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GW後半 残雪矢筈岳FB
参加者:3 CL勝木さん
2 sL浦中、W黒瀬 1 F今田、EH下平
昨年春にその存在を知り、ずっと行きたかった川内山塊。マイナー12名山筆頭である矢筈岳に挑んだ。
その結果は…。
5月3日(金) 14時頃本郷出発=(ハイエース)=22時頃林道駐車スペース▲0
バックアップ出発前にレンタカーを予約しようとしたが、ハイエースの予約が埋まっていた。GWにハイエースをレンタルする物好きが他にもいるとは…。結局、板橋の方で予約が取れたのでことなきを得た。
連休後半の天気を見ると、3は東高西低型、4.5で高気圧、6に気圧の谷の通過、ということで4.5の2日間を使うことにした。黒瀬が立てた焼山の企画は潰すことになって申し訳ない。
5/3の昼に部室集合で、車を取りに行き14時頃に出発。特に渋滞もなく22時前に室谷洞窟付近で入山連絡を入れる。室谷洞窟から1km程で除雪終点という想定だったが、特に看板もなく先に進めてしまう。しばらく行ったところでテントと軽自動車があったので、そこが終点だろうと判断する。4:15起床として、23時頃就寝。
5月4日(土) 快晴
▲0林道駐車スペース4:50=(ハイエース)=5:15魚止山取り付き5:35~6:25 550m付近(たるみ)6:35~7:40 750m付近(たるみ)7:50~8:45 854ベロ(たるみ) 9:00~10:08 魚止山(たるみ)10:18~11:07 1120p(たるみ)
11:17~12:16 1055p(たるみ) 12:26~13:15 1066p(たるみ) 13:25~14:00 三川分水嶺(設営、sub装作り) 14:30~(sub)~15:15 青い岩盤(長たるみ) 16:24~(sub)~17:12三川分水嶺▲1
起きて準備をしていると、昨夜のテントのおじさんがもっと先まで車で行けると教えてくれる。おじさんは釣りに来たらしい。水たまりなどはあったが、ハイエースで魚止山取り付きまで入ることができた。これでだいぶ余裕ができる。これは矢筈登頂にも期待が持てるということで、藪装をつけて早速入山。取り付きは駐車した地点から15mほど先で残置ロープやピンクテープがある。
林道終点 |
取り付き地点 ロープやテープがあってわかりやすい |
魚止山の登りは踏み跡バッチリ、ピンクテープだらけで分かりやすい。が、人の手が入っている感じでなんだかなあ…。気温も高く、雪もないので最初のたるみで着衣調整する。暑いのでポリには差し入れのパウを入れる。初めて本格的な雪が出てきたのが750m付近。そこそこ斜度があり滑ったら数十メートルは落ちること、雪が思っていたよりしまっていることからアイピケにする。今田は雪訓後初のアイピケで、かなりおっかなびっくり登っていた。雪はすぐになくなりまた藪になる。斜度がきつく、藪を掴んで登る形になる。ここでは下平が苦戦。何度かずり落ちていた。さらに掴んでいた枝が折れたらしく、下平が2~3mほど滑落。特に怪我がなかったのは幸い。結局このピッチでは100mほどしか進めなかったが、今田は慣れないアイピケ歩行をし、下平も滑落があったのでちょっと短めに切る。854ベロから先は、雪と藪が半々くらいか。直下の急登も薄藪でサクッと登り魚止山。ようやく矢筈岳の姿を拝むことができた。1300mもないピークだとは思えない存在感を放っていた。稜線の雪は想定より少なく、藪もある残雪というより雪が残っている藪だった。
750m付近 漸く雪が出てきた! |
魚止からの稜線 左が1120p、右奥が矢筈岳 |
魚止山から1120pは比較的広い稜線で、雪と藪が6:4ぐらい。1120直下がやや急登だったが、雪も柔らかくなっており、滑ってもすぐに止まりそうだったのでそのまま登る。1ピッチちょうどで1120pに到着。一段下がったところが平らになっておりサイト適地だった。ここでガンガラシバナとご対面。黒々とした岩肌に轟音をたてる白い滝は迫力満点。これが観れただけで来た甲斐があったと思える景色だった。周囲を見渡しても人工物は一切目に入らない。山の下部は広葉樹の新緑が映え、その上に暗緑色の針葉樹、さらに黒い岩肌と上部には白い雪と、標高が低く谷が深いからこそ見れるグラデーションが美しかった。
1120で集合写真
1120pから先はほとんど藪で、下平が遅れがちになる。1055pで岩場に備えてヘルメットを装着するが、最初の岩はただ岩があって巻くだけで危険はない。
問題の1066pへの登りの岩場(予備審資料の写真のやつ)も低い位置でトラバースして藪に入ってしまえばそれほど怖くはない。ただ、問題はその先にあった。写真の岩場を超えて少し行ったところにある岩がなかなかに厳しい。登りは問題ないが下りはかなり怖く、帰りはロープを出すことにする。(岩場の詳細は5/6に記す。)
稜線上に乗っている岩 |
1066pの登り
予備審で警戒していた岩場
過去の記録になかったが、こっちの岩場の方が怖かった |
