夏合宿北アルプス東稜線隊:その1


導入

今年の夏合宿道隊は、①北アルプス東稜線(白馬岳〜槍ヶ岳)、②北アルプス西稜線(剱岳〜槍ヶ岳〜燕岳)の2隊構成となった。(なお東稜線とか西稜線とかいう名前は我々で勝手につけた名前なので、部外の登山者には全く通じないはず。)

とりあえず東稜線隊の計画をまとめると、概ね以下の通り。まず秘湯として知られる蓮華温泉から入山し、白馬岳から槍ヶ岳まで北アルプスの主稜線をひたすら南下、当初予定では13泊14日で上高地に下山するというものである。前半の6日間(白馬岳〜針ノ木岳)は後立山連峰の一部で、百名山3座を擁する人気の山域である。しかし一方で白馬岳・唐松岳間の不帰キレット、五竜岳・鹿島槍ヶ岳間の八峰キレットは大キレットと共に北アルプス三大キレットに数えられる険路であり通行には十分な注意を要する。針ノ木岳から烏帽子岳の間は北アルプスの主稜線であるにもかかわらず比較的玄人好みの縦走路となっており、激しいアップダウンを繰り返す上級者向けコース。特に船窪岳から南沢岳の間は崩落が進んでいて危なっかしい。烏帽子岳から槍ヶ岳までは、アルプスを歩く者なら誰もが知る裏銀座縦走路。今回は途中で日本最後の秘境とも呼ばれる雲ノ平に立ち寄ることにした。総距離140km、累積標高差13000mのハード合宿の始まり始まり。


 参加者(敬称略)

4年会:O高

3年会:F谷、M下、W部(L)

2年会:K原、N村、 M田

1年会:A地、K西、K妻、T谷、N谷


8/5(月) 0日目  

1.0km / 0.1p [山と高原地図0.3p]

東京=(公共交通/ハイエース)=蓮華温泉ロッジ16:2916:36蓮華温泉キャンプ場▲0

【特記事項】

・平岩〜蓮華温泉の車道は幅員小さくすれ違い困難。

【記録】

ハイエースと新幹線に分かれてアプローチ。ハイエースは帰りに運転してくれる藪合宿メンツ2人と行きの運転要員(O高さん、L、M田)、K西を除く1年会。K西は帰省先の松本から電車で行くということで、新幹線組に途中合流。松本をベースにできるの羨ましすぎる。ハイエースはどれだけ走っても縮まらないキロ数と戦いながらひたすら蓮華温泉を目指すが、直前で道を間違え約1時間ロス...orz。Lの運転が雑すぎて不評なのでM田に交代。さらに国道から蓮華温泉への道がなかなかに狭く、あわや衝突かというシーンを何度も体験しつつ、16:30に蓮華温泉に到着した。8:30に本郷を出たので実に8時間の長旅である。親切にもここまで来てくれた薮メンツ2人に感謝を告げ、蓮華温泉ロッジへ向かう。



合宿最初の幕営

駐車場からロッジまではあまり離れていない。ロッジからテント場までは未舗装の林道で、ぬかるんでいて滑る。早速A地が1コケ。キャンプ場までは10分弱で、ついてみると電車組の4人がお出迎え。早くついたのでのんびりしていたらしい。テントを張ってみんなでくつろぎ、しばらくしたら過半数のメンバーが食事と温泉を求めてロッジへ行ったが、食事の営業時間は終わっていたらしい。残念無念。夜は皆大富豪に興じていて、やたら盛り上がっていた。N村は初大富豪とのことで接待プレイを受けていた。テント内は蒸し暑くて刺すタイプの虫が多かった。


8/6(火) 1日目

10.4km / 9.0p [山と高原地図9.5p]

0蓮華温泉キャンプ場5:055:15蓮華温泉ロッジ〜(10*2)7:14天狗の庭7:25(5)8:38白馬大池山荘8:51(地図読み5)9:51船越ノ頭10:1511:01小蓮華山11:1611:58三国境12:08(地図読み5)12:58白馬岳13:3113:42白馬山荘〜13:54白馬岳頂上宿舎1

