GW残雪企画 飯豊連峰

近年のワンゲルの冬山面子は山スキー派が多く、GWといえば山スキーでした。もちろん私も山スキーが大好きなのですが、たまには歩きでドデカい山々を縦走してみようと思い企画しました。全行程晴れて、短くも楽しいGWを堪能してきました。
御西小屋から見た朝焼けの大日岳



残雪企画 飯豊連峰
記録・企画 中津
参加者:4村田 3H梅宮 久保 L中津 2F勝木 EW幕内



4/23のヤマレコで三国岳直下の剣ヶ峰に雪がかなりついた記録を見てしまい、出発前日(5/1)に安全をとってER1(弥平四郎)からの入山を決める。


5/2(火) アプローチの日(途中まで) 晴れ
(三年会)本郷部室19:55~根津20:05=白河23:27▲0
三年会は新人錬成の審議をやってから出発する。最寄り駅が遠く、授業もあったので、今日は出来るだけ近づいておいて明日の始発でさらにアプローチする予定。18時くらいにすでに出発していたEの幕内から漏斗のリーチの願いがあるが、そもそも本郷部室にない。アプローチ中に調達を試みるそう。審議は何とか時間通りに終了し、三年会の3人は急いで根津駅へ。今日は三年会+勝木が白河駅、村田さんが郡山、幕内が喜多方まで進んだ。水曜から金曜までずっと晴れの予報なのでうきうきしつつ駅カン。


5/3(水) アプローチ続き+ひたすら登り 快晴


白河6:13=8:43山都8:50=(タクシー)=9:50弥平四郎10:03~10:54(たるみ)11:04~弥平四郎登山口11:16~11:58 900m付近(たるみ)12:09~1082p 12:40~13:00 1100m付近(たるみ 勝木の指から血)13:14~(アイピケ着5 分)~13:48上ノ越(アイピケ脱)13:53~14:16(たるみ)14:27~15:10(長だるみ 幕内回復させる)15:38~15:50巻岩山(ハッスル写真)15:58~16:28疣岩山(たるみ ハッスル写真)16:52~17:35三国岳▲1

 白河駅の始発の前に起きるために5時に起きる。寝不足気味。幕内は漏斗調達に失敗したとの報告を受けるが、ペットボトルを輪切りにして代用するらしい。プラティパには入れづらいだろうが、なかなか頭がいい。郡山で村田さんと合流。東長原~広田あたりで飯豊連峰が見える。想像以上にデカくてカッコいい。青空に映える。Lは勝手にテンションが上がる。山都駅では先日予約しようとして断られた山都タクシーの運ちゃんがたむろしていた。快く受け入れてくれた会津タクシーのジャンタクを待つ。会津タクシーの運転手は弥平四郎に行ったことはないらしく、途中地図を見ながら行っていた。タクシーの中で隊の装備確認をすると、村田さんはベニヤ・テーピング、久保と幕内がナイフを忘れたとのこと。忘れ物が多い。ナイフはLが常に2本持っているし、雪崩が起こりそうなところに幕営することはほぼなく、小屋もたくさんあるので、問題ないとする。タクシーの中で入山連絡を入れる。弥平四郎のゲートは開いていたが、途中の林道にまだまだ雪が残っていたので、ゲートをほんの少し過ぎたところで降ろしてもらう。タクシーの運ちゃんによると、遠目に見て今年の飯豊は雪が多いと感じるそうだ。期待大。かなり暑いので、みんな毛下一枚で出発する。道には雪がまばらに残る。沢沿いの林道を歩く。上に行くにつれて、雪が多くなる。始めのたるみで暑くて久保と幕内が上裸になっていた。
弥平四郎登山口
登山口から尾根の取り付きは分かりにくい。結局道らしい道がなかったので、藪を漕いで無理矢理取り付く。尾根上は雪はついておらず、程なくして夏道っぽいのに合流する。虫がうざい。ここからこの山行では、夏道と雪道がめまぐるしく入れ替わる。幕内は1ヶ月ぶりの山行ということもあってかつらそう。1082pあたりは気持ちのいいなだらかな雪道。1100mあたりでたるんでいると、勝木の指からなぜか血がでたので処置してもらう。竹竿で切ったのだろう。上の越の稜線直下は少し急だったのでアイピケに切り替える。また、上の越の稜線の雪庇がこちら側(南側)に張り出している。雪庇のない左側(西側)からうまく取り付くことにする。しかし雪庇の下で幕内のアイゼンが外れてしまう。幕内死亡。厳重注意。稜線上は夏道がほとんどでている。途中、南側にドデカい雪のブロックが転がっている。恐ろしい。快調に進むかと思われたが、幕内のペースがなんとも上がらない。また、かなり暑かったので、水の減りも早く、隊の水はなくなりかけていた。巻岩山の手前で幕内の回復も兼ねて長めにたるむことにする。今はやりの行動食のフルグラだけでは塩分を摂取できないので、F装の塩もだしてもらう。さらに、水不足解消のため、空ポリに雪を入れ、そこにテルモスの熱い紅茶とカルピスを注ぎ込んで解かそうと試みる。幕内も元気になってきたのでまた出発する。巻岩山の登りは雪がかなりついている。気持ちのいい登り。巻岩山頂上の展望は最高で、大日岳・飯豊山への視界を遮るものは全くない。
巻岩山からみた飯豊、大日
弥平四郎から入山して正解だった。あまりにも気持ちがよく、暖かいので、「ハッスル」(上裸)で写真を撮る。特に久保がノリノリ。ただ、少し写真がぼやけていたようなので、少し進んだ疣岩山でたるんでいたときも、もう一度ハッスル。このときは風が少しあって久保以外は寒がっていた。また、前のたるみで仕込んでおいたテルモスと雪を入れたポリがいい感じに解けて、シャーベット状になっていた。水不足も解消。三国岳直下には雪庇が張り出していて、左側から巻いた。三国岳に着いたのは日の入り一時間前で、快晴のGWということもあり三国小屋は人でいっぱいだった。そんなところで今から長々とサイトと水づくりをするのも気を遣うので、小屋の前で無理矢理整地してテントを張ることにする。そうこうしていると、一人の男性が話しかけてきてくださり、よく話すとTWVのOB白濱さん(2008卒)だった。特徴的な竹竿で東大ワンゲルだと分かったらしい。単独で来ていて、我々と同じように弥平四郎から登ってきていたらしい。沢に関していろいろとアドバイスしてくださったことのお礼を言えなかったのが心残り。
三国小屋の前に無理矢理張りました


