夏合宿南アルプス縦走

TWVの夏合宿としては5年振りになる南アルプスの縦走をしました。 天候にこの上なく見放されながらも畑薙から北岳までを歩き通しました。
高橋
予定していたルート
メンバー:3 F島田 L高橋 H田嶋  2 EW豊島  1 浦中 武井 橋口(8/9まで)
8/4() 晴れ
静岡駅=沼平ゲート
 静岡駅を16時に出るようにタクシーを予約し静岡駅15:50集合とした。 タクシーに乗り、途中2(横沢観光トイレ、井川ダム)小休憩を入れてちょうど3時間で沼平ゲートに着いた。 29820円。 オカンの準備を進めているとヘルボに爪切りが無いことが判明するが橋口が私物を持っていたのでそれで代用する。 他の忘れ物としては橋口が予備地図を忘れたのでL装で代用することにする。 明日は4半出発としてゲート前の左右の建物脇のスペースで20時頃就寝。 1人だけ道路右側のスペースで寝ていたLは夜中やってきた車に危うく轢かれそうになった。

8/5() 朝晴れ、だんだん雲が出てきて15時半から雨
沼平ゲート0438~茶臼岳登山口0509(0527たるみ&橋口荷物整理⑯0543)~ヤレヤレ峠0557(0634たるみ⑪0645)~ウソッコ沢小屋0715(0729たるみ⑪0740)(0845たるみ⑯0901)~中ノ段0904(0931たるみ⑭0945)1012横窪沢小屋1033(1124たるみ⑪1135)~展望ベンチ1159(1222たるみ&橋口荷物抜き⑬1235)1317樺段1328(1402たるみ⑪1413)~茶臼小屋1433
 1分間スピーチのお手本を島田にお願いしたところ、合宿前に行っていた運動会山中寮でのしごきについての素晴らしいスピーチを披露してくれた。 豊島に今日1日のトップをお願いし出発。 最初は一部未舗装の林道歩き。 茶臼岳登山口から入ってすぐに畑薙大吊橋で畑薙湖(大井川)を渡る。 
畑薙大吊橋
 送電線の鉄塔のところでたるんでいると橋口のパッキングの仕方が悪いのではないかという話になり荷物整理をする。 ヤレヤレ峠までのトラバース道で崩壊しているところがあった。 ヤレヤレ峠から先、川に近いところを歩く道があり、増水時は通らない方が良さそう。 また、ヤレヤレ峠からウソッコ沢小屋の先までに吊橋が計5本あり、いずれも定員5名と書いてあるがなぜか1人ずつ渡った。 ウソッコ沢小屋を過ぎて少しすると急登が始まる。 初日でザックが重いこともあり、橋口はかなり辛そうにしていて、読み1.5倍になってしまった。 この辺りまでにLは今日中に茶臼小屋まで登るのは厳しいと思い、横窪沢小屋で泊まるのもかなり現実的じゃないかと相談するが他のメンバーは茶臼小屋まで行く気でいる。 一番急な区間を過ぎてもそれなりにキツい勾配が続き、横窪沢小屋までの区間も読みを超える。 横窪沢小屋に着いてここで泊まるか聞くと橋口も茶臼小屋まで行くと言うので横窪沢小屋では水汲みだけして茶臼小屋を目指す。 この先も延々とキツい勾配が続き、途中橋口の荷物を抜きながら読み1.21.3倍でなんとか茶臼小屋に到着する。 今日の区間は去年夏合宿藪隊のデポで使ったコースで、見た目以上に尋常でなく辛い道だと聞いていたが、その通りだった。 テントを張った後15時半くらいから雨が降り始める。 夜サイト中、鍋を持っていた浦中が居眠りし、鍋ごとガクッと傾きお湯と生米が飛び散る事件が起こった。 田嶋はお湯を浴びたが、熱湯になる前で良かったと語った。 明日の光岳ピストンに行きたいか全員に聞くと、最初は全員行くと言っていたが後で橋口が休みたいと言うので明日は6人で行くことにする。 Sub装を作る手間があるので明日は3時起き5時出発とし、18時半就寝。

