままラッセルに切り替えて尾根上を進む。灌木は濃い。ところどころ空中漕ぎもある。体力的にも精神的にも隊は参っていたが、10分くらい漕ぐと急に草原に出た。皆疲れが吹き飛んだかのように雄叫びを上げ、歓喜する。助かった。この頃には雨は止み、草原はこじんまりしているが、多少の傾斜を気にしなければ、4張くらいは張れるだろう。ただ、まだ水汲みが残っている。テントを早急に張って、L・勝木・曽根田で水汲みに行く。他の1,2年会でサイト。初めは草原の北の沢に行くが、傾斜がきつく、降りると戻ってこられるか心配になるようなところであったので断念して、南の沢に行く。草原から15分くらい下ると、滝が現れる。落ち口と滝の下だと汲みやすそう。その直前でも汲めなくはなさそうだが、きれいな流水ではなかった。仕方なく、左岸側の適当な木を支点とし、ロープと確保用具を使って曽根田をローワーダウンでおろして滝の下に行ってもらって汲み、Lはセルフビレイをとって落ち口で汲む。勝木は補佐に回らせる。汲み終わったときには18:30過ぎになっていた。ヤバい、日の入りが近い。急ぎつつも慎重に沢を登り返す。10分で草原に着き、草原に戻ったのは18:53。いつの間にか空は晴れていた。長かった一日をなんとか無事に終えた達成感も相まって、夕焼けが本当にきれいに見えた。
水汲み後ヒアイ台地草原より
食事も帰ってすぐに完成して、なんとも幸せ。石狩鍋であった。合宿一日目とは思えないほど疲れた気がする。それでも明日はキノッピ沢や左右切れた空中漕ぎなど危険個所が多い区間なので、特別な措置は取らず通常の時間で出発することにする。


2日目】
8/11() ヒアイ台地▲1~キノッピ沢~1560mコル▲2 晴れ時々曇り夜から雨 7.72p(386)
4:57~5:55沢の小滝上たるみ(手がかりセット)~6:07下降開始~6:26滝下~7:05沢終了点たるみ7:37~7:57 1440mコル~8:25 1465p1450m 8:51~9:55 1460m登り手前10:16~11:05 1560m11:18~11:40 1609p~12:10 1609p先コル12:24~13:15 1560mコル(14:42水汲み隊発~15:26水汲み場(1400m)15:48~16:07たるみ16:21~16:55テン場)
 3:15起床。CHP。撤収が遅い。一分間スピーチは今本で、ヒョーゴスラビア(兵庫)について。キジ打ちとかいろいろ待っていたら出発は5時前になっていた。朝は晴れ。佐久間は調子がまだ悪いようなので本隊。基本的に張が本隊誘導。草原を出ると、灌木藪の密集帯。1540pから間違い尾根上のコルに行き、キノッピ沢に入る。程なくして水が流れ始める。すぐにでも水が汲めそう。皆昨日の時点で靴は浸水していたので、気にせずジャブジャブ浸かる者もいる。初めの小滝が現れたので、たるみとする。傾斜は緩いが4~5mくらいか。そこまで危ないわけではないが、滝の上部で一応Lが手がかりとしてロープをセットする。一人ずつ足場を教えながら慎重に下ろしていく。さらに下ると、また小滝が出てくる。急に落ちているが3mくらいか。Lが先に下りて確認する。大して危なくないが、途中ザックが邪魔になりそうな箇所があったので、一応一年会の黒瀬と調子が悪い佐久間は空身で下ろす。Lがさらに滝を二往復して二人の荷物を運ぶ。さらに下ると、小さな釜が何回か現れる。へつりに失敗してドボンする者が続出。逆に無理にへつろうとしない方が安全ではあるが。ほぼ平坦な沢を進んでいくと、右側に枯れ沢が出現する。ここから尾根に上がることにして、その前にたるみ+水汲み。勝木はここできれいな石?を見つけて持ち帰っていた。尾根上に上がると、藪は濃くなく、疎林に笹藪主体といった感じ。
疎林に笹藪
1466の先の二つの小ピョコあたりで一瞬空中漕ぎが現れる。1609pの登りで今本がバテる。外付けしていた大きな銀マが邪魔で消耗していた。トップ中継は勝木・坂田・曽根田でやってもらう。この三人はいつも元気だ。
地図では1609p手前に左右切れた空中漕ぎと書いていたが、現れることはなかった。おかしいと思っていたら、その先の1590pにて現れる。が、過去の記録では一年会を空身にしたり、Fixロープを張ったりしていたようだが、トップもLもそこまで危険な場所だと感じなかったので、そのまま通す。1560mコル付近に辿り着く。尾根がかなり広く、テントが2張以上張れる場所がトップだけではすぐに見つけられなかったので、とりあえず荷物を下ろしてたるんだ後、張と今本以外の6人で横一列になり、しらみつぶしに適地を探すことにする。尾根の端まで行って探し始めようと移動していると、勝木が運よく適地を見つける。そこをテン場とし、少しばかり邪魔な灌木を切って、何とか2張の45天を張る。ここの水汲みは、下り40分の凶悪な水汲みという情報であったので、皆の体力を鑑みて昨日と同じ面子(L・勝木・曽根田)でまた水汲みに出発する。一人5~6発。北の沢をどんどん下降していくが、カラカラで一向に水が現れる気配がない。10分くらい下ったところで、3mくらいの枯れ滝が現れる。滝があるという情報はなかったので焦る。とりあえず、Lがはじめにクライムダウンしてみて様子を見る。途中詰まりそうなところはあったが、下からホールドと足場を指示すれば下れないこともないし、そこまで落差もないので、二人にもフリーで降りてもらう。曽根田は自力でクライムダウンできたが、勝木は途中で詰まってしまった。Lの肩を差し出し、一時的な足場としてもらうことで何とか下りることができた。そこからまたずんずん下っていく。テン場から44分でようやく水が汲めそうな場所に辿り着く。
水汲み場
岩々した沢で泥が少ないので、水はかなりきれい。たるみもいれて、ザックが重くなったところで、また登り返す。が、皆疲れが見えるので、途中でたるみを挟む。例の滝のところで、また
