プレツアー黒姫 

3/11~13で黒姫山・佐渡山に行ってきました。例年よりも雪が少ない予想でしたが、好天に恵まれ良い山行になりました。
黒姫山での集合写真

記:浦中大地


参加者:OB1 久保、勝木、3 L浦中、W黒瀬、sEsF平、中尾、F西田、E西村、H原、三田

3/10(雨  東京=(電車)=黒姫駅
 青春18切符を使って終電でアプローチ。家を出た時点で雨が降っており、気分は落ち込む。原は1月の越百山の前に買ったゴアマのチャックが早くも壊れたらしく、新しいゴアマを着ていた。
 黒姫駅に着いても雨は降り続けており、翌朝の天気も怪しい。野尻湖タクシーに相談したところ、朝一で判断した場合は6時半なら配車可能ということだったので一旦判断を保留にして就寝。駅の連絡通路は快適だったが、夜中は風が強かった。

3/11()曇り時々晴れのち雪
7:38大橋7:578:32 林道分岐〜(タルミ10)9:21 新道分岐〜9:31 BC 9:4810:15 1610ベロ10:5111:48 外輪山 12:2613:11 1610ベロ▲1
 朝起きると風は強いが雨はほとんど止んでおり、遠くの雲から飛ばされてきた感じの小雨が多少降っている程度。これなら出発できる!タクシーの配車をお願いし、連絡通路の階段裏でモスを作って、デポ品を駅のロッカーに突っ込んで出発。
 鳥居川の大橋に着くと、林道には僅かな雪が残っていた。だいたい10cmくらいだろうか。例年なら埋まっているゲートもバッチリ出ている。昨夜の雨もあったが、一応シールで歩けるレベル。ビーコンチェック・体操を済ませて出発。林道歩きは特に迷う要素もなく読みの0.6倍程度で林道分岐についてしまう。そこからも、読みは縮みながらサクッとBC予定地についてしまった。本来ならここで雪訓を行う予定だったが、雪が明らかに足りない。ツリーホールから地面が見えてしまうような有様で、積雪は1m弱と言ったところ。どう頑張っても横穴式の雪洞は作ることができなさそうなので、BCを上げる。大ダルミ南東の1610mベロまで進みBCとした。途中、沢を越えたところで地図読みをしたが、原はまだ怪しい。地形図上の情報から地形をイメージし、角度と実際の地形と照らし合わせることができていないように感じたが、秋入部というハンデがあるのでしょうがない。
上りの様子
 雪訓ができるかはかなり怪しいが、とりあえず時間があるのでお楽しみの滑走も兼ねて外輪山に偵察に行く。斜度が緩いうちにトラバース気味にルートに復帰し1710mくらいでルートに取った尾根に出た。尾根上は木がまばらだが、平らな地形は2箇所ほどあり、頑張ればサイトできそう。「明日余裕があったらサイト地あげようぜ」などと話しながら登っていると、あっという間に外輪山に出てしまった。140読みのところを60は流石に早すぎる。シールが効きやすく、一年会がサクサク登れていたのも大きいだろう。クラストしていたら上部はクトーが必要だと感じた。
 半分だけモスって滑走開始。久保さんがヘルメットを忘れたと宣ったが、今回は全体的に斜度が緩く、危険箇所もないので、帽子とフードをした上で細心の注意を払って滑走してもらう。雪崩の危険もなさそうなので、ルートは登りで横切った北側の沢にした。灌木や笹がかなり出ていて滑りにくい。特に初山スキーの原はスピードを制御できずに転んでいることが多かった。三田は相変わらずボーゲンだが転ぶことは少ない。西村は後傾で転ぶことが多い感じ。西田と中尾はサクサク滑れていた。しばらく滑走して登りのトレースに合流し、BCに帰還。
 テントを立てお爺ちゃんにお汁粉を作ってもらいつつ雪訓開始。積雪は120~140程度。黒瀬がベロ横の斜面で雪洞を作ると豪語して出て行ったが、すぐに地面にぶつかって敢え無く敗退。大人しく埋没訓練とスキーでの雪上支点を行うことにした。今年は人数が多いので、埋没用の穴を2スロット作って交互に埋めた。プローブで人を突く感覚、埋まったときの呼吸、自力での脱出方法など、しっかり覚えてほしい。支点は下平主導でサクッと終わらせ、3時半ごろに終了。その後は、希望者のみで発展的なロープワーク講習を行った。ATCを使っての確保やフリクションヒッチなども見せることができた。Lはスノーボラードを試してみたが、よく踏み固めてから作ったボラードは十分な強度があって実用可能。ボラードが出来れば残置が不要になるので覚えておいて損はないだろう。
埋没用の穴
 4時ごろに雪が降り始めたので撤収すると、テントの横に焚き火用の薪の塔とカマクラができていた。楽しそうで何より。夕飯は牛丼で、Lは割下に対するトラウマを克服することができた。宴会中、久保さんが外で焚き火をしていたが、しばらくすると戻ってきて「ほんま申し訳ない」と仰る。詳しく聞くと、クソヘッドが一つお亡くなりになったようだ。ヘッド3つでもサイトを回すことはできるので大丈夫だが…。カス缶もガスが止まらなくなっており、翌日これを回収した下平はザックに匂いが染み付いてしまったらしい。
*焚き火については、消化の準備をしてから行いましょう。