今晩はシチュー。うまい。今日水不足になった反省もあって、予定より水を多めに作ることにする。テントの中ということで、周りを気にせず談笑しながら大量の水づくりをこなし、シュラフに入れたのは10時過ぎだった。それでも、明日の行程は長いので予定通り34半とする。寝不足の日が続く。


5/4(木) お疲れの隊、行程縮める 晴れ
起床3:00-撤収3:50-出発4:41~七森5:35~5:40(たるみ)5:50~種蒔山6:07~切合小屋6:23~6:54草履塚(たるみ)7:07~(アイピケ脱5分)~御秘所7:27~8:03(たるみ)8:14~本山小屋8:31~8:46飯豊本山(長だるみ 写真)9:11~10:10御西小屋(たるみ sub装づくり 中津キジ 梅宮股擦れ処置)10:48~11:44(たるみ)11;56~12:23大日岳(長だるみ モス)12:43~13:53御西小屋▲2

 朝はCHP。いつも通り濃くてうまい。今日も朝から天気は最高。4:30には出発準備は出来ていたが、勝木が気持ち悪いらしく、トイレに行かせる。問題なく歩けそうなので出発。雪は締まっているのでアイピケで行く。
雪壁、意外と怖い
鎖場との情報があった箇所は、雪がびっちりついていて、雪壁となっていた。トレースもあったので、直登することにする。蹴りこんで足場を作りながら、一人ずつ慎重に登る。少し時間を喰う。地図上の七森の黒ピンが間違っていた。正しくは1719pが七森。七森はうっすら夏道が出ていたのでそれに従い左から巻く。種蒔山、切合小屋を素通りして進む。切合小屋はかなり埋まっていた気がする。草履塚の登りでは、幕内がまたもやつらそう。一方久保は晴れていて調子がいいのかトップの前に出てしまう。注意する。確かに気持ちのいい登りだったが。草履塚でたるんだ後ほんの少し行くと、この先はずっと夏道が出ているようだったので、アイピケを外して進む。雪が完全に解けていたので、御秘所付近の岩場も全く問題ない。本山小屋を素通りして、飯豊本山に着く。正直ここまで夏道が2p続き、今山行のメインピークに着くもあまりテンションはあがらなかった。なので、テルモスは大日岳で出すことにする。この区間は特筆すべきこともない。
飯豊本山にて集合写真
飯豊山ではブナの会の一行と話をする。写真を撮ってもらい、出発。ここから風が少し強くなってくる(が、晴れている)。御西小屋まではだだっ広い尾根。ただ視界がよいので迷いようがない。このあたりから、隊の元気がなくなってくる。寝不足がここにきて影響したのか。いくら行動食を食べてもシャリバテのような状態が続き、やたらと眠い。さらにLは腹の調子も良くない(何度かキジ打ちに行くハメになる)。御西小屋でsub装を作り、とりあえず大日岳はピストンして、隊の様子を見てからどこに泊まるか決めることにする。また、梅宮は股擦れが発症。処置していた。大日岳は直下が急だという情報があり、また実際見ても急そうだったので、途中のたるみでアイピケに切り替える。みんなお疲れのご様子。久保は元気だったようだが。
飯豊連峰最高峰大日岳直下、急だな~


