2019年3月27日水曜日

三月合宿 接続残雪 早池峰山

接続企画とは三月合宿から連続して企画される日帰りスキー山行のことです。

せっかく盛岡なんて遠いところに行ったんだもん、ということで八幡平に接続して百名山が一座、早池峰山に行ってまいりました!

実はこの企画、完遂すれば東京大学ワンダーフォーゲル部としては早池峰山冬季(残雪期)初登頂になるという意欲的な企画。要求されるピッチ数は予備審の段階から11.9pと過酷なものではありますが果たして登頂できたのでしょうか。。。

文責:黒瀬

そびえ立つ早池峰山(イメージ)
◎メンバー総勢7名
3年会:CL勝木、幕内
2年会:浦中、sL黒瀬
1年会:H今田、F下平、E関野







さて、今回は早池峰山に日帰り&スキーで登るぞ!と、いうことで冬季では一般的にアイピケで登られることの多い河原の坊ルートや小田越ルートではなく、アイオン沢ルートを選択。

実際に使った地図は以下の通り。

A4用紙にギリギリ収まった

まず目を引くのはそのルートの長さ!なんと全区間の2/3を林道区間が占めるので、さもありなんと言った感じ。だからと言って標高差が少ないのかと言ったらそういうわけでもなく、待ち受けるのは1400m弱の登り降り。林道区間はとにかく距離を稼ぎ、山に入ってからはとにかく急登を登るというなんともメリハリの効いた企画に仕上がってしまいました。

以下記録
のはずですが前日譚が長いので、記録だけ見たい人は当日に飛んでください。






企画前日
2019/3/26 盛岡=(バス)=門馬バス停 下界は晴れ

この前日にゴタゴタがあったため、この日に行くのは接続秋田駒。下平にスキー靴を貸したsLは盛岡で一日お休みをもらえることに。ここら辺については秋田駒の記事に詳しく書いてあるはず。

前日は秋田駒に出発する6人に合わせて4時半に起床。みんなを見送ったあとは少しだけ寂しい。ずっと盛岡に荷物を置いておくのも不安なので、独り、駅の近くのネットカフェに篭ることにする。

ネットカフェなるものを利用するのはこれが初めてだったのだが、ほう、これはなかなかいいものだ。何と言っても帰る場所が出来たというのがでかい。

盛岡駅で暮らしていた日々を思い返す。荷物を置いているとそのあまりの大きさに通行人から好奇の目を向けられ、こちらも荷物が通行の邪魔になってはいないかと肩身の狭い思いをし、寝る場所(ナワバリ)を巡っては盛岡県警の職員とバトルを繰り返す日々。。。

ここではそんな心配はしなくていいのだ!寝るのも座り込むのも全て自由。気づかなかった、楽園がこんなすぐ近くにあったなんて。

せっかくネカフェに滞在しているので漫画でも読もうかと思う。しかしなんだろう、普段は読みたい漫画がたくさんあるのに、いざ大量に与えられると読む漫画がなかなか決まらないあの現象は。結局、手元にあるスマホをいじってしまう。朝食も付いていた(と、言ってもトーストとコーヒーみたいな簡素なものだが)ので心ゆくまで堪能する。

8時、中津さんからの連絡があり、盛岡駅まで中津さんのシールを回収しに行く。明るい時間帯に盛岡駅周辺を見るのはこれが初めてだった。思っていたより雰囲気が良くて驚く。

10時には中津さんの置いて行ってくれたスキー板のビンディングを下平の靴に合わせるためにICI石井スポーツ盛岡店へ。大型商業施設と一体になっていたが、店内はなかなか広くてちゃんとやっていそうな雰囲気。

スキーの調整を頼むと店長と呼ばれた人が奥からやってくる。汚れた靴(下平)とかなり使い込んだビンディング(中津)を持って、それを使うわけでもない赤の他人(sL)が調整に訪れるというなかなか難解な状況だったが、何も聞かずに調整に取り掛かってくれた。慣れた手つきでスルスルと調整をこなす店長。料金は?と聞くと、いいよ、サービスだからと。正直、そこそこお金がかかると思っていたので嬉しい。ありがとうございました!これで、あした下平は中津さんのスキーを使えるようになった。

空いた時間には平津戸駅から除雪終点までのタクシーを予約するためにタクシー会社に電話する。こういうのは早い方がいい。が、最初のタクシー会社には営業区域外ですと断られてしまう。代わりのタクシー会社を2社紹介してもらったが、それらのタクシー会社もそもそも平津戸なんていう駅から知らない様子。説明しても、配車できませんと。。。

