三月合宿 原始ヶ原 (北海道十勝連峰)

2017年度の三月合宿は、北海道十勝連峰の南に位置する原始ヶ原に行ってきました。全区間部内初トレースで不安もありましたが、富良野岳、下ホロカメットク山、大麓山など予定していたピークを全て踏み、充実した三月合宿となりました。
最終日の朝、富良野岳バックに

企画・記録:中津幸輝

参加者 4村田さん 3梅宮 久保 L中津 西山 2 sEsW勝木 E幕内 1 W浦中 FH黒瀬


◇企画段階
 数年ごとに出ているような月並みな三月合宿は嫌だった。避難小屋泊は嫌だった。人の少ない山域に行きたかった。山深いところに行きたかった。雪原歩きをしたかった。積雪期に藪山に行ってみたかった。もう一度北海道に行きたかった。夏合宿でカラカラになったLのモチベを復活させてくれるような、魅力的な山域を探していた。そうして見つけた原始ヶ原。名前にも惹かれた。全ルートが部内冬季初トレースのオリジナルの合宿。資料が少なくて、さらにMaxが深く、幾度も断念しかけたが、北大ワンゲル部・北大山スキー部から資料提供を受けて何とか形にすることができた。


◇アプローチ
3/16() 東京=🚗(車)=青森
 朝10時に本郷部室集合としていたが、前日の慶應ワンゲルとの飲み会の影響もあってか続々と遅刻連絡が。一番遅かった勝木が着いてから局地気象の読み合わせをする。12時頃実習帰りの久保もやってきて全員集合。荷物を村田者と梅宮者に載せる。毎度毎度思うが、ここ最近のワンゲル部員の荷物の積み込み技術は目を見張るものがある。何とかスキー板・ザックを含む9人分の全ての装備を載せ、全員で出発前に第二食堂で昼食。これから2日かけて車で富良野まで行くと改めて思うと、ワンゲル部員は最高にバカらしくて誇らしい。14時頃出発。今日は青森まで。プレツアーに倣って二台の現在地をgoogle mapを使って共有しつつ、高速料金が割り引かれる0時を超え、かつ2:40青森発のフェリーに余裕を持って間に合うような時間になるように、高速を使い始める時間を調整しながら進む。東京青森間はプレツアーで予行演習していたので気分は楽だった。青森のフェリーターミナルに村田車は1:15着、梅車は1:30着。車ごとフェリーに乗る。津軽海峡フェリーを使った。深夜なのにみなテンションが上がっている。
車でフェリーに乗り込む

3/17() 青森=🚢(フェリー)=函館=🚗()=富良野=ベベルイ除雪終了点400m地点▲0
 船内の客室は想像以上に広々としていた。一通り船内を回ってから、仮眠をとる。航行時間は約4時間半。6:10頃、到着すると、またストイックに車を走らせて富良野を目指す。北海道では全て下道を使う。村田車では昼飯に千歳のあじ亭という個人経営の定食屋に寄る。ごはんとみそ汁がおかわり自由なうえに、全定食540円。品数も多く、味もいい。その上、店員も気さくに話しかけてくれるような、アットホームな雰囲気。これから山に行くと言うと、もっと食べるか?コーヒー飲むか?と心の底からの気遣いがいくつも提供される。これで540円。なんだか申し訳なくなるくらい。皆いい気分になって富良野へと向かう。村田車は15時頃富良野駅に到着。明るいうちにベベルイの除雪終了点を偵察しに行く。北側の道路は事前情報の1km手前までしか除雪が入ってなかった。また、西側は最終人家までしか除雪されていない。人家の隣に車をデポするのは忍びないので、北側から入ることにする。また、もう一台の車をデポしておく麓郷も偵察しに行く。噂のアンパンマンショップはやはり異質な雰囲気を醸し出していた。流れている音楽のインパクトが強すぎる。「パンパンパパン、クリームパン、パンパンパパン、クリームパン♪…」。怖い
アンパンマンショップ
それはともかく、その付近の駐車場が広そうだったので、アンパンマンショップに車をデポすることに決める。また、最終人家の佐藤牧場も見ておいた。大麓越えをして、ここに下山したいものだ
。ベベルイに戻ることだけは何としても避けたい。その後富良野駅で梅車と合流して、温泉に行く。明日以降の天気は、4日目の晴れが確定的なこと以外は何とも微妙な感じ。一日目から×◎△△みたいな感じ。優先順位的に富良野岳に行ける可能性は限りなく低いように思える。それでも明日自体は原始ヶ原に行くだけなら問題ない天気なので、予定通りの入山とする。富川製麺所というラーメン屋で入山前最後の下界飯。除雪終了点に向かう。しかし、偵察した西側の道路がLの思っていた道の一つ北側の道だったことが判明したため、もう一度西側を見に行く。そうすると、前情報以上に除雪が進んでいる!結局原始ヶ原登山口看板の西側の道路の標高400m地点まで除雪されていた。そのすぐ手前に車を停めておける十分なスペースもあった。幸先が良い。荷物を下ろした後、二台で麓郷に向かい、梅車を麓郷のアンパンマンショップにデポして、村田車でまたベベルイに戻る。なんだかんだで就寝時間は22時半ごろに。明日は行動が長い予定なので、日の出が5:37くらいだが、5:15出発として就寝。