*注 以降、丸括弧内の数字はたるみ時間を、青文字は給水地点を示す。 

【特記事項】

・白馬岳頂上宿舎は二重稜線の窪地にあるので電波が入らない(小屋は入る)。

・後立山のテント場は基本予約必須なので、早めに押さえておくべし

【記録】

サイトがないので45で出発準備。薄い朝靄の中に今日登る尾根が見えている。果てしない…。あまりにも長すぎる合宿を前に期待感と共に不安がよぎる。アプローチ前から熱があるとのことで懸念していたが、やはりM下の体調が良くなさそうなので4:45ごろ分離を決定する。後日扇沢で合流することにしてひとまず別れを告げる。11人で登山口へ。うまくペースを調節してくれるかなと期待してトップはM田にしたが、まあ速い速い。明らかにザックが重そうなF谷とO高さんはとてもつらそう。最初のたるみでザックを計量するとN村13kgからO高さん30kgまでさまざま。F谷がしんどそうなので短くたるんでから天狗の庭へ着くと、雪倉岳と朝日岳の大展望が広がる。これを見るためにわざわざ栂池ではなく蓮華温泉スタートにしたので、L的には大満足。天狗の庭からはトラバース気味に標高を上げていくので、そこまでつらくはない。森林限界は大池のすぐ手前にあり、ここで小屋ハント。白馬大池には小さいサンショウウオがたくさん。かわいいでちゅね〜。1年会が「池の水汲むんですか?」とびびっていたが大丈夫、ちゃんと水場があります(水源は池らしいが)。


サンショウウオ観察中

大池を出発すると長野県側からすごいスピードでガスが上がってきて視界はゼロに。船越の頭は岩場を回り込む感じで登頂。ここで2日目以降のテント場の予約をしようとするも、五竜が1張しか空いてないという。小屋は空いてるらしいので小屋とテントのミックスで、予定通り白馬頂上▲1→天狗▲2→五竜▲3→冷池▲4と進む方針にする。小蓮華山手前で種池の予約を取ろうとしたところ8/10は空いてないらしく、8/9なら空いてるというので▲4を種池に変更した(4日目14p…⁇)。後立山のテント場は全て予約必須になっていて、長期縦走を組む上ではいちいち予約を取るのが本当にだるすぎる。ギリギリまで長野県側に寄らないと電波が入らないので、電話中は隊に少し待ってもらった。小蓮華山では大高さんの差し入れ第1弾(カルピス)が放出されたが、11人中半分くらいは味を間違えていた。O高さんのザックがあまりに重いので、T谷やF谷など体力がある人が交代で背負って重さを体感しながら進む。三国境の二重稜線の付け根で地図読みを出してみる。間違える人もちらほらいたのでそれなりに良問だったと思われる。というかなんだこの凹地は、大きすぎないか?隕石でも落ちたのだろうか。
ここまで普通にガスだが、山頂に近づくにつれてガスが薄くなりなんと山頂では青空が!思えばこの合宿の晴れ続きはここからすでに始まっていたのだろう。O高さんたちの推しメンタオル写真を撮るタイミングでガスってしまい、以降このジンクスがまことしやかに囁かれていた。


劇的ビフォーアフター。

山上の巨大要塞白馬山荘は一旦素通りして頂上宿舎にテント設営。頂上を名乗っておきながら立地が全然頂上でないのはどういうことか。名乗ったもん勝ちの世界である。テント場料金は12000円+11000円也。後立山のテント場は大体これぐらいが相場で、やたら高い。水場は大雪渓の最上部に残る雪田から引いていて、まだまだ枯れないらしい。

まだ13分の1に過ぎない
本日の宿

サイトの時間までは各自思い思いに過ごす。1年会は頂上宿舎のベンチで昼寝、贅沢をしたい人たちは白馬山荘まで登り返してカフェに入る。値段が高いのでA地は撤退(TT)。N村は山小屋ケーキの虜になってしまったようだ。一方でF谷のフルグラサンドは全く美味しそうに見えない。サイト中にヤマテンの予報を確認してみるとどうも明々後日の天気が終日雨(結局晴れだったが…)で、その後もぐずついた天気が続きそう。これでは八峰キレットを越えられずER下山が早くも見え隠れする。明日明後日の予報は安定しているので、予定を詰めて明日不帰、明後日八峰を通過する方針にする。ところがこれをやるには明日五竜を予約する必要があり、今日電話して1張しか空いてなかったという現状を考えるとどうも無理そうな感触がしている。電話受付が9時からなので、とりあえず明日は天狗山荘をスキップして不帰方面に進み、9時ちょうどに天狗の大下り上端に到着してダメもとの電話を五竜に入れ、空いてたらそのまま不帰突破、空いてなかったら天狗山荘に引き返して幕営、という方針にする。もともと明日は3pの予定だったのに急に13pになる可能性が出てきて、みんな戦々恐々といった雰囲気である。空いてなかった場合は明後日五竜小屋泊+テント泊なので、小屋泊メンツを大富豪で決めることにした。誰が勝ったかは忘れた。