予想外だ、平津戸駅周辺の辺境っぷりを舐めていた。たった3件の電話で持てる対人コミュニケーション力のほとんどを使ったsLはこの辺りから手が震えてくる。

結局、盛岡・宮古市内の主要なタクシー会社ほとんど全てに電話をしたが全部断られてしまった(計8社)。精神にクるな〜。2013年度の記録によると、その時点ではタクシー会社の方にも平津戸にジャンボタクシーを配車するだけの余裕があったのだ。ここ数年、地球は温暖化したが経済は冷え切ったと、こういうことなのだろうか。

前夜泊などの利便性を鑑みて平津戸駅に行きたかったのだが、タクシーが使えないのならばしょうがない。この時点で除雪終点から遠い平津戸駅は諦め、岩手県北バスで門馬バス停まで直接向かうことにする。

後から考えると、盛岡市内で1日だけレンタカーなどを借りて除雪終点まで向かった方がバス代往復2000円と同じくらいですみ、かつギリギリまで林道を進めるので良かったと思う。後世の人は参考にしてください。

そのあとは、風呂に入ったり昼飯を食べたり漫画を読んだりしていると秋田駒の下山連絡が入る。盛岡着は1856分になるらしい。盛岡でゆっくりご飯を食べたいとのことなので門馬へは終バス(20:45)を使うことにする。向こうもアルパこまくさで風呂に入ってきたようで、朝はぺったんこだった髪がフワッフワになっていた。

門馬、及び平津戸には水を組める場所がないと聞いていたので、出発前に盛岡駅で水を組ませておく。盛岡から門馬を経由し宮古へと向かうバスは半分高速バスのような様相を呈し、バスの下のトランクに荷物を置いてくれるのでワンゲルに優しい。また、終バスのみトイレが車内についているのも嬉しい。バスの中ではみんな寝ていたが、門馬は終点ではないのでsLは乗り過ごさないようになんとか寝るのを堪えていた。関野は予備審資料をしっかり読んでいる。えらい。

門馬に到着したのは10時前。行き帰りの本ザック区間を減らすためにできるだけ門馬バス停の近くで寝たい。道路沿いに西に100mほど行ったところに良さそうな駐車場があったのでそこでテントを張って寝ることにした。

明日は4時半起きと伝えるとワンゲル民は3時半に起きようとする。なるべく長く寝てほしかったので445分出発と変更するとみんな4時までは寝ていてくれる。就寝は1015分。ぎょしゃ座のカペラが輝く、晴れた夜だった。





企画当日
2019/3/27 晴れ、10時くらいから小雪、ガスはそれほど濃くない。18時からかなりの雪

門馬バス停5:005:32除雪終点5:557:25林道ゲート7:378:28アイオン沢出合8:479:48林道終点10:0111:18たるみ@1360m 11:281522mに続く尾根状12:00 〜(CT28分)〜14:31林道終点14:41〜アイオン沢出合15:03〜林道ゲート15:2015:41握沢登山口〜17:08門馬バス停

誰の起床コールが響くわけでもなく、もぞもぞと4時に起床。テルモスを作ったり朝飯食べたり勝木さんの紅茶花伝を温めたりした後4:30に撤収。

昨晩の降水確率は10%だったのだが、雨が降った様子はない。よーし、今日はついてるぞ!

出発は4:45の予定だったが、慣れないトラーゲンの準備に手間取ったのか下平の準備が遅れる。本人曰く中津さんのスキーカバーから板が出てこなかったらしい。ちなみにこのスキーカバーはカン●ハー。

出発は結局5:00。トップは関野、と言ってもただの車道歩きである。

車道でも隊列を組んで歩くワンゲル民
手ブレのせいでスピード感が出ている


読みより早く除雪終点に着く。前評判通り、除雪終点では電波は入らない。日の出とともにうららかな日差しが顔を出す。除雪終点に着くまでは道路脇に雪なんてかけらも見えず全て溶けてしまったかと心配していたが、除雪終点から先は道に氷が張っているように見えた。

ここからはシールの方が良いだろうということでトラーゲンを解除させる。また、ここでビーコンチェックも行う。今田の準備が少し遅かったが、ビーコンチェックを主導してもらっていたので、まあしょうがないかな。

20分後に出発。トップは今田。ここからはシールで楽々〜、景気良く歩き出す。が、歩けたのはほんの一瞬。曲がり角を曲がったところでまた雪が消える。なんてこった!怒りのトラーゲン再開。