◇行動記録
3/18() くもりのち晴れ、夜雪 【原始ヶ原アプローチ、富良野岳(F尾根)登頂】
5:36▲0(シール、本ザック)5:47原始ヶ原登山口看板~6:37一の沢右岸(たるみ)6:507:00予定ルートに戻る~7:23カーブミラー~7:30原始ヶ原登山口~7:46 780m(たるみ)7:558:11不動の滝~8:33二の沢~8:58(梅宮スタック10分弱)9:18 1108m尾根下(蒼天の滝)(たるみ)9:3910:29三の沢東湿原北端(たるみ)10:4311:36五ノ沢湿原東端テン場(たるみ、本ザック→sub)12:0212:23 1320m(CT)12:4112:531400m(シールクトー)13:19 1530m(たるみ、skiデポ、クトー→EP)13:4014:19 1760m岩~14:45富良野岳(テルモスたるみ、写真)15:0015:16 1760m岩~15:38 1530 m skiデポ地(たるみ、EP→ski)15:5016:08テン場▲1
 村田車で寝ていたLと村田さんが少し寝坊。そのため、用意していたカップ麺も食えず、さらにLは隊を急かすことができず、結局出発が20分遅れる。申し訳ありません。それでも日の出には間に合って、いざ出発。
出発!
朝は曇り。車から除雪終了点までほんの少し兼用靴で歩いて、スキーに替える。最初は単調な緩やかな登り。
ひたすら歩く
道は木が抜けていて分かりやすい。前富良野っぽい山が見える。プレツアーから感じていたが、一年会が強いおかげで今年の隊は歩くスピードが早い。トップは登り返しを避けるため林道を忠実にいかずに途中道を外れてショートカットを試みる。方針自体はいいのだが、ちゃんとLに報告してほしかった。ショートカットをしたため、一の沢を渡渉しなければならない。しかし、少し巻き気味に登ると赤テープが見つかり、すぐに秋雲橋の東側の
589m地点から北に伸びる林道に出合った。カーブミラーを通り、予定のルートに合流する。
予定ルートに合流
前情報のカーブミラーは正確な位置にあった。原始ヶ原登山口までは道が明瞭で分かりやすい。小屋があり、広場になっているのでサイト適地。
ニングルの森管理棟
ここからは夏道でも登山道なので不明瞭になってくる。トラバースの道が続く。たまに木が鬱陶しい。
トラバる
不動の滝の場所には札がかかっている。バックするときに登り返す必要がある場所がある。二の沢を抜ける手前のところでクトー。この先クラストしているという前情報だったが、確かに硬い層がすぐ下にあった。また、他の場所よりも風が強く感じた。途中木が一番鬱陶しい箇所で梅宮が苦戦してスタックしてしまった。梅宮は一度板を外してザックも下ろす羽目になる。
10分弱ロスした。登山道から外れて尾根に乗る箇所(蒼天の滝)でたるみ。二年会がこの先の尾根にどうやって乗るか空身で偵察に行く。直で尾根上に乗るのは藪が鬱陶しくて厳しそうだ。左巻(西巻)は急で厳しい。結局登山道にもう少し乗りながら右巻き(東巻き)をしつつ尾根に乗っていくのが正解のようだ。いったん尾根に乗ると、緩やかでどこでも張れそう。
振り返る
また、このころから晴れ間が見えだす。三の沢の巻きは想定以上に北に巻き過ぎたため、三の沢の源頭を特定することはできなかった。夏道が通っている最初の湿原の北端でたるみ。
湿原は地図通りにきれいに抜けている
ここで、読みよりも大幅に縮んで進んでいることから、もしかしたら今日富良野岳を討てるのでは?という話が持ち上がる。原始ヶ原に着いてからもラッセルはほとんどなく、明らかに読みが縮むことが予想された。そんな期待を込めて歩いていくと、想定通り読みより断然早く進んでいく。
 これはいけると踏み、五ノ沢湿原に着くと真っ先にテン場を探させる。ここで、五の沢湿原の奥のほうで真っ青な青空が抜けて富良野岳がその姿を初めて見せる。
富良野、見える!