Lが先に登り、ザックが重くなった状態で不安なく登れるか先に試してみる。Ⅲ級程度であろうか。二人は一応沢経験があるが、まだ初心者であるので、ロープを出してトップロープで登ってもらうことにする。確保器はさすがに持ってきてなかったので、HMSカラビナにムンターヒッチで確保する。二人に登った感想を聞くと、曽根田は確保なしでも登れただろうが、あって安心感はあったとのこと。勝木は確保なしでは登りたくなかったとのこと。この沢の水汲みではロープは持っていくべきであろう。登り返してテン場へと戻る。出発してから2時間以上も経っていた。お疲れ。帰ると食事はできていたが、佐久間がサイト中に指を火傷したらしい。あらまぁ。この日はカレー。最後の生野菜だ。このテン場は周りが完全に藪に覆われていて、視界はほぼない。虫も多い。そんな中今本はオカンするらしい。行動中は元気がないのにテン場に着くと元気になるみたいだ。明日以降楽になるように、でかい銀マの外付けの仕方をLと考えた結果、カラビナと240テープを使って銀マが途中で広がらないように固定する方法に辿り着いた。これで改善するといいが…。この夜はかなり蒸し暑く、爺天では男だけなのをいいことに、Lと張はパンツ姿になって寝入った。勝木は皆が寝た後もしばらく、膝の部分がビリビリに破れたゴアマを針と糸でチクチク直していた。かわいそうに。

3日目】
8/12()  1560mコル▲2~鳴谷山▲3 終日雨 9.38p(469)
5:12~7:03 1430mたるみ7:21~8:26 1540mたるみ8:46~9:38 1576p~10:20 1530mコルたるみ10:38~11:32たるみ11:53~12:48たるみ13:05~14:35登山道~14:45鳴谷山
 3:15起床。昨日の夜は途中から雨が降って、今本は早々にテントに戻っていたようだ。醤油ラーメンを食う。朝雨雲が出ていて周りを藪に囲まれているためかなり暗く、昨日一昨日の日の出前に出発できない。一分間スピーチは勝木で、浦和のうなこちゃんについて。さらに雨は結構強い。
降りしきる雨
明るくなってきっところで出発。ここからの下りは疎林に笹といった感じで、薄いが尾根がだだっ広く、最後に細い尾根に乗らなければならないので
RFが難しいところだ。さながら威森松尾根のようだが、小地形が入り組んでいるのでこちらのほうが少し難しいかもしれない。トップはテン場から東に進み、少し登ってまた下りだしたところで目的の細尾根に向かって角度を切って進む。少し角度を変えるタイミングが早い気もしたが、大きくずれてはいないのでそのまま何も言わず進ませる。ずっと同じ角度で進んでいると不安になってくるので、GPSで確認してみると、尾根に乗るには少し西に寄り過ぎているようだ。これも練習なのでそのままトップの動きを見ておくことにする。広い尾根の末端付近に着いてもトップはまだ進もうとするので、もっと広く探すように伝える。Lは一人東側に寄りながら進む。トップも西に寄りすぎていることが分かり、東にトラバースすると、沢が現れ、その先に尾根が見える。少し下り過ぎたようだ。トップは一応沢の右岸側の尾根も少し下って可能性を潰し、沢を上から回って目的の尾根に乗った。Lは面倒なので、沢を横断して無理矢理目的の尾根に乗った。イモったこともあり、かなりロングピッチになったが、その先のコルでたるむ。雨は相変わらず降っている。この先はだんだんと濃くなっていく。登りは適宜ラッセルを交えながら進む。
雨灌木藪漕ぎ
灌木がなかなか手ごわく、
1576p手前以降空中漕ぎも何度かする。この辺りは濃くてペースが上がらず、雨も降っていて暑くないので、長めのピッチを何度も切る。ただ、過去記録でRF超難とあった1576p以降の細尾根はしっかりと尾根をとらえれば大して苦労しなかった。1530mコル以降も空中漕ぎを含む灌木主体の濃い藪。デポのとき鳴谷山で見たハイパーかんぼくん(曽根田命名)
ハイパーかんぼくん
ただ、
Lからするとトップの漕ぐスピードが今一つに感じられたので、1530mの次のたるみで「爆速で漕げよ」とトップを煽る。が、そのせいで早く漕ごうとした今本がバテてしまい、最後のピッチを前にしてトップから離脱。もっと強くなろう。過去記録で途中東側に草原があるとのことだったが、見つからなかった。ここでトップが人数不足になったので、最後のトップは勝木・曽根田のみ。1560m付近に着き、鳴谷山の西の登山道に出ようとするも、登山道がうまく見つけられない。エアリアで登山道の正確な位置を確認してみる。高度を変えずに登山道に辿り着くには、沢上地形を横断しなければならないらしいが、ぱっと見なかなか急でとてもトラバースできそうにない。さらに直接鳴谷山に行こうとすると、かなり濃くて消耗しそう。勝木、曽根田の順で沢上地形に向かってだんだん落ちながら下って偵察してもらう。声がぎりぎり届くぐらい下りたところで、勝木が登山道に出る。助かった。皆歓喜する。ちゃっちゃと登山道を登って、鳴谷山の看板のあるところに到着する。早速デポ缶を探す。一斗缶がかなり錆びていて多少浸水していたが中身は無事。
無事だったデポ缶
中身の分配は停滞の明日に回す。今日は雨で水があまり減っていなかったので、今日は水汲み無し。鳴谷山の看板付近を予定通りテン場としたが、石がゴロゴロ転がっていて整地が大変。結局石は残ってしまい、寝心地は悪かった。今晩はコンソメスープ。明日は停滞なので、爺天では
9時過ぎくらいまでずっと話していた。ちょうど去年の那須企画に行った2,3年会の面子4人だった。話の内容はあまり覚えていないが、佐久間や張が下山したいとほざいていたり、なぜかN村さんとF山さんの話になってLは佐久間からなぜか中山さんと呼ばれるようになってしまったりした。今日はゆっくり寝られる。

4日目】
8/13() 鳴谷山▲3~(停滞)~4 曇り時々雨 0p(0)
 6時頃起床。朝は鶏雑煮。雨は降っていなかったので、皆物干し大会。完全に山頂付近を占拠している。このタイミングで人が来たらさすがにヤバい(結局誰一人来なかった)。鳴谷山では電波が入らないので、水汲みに行く前にL・今本・坂田で電波を拾いに登山道を少し下りる。稜線の西側に出るとすぐ電波が入る。今本は1日目に元気がなくて進振り状況を確認できていなかったので、ここで見ていた。天気予報を見ると、明日以降も晴れることはなさそう。ずっと曇りか雨。あらまぁ。テン場に戻って、11時頃にその3人でそのまま水汲みに行く。デポ山行のときに偵察した沢。鳴谷山南コルの東の沢。下り10分。下りて、前回も見た滝の手前まで行く。
滝の落ち口
その手前で汲もうとするが、かなり汚い。泥が混じる。できるだけ流れが強いところが良いと考え、ロープを使って、今本をムンターヒッチで確保しながらローワーダウンして少しだけ下ろし、汲めそうなところで仮固定して汲ませる。が、こちらの方が汚い。仕方なく、はじめに汲んだところで全部汲む。停滞で汚い水とは悲しい。登り