8/7 (水) 2 日目 

12.0km / 12.2p [山と高原地図 12.5p]
▲1 白馬岳頂上宿舎 4:48~5:43 杓子岳の肩 5:48~5:59 杓子岳 6:10~6:21 杓子岳の肩 6:25~(地図読み 5)~ 7:19 白馬鑓巻道分岐 7:20~7:22 白馬鑓ヶ岳 7:25~7:27 白馬鑓巻道分岐 7:33~7:50 鑓温泉分岐~8:12 天狗山荘 8:18~8:40 天狗の頭 8:50~(6)~9:23 天狗の大下り上端 9:49~10:42 不帰キレット 10:52~11:14I峰 11:18~11:30I峰II峰のコル 11:40~12:33II峰北峰 12:43~12:57II峰南峰 13:00~13:50 唐松岳 13:55~ 14:06 唐松岳頂上山荘 14:18~(10)~15:54 大黒岳~16:00 最低鞍部~(10)~16:56 五竜山荘▲2
【特記事項】
・不帰嶮核心部(II峰北峰の北側)は鎖が連続、雨天時は通行を避けたほうが良い。北行だと下りになるので難 易度が上がるが、南行で通過すればさほど難易度は高くない。隊を分離すると速度低下を抑えられる。
・牛首の鎖場は意外と長く続くので、可能なら隊を分離したほうが良い。
【記録】

今日不帰に突っ込むなら 1 半 3 とかで出発したいところだが、五竜が空いてないとどうしようもない のでちょっと遅めに出発。出発時はもろガスだが、歩いているとだんだん薄くなってきて丸山あたりで快晴に! 白馬の横から太陽が顔を出す。劔や立山、そして合宿のゴールである槍ヶ岳が遥か遠くに見える。ぼんやりとし か見えないが、黒々とした尖峰は 100km 先で確かに天を衝いている。普通に考えてありえない遠さだが、あの 頂に立つときの感動を思うと胸が躍る。槍ヶ岳の山頂から白馬を見て、歩いた道のりを見ることができたらどん なに嬉しいだろうか。

槍ヶ岳(中央やや左)遠すぎて笑うしかない。

今日は長いので体力を温存するために杓子岳は肩から空身ピストンに変更。肩に着くと槌谷が股ずれの 処置をしたいらしいので待つ。槌谷は爆速で斜面を駆け上がって物陰に身を隠しに行った。さすがすぎる。杓子 岳からは白馬岳がどーんと見えていい景色。白馬鑓の南には鹿島槍の双耳峰も見える。長野側は普通に絶壁なの で落ちないように気をつけよう。それから肩への下りは正しくルートを選ばないと落石の巣に迷い込んでしまう。 


え、天気良すぎん?

ザックを回収して巻道で白馬鑓へ。もうすでに足が疲れてきたが大丈夫だろうか。山頂手前のピークで地図読みを出し たら、K妻「上って北ですよね?」草。結局F谷だけ間違えていた。あれ?白馬鑓も巻道の分岐から空身ピスト ン。ちょっとガスがかかりがちで微妙。ザレの斜面を快調に下ってアッという間に天狗山荘。不帰ノ嶮 T シャツ が売っていて、唐松で買うことにした人が数人いたが結局ここにしか売ってなかった。悲しい。また今度買いに こよう。水場は雪渓由来だがまだまだ枯れなさそう。五竜までの水を汲んで不帰方面に進む。

9 時になった時点で五竜山荘に電話すると、電話の向こうで平然と「30 張空いてますよ」とか言って いる。昨日 1 張しか空いてなかったのはなんだったのか。昨日予約いれてた登山者は予約のやりかた間違えてな いか?ともあれこれで本ルートを余裕をもってすすめるのでとてもありがたい。しかし時間はかなり厳しく、この時点で残り 8 ピッチ弱。ヤマテンによると積乱雲による発雷に注意とのことで、五竜まで行けなさそうなら唐 松でサイトする方針にする。大下り上端でぐだぐだな円陣を組んで気合を入れ(?)、隊を 3 小隊に分割して進 む。各分離隊は 7 分間隔で出発し、唐松岳山頂で合流することにする。第 1 隊が 13:00 までにつかなかったら 後続を待たずに先に五竜に行くよう伝え、さあ不帰ノ嶮へ。