すべてが白銀に輝き、人の目を寄せ付けて離さないような力を持ったその山容に皆歓声を上げる。富良野岳は想像の何十倍も美しかった。皆俄然モチベが上がり、疲れも一気に吹き飛ぶ。行くしかない。サイト適地に着くと、急かしに急かしてデポ、
sub装作成、たるみ、食料埋めを行う。そして再出発。帰幕Limit15:00とする。富良野岳は雲に隠れてはまた顔を出すをひたすら繰り返していた。不安定にも見えるが、上のほうはほとんどガスはないようだ。トップも快調に飛ばす。1320m付近でCT。上10㎝の弱層の接合は気を付けないと雪柱を作成中に崩れるほど弱い。その下はガッチガチに固まっていてほとんど心配はなさそう。CTをするまでもない(できない)ので中断して出発する。1400m辺りで早めにクトーを付ける。1530mでそれより上部でハイマツがポコポコ顔を出していてとてもじゃないが滑りたくないような感じになってきたので、skiデポ、アイピケに替える。
skiデポ
ここからの雪質はアイピケでたまにズボっと抜ける程度で怖くはなく、歩きやすい雪質。
アイピケで登る
前情報にあった
1760mの岩は全く怖くない。
1760m岩
直登容易。富良野岳は近づけば近づくほどにかっこいい。何度も感動が押し寄せる。富良野岳の直下は一部急なところがあったが、体力に申し分のない今年の一年会ならば全く問題ない。
直下の急斜面
ただ雪の付き具合によるであろう。あっという間に登頂を果たし、皆で喜びを分かち合う。
登頂!
Limit15分前であった。十勝岳温泉側が見え、接続富良野岳で行く予定の尾根が見える。
接続企画で行く尾根
西山は意外と行けそうとか言っていたが、急で十分怖そうに見えた。風はまあまあ強く、雲の流れが速く、ガスがかかったり取れたりをくりかえしている。
テルモスたるみを入れて、山頂を堪能する。
富良野岳から見た原始ヶ原
集合写真@富良野岳(L撮影)
集合写真も撮って
Limit15:00に下山開始。来た道を竹竿通りに下っていく。
下山開始
名残惜しくて振り返ってみた
だんだん視界が悪くなっていった。40分弱でskiデポ地に帰ってくる。ここからやっと滑走開始。滑走を始めるといったん悪くなった視界がよくなり始める。
五ノ沢湿原が見える
富良野岳
F尾根下部の滑走は凸凹が少なく、雪質を除けばゲレンデのよう。特に五ノ沢湿原は斜度が超緩くて木も抜けているので、ゲレンデの初級者コースを滑っているかのよう。
ゆるーい五ノ沢湿原の斜面
黒瀬が少し苦戦していたが、それでもテン場まで割とスムーズに下っていけた。滑走時間は
18分程度。山頂から合算すると一時間程度で下れる山だと分かった。Limit15:00として急いでいたが、取り越し苦労であったようだ。今日は10pほど行動しており、数字上は根性日であったが、富良野岳の景色が最高過ぎて疲れがリセットされたのか、テン場でも皆元気いっぱい。充実感に溢れる最高の一日であった。整地してテントに入り、すぐさまサイト。今回は45天が若天で1,2年会が入り、7天が爺天で3,4年会が入った。それぞれでサイトをする。このころからLは喉の調子が優れず、聞くに堪えない汚い声になっていた。その後、指示は他の3,4年会に伝えて言ってもらう方式をとる。今日はみぞれ鍋の予定であったが、大根おろしチューブを振られていた久保が店で見つけられずに切り干し大根を買ってきたせいで、Fの作りたかったものとはかけ離れた代物ができてしまった。具沢山になって満足感は十分得られたので、これはこれで良かった。3,4年会が多く、皆差し入れ好き?なので、今回も例によって大量の差し入れが持ち込まれていた。特に、ほしいと思ったものを全部買ってきたと言う梅宮が量も種類も多かった。今日は食事中にやわらぎ、水作り中にウインナー、みそ汁などが出た。初日にほぼ2日分の行動計画を消費していまった上に、明日は荒れる予報であったため、67半のつもりで動き、天気次第で出発を遅らせるか決めることとする。明日はシーソラプチ川と一の沢川の間くらいにサイトを進めて、下ホロにできるだけ近づいておくことに。最高の気分で床に就く。