10分。帰って昼ご飯のラーメンを食べる。午後はたまに雨が降ったりもするが、パラパラ程度。爺天ではトランプ、若天ではなにやらなぞなぞみたいなことをやっている。15時頃、天気図を取得しに行ってもらう。その後、ようやくデポ缶の分配をする。ここで一斗缶の処理が問題になるのだが、黒瀬を始め一斗缶が割り振られた人は、器用に一斗缶の底を缶切りで開け、きれいに折りたたんで潰し、処理していた。意外とコンパクトになるもんだ。夜はマーボー豆腐だったが、もちろん豆腐は高野豆腐である。サイト中、佐久間のさながらケッキング(ポケモン)のような写真を撮ることに成功した。明日の行動は短く半日停滞なので、46として寝る。

5日目】
8/14()  鳴谷山▲4~鳴谷峠▲5 曇り時々雨 3.42p(171)
6:14~7:18 1550mたるみ7:33~8:28 1510~1520mたるみ8:44~9:36鳴谷山
 4時半起床。タラコスパ。朝は意外と視界が良く、白山方面が少しだけ見えた。
鳴谷山から一瞬見えた白山
まだまだ遠い…。一分間スピーチは坂田で、香港の山について。今日からは黒瀬をトップに加え、早期教育することにする。鳴谷山の先はまあまあ濃い。進みはかなり遅い。雨もパラパラ。勝木がなんだか機嫌が悪そう。腹の調子が悪い中、あまり進めていない状況が面白くないようだ。途中銀マの残骸を発見する。残雪期に通った人のものか、はたまた昔のワンゲルのものか…。
2ピッチ目以降次第に薄くなっていき、漕ぎやすくなっていく。1510~1520mあたりに二重稜線あり。黒瀬は初トップにしてはうまくやれていた。鳴谷峠についてもトップはなぜかまだ前に進もうとする。呼び止めて、ザックを置き、テン場適地を探すことにする。曽根田は鼻を突いたか何かで鼻血を出していたので、張と曽根田以外で適地を探すも、いい場所が見つからない。仕方なく、荷物をおいていた場所で妥協し、邪魔な灌木を切り開いて、テン場とする。Lは藪中の灌木を切るのが楽しくなってしまった。テントを立てて、水汲みに行く。ここから最長水場区間なので、とりあえず全発38発汲む。サイト分を含めると足りない計算だが、1p1人あたり400mLで計算していたので、天気が悪い中400読みはバカらしいので300mLに読み替える。そうすると、全発汲めばちょうどサイト分を含めて足りることが分かる。30発ほど汲まなければならなかったので、張と曽根田以外の6人で汲みに行く。北の沢下り10分。登り10分。今までの沢と違って、ずっと平坦で特に危険なところがない沢であったので、水が出始めてからちょうど良く落差があって汲みやすいところに辿り着くのが遅かった気がする。
38発のポリタン
帰って久保の差し入れのグミと、
Lの差し入れの塩ようかんなどを開けて暇つぶし。今本が昨日若天でやっていたなぞなぞみたいなものをやってくれた。海ガメのスープという有名な推理ゲームらしい。今本が出題者でLと坂田が解答者でやってみた。頭を使うので良い暇つぶしになった。サイト後、L・今本・佐久間・曽根田・黒瀬でインディアンポーカーに興じた。実際には何も賭けなかったが、大いに盛り上がった。最終的に、Lがボロ勝ち、佐久間がボロ負け、その他ほぼ同点みたいな形で終わった。ただ、皆ノリで自分が崩壊していくのを感じ、実際に賭け事はするまいという結論に至った。休息日はここまで。明日は荷物が重く、根性日になるだろう。

6日目】
8/15()  鳴谷峠▲5~1712p6 曇り後雨 6.58p(329)
5:18~6:25 1535p先コルたるみ6:45~7:52 1580mたるみ8:05~9:07 1640mたるみ9:19~10:24 1700mたるみ10:38~10:47 1718p~(イモ)~11:20たるみ11:40~(back)~12:06 1712p手前
 3時半起床。やぶそば で藪力アップ。一分間スピーチは黒瀬で、昭和と平成の仮面ライダーについて3分間も熱く語ってくれた。今日は出発時で坂田3発他4発。天気は曇りでコンディションは良い。最初の1p目の1535pの登りは灌木が濃い。ここで希望者に村田さんからの差し入れのアミノバイタルを支給する。また、佐久間が前を行く曽根田から跳ね返ってきた灌木で胸を強打する。つらそう。さらに、2p目で今本がバテたので、本隊に下げる。急な登りに差し掛かると、毎度毎度慣れた空中漕ぎも混ざる。
曇っていたが、視界はあったので見晴らしもそれなりに良い。1650mを過ぎると笹と灌木が混じった藪をひたすら進む。
灌木と笹のミックス
今本は本当に元気がなく、全くしゃべらない。
1712pからの下りに差し掛かると、尾根は明瞭でなくなり、角度を切って進む。が、Lはトップの言っていた角度が少しおかしいと思い聞き返すも、トップは大丈夫だという。結局はLの思っていた角度も少しずれていて、トップを混乱させてしまったようだ。そうこうしながらもずんずん下ると、尾根を外していたのか、沢上地形に出てしまう。どうやら右に寄りすぎていたようだ。登り返してたるみ、体制を立て直そうとする。ここで、今本があまりにも元気なさそうで熱っぽいかもということで、体温を測らせる。372分。この区間のMaxはかなり深く近づけば近づくほどリスクは高まるし、これ以上行動して悪化させても良くないと判断して、バックしてテン場を探すことに決める。98年では1712付近に泊まったとあるので、そこらで探せば見つかるだろう。水場はないが、2泊分の水を歩荷しているのでどうにでもなる。1712pの少し西のまあまあ平坦なところをテン場とする。テン場を作るのにまたもや灌木の伐採を強いられる。テントを立てている途中で雨が降ってきた。皆寒そう。特に坂田は寒さで動けなくなってなかなかテントに入る準備が進まない。Lはなぜか元気であったので、(半袖半ズボンで)全員テントに入るまで外にいて早く入るよう急かしていた。今本は爺天に入れて、休ませる。サイトは2つのテントで分担して温まり、爺天で鶏汁、若天で釜飯を作る。爺天では与えられた乾燥野菜をめっためたに入れまくって楽しくサイトしていたら、なんとも具沢山のスープが出来上がった。釜飯も焦げ付かなかったようで、うまかった。坂田は手擦れという新種の擦れを発症していた。軍手が悪かったのか。かわいそう。今日は今本に十分休んでもらわないといけないので、日の入り前には寝る準備を終わらせる。明日は今本の体調次第で進むかどうか判断する。悪化したら残念ながら下山だ。

7日目】
8/16()  1712p6~三角台地~ツカナ草原▲7 曇り後晴れ 8.02p(401)