結局雪()は出たり消えたりで握沢の登山口まではトラーゲンで歩き切ることになってしまった。雪が出てきても、またすぐ消えるのではないかと疑心暗鬼になってしまってなかなかシール歩行に踏ん切りがつかないのである。握沢の登山口の直前には雪解け水を利用しているであろうジャバジャバな水場があった。ここで水を汲んで行っても良かったかもしれないが、水の1発や2発、些細な差である。

握沢登山口の先へ続く林道には通行止のロープが張ってある。ゲート破りは犯罪ですとか書いてあったが、結局のところ自己責任である。気にせず進む。そもそもあれはゲートではない(屁理屈)。ここら辺から先はさすがにコンスタントに雪がついてそうだと感じたのでシール歩行に変更。林道ゲートまで進んでたるみ。林道区間ではあったが思わずロングピッチを切ってしまった。

次のピッチはトップ下平。twv2013に書いてあった道沿いの小沢もあったが、雪が多い時は埋まってそうなのであまり信頼できないなと思った。危険箇所も無いため進みが早く、1ピッチでアイオン沢出合につく。ここで偵察がてらのたるみ。

林道はこんな感じ、歩きやすい


今年はかなり雪が少なそうに見えたので関野、浦中とアイオン沢左岸の偵察に行く。結果的には、左岸は雪がそこそこクラストしており、かつ沢床は雪が薄くて踏み抜きの危険性もある。堤防も思ったよりしっかり出ていて、一つ目は超えられても後が続くか分からない。ずっとトラバースして登って行く性質上クラストしているのは厳しいものがあるのでアイオン沢沿いのコースは無し。

次は左岸の尾根の上に乗って進む案を採用してみる。尾根上もクラストが予想されるためクトーをつけることを指示する。と、ここで下平の持っていたクトーが借りてた中津さんのビンディングに着かないことが判明した。確かに、下平のスキーのビンディングは他の人のと違うのは知っていたのでこれは予測できなかった上級生の責任である。ごめんね。となるとシールで尾根上は登らせたくない。トラーゲンで尾根歩きという意見も出たが藪が結構濃そうなので却下。

最終的にシールで、先に続く林道に沿って林道終点まで向かうこととする。遠回りにはなるが、しょうがない。トップを関野に変更して再出発。危険箇所もない、ただの林道歩きでスルスル林道終点に着く。途中から雪質がボフボフになってきた。これから急登が待ち受けているのでこれは嬉しい。

コースが伸びたのでここでリミットを切り直すと早池峰山13:05になった。つまり、ここからあと3時間で山頂に着かねばならないのである。読みが山頂まで200分であったので少し心配になってくる。林道終点でたるんでる間にトップには上の様子を見てルートを決めさせる。ここら辺から少しずつ雪が降り始めてきた。

次のトップは浦中。思えば、ここでCTをしておくべきだったのだが、三月合宿と同じような雪質だと感じたのでsLはこの時CTをしようとは思っていなかった。最初はアイオン沢左岸に雪が吹きだまった急登で、木はちらほら生えている、といった感じである。急登を浦中はうまいこと登って行く。一年会は斜登高の切り返しがまだ遅く、手間取っている。sLは慣れない赤布うちに手間取ったが、すぐに追いつけるので離されることもない。

途中、今田のシールトップが外れる。最初は外れただけかと思っていたがよく聞くと壊れたという。まだ三日しか使ってないのに。。。カ●ダハー許すまじ。仕方がないので予備シールを出す。かなり時間を使ったがこれでやっと登りを再開できる。と、思った矢先に今度は関野のシールトップが外れる。トラブル続きでなかなかペースが上がらない。

ここでトップの浦中から報告が。ここから先で平らな場所に出るのでそこで荷物を置いてCTをするかどうかということらしい。最初はついやると口走ってしまった。しかしこの先浦中はこの斜面を離脱し樹林帯の中を進んで行くつもりらしい。もう登ってきてしまったし、CTをやる価値はないと判断してやっぱりそのまま進ませる。ただ隊の雰囲気的に、なるほど、CTをしないと不安だと思ってる人が多いようである。滑走時はやることにしよう。

斜度が緩くなったあたりの、風がしのげる木々の中で一度たるみを挟む。ここで現在の標高は何mでしょうゲームを開催してみた(sLは不参加)。が、一番近かったのが3年会の幕内さんという順当な結果に終わる。