3/19() 雪時々曇り、風弱い 【移動日、遊びの滑走】
7:33▲1(ski、本ザック)9:13 1083mコル(竹竿デポ)9:17 1050m(たるみ、ski→シール)9:31(途中電波入り天気予報・天図取得10)10:33シーソラプチ川~10:41シーソラプチ川左岸テン場1030m(たるみ、本ザック空身)11:0311:31 1280m(シール→ski)11:4211:50テン場▲2
 6:00起床。夜の間雪は降っていたようだが、樹林帯にいるおかげか風はそこまで全然強くなく、問題なく出発できそう。朝は洋風OZONIだったが、マッシュルームを入れ忘れたため、かなりシンプルなFになってしまった。出発準備は全体的に爺天の方が早かった。ほぼ予定通りに出発。
斜度は緩いが、下りなのでskiで出発する。これが失敗であった。トラバリ気味に下りていくが、小地形が多くあんまり滑らない。トップがシールを付けることを提案してきたが、Lは直接夏道の方行くなら滑れると思い、skiでそのまま行かせる。その後、布部川を運よく渡渉できたので、もう一度1083コルを目指すように指示をする。ただ、Lの声がうまく出せないせいでトップへの指示が十分でなく、トップはLが行きたいと思っていたルートより登り返しが多いルートをすすんでしまう。時間ロスとなる。結局はシールで行った方がRFも簡単で速かったはず。ちびちび滑ってやっと1083コルに到着する。下ホロピストンに不必要な分の竹竿をデポした後、コル東の沢状を滑れるところまで滑ってたるみ。かなりロングピッチとなってしまった。ここからはシールで歩く。シーソラプチ川を含め三本ある沢のうち、一番西の沢は地形図でも緩やかなところを通ったので、いたるところにスノーブリッジがあり、渡渉は楽。真ん中の沢は降りられる箇所を探してすこしだけ巻気味に行ったが、簡単にスノーブリッジが見つかり、渡渉は楽。この先で電波が入る箇所を見つけたのでauの梅宮に予想天気図やヤマテンの予報などを入れてもらう。明日の予報が好転していて、十勝連峰東面は晴れ間もあるとのことだった。明日の下ホロが期待できる。シーソラプチ川は沢に降りるところでシール登高には使えないような斜面を滑って降りたが、渡渉自体は簡単にできた。
シーソラプチ川
シーソラプチ川東の小さなベロ上をサイト地とする。この時点でまだ
11時前であったので、物足りなかったLは、スキーで遊びに行く提案をする。1p以内で行って帰ってこられてかつ森林限界下であるようなところまで空身で登って、そこから滑るという方針となる。今合宿が例年に比べて滑走が少ない計画であったのでその埋め合わせのつもりでもあった。トップは快調に飛ばして、30分で結局250mくらい登った。ここからski。曇りで雪質は最高。誰もいない斜面で極上のパウダーを楽しめた。(ほぼ)誰もこけなかったこともあって、夢のような時間は8分ほどで終了。皆、この滑走をこれでもかというくらい褒めちぎっていた。満足したところで、今日の行動はこれで終わり。モスって整地、テントを張る。梅宮はジャンプ台を作成していた。サイトの前に水づくりをする。それと並行して爺天では梅宮の差し入れの生のニンニクの下処理をして、昼食としてラーメンを作る。西山の差し入れの豚の角煮も入ってさながら二郎系のようなラーメンができた。残ったニンニクは焼きに焼いて食いまくった。Lは調子の悪かった喉をニンニクの刺激でさらに痛めつけてしまい、まともに声が出なくなってしまった。また、久保をはじめとして、しょうもない質問を若天に繰り返していたら、じじいたちが嫌われてしまった。水づくりが終わったところで、サイト開始。今日のFはニンニク塩バター鍋。ニンニクが大好きな爺天の衆は躊躇なくニンニクチューブを大量に入れていく。コショウを少し入れすぎて残り汁の刺激が強かった。差し入れで、食べるラー油きのこがでた。今日は時間があるので爺天に全員集まって宴会。大量のカルパス、みそ汁、甘酒、えびせん、小あじなどが出た。明日はこれまでの読みの縮み具合からすると、下ホロをピストンしたのちにトウヤスベ東の1229m辺りまでサイトを進めたとしても時間にかなり余裕が出てしまう。また、今日の遊びが最高だったこともあって、明日も遊びの滑走を取り入れることとする。行きは普通にまっすぐに下ホロを目指し、一の沢川からの帰りは北大山スキー部がHスロープと名付けている尾根に乗るために少し登り気味に進んで、尾根に出合ったところで滑走を開始し、行きのトレースと出合ったところで滑走終了、とする方針とした。ただ、森林限界下は保つようにすることとする。明日の降雪がまずないことからこの方針が可能となった。明日は天気が回復傾向であるようなので、わざわざ出発を早めるようなことはせず、45半とする。下ホロへの期待を胸に膨らませながら就寝。