8/6() 朝晴れ、8時くらいから霧、10時から夜まで断続的に雨
茶臼小屋0504~横窪沢分岐05140529茶臼岳0543~仁田池0554~希望峰0609~鞍部0629(0635たるみ⑩0645)~易老岳0720(0739たるみ⑩0749)~三吉平0813(0847たるみ⑲0906)0919イザルヶ岳分岐0920(空身)0927光岳小屋0930(空身)0936イザルヶ岳分岐0940(0944水場⑯1000)~三吉平1034(1049たるみ⑩1059)~易老岳1131(1148たるみ⑪1159)~鞍部1227(1233たるみ⑫1245)~希望峰13211343仁田池1354~茶臼岳1414~横窪沢分岐1428~茶臼小屋1437
茶臼小屋から朝焼けと富士山

 1分間スピーチは浦中で中高時代のソフトテニス部の顧問の話。 橋口にまた夕方に会おうと言って出発。 今日のトップは1年会に任せる。 主稜線に上がると森林限界上になる。 茶臼岳は三百名山だが、晴れていてよい眺めである。 仁田岳は帰りに行きたければ行くことにして読み0.60.7倍でガンガン進む。 茶臼岳を下りてからはずっと限界下の土の道で、希望峰や易老岳は何の眺望もないので通過する。 この辺りで今後仲を深めることになる信州大学の隊とすれ違う。 三吉平からは300m超を一気に登る。 この登りの途中で田嶋がバテてたるむ。 このたるみの最中、Lは雷の音を聞いた気がする。 それを伝え、Wの豊島に空電がないか聞いてもらうと、田嶋も雷のような音を聞いた気がして、豊島は弱い空電を聞いた気がするらしい。 8時頃から霧は出ているし、今後天気は悪くなる予報なので途中で限界上を通らないと帰れないことも考えるとこのまま進むべきでないように思えてきた。 とりあえずこの先の水場まで行かないと帰りの水がないので再び進む。 エアリアでは涸れていることが多いとされている水場だが昨夜の雨のせいか十分な水量があった。 Lが進退判断をし兼ねている間に通過してしまう。 そして光岳まであと少しではあるがこのままずるずると進むべきでないと思うという話をし、それが賢明だという反応があったところでちょうどイザルヶ岳分岐に着いた。 すぐに戻りたいが島田がどうしてもバッヂが欲しく光岳小屋まで行きたいという。 そういうのが良くないってさっき言ったんですけど…。 説得できそうにないので浦中、島田、Lで光岳小屋まで空身で往復してから再びsub装を背負って戻る。 途中水汲みをして三吉平へ下っている最中に雨が降り始める。 以降弱い雨が降ったり止んだりする。 鞍部のピンは特に目印が無く読図能力が要求されるが、初トップの1年会は行きも帰りもスルーしてしまった。 今後に期待。 鞍部から希望峰への上りでLがバテて今日唯一読みを超える区間となる。 雷の音もあれ以来聞こえず、大雨も降らないうちに茶臼小屋まで戻って来られた。 茶臼小屋で今日分の受付をすると「去年のごっつい縦走とは違うメンバー?」と聞かれた。 橋口と合流し、夜サイトの異常に多いほうとうを食べている間天気は崩れなかった。 結果論ではあるが意味のない撤退となったことにLはへこむ。 明日は4:45頃出発を目指したいが今回のメンバーは早起きが苦でないらしく、のんびりした人が多いので3起き4:45出発ということになった。

