2020年4月11日土曜日

【個人山行】丸山岳(敗退)

コロナ渦の出口は見えない。一体いつになったら活動再開できるのか...

その中にあって、自分を錬えるのは自分しかいない。マイナー12名山の一角、丸山岳に山スキー単独行で挑んだ。悪天に見舞われ、結果は主稜線にすらのれないという惨敗だったが、恥も晒せばせめて自分の糧になるかなと思うので、僭越ながら山行記録を載せさせていただく。山行の概要は以下の通り。
記・西田賢(2020年5月5日)
記録写真はない。せめて概念図をば...

山域:福島県丸山岳
行程:窓明山登山口⇄窓明山山頂直下
(計画では窓明山登山口⇄窓明山⇄坪入山⇄梵天岳⇄丸山岳)
日程:2020年4月10日〜11日(計画では10日〜12日)
メンバー:2年会西田(単独)
山行形態:雪山スキー登山

4/10(金)

窓明山登山口7:36-(タルミ17分)-9:17巽沢山-(タルミ10分)-10:44家向山西峰-(タルミ10分)-12:16 1583m 13:28-14:46 1436m1

実家から車で登山口まで送ってもらう。塩原から檜枝岐までの道は今シーズンだけで何度も通っている道だか、かなり雪が降っている。塩原のあたりから降り始め館岩で早くも5cmは積もっている。昨日までは全く雪はなかったのに、未明から一気に降っているらしい。SCWによれば丸山岳山域は今日1日中雨雲がかかっている。ピンポイントでここにだけ雲がかかり続ける様子を見て何か呪いじみたものを感じた。浦中さんに送ってもらったヤマテンの予報によれば、近くの燧ヶ岳で終日風速20m。うーん、悪天引きの運命を背負ってしまったのかもしない。三岩岳登山口には道路脇に車を止めるスペースがあるのでそこで下ろしてもらい、下平さんと全体ラインに入山連絡を入れる。雪はついているがスキーが使えるほどはないのでトラーゲンを組んで出発。3分ほど歩いて窓明山登山口。巽沢山までの夏道の1050mまでは細尾根の急登で、雪がしっかりついていたとしてもスキーでは上がれないし、降りられもしない。軽量化はしたが相当重い荷物を背負って、急な夏道を兼用靴で登るのは予想以上に辛い。雪の下に隠れた落ち葉や木の根を踏んで何度も滑った。1070mの斜度が緩んだところで、タルミ兼トラーゲン解除してシールをつける。巽沢山は山名標を探すこともなく通過。ここまで読み75分のところ90分かかってしまった。今山行は読みがシビアで、初日の自分のペースと読みを照らし合わせて丸山岳が打てるかが決まるので多少焦るが、兼用靴歩行で時間がかかったしまあ許容範囲かな。家向山に向かい夏道が折れる1460mからは前情報通り大きな雪庇が出ているが、まだまだ崩れそうにはないし、雪庇を乗り越えなければいけないということもない。ここまでの登りもこれ以降も、トレースも人影も一切なし、雪質はこれまでの積雪が溶けてシャーベット状になり凍りかけたもの、その上に今日の未明に降った新雪が10〜25cm程度重なっている感じ。雪の量は十分多い。ふわふわの新雪なのでラッセルも速度急減はしないし1歩1歩が苦痛になるわけではないが、普段隊全体でやっていることを全て自分でやらなければならないのだから、気づかぬうちに疲労は溜まってくる。また、この辺りから風を感じるようになった気がする。家向山西峰までは読み75のところ77分、まあ良し。西峰通過後、強風と地吹雪に耐えきれず目出帽ゴーグルにし、ついでにタルミ。ここは視界はあるが限界上はヤバそう。コルまではシール滑走。西峰以降は尾根北側は樹林と藪、南側はところどころ雪庇が発達していて注意が必要だが、無樹林無藪で歩行や滑走がしやすい。コル以降は藪が少なく樹木もまばらで(今回は新雪というのもあり)ツリーランとしては最高の場所。