大日直下は登ってみると、晴れた日の午後ということもあり、ステップが切りやすい雪質。さらにトレースがしっかりついている。風が強く、バランスを崩しそうになることもあったが、確実に歩けば問題ない。ただ、クラストしていたら怖いだろう。大日岳の頂上は雪が飛んでいた。モスるが、みんな眠そう。風が強い中、写真を撮って帰る。帰りの隊の歩きを見ていると、勝木と久保は問題なさそうだが、幕内や梅宮はなんだか元気なさそうで、ふらふらしている。梅宮はよくクラックにはまる。久保は前進したがっていたようだが、こんな調子で前に進んでも危険なだけなので、今日は御西小屋に泊まると決める。御西小屋は一階が完全に埋まっていて、二階からしか入れない。後から続々と人が入ってくる。いいタイミングでいい場所を陣取れた。今日の晩飯は豚汁だった。Lが持ってきた高野豆腐が変な味がして不味く、全体として残念なFになってしまった。申し訳ありません…。また、幕内は未だにWがとれていないので、天図を取る。電波が入るので答え合わせすると、高気圧と低気圧を間違えていた。再履修確定。予備日を使わずに朳差岳を切って降りる、または明日朳差岳をピストンして予備日を使って降りる、の2パターンを考えていたが、明日の天気は良く明後日は微妙なので、前者になりそうだ。水づくりの後、楽しく宴会をする。村田さんはウイスキー、梅宮はウインナーとハム、久保は三月合宿でも好評だった味噌煮の魚、Lはポテチを差し入れた。なかなか充実した宴会だった。明日は3半半(3:15のこと)4半として19時過ぎには就寝。今日はいっぱい寝られる。


5/5(金) 朳差岳は諦め、長い下山 晴れ
起床3:20-出発4:43~天狗岳4:53~5:37(たるみ 勝木靴擦れ処置)6:04~7:00烏帽子岳(たるみ 写真)7:18~梅花皮岳7:41~(アイゼン脱7分)~8:10梅花皮小屋~(アイゼン着6分)~8:45北股岳(長だるみ モス 写真)9:19~10:10門内岳(たるみ)10:22~11:09地神山(たるみ)11:20~地神北峰11:30~頼母木山11:48~12:09 1600m付近(たるみ 写真)12:23~1184p13:08~13:16(たるみ)13:27~1087p13:42~西俣ノ峰13:59~(10分イモ)~14:12西俣ノ峰直下(たるみアイゼン着)14:29~15:21(たるみ)15:33~梅花皮荘16:30