3/20() 晴れ 【下ホロカメットク山登頂、Hスロープ下部】
5:38▲2(シール、sub)6:35一の沢川右岸側手前(たるみ、キジ)6:487:43 1420m(たるみ、skiデポ、シール→EP)8:008:35下ホロカメットク山(テルモス、写真)8:529:10 1420m skiデポ地(たるみ、EP→ski)9:279:45一の沢川二股北1040m(ski→シール)9:5810:46 Hスロープ1360m (たるみ、シール→ski)11:0611:21 トレース出合~11:26 (ski→シール)11:4511:57シーソラプチ川左岸テン場(たるみ、sub本ザック)12:26(シーソラプチ川渡渉15)13:05沢渡渉~13:22(たるみ)13:3313:42沢渡渉~14:00(竹竿回収、シールトラブル)14:0914:45 トウヤスベ東尾根1200mテン場▲3
 4時起床。今日の朝はスパゲティ。記憶が薄い。天気は想像以上に良い。
いい朝だ
樹林帯からは雲はほぼ見えない。食料は動物にやられたくはないが、穴を掘っている時間がもったいないので、梅宮作のジャンプ台の穴を活用した。すまん梅宮。出発。ひたすらに緩斜面のトラバース。出発から
10分弱で木々の合間からきれいな富士山型の下ホロが顔を出す。
木の間から下ホロ
下ホロは近づくにつれて次第にその威圧感を増していく。こいつ、本当に
1668mなのだろうか…?
下ホロはきれいな円錐形をしている
一の沢川の手前の樹林が抜けた場所でたるみ。下ホロがきれいに見えた。数人のキジ打ちを待つ。一の沢川は二股よりも上部で渡渉をする。完全に埋まっていたので楽。
樹林帯の登り
ここから限界上までの樹林帯はシールでひたすらに登る。前情報通り
1400mが限界。
限界スレスレ
その少し上のハイマツ帯との境で
skiデポ。アイピケに替える。総じて富良野の中間部と似ている。
アイピケで登る
他の西の十勝の山々を見ていると、上部はガスガス。一番東にある下ホロだけガスがない。予報通り。
振り返ると、西のほうはガス
まるで、十勝連峰の山々が必死に下ホロカメットクを守っているかのようであった。
1550m辺りの一度斜面が緩くなるところで太陽が一気に顔を出す。美しい。
太陽がまぶしい
山頂直下は一瞬急になるが、ルートを適切にとれば無問題。
ちょっと急
また、やはり雪庇は東向きにできていた。そして登頂。
どこまでも続く樹林
山頂からは広大に広がる裏十勝の樹林帯が見えた。人工物の気配など全く感じられない。これこそが
Lが求めていた山の景色であった。自然の原風景を見た気がした。
集合写真@下ホロ(西山撮影)
とりあえず写真を撮りまくり、テルモスを飲んでいたが、風が少々強くて寒いのでたるまずに帰ることに。