たるみ中にパシャり


引き続き尾根状を目指す。1400mを超え限界状に出た。潅木はあるが見通しは良く気持ちがいい。早池峰山頂はガスに巻かれてもう少しというところで見えない。地図で見るほどに急斜面には感じず、スルスルと登って行く。尾根前のクラストしたところで一年会は登りに少し手こずりつつも12時ちょうどに1522mに続く尾根っぽいやつの上についた。

限界上、微ガス


ガスも雪も濃くなってくる。2時間かかって登ったのは大体300m、残りは400mほどでLimitまでは残り1時間。これ以上登ってもうま味がなさそうなのでここで滑走準備をするよう指示。しかしここで今田のヘルメットが壊れたとの報告が。一瞬、自分のヘルメットを差し出そうとしたが、勝木さんに止められる。話を聞くと直せるらしいので少し時間をとって直させる。だんだんと冷えてきたのが感じられる。待ち時間が寒い寒い。

ヘルメットが直ったところで滑走開始。少し降りるだけだがまだ今田がスキー滑走に慣れていないので結構時間がかかる。樹林帯を抜け、1320分崩壊地の吹き溜まりの上部に出た。さっき、CTをやるか迷った場所である。

先ほどの決心通り、チーム今浦とチーム下関に分けて2つCTを行わせる。まずは積雪断面観察を行わせたが、両チームともどう見ても100cmは掘っているのに記録した厚さの合計は50cmにも満たない。きちんと厚さは測ってください。それと早さが圧倒的に足りない。まだまだ人様に見せられるレベルのものではないので精進しましょう。

CT結果
今浦:CTE5(PC)down20, M16(SP)down15, H22(BRK)down20
下関:CTE4(PC)down40, M15(BRK)down40

タップ4,5回で弱層が現れた。これはあまり良いものではない。というか悪い。横の結合はあまり強くなかったので起こるとしたら点発生雪崩だが、それでも厚さ40cmは脅威である。なのでここからは人と人との距離を離し、同じフォールラインに居ないようにして滑ることとした。スキーコンディションはなかなかよく、気持ちの良い滑走が楽しめる。

林道終点に着いたのは14時半。やっとたるみ。よくよく考えたら3時間13分に及ぶ超ロングピッチであった。途中で滑走準備やらCTやらしていたので実感があまり無いところではあるが。

ここからもスキーで滑れそうだったので緩斜面の林道を滑走する。スキー場の初心者コースのようなルートだったが、なかなかスピードが出るのでアイオン沢出合を通り過ぎ林道ゲートまでスイスイ下山することができた。っていうかめっちゃ楽しい!

どこで雪がなくなるか分からなかったので林道ゲートを出たところでシーハイル。空を見上げながらするシーハイルは格別であった。その後もスキーで握沢登山口までは下ることができた。こんなに早く下山できると知っていたら山頂まで行って良かったかもなあ。それこそ、タクシーで除雪終点まで行けていたら登頂できていただろう。結果、タクシーで節約できなかった1ピッチが、この企画では喉から手が出るほど欲しかった1ピッチになったのだった。

そのあとは門馬までトラーゲン。門馬に着いたのは17時、接続とは思えぬ総計12時間に及ぶ山行になった。心地よい疲労感が体を包む。

18時からは事前の天気予報通り大雪が降り始める。バスに乗って盛岡まで帰り、開運の湯、焼肉キングで打ち上げ。開運の湯は綺麗で湯船の数がたくさんあるいいお風呂(600円)。焼肉キングはなるほど、肉にこだわってると書いてあるだけあって同じ値段で食べ放題をしているチェーン店とは一線を画す味、だったような気がする。打ち上げが終わったのは23時45分。雪が舞い散る中を盛岡まで30分ほど歩いて帰ることになった。最後まで充実感たっぷり、いい三月合宿だった。





まとめ

結局は林道終点まで林道歩きと、林道成分がとてもとても多い山行ではあったが、メリハリがありいい山行であった。今回は完遂できなかったが急登も思ったより急登っぽくなかったので、雪がしっかりあって、林道終点まで車で入れて、登りでトラブルが起きなければシール歩行で登頂はできると思う。スキーについては、上部も下部もしっかり滑れてめっちゃおすすめである。アプローチもバスが結構遅い時間まであって融通が効きやすいのがgood!

三月合宿と接続を1つ挟んでなお、こんなピッチ数の長い企画についてきてくれたみんな、ありがとう!お疲れ様でした。





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