8/7() 5時台晴れ&風弱い、6時台霧&風強い、78時台晴れ&風弱い、9時から雨、11時から大雨&強風
茶臼小屋0451~横窪沢分岐0512(0541たるみ&橋口荷物抜き⑬0554)~奇岩竹内門0625(0651たるみ⑩0701)~上河内岳の肩0706(0718地図読み③0721)~南岳0737(0755たるみ⑨0804)~岩頭0809~聖沢分岐0853~聖平小屋0856
 1分間スピーチは蘭組になりたかった梅組武井の話。 4:45ではまだ暗かったので少し遅れて出発。 今日の天気は午後から大荒れの予報なのでなるべく早く聖平小屋に着きたい。 橋口はやはり辛そうで、ペースを上げるためにも早めに荷物を抜く。 奇岩竹内門は名前通り道が2つの変な形の巨岩に挟まれるところ。 2p目は霧が出て風も強く、このままだと限界上行動できなくなりそうだったが、3p目には持ち直し、上河内岳のOR5はカットして雨が降る前に聖平小屋に着いた。 
聖岳を望む(左奥ののっぺりした山が聖岳)
 受付をしている間に雨が降り始めてしまい、半年前に買ったばかりのテントにも次第に浸水してくる。 今後台風が接近するので明日は停滞することが確定的で、明日の日中まで大雨が続きそうなのだが浸水が心配である。 夕方、橋口が濡れたテントで寝て体調を悪くするといけないので小屋泊したいということを申し出た。 Lは現時点で体調が悪いのではなく予防のためだと思ったので、いいよとだけ伝え自分はそのままテントにいた。 しばらくしてLは小屋に呼び出され、「体調が悪い人を単独で行動させるな。 こちらも対応に困る」というようなお叱りを受けた。 全くその通りであるが、こちらとしては橋口の体調がそんなに悪いとは思っておらず、ましてや小屋にそれを訴えるとは思っていなかった。 小屋には看護師の方もいて、簡単な検査をしてもらったようで、血中酸素濃度が正常値95以上のところ80代前半と低く、脈拍も100を超えているということだった。 喘息の発作の前兆かもしれないらしい。 明日はどっちみち停滞なので明後日ER1下山になりそう。 小屋の主人は非常に良い人で、こちらの話も聞いてもらううちに分かってもらえたようで、最終的に笑顔も見せてくれた。 Lはテントに戻り、19時頃就寝。

8/8() 終日強風、午前大雨、午後次第に弱まるが止まず
聖平小屋17301733聖沢分岐1736~聖平小屋1739
今日は停滞なのでゆっくり6時前くらいからサイトをする。 橋口は早朝に検査してもらったところ血中酸素濃度は79まで悪化していた。 6時頃Lが様子を見に行った際再び測ってもらうと血中酸素濃度88、脈拍106だった。 本人に話を聞くと夜仰向けで寝ていると息苦しかったという。 今日1日は小屋で様子を見てもらい、今夜も小屋泊させてもらえることになった。 雨は相変わらず強く、他のメンバーも小屋に来て良いということだったのでお言葉に甘える。 一昨日すれ違った信州大学の隊も我々と同じく聖平小屋でテントを張っていて、小屋内で我々も混ざって大富豪をした。 午後、小屋の主人が伝えてくれた情報ではER1の途中で道が崩れていて明日の朝直す予定、また、静岡から畑薙ダムへ至る道も崩れていて静岡~畑薙のバスは運休中とのことだった。 夕方雨が弱くなったのを見計らって豊島、田嶋、Lでヤマテンを見に稜線まで上がるが霧が出ていたため電波は入らなかった。 橋口は停滞中に徐々に回復したようで、18時には体を動かすのが楽になったと言っていた。 体調的にも天候的にも明日には行動出来そうなので明日ER1で下り我々は椹島へ、橋口はバスを乗り継ぎ帰ることにする。 その後の我々の予定としては8/10に椹島からER2で赤石小屋、8/11に本ルートに復帰し荒川小屋、そこから本来の予定より2日遅れで進んでいくという方針である。 18時過ぎ、小屋泊していた方で明日我々と同様にER1で下り、畑薙ダムに停めてある車で東京に帰るという方が橋口を乗せて行ってくれるということになった。 橋口以外の6人は再びテントに戻り就寝。

