(L:リーダー、N:ニュートラル、*:L権者、被:被養成者 初:初心者)
沢中泊できるのももう最後だろうということで、クラシックルートの笛吹川東沢釜ノ沢を遡行してきました。山腹の紅葉、黄葉は最盛期でした。来年は後輩に東沢の支沢にたくさん連れて行ってもらいたいと思います。
遡行風景 |
10/24(金)東京=塩山=西沢渓谷▲0
今回初トップの新留は荷物がザックに入りきらなかったらしく沢山の荷物を手に提げていた。塩山駅で廣長からヘッドランプ忘れの報告を受けたが他に忘れた人はいなかったので懐中電灯を買わせはしなかった。西沢渓谷ではあずまやまで行って下界訓練をした。今回N認定の八嶋の下界訓練は懸垂下降のバックアップの結び目の位置やATCのカラビナの向きが間違っていたが「それでいいの?」と聞くと少し考えてから両方直した。長根の下界訓練は夏休み練習していただけあって問題なかった。綺麗な星空をしばらく眺めてから寝た。
10/25(土) 快晴 ▲0 6:00~6:26(沢装装着)~7:15ホラ貝ゴルジュ7:25~9:36東ナメ沢出合9:50~11:00魚止滝下~13:35曲がり滝上~14:00両門滝下~15:10滝上~17:10薬研の滝、6m滝上 ▲1
5時過ぎ起床した。辺りが明るくなると、昨日は真っ暗で何も見えなかった紅葉が綺麗に浮かび上がってきた。今日は予定では10.4pと長い行動になるので日の出10分前の5時50分に出発準備を完了させるよう伝えていたが荷物の多い新留の準備が遅く出発は結局6時過ぎになった。入渓点はトップ二人とも完全に見落としており、東沢の入り口を越えて西沢渓谷の遊歩道を進み始めた。上級生が手前から冷やかに眺めていると戻ってきた。東沢と西沢の顕著な二俣で地形図に橋マークまで書いてあるのだからこのくらいはわかって欲しかった。河原に降りて沢装装着。しばらく河原歩きが続き左岸のトラバース道を進む。
所々沢床に降りたりまた登ったり |
廣長は所々できのこを見つけては「これは○○タケではないか」と言っていた。本を読んで勉強したらしくいつの間にかきのこマニアになっていたようだ。ホラ貝のゴルジュは八嶋が果敢に泳いでいた。気合が入っていてよろしい。山の神までの道は不明瞭であり、一箇所FIXを張った。深山はザックを狭い場所に無造作に置いていたので、ザックのセルフビレイも取るべきである点を坂田さんが指摘した。またFIXは中間支点間の距離が極端に短い箇所が多かった。なお待機場所の狭いところで坂田さんのザックに後ろから俺のザックが当たってしまったのだが、これは俺の不注意であり反省しなければならない。狭い場所ではそれぞれの人の距離を保たなければ何かの拍子に接触して沢床に突き落とすことになりかねず危険である。その後ほどなく山の神が鎮座していらっしゃったので手を合わせ、河原に降りた。しばらく河原歩きが続く。深山は前回怒られたからか初心者の様子を逐次しっかり見ていた。
きわどいへつりを楽しむ |
きわどいへつりを楽しむ |
途中のへつりの箇所で中村が珍しくドボンしており八嶋も別のへつりの箇所でドボンしていた。西のナメ沢で軽く滑り台をして魚止めの滝下着。左の巻き道は普段は一歩目が難しいのだが倒木がかけられており深山が容易に登った。水流のすぐ左の直登ルートはホールドスタンスが細かく、一歩目がきまらず新留が何度かドボンしていた。初トップなのでルートを教える意味で俺が先に登った。しばらく待っていると新留も登ってきた。新留のルートでTRT。深山は遠い支点から取ろうとしていたが近くに良い支点があったのでそちらにさせた。またザイルダウンに非常に手こずっており時間を食っていた。新留は暇そうにしていたが、こういった時は深山がTRで手繰ったザイルが水流に流されないように岸でまとめておくなど俺が指示してやらせるべきだった。トップ二人は、「今回は深山の番」とか「次は新留の番」とかでは無いので何かしらの仕事を見つけてお互いに協力し合うべきである。
魚止の滝直登を確保 |
千畳のナメを経て7m滝と3段5m滝は下部を左巻きザイル手がかりで上部の沢床に降りる箇所でスリング手がかり。7m曲がり滝は右巻きTR。新留はTRの基本動作を覚えられていなかった。両門ノ滝は巻き道を深山が見て、水流右直登ルートを新留が見た。ここは水流右をTRT深山。ザイルが水流に引っ張られるのを確保完了と勘違いしていた。手がかりは新留がセットしたが、カラビナの環を閉め忘れていた。
秋色の千畳のナメ |