カマクラ

3/12()晴れ
6:12 1610ベロ〜6:21 大ダルミ6:34 7:06 1738p 7:257:31佐渡山東コル7:448:13 佐渡山 8:32 8:46 佐渡山東コル 9:009:10 1738p 9:21 9:31 大ダルミ 9:37(ビンディングトラブル5)9:48 1610ベロ 10:30(ワカン着7分程度11:33 外輪山 12:0212:40 大池12:5013:05 七つ池北端 13:2514:10 小黒姫14:4915:10 七つ池北端▲2
朝は46。勝木さんは体調が悪いらしい。思えば昨日の宴会も元気がなかったような…。動かなければ大丈夫とのことだったので、勝木さんをデポして残りで佐渡山に向かう。サイト地がほぼ大ダルミだったので、逆ルートで登ってピストンにした。大ダルミは風の通り道なのか、やや風が強いが、空は晴れ渡っており、絶好の登山日和。大ダルミからの登りは前情報では藪がうるさいとのことだったが、全くそんなことはなく、快適な滑りが楽しめそうな雰囲気。夜の雪のおかげでパウダーの滑走が期待できる。1738pから佐渡山の稜線は南に雪庇ありで、稜線北側を滑走。シールは剥がした。コルでシールを貼り直しているところで、佐渡山まで空身で行けることに気付き、空身に切り替えて登頂。佐渡山からは、妙高〜焼山の稜線や高妻・音妻、黒姫が綺麗に見えた。写真を撮って景色を楽しんで、シールを剥がして滑走開始。ここも稜線上かやや北側を滑るようにして戻る。コルでシールを貼り直して1738pに登り、また剥がして滑走。大ダルミまでは本当に快適な滑走。ところどころでコケる一年会や上級生がいたが、大ダルミまでは一瞬。



ここまでは本当に順調だったが、大ダルミでシールを貼り直し、BCに戻る途中で黒瀬のビンディングのビスが取れてしまった。ドライバーで締め直したが、すぐに外れるとのこと。結局片足はワカン、片足はスキーというあまり見ないスタイルで登ることになっていた。とりあえずBCに戻って勝木さんに体調を聞くとだいぶ良くなったらしいので、BCを進める。
外輪山への登りは、本ザックなので昨日より遅くなるかと思いきや、ほとんど同じペースで外輪山まで登ってしまった。雪が比較的締まっているので片足ワカンの黒瀬も普通についていけている。時間的にもまだ余裕があるので、外輪山から直接七ツ池に下り、小黒姫にピストンすることに決定。大池、七つ池方面に向けてトラバース気味に滑走。ここは灌木が多く滑るというより歩くといった具合。ところどころで原が転んでおり、ペースはゆっくり。結局、大池に出たので、シールをつけて七つ池の北端まで進みBCとした。七つ池からは黒姫山頂からの「七つ池シュート」がくっきりと見えた。幅が狭い無木立斜面で初心者の滑走は難しそう。
七つ池北端からはsub装にして東尾根から小黒姫に向かう。雪が腐ってきてはいたが、藪は比較的少なく登りやすい。山頂には小さい看板があり、「御巣鷹山」と書かれていた。残っていたモスを飲んで滑走開始。ワカンの黒瀬はかなり苦戦しており、隊から少し遅れてしまった。「内足でのターンは無理」らしい。
BCに戻っても日の入りまで時間があり、気温も高かったので、なぜかサイマスになりたがった黒瀬主導で外サイトをすることになった。冬山での外サイトは初めてで新鮮。シーフードカレーは絶品だった。

外サイト

黒瀬に取ってもらった天気図を見ると、明日も天気は持ちそう。さあテントに入ろうか!というところで、「テントの割り振りは俺と一年会3人で45天、残り6人で6天な」(by黒瀬)。図りおったな…。さらに追い討ちをかけるように、「起床係は〜、浦中!」(by黒瀬)Lに起床係を押し付ける鬼畜サイマスに復讐を誓い、起床できるかプレッシャーを感じながら就寝。