雲湧く不帰ノ嶮


序盤の天狗の大下りはザレの斜面で、傾斜が急というよりは標高差がでかいだけ。A地は岩場が少し苦 手なようで、歩き出しはとても心配したが、トップのM田が歩き方を指導しながら進んでくれたので終盤になる につれ動きがスムーズになっていった。とはいえM田もちょっと怖いらしいので第 3 隊は少し遅れ気味で進む。 すれ違う人数が多く、やはり不帰を南から通過する人が多いようだ。南から行くメリットは、登りを八方尾根の ロープウェイで短縮できることぐらいか。南から行くと核心部が下りになってしまうので、北から行く方がベタ ー。途中で上高地→親不知をソロで行く強そうな人とすれ違った。大下りの下のほうで鎖のかかる急坂が数回出 現した。前向きでもギリ下りられるくらいの傾斜。キレット底でたるんでいるとA地がペットボトル 3 本くらい の OS1 とスポドリを入山時からずっと歩荷していることが判明。デポ回収で詰む未来が見えるので優先的に消 費してもらう。キレット底からI峰までの登りはだらだら登りで、全然岩場ではない。K西が体力的にしんどそ う。L もめっちゃしんどい。I峰からの下りは多少急になるがこちらも岩場とは呼べない程度。コルからII峰北 峰までの間がいよいよ核心部で、先発隊が岩壁をよじ登っているのが見える。ところが実際にとりついてみると 意外にもすんなりといける感じで、特段難しいという印象はもたなかった。ただ絶壁上のアングル橋は高度感が あった。II峰北峰以降はなんてことのない普通の登山道で、拍子抜けといった感じ。サクサク進んでいくが、K西はやはりしんどそうだ。後で聞いた話だが、K妻はO高さんに「指導」を入れていたらしい。


不帰Ⅰ峰の下りからⅡ峰を見上げる

山頂を目前にしてたるみを入れていると、ガスが切れた瞬間先発隊にばれてしまった。すぐに山頂へ。 すると 13 時を超過しているのになぜか第 1 隊もいる。LとA地以外ほぼ飲み水が尽きてしまったらしい上に、 地図の読みが FB 逆で五竜まで 1p 弱伸びるらしく(申し訳ない)、一度合流したほうが良いという判断だったよ うだ。なるほど。水は 0.3 で計算していたが、少し少なかったらしい。あと第1隊は五竜に向かって「走る」と 勘違いしていたらしい。それは「適宜読み替え」しすぎ。唐松頂上山荘で水を購入し、五竜へ。サイト地までの 残りピッチ数は、どこかから 1p ふってきたので 3p。牛首の鎖場は想像よりかなり長く 2511p まで続いてお り、11 人隊では通過に時間がかかる。富山県側は確かに切れ落ちているが、高度感はそこまでなく難しくない。


牛首の鎖場


2324m コル付近には意外にも高めの木が生えていた。コルからの登り返しは爆速で進み、しっかり読 みを巻いて五竜山荘到着。到着が遅いと山岳パトロールの人に怒られた。そりゃそうですよね。


五竜山荘テント場の夕景。右奥のピークは唐松岳。


水は 1L200 円 で、普通に渋い。サイトしてると小雨がぱらつくが雷鳴はない。東の空に積乱雲が見えるが、あまりにも遠いの でこちらに影響はなさそう。明日も 11p の長丁場になるので早めに寝る。



8/8(木) 3日目 

 7.8km / 11.6p [山と高原地図11.2p]

2五竜山荘4:235:30五竜岳6:09(10*2)8:57北尾根の頭〜9:17口ノ沢のコル9:27(5*2)10:46キレット小屋11:2711:41八峰キレット〜(6+20)13:02北峰基部13:2314:00鹿島槍南峰14:2015:02布引山15:1215:54冷池山荘テント場▲3