8/9() 晴れ
聖平小屋0533(空身)0535聖沢分岐0548(空身)0550聖平小屋0612~せせらぎ0650(0651たるみ⑩0701)0730岩頭滝見台0735(0752たるみ⑪0803)~乗越0832(0852たるみ⑩0902)~造林小屋跡0905~聖沢吊橋0936(0955たるみ⑩1005)~出会所小屋跡10371057聖沢登山口1312~椹島ロッジ1355
 今朝は登山道の復旧作業を待ってからの出発となるのでゆっくり準備を進める。 一旦電波を取りに再び豊島、島田、Lで稜線まで上がると今度は電波が入り、今日は天気は崩れないという予報を見られた。 橋口の1分間スピーチを聞き、6時過ぎに小屋を出て下りてゆく。 途中2220m付近で昨日の話にあった大崩落の現場に出くわし、小屋の方が復旧作業中だった。 道の上の山腹からごそっと地滑りしたような感じで、本来の道は跡形もなかったが既に仮の道を付けてくれていたためそこを通って先に進む。 岩頭滝見台は道が右に折れるところで左に踏み跡があり、10mほど進むと聖沢対岸に滝が見えた。 造林小屋跡は全く小屋の形跡はないので地形で判断する。 聖沢吊橋を過ぎるとトラバースの道になるが、元々なのか昨日崩れたのか分からないが結構崩れていて、エアリアにある「歩きやすいトラバース道」という印象は受けなかった。 このER1上のピンは聖沢吊橋以外目印に乏しいが、岩頭滝見台と造林小屋跡以外はトップが把握して伝えてくれたので2日目よりは読めているようで嬉しい。 聖沢登山口に着いて、13:00のバスまでしばしくつろぐ。 久しぶりに日が照っているので色々なものを乾かす。 しばらくして橋口を送って下さる方も下りてきて、13:00のバスに橋口が乗るのを見送って我々は椹島へ向かって林道を歩く。 椹島ではテント泊の人でもお風呂に入ることが出来るので久しぶりのお風呂に入る。 もちろん水道やきれいな水洗トイレもあり、下界に下りた気分である。 夕方、豊島が体調が悪いというので熱を測ると37℃台あった。 台風の中テント泊を強行したのが良くなかったか…。 豊島曰く「単独山行なら入山は見送るレベル」らしいので明日はしばらく様子を見ることにする。 Lとしては赤石小屋までは5.8p読みなので朝の内に豊島が回復すれば明日赤石小屋まで行くことも考えていたが他のメンバーは明日は停滞と心を躍らせている模様。 また、浦中が今日の下りで膝に違和感を覚え、田嶋と武井はかかとが靴擦れしている様子。 田嶋のみオカンして就寝。 虫が多くて途中で後悔したらしい。

8/10() 晴れ、山の上の方は雲の中
停滞
豊島は朝になっても微熱があり、やはり今日は停滞することにする。 各自Free Wi-Fiスポットに行ったり大井川の河原に下りてみたり椹島を満喫した。 今日の食料は椹島で調達できるので、合宿のFを使わないこととできれば登山計画書を訂正して提出することを条件に今日は入山予備日扱いということになった。 豊島は夕方には通常の体温に戻ったので明日から行動を再開することにする。