ただ吹雪のためそんなテンションにはなれないのが残念。樹木はどんどんまばらになり強風と空からの雪と巻き上げられた氷の粒とが直撃する。森林限界は1550mと言ったところか。尾根の南側の谷に降りるところは無樹木の大斜面で、雪崩の心配なく滑り降りられたならめちゃくちゃ楽しそう。けどやっぱりそれどころではない。この悪天と進退判断に迷いながら進んだため、とても進みが遅く感じた。1583mに着いたところで、いいかげん進退判断を決める。現時点で風速15mは超えているだろうし、窓明山や主稜線はおろか、そこに向かうはずの稜線すらはっきり見えない。進むのは諦める。方針は、明日を考えて窓明山と坪入山の間のコルまで進みたいので、午後の好転を期待し、15:00まで停滞、好転しない場合は1436m付近のコルまで戻るとし、途中連絡を浦中さんに入れる。風をしのぐため大きめの樹木のツリーホールを整形して2天を立てようとするが風で立たない。そうしてもがいているうちに風はさらに強さを増し、視界も急激になくなってきた。ここに停滞することすら命の危険を感じたので、1436mのコルに降りることを決定しその旨を再度浦中さんに伝える。「落ち着いて、気をつけて」と自分に言い聞かせたが、内心相当不安だったし、それが通常ありえないミスとなって顕著に現れた。
1、コルまで150mほど高度を下げるのに、吹雪の中シールを外すのを嫌がり、シール滑走で行こうとする。途中こけて考え直しシールを外す。1アウト。
2、かろうじて1583mから北東方向に伸びる間違い尾根が見え、確かめもせずにそれを登ってきた尾根だと勘違いし、そっちに滑り始める。80mほど降ってからGPSで明らかな間違いに気づく。2アウト。
3、気づいた地点から1583mを見ると遥か遠くに見える。ここ登り返すのは嫌だな、谷をトラバースで横切って正解尾根にのれないかな、という考えが一瞬だけ頭を過ぎる。3アウト。
いいかげん自分にぶちぎれた。いい加減にしろ、そうやって自分でミスにミスを塗り重ねて遭難事故が起きるんだろ!!お叱りを入れて少し冷静になってから、大人しく板を担いで1583mまで登り返す。そこからコルに慎重に降りる。が、高度を下げても吹雪が弱まらない。これではおそらく家向山西峰を越えてさらに高度を下げても吹雪は弱まらないし、何より西峰を登り返してさらに降ってなんてしていては、さらに体力を奪われる。最悪雪洞ビバークになる可能性を頭に入れつつコルまで降ると、運よく大きな樹木に囲まれ多少風のしのげる小スペースを1436m地点に見つけた。急いでテントを立て、茶飯の代わりに持ってきたインスタント味噌汁を作って飲む。先程のありえないミス3連発を犯しているので、今日これ以上動くことはありえない。よってサイトにする。ジフィーズでひもじいがしょうがない。水作りして明日どうするかを考える。今日のことがあったので直接下山することも考えたが、テントに入って冷静になったので、明日明後日の2日で丸山岳を打って帰れる行程を考える。方針は本ザックは本来の読みの1.1倍、サブザックは0.8倍に読み替え、明日の帰幕リミットは18:00で余裕60分、明後日の下山リミットは16:00で余裕90分。結局明日はここから高幽山まで本ザックで行ってBCを作りサブ装で丸山岳をアタックすることに決めた。読みは12pでギリギリ、帰幕余裕60分を超えて読みから遅れる事態が起こればその時点で丸山岳を打つ目はなくなる。明日は3半5として20:30就寝。


4/11(土)

1 5:20-(タルミ11分)-6:45 1717m撤退点 6:56-(タルミ20分)-8:25家向山西峰8:46-9:24巽沢山9:32-(タルミ9分)-11:01窓明山登山口