5:30~6:31 1640mたるみ6:50~8:05 1643p手前コルたるみ8:16~8:41 1643p~9:20 1660mたるみ9:40~10:50 1720pたるみ11:05~11:55三角台地北端~12:02 三角台地笹地たるみ12:30~13:39 1920mたるみ14:00~14:10ツカナ草原
 3時半起床。朝は梅茶雑煮。曇り。今本の熱は少し下がって、37度を割った。気分も良くなったそう。前進することを決める。朝の準備をしていると、坂田のゴアマがないという。昨日は確かに着ていたので、テントをもう一度出して中を見てみると、見つかった。良かった。一分間スピーチは曽根田で、平塚の南北の差について。初めのピッチは昨日のトップの布陣でいく。トップ坂田・曽根田・黒瀬、中継佐久間、誘導勝木。今本は初めのうちは本隊で様子見。トップは昨日の反省から決めた角度でそのままずんずん進み、右に落ちないようにする。地図をよく見ると、途中で少し右に角度を変えながら進まないといけないように見える。Lは昨日も間違えているので心配になってGPSを見てみると、案の定乗りたい尾根の左側に出ている。左を意識しすぎたせいであろう。トップは全く気付いていなかった。右にトラバースしていくと、正解尾根らしきものが見えるので、登り返しも含めつつ尾根に乗る。ここは尾根が不明瞭な上に、途中で角度が変わるのでRF超難と言ってもいいように思う。このピッチで佐久間のコンパスが壊れる。すでに一つ壊していたので、他の人の非常用パックから予備を出す。この先、尾根が比較的細く、灌木の空中漕ぎもあり、濃い。
これぞ空中漕ぎ
そしてついに
Max2である1643pを越える。もう進むしかない。死なない限りシゲジに行ける。佐久間は早々に今日2個目のコンパスを壊す。本隊に入る。この先次第に薄くなる。笹が多くなる。北東の沢が見え、音もかなり大きいが、かなり急なので、沢に下りて汲むのは難しいかもしれない。1640mのたるみからは登り主体なのでここでもラッセルを多用する。途中一瞬だけ青空が見えたりして、皆テンションが上がる。が、基本曇り。この合宿ではまだ青空らしい青空を見ていない。三角台地の真ん中あたりには薄い笹原があり、気持ちが良いので長だるみ。この先は過去記録によるとこの先100mの登りが最後のモロ藪とのことである。Lはモチベと体力が有り余っていたので、張に最後尾を任せてラッセルに加わることにする。ラッセル面子はL・勝木・曽根田。下部は笹と灌木のミックス。上部は鬱陶しい灌木のみ。途中トップは夢中になって間が空くこともあった。すみません。傾斜が緩くなって、空が見え始める。登り切ると、そこはいかにも限界上みたいな背丈の低い笹と灌木のミックス藪。7日目にしてついに初の限界上に出た。超気持ちイイ。もちろんたるみ。皆いい顔をしている。
やっと限界上に出る
また進み始めると程なくして突如窪地に草原が出現する。
1910mコルであろうか。草原に高山植物が咲き誇り、何とも気持ちいい。あまりにも気持ち良すぎるため、隊を止める。
突如現れた草原
シゲジまではあと
2pはかかり、電波も入らないため、天図たるみが必要なほど行動時間が延びること、水に余裕があること、予備食が予備日分以上に余っていること、シゲジでもこれほど良いテン場ではないことなどを考慮すると、ここで泊まって明日シゲジに移動して半日停滞とするのは悪くない。皆の意見を聞いてみると、全員一致でここに泊まることとなった。天気も曇りで悪くないので、ここにきて初の外サイト。予備食は2泊分持ってきていたが、ここでいくらでも消費しても良いことが判明したので、好きなだけ食べてよいとする。皆規定量以上食べていた。食後、皆の傷の治療をする。佐久間の胸の打撲はかなり気持ち悪い見た目になっていた。メンソレータムを塗ったら悪化したようだ。また背中にも大きなザックずれができていた。メンソレータムを塗って、アンダーラップで覆い、テーピングでとめた。ちょっと治療が雑だったか?坂田の手擦れはさらに悪化していた。なんとも痛々しい。汚れもついていたので、勝木に手伝ってもらいながら消毒して、絆創膏を貼っていた。そのあと天図大会。黒瀬の天気図はもう一回書けばWが取れそうなくらい。そうしていると、空が晴れだして、ついに白山がはっきりと見えた。
やっとくっきり見えた白山
この光景をどれだけ待っていたことか。みな見惚れて、写真を撮りまくる。今本は、ここで、急に焚き火がしたいと言い出す。黒瀬も巻き込み、ついには張と佐久間以外も手伝って、焚き火に全力をかける。雨の後で湿気ていたこともあってうまくつかない。ガス缶とヘッドで強引に着火するも、自力で火がついていたのは数十分であった。その火で
Lの持ってきたマシュマロを焼いて食う。気付いたら日は落ちていた。何とも楽しい日であった。明日は行動時間も短いので、ゆっくりと出発する。

8日目】
8/17()  ツカナ草原▲7~シゲジ▲8 快晴後晴れ時々曇り後雷雨 2.48p(124)
5:40~6:45 2000mたるみ6:56~7:55シゲジ
 4時起床。朝もα米。起きると星空が綺麗だったので、Lは外で朝飯を食う。雲一つない。一分間スピーチは佐久間で、ラグビーの国別順位などについて。皆見慣れない晴れにテンションが上がっている。限界上とは言うものの、ところどころで灌木が鬱陶しい。が、今までに比べると楽な藪。2010mを過ぎると、視界が完全に開けて、もはや藪ではない。踝藪の草原。真っ青な快晴の空。この光景だけを信じて漕いできたのだ。
シゲジ
皆写真撮りまくり。程なくしてシゲジに到着する。そこには
360°の展望。誰もいない草原を独り占めしていた。
すべてが見える。
これ以上いい白山の展望台はないであろう。皆歓喜し、その興奮のまま集合写真を撮る。肩を組んで雄叫びを上げる。一段落したところで、ザックを広げ、荷物を乾かす。一斗缶をシゲジ先コルから回収し、デポ缶整理を佐久間・坂田に任せて、
L・今本・勝木・曽根田・黒瀬で水汲みに出発する。前回デポで来た時には、シゲジ先コルの北の沢は雪渓に覆われており、汲めるかどうかの判断は出来なかった。とりあえずその沢から見ることにする。下りていくと、10分ほどで5mほどの枯滝が現れる。これが過去記録でいう沢L以外は行かせたくない箇所であろう。支点を探すと、懸垂下降に適している強固な支点はない。が、fixやトップロープ程度ならいけそうな支点ならあった。が、この隊にロープが扱える人間はLだけで、この先また滝があってもおかしくなかったので、Lがクレイムハイストで確保しながらFixのようにしてクライムダウンをすることにする。途中少し怖いところがあったが、何事もなく下りることができた。