下山
下りで勝木のアイゼンが外れていた。要注意。あっという間に
skiデポ地に帰ってきた。ここは風もそんなに強くないので、滑走準備のついでにたるみ。
滑走開始
下ホロの下りは、樹林帯の滑走が主で、雪質も良かった。下部は少し藪がうざかったが、許容範囲。一の沢川二股の北
(一本だけ沢を渡渉したところ)でシールに替える。ここからトレースの北側にある無名峰に向かって北西方向に登って行く。登りすぎると良くないので、GPS1300mとなったところ辺りでトップに報告して、トラバース的に進むように指示する。そして、Hスロープ付近でたるみ。結局1360mまで登っていた。
Hスロープ中腹部
この頃には完全に晴れになっていて、板に雪が貼り付くめんどくさい雪質になっていた。特に勝木と久保の板にしつこくこびりついていた。それでも
Hスロープの滑走は景色も良く、雪もまあまあ深かったので十分楽しかった。トレースに出合ってから、滑れるところまで滑って、シールに替える。幕内の板に雪が貼り付いていたため、少し時間を食った。トレースを辿ってテン場までさっと戻り、本ザックに替える。シーソラプチ川では行きはシールで登れない斜面を使って沢床に降りたので、トップは沢に降りてから右岸側で少し上流に遡って、登りやすいところを探す。
シーソラプチ川
それでも数人は板を外してツボで行くこととなった。渡渉した後は、行きのコースよりも少し北を進む。トップは少し混乱していたようにも見えたが、北に行き過ぎていると分かり、しっかり軌道修正できていた。一番西の沢の手前で行きにつけた赤布を見つける。そのまま行きと同じようなところを進み、
1083コルに帰ってくる。
昼に気温が上がって解けた雪がこの頃になるとまた気温が下がり、シールの裏が凍り付いてしまい、効きにくくなる。竹竿を回収して、できるだけサイトを進めておくために、
1229m辺りを目途に登っていく。緩やかな登りだったので、効きが弱くなったシールでも登れた。結局1200m辺りをテン場とする。
天場から見た下ホロ
整地して、さあテントを立てるぞという段階で、
7天のポールが破損。気温がかなり低いため、応急処置に使ったガムテープがなかなか貼り付かず、かなり時間がかかってしまう。完全に体が冷え切った頃、ようやくテントが立ち、急いで準備してテントに入る。辛かった。即座にサイトを始める。今日のFはトマト鍋。サイト中には海苔佃煮や、プレツアーで見た目はともかく味は好評だった久保のイワシなどが差し入れで出た。水づくり中には、コーンポタージュ、マーボー春雨、ベーコンなどが出て、差し入れ完遂をした。明日は、入山前からほぼ確定的な晴れの日。高気圧が北海道にドンと乗る。完遂待ったなし。今日も気分よく就寝。