8/11() 未明雨、6時前に止み、6時以降は晴れ一時曇り、14時から断続的に小雨、16時台は強い雨
椹島ロッジ05050553中電基準点0603~樺段0650(0653たるみ⑩0703)0755標柱のある小広場0806(0856たるみ⑩0906)~ボッカ返し0912~小ピーク0932~赤石小屋0954
 3起き5出発。 朝は雨が降っていたが、次第に弱くなり1p目の途中で止む。 中電基準点は地面に「BMNO1」と書かれた石板が埋め込まれている。 また、椹島から赤石小屋までを5分割した道標があり、椹島から登り始めたところに「0/5」ポスト、中電基準点に「1/5」ポストがある。 今朝1分間スピーチを忘れていたので中電基準点で豊島の1分間スピーチ。 高校時代と大学のワンゲルとの違いについて。 樺段には「2/5」ポストがあり廃林道と交差するが林道とは思えないような荒れた道である。 その後2回目に廃林道と交差する地点には「樺段」という看板があるが、『山と高原地図』のピンとしては1回目の方である。 標柱のある小広場のピンには「←赤石小屋120 椹島90分→」という標柱と「3/5」ポストがある。 4/5」ポストはボッカ返しではなくその手前2325pにある。 ボッカ返しには看板があるのでわかりやすい。 小ピークへの急登はエアリア0.6倍で駆け上がる。 赤石小屋には当然「5/5」ポストがある。 赤石小屋近くの沢の水場は夏山シーズン中立入禁止で、代わりに小屋前に水のタンクがある。 最低限の水だけもらうことにする。 テントを張った後午後には雨が降り出し、次第に強まる。 テントの外に出た武井が驚いた声を上げるので何かと思ったらLと田嶋のザックが水たまりに沈んでいた。 迂闊だった。 幸い、2人とも紙類や電子機器の水没などの物的被害は出なかった。 明日は荒川小屋の予定だが、今後も天気に期待できないのでOR8悪沢岳はカットすることにすれば高山裏避難小屋まで進めるのでどちらにするかは当日判断ということにして就寝。