行く手を阻む滝
ロープそのままにしておいて、
Lが一人で下って偵察すると、3~4分くらいで水汲み適地に着く。とりあえず自分の分だけ汲んで、また滝の下まで登り返し、そこで他の人の分のポリタン12発をロープを使って受け取り、またLが一人で下って汲み、全てのポリをロープで引上げ、またFix登攀の要領で登り返した。Ⅳ-級くらいであろうか。なんだか今日がいままでで一番疲れた気がする。テン場に帰って、昼飯のカニの鉄砲汁を食べる。うまい。この頃から雲がかかることが増えてくる。上昇気流もあるようだ。ここで異変に気付き、コルにテン場を変えておけばよかった…。そのあとは、各自道具の修理をしたり、一斗缶を潰したり、談笑したり、寝たりと優雅な半日停滞を過ごした。サイト前に曽根田が熱があることを申告する。375分らしい。とりあえずは安静にさせる。夕飯はクリームシチューであったが、肉が焼き鳥缶のたれであった。何とも言えない新しい味であった。この日はL・坂田がオカン。寝る前に、L・今本・勝木・佐久間・黒瀬でトランプに興じる。途中少し雨が降ったが、気にせず床に入った…。
 曽根田の呼ぶ声で目が覚める。9時くらいか。空がチラチラ光っている。雷だ。佐久間が気付いたらしい。幸い音はほとんど聞こえず、雨もまだ降っていないので、もっと下で落ちているのであろう。ここは限界上のピークである。危険なのは誰でもわかる。すぐさま皆を起こし、テントとサイト用具とシュラフを持ってL先頭でコルに下る。もちろん真っ暗でほとんど何も見えない。とりあえずより安全なところに着いたが、まだ稜線上であったので雷が落ちない保証はない。明日の行動もあるので、とりあえず皆を寝かせ、Lは外で天気の様子を見ておくことにする。が、準備が整った瞬間、雨が急に強くなり、様子が一気に変わった。ヤバい、来る。皆をまたテントから出し、シュラカバとヘッドと缶だけを持って、L先頭で角度を切って北の沢に向かう。沢状地形にさえ入れば安全なはず。すぐに窪地のようなところに着き、何とか避難が完了した。が、LRFに気をとられてシュラカバを途中で紛失したようだ。皆で体を寄せて、天気が回復するのを待つ。雨が何度も強くなったり弱くなったりを繰り返している。稜線上には雷が十数秒ごとに落ちている。避難した今となっては一番怖いのが低体温症なので、ヘッドの着火装置を使って火をつけ、Lが皆に火をかわるがわるあてて温めながら過ごす。寝ないようにしりとりもする。トムラウシなどという縁起でもないワードも出ていた。今本が特に寒そうで、少し心配。途中雨脚が強くなって水の流れが強くなったので、一回場所を移動したりもした。火をずっと回しながら、一人一人に定期的によびかけを続ける。12時を回り、1時くらいになってようやく天気が落ち着き、雷も引いた。その30分後くらいにテントに戻り、一つのテントに全員で入って身を寄せ合い、生還したことを喜ぶ。あまりにも腹が減ったので、2時くらいに朝サイトをする。超塩っ辛いうどんであったが、ビバークの後の疲弊しきった体であったので全然許せた。明日はさすがにこんな状態でまともに行動できるはずもないので、とりあえず藪抜けし、電波が入る白山釈迦岳付近でサイトすることにする。サイトしていない方の爺天は大洪水が起きており、めちゃくちゃな寒さだった。Lはその後、足がずっと水に浸かった状態で、シュラフにも入らず泥のように仮眠をとった。

9日目】
8/18()  シゲジ▲8~T字路(藪抜け)~白山釈迦岳▲9 曇り時々雨後晴れ 1.9p(95)
7:00シゲジ先コル~7:20 3back~7:42合流たるみ7:51~8:24T字路(藪抜け)たるみ8:35~9:08釈迦岳コル(道標)9:15~9:20釈迦岳前峰9:56~10:00釈迦岳コル
 日の出頃の5時に起きてシゲジに残していた荷物を取りに行く。荷物は散乱していたが、何もなくなってはいなかった。回収してコルに戻り、テントを撤収して出発の準備をする。Lと心優しい曽根田で昨日失くしたLのシュラカバを探すが、結局見つからず、諦めることに…。気を取り直して、体操して、一分間スピーチ。今日は坂田で、ワンゲルに入ったきっけとなったコスタリカでの山行の話を聞かせてくれた。ピコ・ブランコという山に、しっかりと準備せずに友達数人と行ったら遭難しかけたという話だった。その経験からしっかりと登山を学ぼうとワンゲルに入ったのだと。そんな経緯があったとは…。シゲジに向かう途中、ふとGPSを入れていたポケットに手を当てると、無い。シゲジに忘れてきたのか。山行を続けるためには重要なものなので、隊を止めて、L・勝木・曽根田で戻って探しに行く。シゲジに戻ると、Lが最初にザックを置いた付近にGPSが転がっていた。危ない危ない。昨日の興奮中で落としてしまっていたのだろう。大反省。ついでに勝木が見つけた布の袋の落とし物も持って帰ると、坂田のものであった。少したるんで、藪抜けを目指す。視界が無いのでRFが必要で、一度間違い尾根に下りそうになる。
笹を滑り降りる
デポ山行のときにつけた赤布も頼りにしつつ
T字路に着き、藪抜け。写真は勝木に撮ってもらった。皆無理矢理テンションを上げて藪抜けする。感動的な藪抜けになるはずだったのに…。水はサイト分+α残っていたので、汲まず、そのまま白山釈迦岳に向かう。釈迦岳のコルの手前のトラバースの道で、佐久間が2mほど滑落。ヒヤヒヤした。釈迦新道はこのとき通行不可で誰も通らないことが分かっていたので、道標がある釈迦岳のコルをテン場とし、白山釈迦岳前峰に空身で行く。ここは電波が入るので、緊急連絡先と遭対の鈴木さんと村田さんに途中報告をする。また3年会ラインに張が藪隊の無事を伝えていた。テン場にもどり、希望者だけで白山釈迦岳にも登る。合宿中いつも元気な勝木・坂田・曽根田・黒瀬・Lで行った。コルからは5分程度。山頂はガスで何も見えないが、一応山頂標識はあった。テントを立て、ゆっくりと休む。一瞬晴れていたので、皆物干し大会をしていたが、途中から雨が降ってしまった。小さな沢の上にテントを立ててしまったので、雨が降っている間は浸水しまくっていた。夜サイトは13時過ぎくらいから早めにやった。トムヤムクン。Lは辛いのが少々苦手で、張は大好きなので、いつも大食いのLがいつもあまり食べない張より食べる量がすくなかった。爺天では17時前には寝る準備が終わってシュラフに入っていたが、若天の衆が晴れてきたと言い出したので、テントをでてみるとなんともいい景色。
お、晴れた?
