沢L養成 源次郎沢・水無川本谷

秋真っ盛り、だんだん日が短く、沢の水が冷たくなる季節ですが、
表丹沢へ沢登りに行ってまいりました。

2018/10/23   幕内 徹





参加者:4:CL *久保さん 3:*曽根田   sL幕内   2: EW浦中   黒瀬(日曜のみ)    1:FH今田
(L権者:*)

10/19(快晴
東京=(電車)=21:30大倉



エキチェ、エフチェを済ませ、大倉で今田の下界訓練。
TRFix、懸垂どれもうろ覚えであった。初回者なので当然と言えば当然か。

明日は水無川本谷を遡行してから戸沢山荘に戻るだけなので、ある程度時間に余裕を持って行動できると判断し、金曜中に戸沢山荘に行く予定であったが大倉で就寝することにした。

体調不良で日曜のみ参加にした黒瀬は、明日の22:30頃に戸沢山荘に着くらしい。



10/20(快晴→曇り→雨
5:00大倉〜6:10戸沢山荘-(デポ作り・沢装on・たるみ)7:00(入渓)8:35 F2上〜10:35F3上〜10:48F4上〜11:13書策新道(たるみ)11:2011:48 F6上〜13:52 F8上〜14:52尾根上 〜14:57塔ノ岳(たるみ)15:2516:04天神尾根分岐〜16:56戸沢山荘



余裕があるとは言えある程度早めに戸沢山荘につきたかったので、5:00に大倉出発。
晩秋のヒルを気にしながら歩くと、すぐに戸沢山荘へ。広い。
さらに林道を進んだ先にある、戸沢休憩所というところ(ベンチ、トイレ付きの大きな東屋)でデポ品作り、沢装を着け、初心者に沢での振る舞いを教えつつ、たるんだ。

ここで、今田の沢足袋がLサイズであることが判明。
沢装を渡す際に試し履きさせるのを忘れていたらしい。
浦中がMサイズを履いていたので、それと交換することにした。

今回のトップは幕内、浦中である。

戸沢山荘を出て進むと、早くも水無川本谷の入渓点がくる。分かりやすい。
最初の堰堤は、左側にアブミがあったものの、使わずにフリーで登ることが出来た。

少し進むと、すぐにF1が来る。
流心のさらに左側の壁に斜めに残置が残っており、そこに沿って登る。
過去記録では左TRとなっていたが、ここでそれをしたら明らかに振られるので、幕内の判断で左Fixで登らせることにした。

Fixの支点として最奥の点に幕内がハーケンを追加で打ち、浦中にそのことを伝えて回収させるつもりだったが、どうやら伝わっていなかったらしく、そのままハーケンを残置してしまった。

続くF2は、右側を登り、幕内が右TRを工作。一見すると支点はなさそうだが、ルートを登った後で上を見てみると先ほどは見えなかったところに支点が見えていた。

F3は、水流右を幕内、左巻きを浦中が進む。

F1F2と幕内が工作判断をしていたので、浦中に判断をさせてみることにした。
最初は左巻きの工作が厳しいので、幕内の登った水流右の上に支点が取れないか探すものの、そちらに支点がないと判明。

結局、厳しかったと言っていた左巻きをTR+Fixで通すことにした。左巻きは途中に鎖があるものの、残置鎖、残置支点ともに信頼が薄いため、TR支点に新たにハーケンを浦中に2本打たせ、また久保さんがハーケンによる流動分散システムを教えていた。


F4
は簡単に登れて、左をフリーで通した。



F5は、浦中が右の鎖沿いを、幕内がさらにその右を巻くルートを行く。
右鎖のルートは明らかに工作ができなさそうだったため、幕内が右巻きルートをTRであげる。途中今田が滑って顎を擦った為、ヘルボを出して絆創膏を貼る。



F5
上で木ノ又大日沢との分岐に。今田に2択クイズを出したところ、見事正解。
よく地図と遡行図が読めている。

続くF6CSは、幕内がCSを、浦中が左巻きを選択。
左巻きがとても簡単だったので、今田をフリーで左巻きさせる。
CSはというと、残置が残っているもののそれに思い切り体重を預けないと登れなさそうなので、過去記録ではCSを通す際に右TRであったが、右TRTにすべきだと感じた。

