個人山行 徳本峠越え


10月3連休に兼ねてから登ってみたいと思っていた徳本峠越えに行ってきました.
ワンゲルではあまり記録がないので,今後も行くことはあまりないと思いますが,参考のためにブログにあげておきます.
記:4年会 飯沼宥光

概要

新島々から島々宿,徳本峠を経て上高地へ至るルートは,釜トンネルが完成するまでは上高地への最短ルートであった.その歴史は古く戦国時代からの伝承が残されているほどである.今回は新島々からこのクラシックルートを踏破することを目指す.

10月6日 (土) 晴れ

新宿=(鉄道)=松本

3連休初日にスーパーあずさで松本まで移動.午前中にあった踏切事故の影響で定刻より20分ほど遅れて発車した列車は,結局25分遅れて松本駅に到着した.
駅前のビルに入っているからあげセンターで夕食に名物の山賊焼きをいただいて初日の行動は終了.駅前のネカフェで夜を明かした.

10月7日 (日) 曇時々晴れ

松本 4:45 =(鉄道)= 5:09 新島々 5:10 ~ 5:52 徳本峠入口 ~ 7:16 二俣 7:23 ~ (たるみ6分) ~ 9:00 岩魚留小屋 9:15 ~ (たるみ15分) ~ 11:26 徳本峠 12:11 ~13:21 明神館13:29 ~ 14:10 上高地バスターミナル

朝3時半に起きてネカフェで朝食をとる.
時間の都合でネカフェを4時15分頃に追い出され,30分ほど松本駅の構内で待ちぼうけ.
ムーンライト信州の運転日にだけ運転している臨時快速に乗り新島々に向かう.新島々駅では上高地行き5:20発のバスに接続するが,今回は新島々駅から歩きでスタートした.
新島々の駅から徳本峠入口の道標の立つ島々宿まで,約3.6㎞国道沿いを歩いてゆく.台風の吹き戻しの西風が強いものの,天候はそれほど悪くない.
40分ほど歩いて島々宿に到着.この先に徳本峠方面へのゲートがある.

徳本峠入口に立つゲート

まるで人の侵入を拒むかのように大量の看板が張られたゲートであるが,チェーンで軽く閉じてあるだけなので簡単に開けられる.この先は所々法面が崩壊し車両が入れないようだ.また,クマが出るのでクマ鈴は必須だろう.今回はクマ鈴を忘れてしまったので大声で歌いながら進むことにした.
ゲートを入るとすぐに未舗装になるが,普段から近隣のきのこ組合の人たちが軽トラで入ってきているらしく,道幅の広い林道になっている.ただ,東西を山に挟まれた谷底の道で,日の出を過ぎてもなかなか陽が射してこないため,じめじめしていて薄暗い.怖くて自然と歩くのも早くなりコースタイムの7割ほどで二俣に到着.
二俣には大きなソーラーパネルと公衆トイレがある.ここまで2時間近くぶっ通しで歩いてきたのでちょっと休憩.ここから本格的な登山道となる.
本格的な登山道とはいえ,ほとんど平坦な沢沿いの道であるため快調に飛ばせる.また,谷が東向きに開けているので木漏れ日が気持ちいい.沢の渡渉にかかる橋は結構新しくてしっかりしているが,小さな沢には橋がかけられていないのでジャブジャブ沢を渡らなくてはならなかった.岩魚留小屋まではコースタイムの半分ほどで到着した.

ボロボロの岩魚留小屋

岩魚留小屋は今にも潰れそうな廃屋のような小屋だ.ビール500円などのかすれた看板がかかっているが,エアリアでも休業中となっているし営業はしていないようだ.岩魚留という地名は,この先沢が急になってこれ以上岩魚でも遡上できないということからつけられたらしい.実際,この先徐々に傾斜がきつくなる.
1700m付近から沢の本流を離れ一気に徳本峠まで突き上げる.新島々から徳本峠までは約20㎞で1300mほど登るが,最後の1㎞で400m近く高度を上げることになる.この九十九折りの道を抜けると今回の最高地点,徳本峠は目の前である.

徳本峠小屋

徳本峠小屋では11:00から13:30までランチ営業をしている.事前の情報ではラーメンがあるとのことだったが,この日はうどん・そば(800円)とカップラーメン(500円)しかなかった.あとで,売店で人目につかないように置いてあったメニューを見たらラーメンやカレーライスなども書かれていたので,季節によってメニューの種類が変わるのだろうか?時間もちょうどよかったのでうどんをいただいた.

徳本峠小屋のうどん(800円)

山菜ののった暖かくておいしいうどんで,おまけにサーターアンダギーもサービスしてくれた.期待していた眺望は雲に覆われ残念ながら見ることができなかった.
ここまででコースタイムから2時間半近く縮めていたので,あとは上高地までゆっくり降りるだけ.しばらくほかの登山者の方とおしゃべりしてのんびり過ごした.どうやら今年は台風の影響で3連休の登山客が少ないらしく,テント場にも空きが目立っていた.
徳本峠に来る人はほとんど徳本峠小屋で泊まって翌日に霞沢岳を討って帰るらしい.よくよく考えなくてもわかるが,私のように上高地に降りるだけの人はそう多くないようだ.
あとは一気に明神まで下ってだらだらと上高地まで歩くだけ.明神までの下りは結構紅葉がきれいだった.

色付く斜面,奥は明神岳

明神まで来るとジーパンにスニーカーなんて格好の人も少なくない.夏に比べてかなり登山者の割合が高いように感じたが気のせいだろうか?去年の夏合宿では観光客の冷たい視線を感じたが,今回はそんなこともなかった.
結局この後もコースタイムから大幅に短縮して上高地に到着.無事当初の行程を完遂した.

10月8日 (月) 快晴

晴れの特異日だけあってこの日は快晴.上高地周辺を徒歩で散策した.

梓川と焼岳,穂高連峰

明神池と明神岳

総評

個人的には岩場の縦走が好きなので,徳本峠越えはある意味苦行であった.とはいえ,水平移動距離26.4㎞,標高差1300mの行程を踏破した時の達成感はそれなりに大きい.
登山道としては比較的よく整備されているとは思う.しかしながら,沢沿いの道であるため,所々斜面の崩壊や木橋の損傷などが見受けられた.また,大小の沢の渡渉が点在するため,歩きやすいとは言えない登山道であることも確かである.
特に雨の日は土砂崩れや落石,沢の増水で危険を伴う場合があると思われるので,このルートは避けるべきだと思う.また,人が少ない分,クマに限らずニホンザルなど野生動物が時々現れるようなので,クマ鈴は必需品だろう.

感想

やっぱり単独での山行は心細いので,できれば二人以上のパーティーで行きたかったです.それと,坂道が急になると一気にバテるので,トレーニング不足を痛感した山行でもあった.

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