気分がいいので、希望者
(張・今本以外)でもう一度白山釈迦岳前峰に登りに行く。デポ山行のときほどではないが、白山も見えていい景色。ついでに記念撮影。
天気予報だと明日は多少晴れが期待できるようだ。ワクワクしつつ、帰って寝る。

10日目】
8/19()  白山釈迦岳▲9~大汝峰~御前峰~南竜ヶ馬場▲10 晴れ後曇り後雨後晴れ 6.56p(328)
5:33~5:50T字路~5:58湯の谷乗越(水汲み)6:10~6:31 2080m たるみ6:42~7:37 2350mたるみ7:52~8:10七倉山分岐~8:28御手水鉢たるみ8:42~9:03大汝北分岐~9:20大汝峰たるみ9:43~10:00大汝南分岐~10:09 OR分岐~10:15翠ヶ池10:21~10:43御前峰11:05~11:44室堂12;10~(トンビ岩コースOR4)~13:10南竜ヶ馬場
 3時半起床。朝は味噌ラーメンと言いながらも、焼きそばのよう。キジ打ち等待っていたらこの日もかなり遅れてしまった。Lの締めが甘いのだろう。雲はあまりかかっておらず気持ちの良い朝。一分間スピーチは黒瀬で、黒瀬の第三の趣味である切手について。今日は久しぶりの道区間とのこともあって、少し楽しみ。湯の谷乗越で今日の行動分の水を汲み足す。
最初の1~2pの間、今本が道山行とアカペラの親和性について語っていて、少しだけボイトレをやっていたが、なぜかすぐ飽きたのかやらなくなってしまった。七倉山までの登りでは、天国と地獄を一日の間に両方経験させてくれたシゲジがよーく見えた。
シゲジ
2300m過ぎくらいに、通行禁止の標識があり、数十メートルくらいの迂回ルートができていた。七倉山分岐からはきれいな雪渓がいくつか見えた。御手水鉢辺りまでは、晴れていて何とも気分が良かったが、それ以降少し曇り出す。大汝峰ではついに10日ぶりの人に出会う。翠ヶ池・剣ヶ峰・御前峰が一度に見え、いい雰囲気。
翠ヶ池・剣が峰・御前峰
また神社に今本がフルグラのチョコバナナ味をお供えしていた
(もちろん回収した)。集合写真を撮る。Lは池とか沼とかそういった類いが好きなので、翠ヶ池で特別に5分たるみ、鑑賞する。雪渓と剣ヶ峰と合わさってgood。御前峰を目指す。ガレ場とエアリアにあったが、何も危険なことはない普通の登山道。ついに最高峰かつメインピークについたというのに、御前峰では人があまりにも多すぎて萎え。下界にきてしまった。山頂看板で記念写真を撮る人の列ができるほど。一応Lの差し入れの蒟蒻畑を放出しておいた。集合写真。
俗っぽい御前峰にて
御前峰
~室堂間は人が十分すれ違える幅があるので、そこまでストレスを感じなかった。室堂は本当にただの下界。なんでもある。数人がバッジを買い、Lは記念にタオルを買った。そうこうしていると、出発直前に雨が降り出す。雨雲レーダーによると、この先1~2時間で白山周辺を雨雲が通るようだ。室堂でやり過ごす手もあるが、いつ止むかわからないし、この隊は雨に慣れっこだし、南竜ヶ馬場の先に進む可能性がまだあったので、前進する。視界はないので、一番はやいトンビ岩コースを使う。雨に降られたし、何ともつまらない道だった。危険個所もない。1時間ほどで南竜ヶ馬場。ここで隊の調子を聞くと、ネガティブな言葉が出てきたので、無理はせず、ここに泊まることにする。テン場は一人300円と安い。早速テントを張って、炊事場があったのでそこでサイトする。今日はボルシチであった。ここで坂田が蛇口があるからといって、水を量りもせずにじゃーっといれ、これでいいやと適当に炊いてしまった。横でみていた曽根田もまあいいかとそのまま炊いていると、結果水が少なかったのかうまく炊けず、水を足しながら修正しようとしていた。Lも適当にお粥にしちゃえと無責任な発言をしてさらに水を足していくと、芯が残って周りはべちゃべちゃで底は焦げているという米の失敗を全て詰め込んだかのような恐ろしい米ができてしまった。
米炊き大失敗
ボルシチがうまかったからまだ食べられたものの、端的に言ってくそまずかった。その後、
Lの下界から持ってきた差し入れと張が南竜山荘で買い足した差し入れで、今合宿最初で最後の宴会を行う。ここでなぜか体温を皆測る流れになる。皆軒並み37度を超える。もはや何も信じられない。また、勝木が皆がびっくりするようなおもしろい話をしてくれた。さらには7日目で泊まった草原の話になり、ツカナヶ原またはツカナ草原と命名することになった。なんとも楽しい宴会であった。7時には打ち切って、寝た。いつの間にか晴れていて、星が綺麗な夜だった。明日は行けるところまで進む。

11日目】
8/20 ()  南竜ヶ馬場▲10~別山~(再藪入り)~願教寺山手前台地▲11 晴れ時々曇り 10.52p(526)
5:10~6:05油坂の頭たるみ6:20~7:30チブリ尾根分岐~7:40別山8:00~8:52 2050mたるみ9:01~10:28三ノ峰~10:34三ノ峰避難小屋~10:54 1940mたるみ10:10~10:15水呑釈迦堂跡10:32~10:37二ノ峰~11:06一ノ峰~11:43 1789pたるみ12:18~(藪入り)~13:13 1600m台地草原13:30~13:40 1600m北の沢~13:56~14:43 1590mたるみ15:07~15:32 1615p~16:12 1630mたるみ16:27~17:00 1620m願教寺山手前台地