【特記事項】

・五竜〜鹿島槍間はキレット付近以外にも岩場が連続する。特に五竜からの下り、G5付近、三段登り、キレット底付近が本格的な岩場。雨天時は通行を避けたほうが良い。

・北行だと三段登りとキレット付近の核心部が下りになるので少し難易度が上がると思われる。逆に南行だと下りになるのは五竜の下りのみで、さほど難易度は高くない。

【記録】

245-415で出発する予定だったが、トイレが少し混雑していて8分遅れで出発。M田が教えてくれて初めて知ったが、ヘルメットにヘッデン装着用のスリットがあった。1分間スピーチはK原で、弟と性格が正反対な話。出発時は真っ暗だったが、岩場に差し掛かるころにはヘッデンなしで行ける明るさになった。晴れ予報だったはずなのにガスガスで悲しい。山頂手前の岩場は高さがあって、通過に時間がかかった。山頂に到着すると時々ガスが晴れるようになり、まあまあいい景色。不帰と同様に八峰でも分離隊を出すことにし、不帰の第1隊と第2隊を入れ替えて7分間隔で出発。キレット小屋集合を約束した。


五竜岳山頂にて


3隊が出発する頃にはすっかりガスが晴れ、劔立山連峰を見ながら岩場を下っていく。西稜線隊は今頃あの辺を歩いているのだろうか。序盤はガレの急坂で、下部に近づくと鎖を使って大岩を下る箇所がある。A地は岩場に慣れてきている様子。足元が見えにくい箇所は鎖を信用して思い切りいった。


五竜岳から岩場をひたすら下る


G4はどこなのか全くわからなかったが、G5は一目でそれとわかる大きさである。おそらく五竜〜鹿島槍間での核心はここだと思われる。ハシゴを登ると北尾根の頭で、そこから口ノ沢のコルまではゆるい下り坂。ここのコルが五竜〜鹿島槍間の最低鞍部になる。コルではテントを干している人が複数いた。コルから先、三段登りと呼ばれる鎖場は、長めの鎖場が本当に三段に分かれて続く。今回は登りなので怖くも難しくもなかったが、下りで使うなら多少難易度が上がるだろうと感じた。気が付いたら2隊がすぐそこにいたので、距離を保つため短いたるみを適宜入れつつ進む。三段登りを越えたらキレット小屋はすぐそこで、短い梯子を登り狭いトラバースを終えると到着する。先発隊は飲み物を買うなどだいぶしっかりと休憩していた。


三段登りの鎖場


キレット小屋からは時間的に鹿島槍北峰を打てるか怪しいので、打ちたい人を先発隊に再編成して再び分離、37分間隔で出発。小屋からキレットまで50分読みで、「とんでもない激薮説」が出るも10分強で通過。酷い読みだ。鞍部は割と高度感があった。鞍部の次の岩峰を回り込むようにして下るので、キレットより深い場所から登り返しスタート。あーしんどいよー。少し登ったところで▲5の種池山荘のキャンセル待ちをしたい旨連絡すると、冷池に食料をデポしている学生団体ということで、特別に対応してもらえた。総じて電波は長野県側の方が入りやすい。T谷の歌が下手すぎる話をしたりじゅげむの歌などを口ずさんだりしながら吊尾根到着。途中で百名山完登間近の親子とすれ違った。ちょうど第1隊が北峰ピストンを終えて帰ってきたところで、各分離隊の間隔は少し縮まっていたようだ。


キレット底付近。絶壁


北峰に行かず一番長く休憩していた第2隊を先頭にして、再び南峰まで分離。多分韓国からと思われる登山客とよくわからない挨拶を交わしつつ南峰着。ガスったり晴れたりの天気。山名板は「槍」の旁の「口」が「日」になっていた。不帰の看板の「白馬岳」は「白馬缶」になってたりしたので後立山は学がないのだろうか。


鹿島槍ヶ岳南峰から見下ろす布引山稜線。


布引山までの稜線は美しく、白砂が太陽光に映える。ここまで来れば岩場歩きはなくなる。布引山は20mほどの登り返しだが、大高さんをはじめザックが重いメンバーは非常に苦しそうだ。布引山からだらだら下っていくと冷池テント場着。足が痛いのでこの下りは体感かなり長かった。テント場から山荘までは標高差50mほど下る必要があり、アクセスが渋すぎる。冷池デポ組(N村やK原)は山荘の雰囲気を懐かしんでいた。ここはテント泊者に水を11Lサービスしてくれるが、宿泊者名簿をあらかじめ書いてきたところ、1.5Lに増やしてもらえた(種池も同様)。やはりこういう小さな徳は積んだほうが良いなあ。