 朝勝木の起床コールが5分遅れる。朝はパスタで、ソースを別にかけるので味も三種類用意されていた。
朝だー
キジ打ちとか色々待っていたら、またもや出発が遅れる。朝の雪は締まっているのでアイピケで行く。天狗岳周辺は記録通りクラックが多い。はまらないように。また、烏帽子岳まで東側は雪西側は笹となっていて、雪の上を進む。勝木は靴擦れが痛いらしく、つらそう。最初のたるみで処置していた。大日岳の眺望がいいので、烏帽子岳で写真。久保だけハッスル。烏帽子岳を出発して程なく、久保のアイゼンが外れる。久保死亡。本人もショックを受けていた。梅花皮岳の登りは途中夏道が出ていたが、強引にアイピケで行った。直下は雪がある。梅花皮岳からほんの少し行くとまた夏道がつづいていそう。さすがにアイピケ外す。梅花皮小屋は素通り。雪は完全になかった。小屋でたるんで石転び沢をじっくり見ていけばよかったと後で後悔。北股岳の登りの途中でまた雪がついている。急であるとの事前情報なので、一応アイピケに切り替える。
北股岳直下、快晴の青空と白銀の雪とのコントラストが最高
幕内がまたもやペースが遅い。さらに後ろから猛烈に追い上げてくる一行が。思ったよりも危険な斜度でもなかったので、トレも兼ねて幕内を急かせる。が、結局追い付かれた。北股岳はえぶり差岳に行かないならメインピークとなるので、モスる。さっきの速かった一行が色々と話し掛けてくださるが、よくよく聞いてみると山岳警備隊らしい。山岳ガイドっぽいと思ったらそういうことか。我々の登山計画書も見ていたようで、昨日梅花皮岳で待っていたらしい。また、彼らによると、このあたりだと蒜場山~大日岳の稜線、門内岳の西の稜線がおすすめらしい。蒜場~大日間は烏帽子山(烏帽子岳とは違う)という岳人選定のマイナー12名山の一つがあるとは聞いていたので、いつかは行ってみたいものだ。さらに、アイゼンはこんな感じの残雪の雪だと意味がないとの助言を頂く。確かにあまり効いていないとは感じていたが、少しは効果があると信じて使っていたのだが…。要議論。とりあえず、ここからは夏道が付いているので、助言通りアイゼンは外して、ピッケルのみで進むことにする。梅花皮岳~頼母木山までは夏道がでているが、尾根の西側の雪上を歩くことができる箇所もあった。適宜行きやすい方を選びつつ進む。頼母木山から西俣ノ峰へと続く尾根への取り付きは視界がいいので簡単。始めは笹藪の繁茂した道を進む。赤布があるので迷うことはない。
久しぶりに藪漕ぎして~
懐かしい藪の臭いがして、Lは早く藪にも行きたくなった。藪道は程なくして終わり、朳差岳の眺望がよい場所でたるむ。
朳差バックで、ひとりだけハッスル

朳差バックで写真(久保ハッスル)。朳差岳は見た目がかなり格好良かった(語彙力不足)。さすが200名山に選ばれるだけのことはある。行ってみたかった…。この先は雪道と夏道がミックス。めまぐるしく入れ替わる。ただ、アップダウンはあまりないので歩きやすい。眺望も悪くない。快調に進む。幕内が途中の1184pを西俣ノ峰と勘違いしていた。地図読みしっかりしましょう…。読みより少し早く西俣ノ峰に到着。東の尾根に乗る。ここから少し急。快調に降りていると思っていたら、トップの幕内が止まる。どうやら降りる尾根を途中で間違えていたようだ。Lを始め、皆気付いていなかった。気が抜けていた。反省。登り返す。ルートを間違えたときは頭を冷やすためにたるんだ方がいい、との村田さんの助言もあってたるむ。Lは感じていなかったが、トップを始め隊の皆は、思ったよりも下りが急で、アイゼンがあったほうが安心との考え。アイゼンをつけなくてもこのザクザクな雪質なら危険ではないとは思ったが、付けたからといって危険になるとは感じなかったので渋々アイピケに切り替える。結果としてはあまり必要だとはかんじない下りだったが、万一のことを考えて付けるのは悪い判断ではなかったと思う。夏道が出てきたところでアイゼンを外す。ここからの下りはもう残雪の山といった感じではない。夏道が完全にでていて、木々も青々としているし、さらに暑い。さながら夏山。尾根の角度が変わったあたりから、さらに急な下りとなる。ゴール間近にロープが付きのちょっとした岩場あり。勝木は慎重に降りていた。やっと林道に出る。梅花皮荘までは歩いて10分程度だったが、勝木は完全に果ててしまって、歩きがおじいちゃんの様。お疲れさん。下山連絡を入れ、梅花皮荘でフロ・ハイル。終バスには間に合わなかったので、梅花皮荘で蕎麦を買って向かいの広場の東屋の近くでテントを張ってサイト&宴会。蕎麦が絶望的にまずかったが、楽しい夜だった。(5/6)次の朝7:31のバスで小国駅に行き、米沢の喫茶店やまびこで打ち上げ。物足りない勝木以外でさらにラーメンを食う。東京に帰ったのは19時過ぎだった。



まとめ
ひたすら晴れたので、寝不足で体調が優れないながらも今回本ルートは完遂できた。ただ、ERを取ろうとしても難易度の高いコースが多い(ダイグラ尾根、石転び沢など)ためMaxが深くならざるを得なかった。荒天の場合は素直に引き返すべきであろう。ただ、いつものワンゲルの雪山山行ではなかなかない山深さとスケールの大きな山々の眺望を存分に味わえた。朳差岳や烏帽子山はまたいつか行ってみたい。

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