3/21() 快晴 【トウヤスベ山大麓山越え、麓郷下山】
(写真のち)5:48▲3(シール、本ザック)6:14トウヤスベ直下(一部クトー)6:22トウヤスベ山(写真)6:27(全員クトー、すぐ解除)6:51 1308mコル北1310m(たるみ、キジ)7:067:15(シールクトー)7:54大麓山(長たるみ、テルモス、写真、クトー→ski)8:439:02 1178mコル~9:18 1062m9:38 700mベロ(たるみ)9:5310:52中白鳥川右岸林道520m11:0611:15五叉路~11:22 427m11:34柵~11:51麓郷最終人家佐藤牧場
 4:00起床。CCP(カレーチーズペンネ)。CHPに比べてルーが少ないので物足りなさを感じた。予報通りの最高の天気本当に雲一つない。
日の出前
この隊のために読み替えた読みではかなり余裕をもって下山できると分かっていたので、出発前に集合写真を撮る。下ホロの少し右側から登ってくる橙の朝日が本当に美しい。

出発。本当に雲一つない真っ青な空に真っ白な十勝の山々がよく映える。
一番左が富良野
ひたすら見惚れながら進んでいく。トウヤスベ山への登りは緩やかで特筆することはない。
トウヤスベ山
直下で隊の一部がクトーを付けたが、今回の雪質ではシールだけで登れた。山頂付近はだだっ広く、富良野の町がよく見える。北国の田園風景という感じ。
集合写真@トウヤスベ(L撮影)
一応集合写真。トウヤスベからコル方面の直下は少し急でクラストしていたので、全員クトーを付けて横向きでクトーの刃を効かせながら一歩一歩下った。緩やかになったところでクトーを外し、シールのままコルまで滑ったり歩いたり。コルからちょっと登ると、またクラストしていたのでクトーにする。途中梅宮が鼻血を出して少し止まる。大麓の
1400m辺りからはところどころ雪面がかなりガチガチに凍っていて、時折クトーさえも刺さらない。ちょっと怖いが、斜度も緩いので場所を選べばそれほど問題なく行ける。そして最後のピークの大麓山に到着する。一応山頂標識があった。大麓山からは富良野の町と十勝の山々、原始ヶ原はもちろん、夕張山地や遠くに日高山脈さえも見えた。360°の最高の展望だった。
展望写真@大麓山
ここで、時間にたっぷり余裕もあるので、長だるみとする。テルモスも飲む。皆写真をいっぱい撮る。そして、記念撮影大会。全員の集合写真はもちろん、学年会ごとでも記念撮影。(順に1,2,4年会)