次の薬研の滝の工作を待っている途中に寒かったので俺が自分用に持ってきていた紅茶を沸かした。薬研の滝はTR+FIX。みんなで紅茶を飲み終えたところでTRが下りてきた。しかし初心者が2人上がった後もなおFIXが張れておらずしばらく時間がかかっていた。場所を付け替えていたらしいが遅かった。また、深山は中間支点を上の方の木から取った場所で、「初心者が上に引っ張られて通りにくいから」と言ってザイルをたるませようとしたらしいがそれは本末転倒である。そういう時はスリングを長くするべき。6m滝は水流左TR深山。支点を滝のすぐ上から取ろうとしていたらしいがそれでは自分の立つ場所が無いでしょう。ここを越えるともう辺りはすっかり暗くなろうとしていた。長い一日だった。広河原の一番広いところまで行く時間は無いので滝上の河原でサイト。サイト中はみんな寒そう。それを見かねたのか、少し離れた場所で焚火をしていた2人組の男女が「せっかくなので私達の焚火にあたりませんか。」と言ってくださったので上級生はあたりに行った。ありがたい話である。暖かく、服が一瞬で乾いた。新留は濡れていて寒そうだったが「もうすぐ飯ができるので」と、あたりに来なかった。できあがったFの栗ご飯と豚汁は絶品だった。全員で例の2人の焚火にあたりに行くのはさすがに遠慮したので食後自分達で焚火をした。中村が持ってきてくれた焼き網に中村の差し入れのソーセージを乗せ、俺の差し入れのブロックベーコンを乗せるとなかなか豪華になった。今回は俺がワイン、廣長が日本酒、坂田さんがゆず酒と酒の差し入れのバランスが良く、干し芋など凝ったつまみの差し入れもあったので幸せな酒宴だった。21時半前になって寝たい人から寝た。
焚火でベーコンとソーセージを焼くの図 |
10/26(日)晴れのち曇 ▲1 6:25~8:20 4段40m上 ~ 8:52ナメ小滝9:02~10:20 3段30m滝上11:02 ポンプ小屋11:20 稜線11:25~(⇔甲武信往復)11:50~たるみ3回~西沢渓谷15:15
何ヶ月越しかで実現した長根のFメニュー「オニオングラタンスープ」はどんなものが出来上がるか若干危惧していたのだが、非常に美味しく感動した。出発。広河原の歩きは所々トップが歩きにくそうなところへ突っ込んでいくのでL権者二人が独自に歩きやすいルートを選びかなり前に出ていた。すると廣長から「勝手に前に出ずちゃんとトップの様子を見ろ」と久しぶりに強い調子でお叱りを受けたので深く反省した。4段40mは最初の二段くらいを左TR深山。遠い支点を取ろうとしていたが近くの支点から取って沢床までロワーダウンにさせた。新留は先に伸びて4段目を右壁TR。TRのセットは覚束ないが、ザイルを手繰るのはスムーズであり、ロワーダウンのやり方も一回教えるとその通りきちんと実践していた。ザイルダウンも上手くいっているように思えたが中村によるともう少し上を目がけて投げた方が良いらしい。確保の準備が早くに完了し暇だったので現在地を確認してみると新留は水師沢出合であることをわかっていなかった。後で上がってきた長根に同じことを聞くと、当然のような顔をして「え、だって遡行図に書いてありますよね?」と言っていて面白かった。新留はザイルを畳むのが先週と比べて見違えて速くなっており感心した。しかし最後結ぶのが雑なため結局台無しにしていた。朝から歩いて疲れたのでナメ小滝でたるみ。この後の遡行図に乗っていない二俣でトップは現在地を把握できておらず、木賊沢と勘違いしたのか左俣に進もうとしていた。最後の3段30mは途中までフリーで上げて二段TR。トップの二人はどこまでフリーで上げるのかしっかり考えてほしい。ここは下が見えないので二段TRと俺が判断したが、後で廣長に二段目の立ち位置が初心者を待機させるには狭くて危険であった旨指摘された。上からもう一本ザイルを出してクレイムハイストでセルフビレイを取らせるなりした方が良かったのではとのこと。また、支点は近くに大きな木があるが腐っており信用ならないので奥から取った。それまでに何度か指摘しただけあって深山のTRセルフビレイはしっかり張れていた。ザイルを手繰るのも上手くなってきた。
源頭へ向かう |
あとはサクっと詰めて完全に霧の中になってしまった稜線を歩き理想のデート論や割り勘論などよくわからない話をしながら甲武信を討って下山。
甲武信集合写真 |
真っ直ぐ伸びる落葉松の黄葉が綺麗だった。紅葉鮮やかな樹林帯の中を爽やかな風が吹き抜け、遠くでは鶏冠谷の沢音が響いていた。今シーズンの終わりを感じながら歩いた。
下山 |
山梨市駅までバスに乗り、近くのボリューミーな中華屋で打ち上げ。腹が減った時に中華が異常に旨く感じるのは何故だろう。勘定を済ませ、列車に乗り込み、大量に余ってしまったワインをちびちび飲んでいたらいつの間にか眠っていた。高尾で乗り換えて帰京した。
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