朝もジフィーズ。昨日の夜はミスでかなり落ち込んだが、そんな時は寝るのが1番とさっさと寝てしまった。そのおかげか気分は回復している。撤収に時間がかかってしまい、5時すぎて出発。ところが1583mまで来ると昨日に負けないくらいの強風。まあ今日は視界はあるし(時々日が差した)6時台の強風はヤマテンでわかっていたこと。今日はこの後晴れに向かうはずだし、窓明山山頂に着く頃に回復してるといいな、と思いながら進む。が、1650mまで来ると吹雪始めた。吹雪というより地吹雪で視界がなくなる。それでももうちょっと粘りたいと思っていたところで、1700m付近で斜登高をしていたときに新雪の層30cmほどが板状にバカッと割れた。その下はアイスバーン。あっこれ雪崩れるじゃん!撤退を決める。これで丸山岳を打つ目がなくなったので、今日中に下山することにする。シールを外すが、携帯はこの時にぽろっと胸ポケットから落ちて失くしたと思われる。「なんで晴れねぇーんだよ!!」と雲に隠れた山頂に1人で一言ぶちぎれてから撤退する。怒鳴れるなら大丈夫。今回感じたことだが単独行で黙っていてはいけない。昨日と同じミスはしない。今日は限界下は穏やかだった。さっさと1436m付近のコルまで降りて、シールをつけて家向山西峰まで登る。が、最初の数十メートルは斜度があり、藪が濃いので板を担いでツボ足にする。結構時間を食ってしまった。西峰から巽沢山への下りで、今回唯一の山行者に会った。先週に続き三岩岳を目指すらしい。西峰-巽沢山の尾根は雪がついていてスキーの登りには良いが、後半(巽沢山側)は尾根が細く藪も多いため、スキーコントロールができず滑走は危ない。1316mでトラーゲンツボ足に切り替える。さっきの人のトレースをたどる。新雪層の下は相変わらず締まっていて、ツボ足のわりに歩きやすい。巽沢山から登山口までは昨日ついていた雪がだいぶ消えていた。が、ここの急斜面はむしろ下りが怖い。登りと同じツルツル斜面を兼用靴で降るのは相当怖い。設置されていたロープを頼りに1歩1歩めちゃくちゃゆっくり慎重に降る。登山口に着いた時には相当足が疲れていた。読みでは45分となっているが、75分かかった。45分ではとても下れない。登山口から小豆温泉に向かう。地図上で小豆温泉と書かれているところは昔の施設のようで今は閉鎖されている。スノーシェッドを2つ抜けたところにある建物が小豆温泉窓明の湯だ。携帯がないので、ここが閉まっていたら下山連絡どうしようと思っていたが、無事やっていて、親切にして頂いた。下山連絡を入れ、親に迎えを頼んでようやく落ち着けた。

反省

反省すべきことは反省し、学ぶべきことは学んだ。以下、丸山岳への挑戦の一助にしてほしい。

今回とった丸山岳へのルートは、主稜線が細かったり岩場の登攀があったりという危険箇所は特にない。体力勝負になると思う。今回の読みは結構速く読んだつもりだが、それでもMAXは10pを超えており、ワンゲルとして出すには相当強い、少数精鋭の隊で挑戦しないといけない。積雪残雪期に丸山岳を狙うには会津朝日岳から縦走するというのがメジャーなようだが、会津朝日岳-丸山岳の稜線はスキーで高速化できるタイプの稜線ではないと思う(むしろ邪魔になりそう)。2017年度の夏合宿の偵察で袖沢林道の使用は諦めているが、林道部分を登山靴や運動靴で高速化して下ダイゴロシ沢とダイゴロシ沢の間の尾根に取り付くように渡渉できれば(できるかは知らない)、高幽山に直接上がれて、林道も使用価値があるかもしれない。ただしそのようなルートをとった記録はない。もう一つ、黒谷川沿いの林道を高幽沢出会まで車で入って火奴山-梵天岳-丸山岳で打った記録がある。藪で行くにしろ積雪残雪に行くにしろ、このルートが一番楽かもしれない。今回のルートは上述の通り主稜線上は比較的なだらかで、家向山-窓明山もスキーで登ったり滑走したりしやすいので、このルートをとるならやはりスキーがいいかと思う。ただし登山口-家向山がスキーが使えないので大変。主稜線や窓明山-家向山とその左右の斜面はかなりのスキー適地なので、丸山岳を狙わないのであれば、ここら辺の山域をスキー企画として出すのはとても良いと思う。


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