冷池山荘でサイト。


テント場に戻って早すぎる第I部完遂連絡を入れる。これとは対照的に第Ⅱ部は8日かかることになる。周囲は遮るものがない絶景で、爺ヶ岳や劔立山がよく見える。強風時は辛いかもしれない。O高さんは鹿島槍古名「釼斧」Tシャツを購入。かっこいい。


満天の星


寝ようとしていると▲5種池のキャンセルが出たらしいので即座に予約、種池停滞決定。同時に柏原新道でM下を回収することに。夜は星が綺麗だった。



8/9(金) 4日目 

 3.3km / 3.5p [山と高原地図2.6p]

3冷池山荘テント場6:026:06冷池山荘(デポ回収)6:577:12冷乗越〜(10)8:23爺ヶ岳中峰8:298:46爺ヶ岳南峰8:539:25種池山荘4

【記録】

           45半で出発の予定だったが、早々に朝サイトが事故り、F表にないはずのカルボナーラが錬成された。やはり乾麺は入れてはいけない。


存在しないはずの食べ物


山荘についたらデポ回収。みんな入り切らず、K原はサブザックも動員。計量すると2535kgぐらい。重すぎる。。。船窪デポ?何それおいしいの?デポの段ボールは山荘で回収していただけた。感謝。


冷乗越から鹿島槍を振り返る。


登山道は一旦樹林帯に入るも冷乗越あたりですぐに再び限界上へ。重すぎてみんなヒイヒイ言いながら進む。爺ヶ岳中峰は魂の本ザック通過。素晴らしい景色。百高山の99番目ということでちょっと気持ちいい数字(100番目は南ア仙塩尾根の新蛇抜山)。


爺ヶ岳中峰より。背景の稜線は翌々日に通る針ノ木岳


せっかくなので南峰も空身ピストン。近いので行きたい人だけで勝手に往復するよう指示したら、ほぼ全員がスタスタ登って行った。ええ。。。Lも登ってみたら主三角点があった。これは嬉しい。N谷の膝が怪しいらしいので荷物を少し預かってから種池へ下る。五竜のテント場で痛めたらしい。明日停滞なのでゆっくり休んでもらうとする。

種池についたらすぐにテントを張り、お目当てのピザを購入。みんなで分けて食べる。美味しい。カルボナーラコッヘルがとんでもないので、茶飯の代わりに味噌汁で飲む。これも美味しい。荷物の量が流石に多すぎ、このまま船窪デポを回収したら全てが終わる気がしたので昼サイトを2日連続で導入。美味しい。


種池ピザ祭り


行動が3pだけで実質停滞日なので、のびのびと過ごす。一昨年の北アで流行ったトランプゲーム「九十九」をやる。実は飲みゲーらしい、へえ。ギャンブル要素が強くてやはり楽しい。夕方なんと東大ワンゲルのOBの方が隣に張っていて、軽く話をした。曰く夏山の茶飯はいらないとのことで、K原が喜んでいた。



8/10(土) 5日目 

分離隊10.7km / 4.6p [山と高原地図8.5p]

4種池山荘(本隊終日停滞)5

(道下回収分離隊)種池山荘5:10(10)6:13ケルン〜6:47柏原新道登山口=6:53扇沢8:458:57柏原新道登山口〜(10)9:51ケルン〜(10)11:20種池山荘

【記録】

           撤収がないので45で準備。停滞日とは思えない快晴。長野県側は大雲海で、絶景の中分離隊(O高さんとM田)を見送る。


分離隊の2人


残った本隊は昼寝をしたりトランプで遊んだりする。12年会は負けたら罰ゲームとして行動食を食べるというとんでもない九十九を開催していたらしい。ピザは販売開始時刻の10時より前から炎天下に長蛇の列が伸びており断念。昼サイトをしているころにM下と分離隊が戻ってきた。ダメもとで持っていったサイマスごみ等は扇沢で捨てられたらしい👏。美味しいカレーやカツ丼を食べてきたらしいが、分離隊はこれぐらいしても許されるでしょう。M田は下界に降りたことで「指導」が0になるという持論を展開していた(分離隊FBは別文書としてあるのでご覧ください)。EF表を見て荷物の再分配をする。K原とN村は本当にお疲れ様です。T谷が缶潰しの才能を開花させ、大缶までもペシャンコに叩き潰していた。土曜日ということで続々とテントが立ち、最終的にはわずかな足の踏み場を残して敷地いっぱいになった。



(続きはその2へ)

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