 3時半起床。朝は何を食べたか失念した。気持ちのいい朝で、白山が良く見える。一分間スピーチは坂田で、不味いものは不味いと言ってほしいとのこと。その方が自分のためになると。昨日の米のことかな。
出発
出発してすぐに、木道が少しだけ。谷に下りると水場。増水時通れるか少し不安な渡渉がある。油坂は昨日今本がビビっていたが、なんてこともない。油坂の頭で白山バックに集合写真。
油坂の頭にて白山バック
別山までロングピッチを切る。ここで、雲海に浮かぶ北アやらがついに見える。途中にあった池がなんとも綺麗。
別山と藪隊
別山では勝木と黒瀬がピークハントしていたが、結局グダグダになって、勝木が勝った。
20分長だるみ。集合写真。ここからひたすら下る。今本がよくバランスを崩してコケる。三ノ峰避難小屋は濃い赤で見た目がかなりきれい。エアリアでの表示通りの水呑釈迦堂跡の場所で止まってみたが、棒が立っているだけで何もない。水場があるはずだが…。たるんだあと進むと、すぐ先に標識があった。張と話し合った結果、エアリアが間違っているという結論に至った。下り始めて5分以内に、水場らしきところに出たが、かなり細い。少し下ってみるも、出てくる気配がない。これ以上下っても時間の無駄なので、藪中で汲むことにする。ひたすら登山道を歩いて1789pの再藪入り箇所に着く。ここで、暑さが応えたのか、今本が熱中症気味。長だるみとし、水分や塩分チャージを摂取させる。少し休めたらましになったので、今本は本隊に入れて再藪入りすることにする。1789pの少し手前から藪入り。視界がいいのでRFは楽。背丈笹。たまに灌木。前方に見えた草原に寄ったりして遊ぶ。そこからさらに1600m台地にもっと大きな草原が見えるので、角度を切っていってみる。こういうことは下りで視界が良いときしかできない。着いてみると、これまた気持ちのいい草原。
1600m台地草原
たるんで出発。北に進んで、沢を探しつつ、主尾根に戻る。トップは少し登り気味に進んだが、
Lはあまり高度を変えずにすすんでいると、一番最初に尾根に出る。しかも沢の音が近くに聞こえる。尾根の北側を見てみると、すぐそこに沢が流れていた。過去記録にあったスグ汲める沢とはこういうことか。皆を呼んで早速汲む。水量も申し分ない。さらに進む。1590m辺りの腰程度の笹原でたるみ。
笹原からの景色
晴れていて暑い。天図たるみを避けるためにスマホを出してもらうと
auが入った。佐久間は靴が壊れて靴ひもがすぐ解けるといって文句たらたら。そんなに怒んなよ…。その後も笹藪主体の藪を進み、登りはラッセルを交えつつ、何事もなく願教寺手前コルに到着する。コルでは張りづらいので、その先の台地上で張る。笹に覆われたなかなかいいテン場。長い一日だった。願教寺山がきれいに見える。笹に覆われたのっぺりした山だ。
笹の名峰・願教寺山
この夜、
Lはピッチ数計算と天突きの原稿を考えていた。明日も併せて75pかな、とこのときは思っていた。また、この合宿がまさにかまどの歌のようだという話になって、寝る前にL・今本・佐久間・曽根田でかまどの歌を歌った。心に沁みる歌詞だ。最後にLが「フレーフレー東大!フレーフレーワンゲル!」のおなじみの掛け声でしめた。爽快。この夜、隣の坂田の腕がLの顔に飛んできて、いくらか睡眠時間を奪われた。前評判通りの寝相の悪さであった笑。

12日目】
8/21()  願教寺手前台地▲11~願教寺山~よも太郎山~992p~(藪抜け)~鳩ヶ湯▲12 曇り後晴れ 13.6p(680)
5:19~5:43願教寺山6:02~7:56 1450mコル(水汲み)9:04~10:04よも太郎山10:20~11:24 1290m 11:39~13:50たるみ14:15~15:30 1190m 15:35~16:3016:45~16:57尾根~17:13 992p~18:19 780m林道出合18:40~19:50鳩ヶ湯
 3時半起床。この日の朝はガス。願教寺山で視界が無いのは残念だ。笹を繋いですぐに頂上。実は今合宿藪中で三角点のある唯一のピーク。前情報通り慶應ワンゲルのプレートが二枚。もちろん集合写真。
願教寺山にて
巨大ナメクジがいた。ここからの下りはガレていて急。尾根も不明瞭。沢状地形も入り組んでいる。明らかに
RF 難。ガスっていたのでトップは何度も混乱しつつ下っていた。途中ガスが一瞬晴れて正解尾根が見え、運よく乗り切れた。笹主体の細い尾根が続き、1450mに着く。ここで水汲み。張・勝木・坂田を残して他5人で水汲みに行く。南の沢。かなり傾斜が緩いので、適度な落差が現れず、水が出始めてからかなり下らないと水が汲みにくい。下り20分。登り15分。よも太郎への登りは背丈笹ラッセル。Lも加わる。途中尾根北に崩落箇所あり。ラストピークのよも太郎山では晴れる。願教寺山も見える。こちらから見ると、岩々していてかっこいい。
よも太郎山から見た願教寺山
集合写真。佐久間がとても機嫌悪そうに写る。ここからはついに下りだけである。視界もあるので、笹主体の気持ちのいい藪を下る。
笹藪の下り