8/12() 朝晴れ、次第にガスが上がってきて8時以降ガスったり晴れたり、15時から雨
赤石小屋05030534富士見平0537(0557たるみ⑨0606)0633砲台型休憩所0634(0639水場⑫0651)0735椹島下降点0739(空身)0753赤石岳0815(空身)0825椹島下降点0831~小赤石の肩0852(0908たるみ⑩0918)~大聖寺平09290958荒川小屋1017~標柱1042(1107たるみ⑩1117)1141荒川分岐1145(空身)1150中岳1205(空身)1209荒川分岐1212~前岳12161258荒川北森林限界1309~荒川北小広場1334(1414水場⑱1432)~高山裏避難小屋1452
 例によって3-5で出発。 上空は晴れているのだが、ガスが静岡県側の山裾から次第に上がってくる。 一般論として「富士見」とつくポイントは何故だか全然富士山が見えないことが多い気がするが、ここの富士見平は眺望がよく、思う存分富士山を拝める。 砲台型休憩所は道の右後ろに飛び出たところにある。 ここから沢沿いを上がっていくが、途中に水場があるはずで、我々は道が沢に近づいて沢との間に植物がなくなったポイントを水場だと判断し水を汲んだが、もう少し登るとちゃんと「水場」と書かれたところがあった。 椹島下降点に荷物を置き空身で赤石岳に向かう途中で雷鳥を見つけた。 
雷鳥(中央の紫の花の右)
 今回7日目にして初の百名山である赤石岳に着くと、長野県側はなんとか眺望があるものの静岡県側は上がってきたガスについに追いつかれ、真っ白である。 山頂には武井の父と弟がいた。 武井本人は知らなかったらしく、驚いていた。 
赤石岳
長野県側
←長野県側  静岡県側→
来た道を戻り椹島下降点から再び本ザックで前進を始める。 稜線上を歩いていると、静岡県側から上がってきたガスがちょうど稜線上で消えるので視界は常に180°である。 しかし小赤石の肩を過ぎる頃にはついに長野県側まで霧が押し寄せ、360°白い世界になってしまった。 この後ガスったり晴れたりが繰り返され、荒川小屋あたりでは結構いい天気だった。 午後は天気が悪くなる予報だが、大きく崩れる前に荒川北森林限界まで下りられるだろうということで高山裏避難小屋まで進むことを決定。 荒川小屋では水汲みだけして出発。 しかしすぐにガスってくる。 標柱のピンには「←荒川小屋30 荒川中岳避難小屋60分→」という標柱が立っている。 標柱の先で高山植物を食害から守るための柵があり、登山者は扉を開けて進む。 この登りで武井がかなり疲れているように見えた。 9日頃から訴えている靴擦れのせいだろうか? 田嶋もかかとの靴擦れだから上りが辛いと言っていた。 荒川分岐からは中岳まで空身でピストンすることにする。 全員に行きたいか聞くと武井が「走らないなら」と言う。 もちろん走らないので全員で中岳に行く。 中岳は思いっきりガスっていて、悪沢岳がギリギリ見えるか見えないかという感じ。 荒川三山のうち中岳とこれから通る前岳を制覇するのだから実質荒川岳制覇などと痩せ我慢を言っていてもガスがとれる気配がないので戻る。 前岳は山頂より10mくらい下を登山道が通っていて、山頂へピストンする道があるが面倒なのでそのまま通過。 この先は『山と高原地図』で危険マークがついていて、左側が落ちたら数百mは止まれないであろう崖となっている。 怖いが特に難しい道でもないのでそのまま慎重に通過する。 稜線から下りると大きなカール状地形の底を数百m一気に下る道となる。 
カール状地形
 結局ガスってはいるが雨が降ったり雷の音がする前に森林限界下まで降りることができた。 荒川北小広場からのトラバース道は細く、ロープを使うところがあるなど見た目以上に非常に辛かった。 高山裏避難小屋の水場は小屋から往復30分と遠く、宿泊者はその手前の水場で汲んでいくものだという事前情報があったのでその通りにする。 『山と高原地図』で「細い」とあって確かに細い。 また、高山裏避難小屋の()ご主人手書きの「ここで汲んだ方が良い」というような看板もあった。 高山裏避難小屋に着いて受付をしようとしたところで雨が降り始めてしまった。 テント設営の間にも雨は強まり、我々はずぶ濡れになってしまった。 なお、高山裏避難小屋といえばサスケさんというご主人が有名だったが、今年から別の方が主人をしている。 6人になったこともあり燃料が大量に余っているので空焚きをして服を乾かしたりした。 体調に関しては、今日の荒川→高山裏の下りで豊島が膝に違和感を覚えたという。 他浦中の膝は問題なく、田嶋や武井の靴擦れは相変わらずである。
8/13() 霧ときどき晴れ、10時以降時々雨がパラつく
高山裏避難小屋0502(0549たるみ⑩0559)~板屋岳0612~瀬戸沢ノ頭0641(0650たるみ⑪0701)0752小河内南森林限界0802~小河内岳0833(0851たるみ⑩0901)~前小河内岳09180953烏帽子岳10031027水場への分岐10301035水場10441050水場への分岐1053~三伏峠小屋1058
 恒例の3-5出発。 朝からガスっているが雨は降っていない。 瀬戸沢ノ頭のあたりは霧が濃いこともあり道を見失いそうになるが、まっすぐ稜線を進むと続きの道が見えた。 その後も視界の悪い面白くない稜線歩きが続き、デポの時に出会った三伏峠小屋の印象的な小屋受付の方(暇さえあればシャカシャカコツコツと鳴る何らかの楽器を演奏していた)との再会をモチベーションに小河内岳、烏帽子岳を通過していく。 三伏峠小屋の水場は小屋に着く手前にあるので先に水を汲んでから小屋に向かう。 この辺りの地形図の道が色々おかしいので『山と高原地図』の三伏峠周辺の拡大図を参考にした方が良い。 小屋に着き、例の受付の人(1ヶ月の間にヒゲを伸ばしていた)とも再会し、デポ品を回収する。 橋口のデポ品およびダンボール箱の破片を分担した後サイトを開始。 今後天気も悪いし早く下りたいというムードが漂っており、三伏峠を出た後は予定上4日だがそのまま行っても宿泊場所をずらせば3日で行けるし農鳥をカットすれば2日で行けるということでいずれにしろ4日はかけないことになった。 また、三伏峠からは読みで10.6pを歩かないと次のテン場に着かないため、明日は停滞して体力を回復させることにした。 以上を踏まえて、なるべく軽い荷物で明後日以降の行動を始めたいということで今日も明日も昼サイトを実施、13食ガッツリ食べることになった。 昼サイトが終わった所でまた1分間スピーチを忘れていたことを思い出し、武井が山の中でのご飯が少しずつ食べられるようになってきたという話をしてくれた。 そして夜サイトに突入、なんとか食べて就寝。