F6上での金冷シ沢との分岐も、今田に問うてみた。
これも見事正解。

F7は崩落していて全くわからなかった。

F8330mは直登不可能。右の大高巻きをすることに。



下から、FFixTRFixの順で通す。
幕内がFixTRを、浦中が最後のFixを工作。

2つのFixは共に大きなガレ沢をトラバースするためのもので、特に2つ目のガレ沢を越すところが初心者にとって難しそうであった。
浦中はここの工作を理にかなったうまい方法で作り上げた。柔軟な発想が素晴らしい。

F8上の沢の分岐で2択を出したところ、今田が初の不正解を出した。
地図を見るのもいいが、遡行図で今自分がどこにいるのか意識できると良い。

水無川本谷のみですでに大満足の工作量であった。

F9は右巻きをフリー。
そのままある程度進むとアザミが出てきたので、アザミ地帯を抜けてから左の尾根へエスケープ。

丹沢らしい急峻な尾根を詰めると、塔ノ岳直下あたりへ。



そのまま塔ノ岳まで行ってから沢装備解除。
この辺りから曇り始めていた。遠くで雷鳴が聞こえた。

そのあとは大倉尾根を降りて、途中で天神尾根へ。
今田をトップに進ませたが、天神尾根に気づかずに降りようとしたので慌てて止めさせた。

17時前に戸沢休憩所へ戻ると、パラパラと雨が降り始めてきた。

戸沢山荘で水を汲もうとしたら小屋のお父さんに挨拶をするよう注意された。
申し訳ない。
そのまま休憩所でサイトをしてその後河原で焚き火をしようとしたが、結局20時まで雨が降っていたので休憩所の中で缶を炊いて宴会をし、就寝。

その後、予定通り22:30頃に黒瀬が到着。



10/21(終日快晴
6:01戸沢〜6:27入渓点〜6:20 F1 6:507:02 F2 7:127:15 F3 8:06 8:26 F4 9:4710:51 F5上〜11:56 F6上〜12:18(水汲み)12:2512:32 F7 12:3712:40 F8上〜12:44 F9 13:0213:27 F10 14:5915:41大倉尾根(たるみ)15:5016:58戸沢山荘〜18:10大倉



朝サイトはペペロンチーノ。
昨日の22:30に来た黒瀬も朝サイトに参加する。
沢装備をつけて入渓する準備を完了した後、戸沢休憩所の掃除をして、6時出発。

今回の沢トップは浦中、黒瀬である。

浦中は前日に水無川本谷に行っているので源次郎の入渓点もわかっていると思っていたが、吸い込まれるように水無川本谷へ。
沢トップは入渓点探しから戦いである。
遡行図を見るのもいいが、地形図と地形もよく注意しよう。

一度戻ってからよく見ると、書策新道を発見。
そこを少し登ったのち、源次郎沢へ降りて、入渓。

以下、注意であるが、このFBでのF1~F10は、実際の源次郎沢で発見した看板に書いてある番号である。
(遡行図資料「東京起点沢登りルート120」での、F2多段8mの直上にある5m-5mが看板でのF3となり、以降の遡行図上でのF[n]は実際の看板ではF[n+1]となっていることに注意されたい。)

F1は水流右を浦中、右斜上を黒瀬が行く。



支点の位置関係から黒瀬工作で右TRで水流右を通すことにした。
2人でよく話し合って決めていた。
振る・振られないをよく考えていて良かったが、まだトップの日が浅いこともあり判断が遅かった。

ここで、今田が左手指先を少し切ってしまったため、F1上でヘルボの絆創膏を出す。
F2は浦中が左側を2段ともフリーで登らせた。

F3はトップ2人とも右巻きであった。
工作も右巻きTRFix、懸垂である。TRを黒瀬が、Fix、懸垂を浦中が工作。
しかしながら、左側からは容易に登ることができる上に工作も簡潔であったし、またトップ2人とも右巻きが大きすぎたため、結果として右巻きの工作はとても時間がかかった。工作に2つ支点を使ったが、支店間のロープの投げ渡しに手間取っていた。

F4は右壁をFixで進めることに。
途中、ハーケン支点が必要となりそうであったので、黒瀬にハーケンの打ち方を教え、実際にハーケンを打たせながら軽いリードのようにして右壁をトラバースさせた。

黒瀬に実際にハーケンを打たせるという意味ではとてもいい練習になったが、実際に初心者を通すだけであれば左側TRがとても簡単なので、早く行きたい場合はそちらを使うといい。

F4上に2又が現れた。
このとき我々は、ここを遡行図上のF4上と勘違いしていたため、2又を右に進もうとしたが、明らかに水量が少なくすぐ枯れてしまったので、怪しみながらも左へ行くことにした。