3/13()晴れ
6:06 七つ池北端〜(タルミ10)8:02 黒姫山北コル〜8:19 黒姫山8:42 8:53 黒姫山北コル9:079:56 1570m付近 10:1010:56 1050m付近 11:1211:58 黒姫高原スノーパーク

 4半起床。寝坊したら盛大に煽られていただろうが、無事に起きることができた。残るルートは黒姫に登って滑走するだけ!天気も良く張り切って出発した。夜のうちに雪面がクラストしており、シールは効きにくくなっていた。黒姫山と下降点の間のコルに向かうように指示したが、なかなかに斜度がきつく、早々にクトーを付けた。1年会にとっては2回目のクトー着脱(原は初めて)なので、どうなるかと心配していたら、クトーを流し、ヘルメットを流し、と何度も物が落ちてくる。上級生が下にいなかったら確実にアウトなので厳重注意。いい加減雪面に突き刺す癖をつけてほしい。結局15分もかかってしまった。クトーを付けた後も、藪とクラストした急斜面でかなりルーファイに迷う。結局コルに着くまでに2p近くかかってしまった。
 コルからは空身で黒姫までピストン。初めは板を履いて進んだが、細い稜線で段差も多いのでツボ足に切り替える。山頂までは東側に雪庇、西側に密な樹林帯で、稜線上を滑走しようにも全く楽しくないだろう。ところどころで足が沈んだりしたが、危険箇所はなく無事に登頂。これから降りていく街やその奥の山並みが綺麗に見える。遠くの稜線はどこまでも繋いでいけそうに見えた。
山頂から

集合写真
 無風で暖かかったので、思い思いに写真を撮り、コルに戻って滑走準備。黒瀬もかかとを固定したらビンディングは大丈夫だと言うので全員で滑走する。ここからのルーファイが今山行で最も難しいので角度と尾根筋をよく見るように指示して出発。下降点のピョコの真下までトラバース気味に滑ってから1396の方へ角度を切って滑走していく。上部はところどころ藪が出ており、一年会は転んでいた。途中、三田が転んだまま原に突っ込んでいてヒヤヒヤした。Lは派手に転んでストックを置き去りにしてしまった。反省。1700mを過ぎて斜度が緩くなったあたりからは一気に滑りやすくなる。雪はやや重いが、みんなスイスイ楽しそうに滑っていく。ルーファイも問題なく、ドンピシャで1396pに到着。左から巻き気味に尾根に出て滑る。この下は一気に藪が多くなり、隊の進みが遅くなった。さらに、黒瀬のビンディングがついに使い物にならなくなった。雪はどんどん少なくなり、沢の100m上くらいで滑れなくなったのでトラーゲンに切り替える。一年会にとっては慣れないトラーゲンで、倒木や藪に引っかかってかなり消耗している様子だった。こうなるなら、1559の方にルートをとっておけば良かった…。
沢に出たところでスノーブリッジを探す予定だったが、案の定雪がないので渡れそうなところを探す。黒瀬が率先して渡って偵察してくれた。沢の幅は狭いので渡れるところは多いが、対岸が登りやすそうなところを選んで渡渉。渡ってからは一度板を履き、半分藪の上を歩いているような状態でスキー場に合流。入山前には営業していた黒姫高原スノーパークはすっかり雪がなくなり、春らしい暖かな風が吹いていた。雪がなくなったところでシーハイルして、靴を泥だらけにしながら駐車場まで歩いた。
駐車場で野尻湖タクシーに電話すると、すぐにタクシーが来てくれたので、速やかにパッキングをして黒姫駅に帰還。隊で唯一の神奈川県民であるLは長野17:14の終電に間に合わせたかったので、とりあえず黒姫で打ち上げ(駅前にご飯お代わり無料の蕎麦屋がある)と3月合宿のエキチェを済ませた。因みに黒姫駅周辺には温泉はない。花粉が舞っているらしく、花粉症持ちの人はかなり辛そうにしていた。14時過ぎの電車で長野に行き、温泉(銭湯?)と反省会をして解散。長野駅では下平の祖父に会い、栗もなかを頂いた。大変美味しかった。




総評
雪訓という意味では、雪洞泊ができなかったのは痛かった。また、悪天を覚悟していた割には好天が続き、終始のほほんとした雰囲気だった。とはいえ、練成面では、シール着脱の回数も多く、クトーでの登高、トラーゲン、渡渉と面白い経験ができたと思う。一山行としてみれば、雪が少ない以外は完璧な条件で、山頂からの景色と滑走が楽しめる非常に良い山行だった。

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