8/14() 晴れときどき霧
三伏峠小屋09060916水場09290934水場への分岐09350936お花畑09460947水場への分岐0948~三伏峠小屋0953
 昨日のサイト地獄から一夜、起きてもサイト地獄である。 久しぶりの晴れなので水汲みついでに水場への分岐から本ルートを1分戻った所(『山と高原地図』で道が南から東へ曲がるところ)まで足を伸ばし昨日見られなかった景色を堪能する。 水汲みから戻れば昼サイトが待っている。 午後もたまに霧は出るが基本的にいい天気である。 午後、Lは例の小屋の人の鳴らしている楽器が何なのかGoogle先生に聞いたところ、「アサラト」もしくはその日本版である「パチカ」であろうということが判明した。 夜もきっちりサイトをし、就寝。

8/15() 出発時霧、6時台から雨
三伏峠小屋0503~三伏コル0536(0554たるみ⑩0604)~本谷山0612(0625雨具を着る②0627)~権右衛門巻道入口0646(0655たるみ⑨0704)~権右衛門ゴーロ07150744塩見小屋08000904塩見岳0919~北俣岳分岐0948(1009たるみ⑪1020)~肩の広場1037~北荒川岳1105(1112たるみ⑨1121)1211新蛇抜山1221~竜尾見晴1236(1311たるみ⑩1321)~熊ノ平小屋1359
 いつもの3-5であるが、朝の段階で一昨日からの食べ過ぎにより豊島と武井がリバース、島田とLは腹を壊していた。 様子を見つつ出発する。 1p目はガスっているだけだったが2p目途中で雨が降り始め、雨具を着るために少し止まる。 権右衛門山を巻き、塩見へ登るがこの途中で武井が足をひねってしまう。 とりあえず大事ではなさそうなので進む。 塩見手前にはエアリア危険マークがついているが、普通の岩場という印象で、濡れていても特段恐怖は感じなかった。 下りでも大丈夫だと思う。 双耳峰である塩見岳は西峰がメインピークだが、百名山らしからぬ小さな標柱が1本あるだけで、周囲は東峰も見えないほど真っ白、雨も降っている状況なので手早く自撮りだけする。 北俣岳分岐はピョコを下りきったところにあり、文字のかすれた道標が立っている。 肩の広場には広場らしい広場がないので読図能力が要求される。 トップは通過してしまった。 また、その先で古い小さな小屋が見えたところで一瞬道を見失ったが、正しい道はザレた斜面を直登し稜線に出るルートである。 北荒川岳を過ぎて雨の森を歩いていくと新蛇抜山だが、ここの道は山頂を通らず、山頂へ向かうピストンの道があるが相変わらず視界がないので寄らずに進む。 竜尾見晴から熊ノ平小屋まですごく長く感じられた。 また地形図にある稜線上の道との分岐は分からずそのまま熊ノ平小屋方面に入っていった。 小屋に着いても依然雨は降り続いており、Lはまた風邪をひいて欲しくないので小屋泊もありなんじゃないかと言うと賛同を得られたので小屋泊にする。 小屋は空いていて、食堂でサイトをしていいとのことだったので有り難くそうさせて頂く。 また、釜で火を焚いている上で濡れたものを乾かしていいとのことなので乾かす。 明日も天気は悪く、一日も早く下りたいという気持ちがひしひしと伝わってくるので農鳥はカット、ER6を使い読み11pほどあるが一気に広河原を目指すことになった。