1400mあたりから高い木が出てきて笹藪が次第に終わりを告げる。1290mまでのピッチは何事もなく順調に進めた。そのあと、曽根田なしでもトップが機能するか試してみたくなったので、曽根田を本隊に下げて様子を見てみる。そうすると、やはり、指揮を執れる人間がいなくなったことでトップ同士の連携がうまくいかず、何度も止まりつつ下っていく。途中伝えてきた現在地が違ったこともあったが、何とか1040m辺りまでうまく下りていけた。ここまでに、ビールの箱や、ビニールシート、木に括りつけられた金属製のロープなど、人工物がいくつも残置されておりかなり不気味。この後は992pにつながる正解尾根に乗るだけと思っていたら、目の前には大きな沢が。その向こう側に正解尾根がある。地図上には現れてはいない沢であったが、それにしては大きすぎる沢だ。とりあえず、この沢を巻くことを考える。緊急事態なので、LGPSを使いながら先頭で登り返して、1080m1150mから北に伸びる尾根から乗ろうと一人で偵察に行くも、いずれも目の前に大きな沢が現れ、正解尾根には乗れない。焦る。さらにめちゃくちゃ暑い。水も尽きてきたので仕方なくまた同じところまで下って、トラバースしながら無理矢理沢床に下りようと試みる。これが案外うまくいって、沢床に下りられ、水も汲めた。一応一泊できるだけの水は汲む。また無理矢理正解尾根へとトラバースして乗り、Lが尾根の先の方まで偵察行くと確かに992pに繋がっている。戻って全員尾根をトラバースさせて上がらせる。皆歓喜。
尾根上に上がり束の間憩い
この時点で
4pほど無駄にしていた。992pを越え、踏み跡があることを願ったが、どうやらないよう。日の入りまで時間もないので、またL先頭でGPSを使って下りることに。ここで、熊の唸り声が何度も聞こえるが、笛を吹きながらずんずん下る。Lもさすがにずっとトップをやっていて疲労困憊。ツタ藪が鬱陶しく、何度も絡まる。途中皆が付いてきているか心配になって、先頭から番号を叫ぶ。「1!2!3!4!5!6!7!8!」よし全員いる。死に物狂いでようやく林道を見つけ、藪抜け。藪抜け写真はちゃっかり撮る。今まで感じたことのない異常なまでの達成感と、生還したことの喜びを皆で分かち合う。Lはこの後ザックの上に倒れこんで、しばらくぐったりしていた。体全身が痺れて動けなくなり、全ての感情を越えた気がした。記念に坂田にLも写真を撮ってもらう。皆ふわふわしながら、ボロボロの体で林道を進む。しわしわ病やありとあらゆる擦れを発症して変な歩き方になっている者もいる。だが、やり切った達成感で皆幸せな気分で歩いていただろう。鳩ヶ湯に着いた時にはとうに日の入りを過ぎていた。
ゴールの鳩ヶ湯にて
この日は
13.6pであった。遅くに辿り着いたにもかかわらず、ここで鳩ヶ湯の方々の温かいもてなしを受け、皆感動。温泉にも無事入れてもらえる。12日ぶりの風呂は格別であった。また、温泉から出るとおにぎりと漬物とみそ汁という最高の組み合わせの食事が用意されていた。幸せすぎる。ここで、鳩ヶ湯の電話を借りて下山連絡を入れる。このあと、テントで寝ようと準備していると、心優しい従業員さんが、缶ビール×5、日本酒二瓶、ジンジャーエール×2までくださった。大変ありがたい。余った夜サイト分のミネストローネだけ作って食べ、その後宴会。疲れた体に酒が沁みる。気持ち良くなったところで就寝。

【下山後】
8/22() 鳩ヶ湯▲12=福井駅=東京 曇り後晴れ 0p(0)
 起きて一応サイト。バジルパスタ。ここでもまた、鳩ヶ湯の方から、朝食としてコーヒーとお菓子をいただく。どこまで優しいのだろう。天突きを行う。81.6pだった(後で気づいたが、0日目を入れると82.26pであった)。一日一日のまとめを読み上げていくと、今までの行程が思い出される。カウントされている間、Lは少し泣いてしまっていた。涙は皆にかけられた水で流されてしまった。
天突き後、酒とメモ帳と笛と
バスで反省会をしつつ、越前大野駅まで行く。福井駅で、この後用事がある張と別れる。他の
7人は三国港駅まで行って、海水浴場で遊んだ。
日本海!
泳いだのは
Lと今本だけだったが。Lはベタに後輩たちに砂で埋められてしまった。下界は時間がゆっくり過ぎているような気がする。越前花堂駅近くの牛角で打ち上げ。完遂を喜ぶ楽しい打ち上げとなるはずが、最終日の沢の手前にあった残置物についていろいろな憶測がなされ、不気味な気分になった。それでも、皆腹いっぱい焼肉を食べられ大満足。その後、皆各々バスや電車で東京へと帰っていった。


〇まとめ
この白山藪合宿は12日間に渡り、壮絶という言葉が一番似合う合宿であった。前半の濃い灌木藪ではひたすら雨に打たれ、シゲジでは雷雨に遭って一晩中ビバーク、最終日には地図に書かれていない沢に阻まれて行動が遅れ、日没ギリギリの下山となった。ただ、これらの辛いこと・生死に関わる危機だけではなく、藪を漕ぐことでしか見られない絶景に出会ったり、隊のメンバー同士で語り合って遊んだり、今までのどの藪抜けよりも感動的な藪抜けを味わったり、鳩ヶ湯の温かいもてなしを受けたりと最高の思い出が幾つもできた。本当に下げて上げて下げて上げての繰り返しであった。どの隊員にとってもこの合宿のインパクトは相当大きかったであろう。人生レベルでまたとない経験になったとの声もあった。また、この合宿でワンゲルの藪漕ぎの幅は大きく広がったと思う。なかなか経験できない空中漕ぎをひたすら繰り返し、藪中デポの要領も分かり、悪条件のテン場や危険な水汲みやRF難な下りを幾つも経験した二年会が来年どんな藪に挑戦してくれるかとても楽しみである。個人的には、ここまでの思い入れを持って臨み、幾つもの困難を乗り越え完遂したこの夏合宿はワンゲル人生で間違いなく一番思い出深い山行になったと思う。こんなめちゃくちゃなLに最後まで付いてきてくれた7人、本当にありがとう。

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