一通り終わったと思ったら、久保が、三年会全員で上裸で撮りたいと言う。L含め皆テンション高めだったので、さみぃぃーーーーっ!!!!!と叫びながらもノリノリで記念撮影。
そして3年会笑
逆に暖かくなった気がした。結局
50分弱も山頂にいたようだ。そして待ちに待った滑走。大麓直下は斜度がきつくクラストしているから滑りにくいとの前情報であったが、ちょっと苦戦している人はいたが、それほど問題なく滑れていた。富良野の美しい町を見ながらの滑りは格別であった。
富良野の町を見ながら滑る
1178コルからは東大演習林の林道に沿ってトラバるように滑り、1062mの林道が曲がるところで角度を変えて樹林帯の中を滑っていく。
1178コル
適度に障害物があって楽しい下り。
700m弱の尾根が分岐しているところでたるみ。ここにきてLのスマホは合宿中始めて電波が入った。緊急連絡先の島田に下山が近いことを知らせる。ここから南の方に角度を変えて進み、中白鳥川に下りずに滑ろうとしたが、途中で斜度が緩すぎて何ともし難くなり、さらに落木などがうざったくなってきたので、中白鳥川に引き込まれながらトラバっていき、ちょうど良く橋の辺りに下りることとする。しかし、トップは思ったよりも急に下ってしまったために、橋があるはずの場所よりもかなり手前で中白鳥川に下り切ってしまった。まあ、仕方ない。34年会も前に出しつつ、何とかトラバって対岸に渡れそうな場所を探す。勝木は耐えきれずシールを付けていた。結局大きく登り返した幕内が一早く渡渉できる箇所を見つけた。右岸には情報通りの仕事道があった。たるんだ後に出発。勝木だけシールで行ったが、絶対スキーで滑った方が速いし、楽だ。前情報の五叉路は雪に埋まってかなり分かりづらかったが、GPSで確認しても全く正確な位置にあった。最右岸側の道を行く。そして、地図にも書かれてある林道に出合う。
林道と出合う
すぐ先に東大演習林のゲートと堰がある。
東京大学とかかれたゲート
その先には最終人家の佐藤牧場と東大演習林の境界っぽい柵がある。門の下部が雪に埋まっていたか何かで開かなかったので、その脇から無理やり柵越えする。
門の先には微妙に除雪された道が続いていた。少し進むともう一つ門があってこちらは開いた。回り込んでこっちから入っても良かった。麓郷の風景は「北の国から」の舞台に選ばれるだけあって、のどかな北国の冬という感じがして、ゴールとしては最高の場所に感じた。
あと少し
どこまでも続く白い大地に青空が本当に映える。そして、
Schi Heil!! 回復しかけの喉を潰すつもりで渾身のシーハイルをした(つもり)。完遂。執行の最期。最高の気分で、その余韻に浸った。
荷物を置いて(特に一年会が)急いでアンパンマンショップに向かう。が、12時に来ると思っていたアンパンマンは実は11時に来ていたようだ。残念。さらに、アンパンマンショップは下山後の汚らしいゴアマ姿の我々が易々と入れるような雰囲気ではなかったようなので、隣のジャム工房で肩慣らししてから入った。
富良野ジャムおいしかったです(購入しました)
本当にアンパンマンだらけで洗脳されているようで怖かった。意外とみんなお土産は買ってなかった。
(Lと西山だけだった。) 温泉に入ってごはんおかわり自由の店に行く。が、個人経営の店だったために、9人で押し掛けると全員がおかわりする前にお米を切らしてしまった。残念。天候と疲労を考慮して、明日は接続二企画のうち楽な方の三段山に登る。(接続FBに続く)


◇まとめ
 今回の三月合宿は全区間部内初トレースだったが、完遂(以上)、全ピークで晴れという最高の結果で幕を閉じた。2017年度執行の締めとしてはこれ以上ないくらいの企画にできたと思っている。天候に恵まれたのは確かに大きいが、一年会をはじめとして皆の体力が十分であったために、隊のペースが速く、スピーディに行動できたことが何よりも大きい。原始ヶ原自体は(アプローチの遠さを除けば)三月合宿の山域としてはピッタリに思える。4日間を通して誰にも出会わず、トレースも皆無であるほどに入山者が少ないので、静かな山行が好みであればオススメ。周囲を様々な山々に囲まれているために、コースも多種多様に取れるであろう。前富良野、富良野、三峰山、上富良野、上ホロ、境山、下ホロ、トウヤスベ、大麓山といった具合に。原始ヶ原だけで一週間くらいは遊べるのでは? もしくは新得側から入って、十勝岳ピストンを含む裏十勝縦走なんかも面白いかもしれない。と、未来の部員に向けて言ってみる。


GPSログ 一日目から順に赤、橙、黄、青(一日目は途切れ途切れです)ピンクは接続三段山、紫は接続富良野岳


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