1066pに着いた時点で読みがかなり伸びていた。だいたい1.2倍くらいだろう。下りも同様に伸び、さらに岩場でロープを出すことを考えると、9時ごろには三川分水嶺を出る必要がある。三川分水嶺から矢筈のピストンに7ピッチかかると考えると矢筈を打つのはどう考えても不可能。サイト地を伸ばすことも考えたが、読みが伸びている中であまり深入りするのは危険だし、そもそも“サイトMax8ピッチ以内”に引っかかる。そこで、サイトは予定通り三川分水嶺とし、青い岩盤までのピストンに切り替える。また、1066pで下平の水漏れが発覚。ポリタン一つ丸々漏れたらしい。重罪。ザックが防水性のせいでザック内に水が溜まって大変なことになっていた。今田が1発余分に持っていたので結果的には大丈夫だったが気をつけなさい。
三川分水嶺は南に少し下ったところに刈り払われたサイト地が1張り分あった。一応周囲に木がある。
Sub装を作って出発。Sub装にしたことで楽になったのか比較的速い。三川分水嶺から青い岩盤までは雪3藪7ぐらいだった。青い岩盤手前の下りは岩もあるが、右巻きでしっかりと藪を掴んで降りれば問題ない。
お昼寝タイム |
先に進む旨味もないので長たるみにする。黒瀬が持ってきたカルピスを飲んで、みんなお疲れのようでお昼寝タイム。sLが矢筈を見ていると、岩肌に残って雪が轟音をたてて崩れていった。山行中時折聞こえていた音は全て岩肌のブロック雪崩だったようだ。16時から黒瀬が天図を取り、三川分水嶺に戻る。サイトは豚キムチ鍋。今シーズン最後のペミカンを味わった。ちなみに、黒瀬の天図は基準等を聞き間違えたらしく、太平洋東部が意味わからんことになっていた。剥奪案件やで。
5月5日(日) 快晴
▲1三川分水嶺4:35~5:10 1066p(たるみ) 5:22~5:35 岩場上~(ロープ)~6:40 岩場下 6:45~7:30 1055p(たるみ) 7:40~8:38 魚止山 8:48~9:43 750m付近 9:55~11:18 魚止山取り付き
3・4半で準備し出発。朝はイタリアントマトラーメン餅。やはりラーメン餅には水が足りない。今日は帰るだけということもあってのんびりしてしまい、4:35出発。
1066pでヘルメットを装着しsLと黒瀬が前に出る。岩場は、灌木数本にまとめてラウンドターンで支点を取り、クレイムハイストで降りる。トップは黒瀬。最上部を藪を掴みながら降り、右にトラバース。そこから岩を掴んで一段降り、再び藪を掴んで最後まで降りる。黒瀬が降りている間、勝木さんに黒瀬を見てもらい、sLは今田、下平にクレイムハイストを教え直す。しばらくやっていなかったこともあり、少し手こずっていた。黒瀬が降り切った後、今田と下平。下から黒瀬が指示を出し、危なげなく降りる。勝木さんが降りた後、sLはロープを回収してフリーで降りる。荷物を抜いてあり上から散々ルートを見ていたこともあってあまり怖さは感じなかったが、トップをやるならロープが欲しいと感じた。この岩場の通過は、メンバー全員にロープワークの経験があり、沢の被養成者(後半)以上が最低2人欲しい。
sLが降り切ってから5分休んで出発。残りの岩場は2年会以上なら特に問題はない程度だった。1055pに着くと、男性一名が魚止山からやって来た。駒形山に行くらしい。山行中に出会った人はこの男性1人だけだった。
1055pから魚止山は行きと同じルートを辿った。1120pからの下りでは今田がかなり怖がっている様子だったが、それ以外に特筆するようなこともなく魚止山に着く。いつかまた来ると矢筈の姿を目に焼き付けて降り始める。
角度は切らせたもののピンクテープや赤布が山ほどあるのであまり練習にはならない。1ピッチで750m付近の雪渓に出る。前日よりも雪が少なくなっていた。
750mから先はかなりの急斜面が続く。藪を掴んで降りるような箇所も多々あり、暑さもあってかなりきつい。無理やりロングピッチを切ってしまったがあまり良くなかったかもしれない。ルーファイポイントもテープが豊富で迷うようなことはない。ただ、トップ2人は何回か沢筋に引き込まれていたので尾根を外さないように注意する必要はあるだろう。
柳津温泉で風呂に入り、インター食堂で打ち上げ。道の駅那須高原友愛の森で泊まって翌朝9時ごろに東京に帰った。
総評
想定よりも雪が少なく、藪山行になってしまった。岩場の通過やLimitなどで矢筈を打つことこそ叶わなかったが、川内でしか見ることができない景色に出会えた素晴らしい山行だった。一方、これ以上ないほどの好天だったからこそ、悔しい気持ちも大きい。以下、矢筈に行きたい人へのアドバイス。
・ロープワークが出来る者(沢の被養成者以上?)が最低2人はいる方が良い。
・サイト地はほぼ限界上で沢筋も険しく逃げることはできない。尾根上を降りて限界下に入るしかないので、
雷にはくれぐれも気をつけること。
・確実に打ちたければ、トレを積んで弾丸で行くか、2泊するかが良いだろう。
・ロープワークを素早く、正確に行えるようにすること。
・Limitとの戦いになるので、一つ一つの動きを素早く行うこと。
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