8/16() 基本的に雨、ときどき止む。13時以降ほぼ止み、ときどきパラつく
熊ノ平小屋0515~三国平0549(0605たるみ⑩0615)0650三峰岳0651(0706たるみ⑨0715)0744間ノ岳0758~中白根山08440907北岳山荘09261016吊尾根分岐10261045北岳1055~両俣小屋分岐11101120北岳肩ノ小屋1133~小太郎尾根分岐1151(1223たるみ⑩1233)~白根御池小屋1302(1323たるみ⑩1333)(1413たるみ⑩1423)~白根御池小屋分岐1441(1455広河原山荘1548)~広河原1552
 お決まりの3-5だが小屋泊である今日がなぜか一番出発が遅くなった。 なお、ここまで3-5をしている間も1年会のサイトが遅いことはなく、その気になれば4時撤収も可能な時間には食べられている。 今日は1p目から雨で、もはや間ノ岳にも北岳にも誰も何も期待していない。 完全に広河原がモチベーションである。 三国平を過ぎ、静岡長野山梨の三県境である三峰岳を通過。 ハイペースで上り続け間ノ岳に着くももちろん眺望は悪く、写真だけ撮って寒いからさっさと下りたいとの声が上がり、さっさと下りる。 
間ノ岳
 中白根山は現地では中白峰山と書かれていた。 雨を凌ぎたいということで北岳山荘までロングピッチを切ってみるが、北岳山荘には雨を凌げるような場所が無く、普通に雨の中のたるみとなった。 北岳山荘手前から二重稜線となり道がはっきりしないが、どこを進んでも北岳山荘には辿りつけるのであまり気にしなくて良い。 北岳山荘から吊尾根分岐までの上りは『山と高原地図』危険マークがついているが、ここもハシゴ等あるものの鎖場はなく、特に危険は感じなかった。 また、『山と高原地図』にはいくつも登山道があると書いてあり、確かに進行方向の斜め右後ろに分かれていくような道が何個かあったが、それらの入口には全て通せんぼがしてあって、普通に歩いていれば正解の道を進めるようになっている。 吊尾根分岐を過ぎて、いよいよ北岳に登ると山頂は30人くらいのツアー客で溢れ返っていた。 大きな「北岳3193m」という看板もあるが写真待ちの列が長いのでその横のショボい標柱で撮る。 
北岳
眺望もなくすることもないのですぐに下りる。 北岳肩ノ小屋を過ぎて、小太郎尾根分岐ではOR10に後ろ髪をひかれながらもそのまま下りる(Lは計画段階からOR10小太郎山に並々ならぬ熱意を抱いていた) 小太郎尾根分岐から約100m下りると二俣方面の右俣コースと白根御池方面の草スベリコースがあり、今回は一番早く広河原に下りられる草スベリコースを本ルートにとっているのでそちらを進む。 道は大きめの石がゴロゴロ埋まっている土の道で、細いウォータースライダーと化している。 右俣との分岐から程なくして樹林帯に入り、延々と下りが続く。 白根御池まで下りるとしばらくトラバースの道となり、たまに現れるわずかな上りに文句をつけながら進む。 再び急な下りが始まって、これが辛い。 やっと白根御池小屋分岐まで下りると大樺沢に沿った道となるが沢からは離れているので増水していても問題はない。 広河原山荘を過ぎるとすぐに吊橋が現れ、それを渡れば広河原である。 広河原からはタクシーで甲府に向かう。 途中天笑閣という温泉に入り、甲府の駅ビル内の中華料理屋で反省会&打ち上げをして解散。 お盆最終日だったが鈍行はさほど混んでいなかった。

まとめ

 今年は東京で8/18/21まで連続で雨が降るなど全国的に天気が優れなかったが、南アルプスも例に漏れず雨続きだった。 予定していた百名山が7つ、うち行けたのが4つ、赤石のみ辛くも勝利という感じで残りの塩見、間ノ岳、北岳は完敗だった。 途中橋口の分離下山もあり、豊島も体調を崩し、靴擦れを起こすメンバーもいる中、全員が無事に帰ることができて本当に良かった。

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