その先にF5の看板が現れた。良かった。



やはり合っていた。
左壁を黒瀬が登る。
浦中は水流左の小凸状の地形を登ろうとするが、岩が脆いのでやめる。

黒瀬の通ったルートは工作しても初心者を支えられないらしく、確保するために浦中に左壁のさらに左を登らせようとするが、難しく、断念。
浦中がクライムダウンしようとしたが、後1mのところで足を滑らせる。
尻餅をついたため大きなけがはなかったが、要注意。

ここで曽根田から、左壁自体は簡単に登れるが、その先でザックが引っかかるのが問題であり、空身であれば別段フリーでも行けるのではないかという提案を受け、結局今田を左壁空身フリーで登らせることに。
今田は簡単そうに登っていた。

F6
312mは黒瀬が左巻き、浦中が水流左を行こうとする。
左巻きは成功したが、左巻き自体の工作が難しい。
また水流左は登れないこともないが、TRが欲しいということになったので、左巻きした黒瀬がTRTを作り、浦中に水流左を登らせることに。

全身濡れながらであったが登頂。
続く今田も水を被りながら登り切った。
快晴であったため濡れていても温かく、助かった。

続くF7は空身フリー、F8はフリー、F9はトイ状の右側の凸状を浦中のTRで登らせた。



続くF10CS8mは、浦中が左巻き、黒瀬が左残置沿いを進んでみる。



浦中は先に登りきり、黒瀬が左の残置沿いはTRがあればいけるかもしれないとのことであったのでTRを作って黒瀬を登らせてみることにした。

が、結局残置の手がかりに手が届かずに、断念。
どうしようか悩んでいたので、浦中の登った左巻きの工作はできないのかと尋ねると、普通にできるし登らせられるとのこと。

それならさっさと左巻きの工作で登らせれば良いのに…。
結局色々と時間をかけて試行錯誤した割には、普通の左巻きTR+Fixであげることにした。(また、1人だけ右垂壁をフリーで登った。)

その後、F10直上にトイ上6m、その先に岩壁6mが現れたが、どちらも簡単なので空身フリーで登らせる。
その次に4mCSが現れ、そこは手がかりで上げる。

さらに進むと、倒木に草鞋が1足くくりつけられ、ぶら下がっていたので、そこから左の尾根へエスケープする。




昨日は急峻なのみの詰めであったが、源次郎沢の詰めはそれに加えて非常に土が崩れやすくなっており、全員で苦労しながら登った。
丹沢の詰めは大変である。

そして大倉尾根へ。

当初の予想の何倍も訓練内容として充実したため、時間に余裕がなくなってしまった。
急いで戸沢山荘まで降りて、その後日の入り後に林道を使って大倉まで降りた。

近場の丹沢なので温泉には入らず、いつもの阿闍梨であじゃって解散。




総評
水無川本谷も源次郎沢も予想の何倍も高い演習効果が得られた。
この2日間で2年会はトップとしてかなり経験値を得たと思う。
源次郎沢は看板のFの番号と東京起点の遡行図のFの番号が途中からずれるのに要注意。

TR,Fix,大高巻き,ハーケン打ち,小懸垂と、非常に充実した工作内容であった。
快晴に恵まれて良かった。

個評

・今田 参加してくれてありがとうございました。楽しさよりも怖さの方が優ってしまったかもしれませんが、これからもウォール会などで登攀力を鍛えて沢をより楽しめるようになってくれたら何よりです。

・浦中 2日間トップお疲れ様でした。ワンゲル所有のハーケンには基本的に赤布がついているので注意しよう。

・黒瀬 日曜のトップお疲れ様でした。まだまだ細かいミスが目立つので、これから気をつけて行こう。

・曽根田 参加ありがとう。Lとしてのトップ指導お疲れ様。初心者の面倒を見てくれてありがとう。カルピス美味しかったです。

・久保さん 忙しい中ご参加ありがとうございました。通常のTRからハーケンによる支点の流動分散など、色々と基礎から発展までトップへの細かい指導が光っていました。

sL ある程度時間に余裕があると思い込んでいたが、実際には余裕がなかったので、トップ2人に考えさせる時間を与えるのも大事だが、ある程度は急かした方がよかった。また、登攀の際に残置があるとつい頼ってしまうので、頼らないように、頼るにしてもなるべく荷重をかけないように扱いたい。

・トップへの反省(反省会で言ったこと以外)
トップの仕事は入渓点探しから始まっています。心してかかりましょう。


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