沢sL企画 水無川本谷・源次郎沢

2012 年度山行 No.48 sL 企画 水無川本谷・源次郎沢
記:三宅
面子: 桑原 松尾 2N 坂田 被鈴木 松岸(不参加) sL 三宅 1N->被廣長 初豊島

使用遡行図:『東京起点の沢登りルート 120』(源次郎沢は看板と遡行図の滝番号がずれているが、記録は遡行図に準拠。看板F3=遡行図 5m+5mF4=F3/4m トイ状、F5=F4/10m、以後 F10 まで)

やっと漕ぎ着けたsL企画は水無川本谷に。あのF8にまた会いたい…、そう思って。

11/2()曇り
渋沢=大倉 21:45〜戸沢山荘 22:50  
 松岸は微熱があるため欠席。鈴木がどうしても学部飲みに出たいと言うのでわざわざ集合時間を一杯に設定したのだが、三宅が渋沢に到着した時には既にいた。飲み会で何かあったのだろうか...。終バスの発車1分前に坂田が便所から飛び出してき たところで全員集合。下界訓練で豊島がビレィループでない所にビナをかけ、何度か尋ねても「これでいい」と言うので敢なく N認定が終了した。ここで廣長がお玉忘れに気がついた。そのまま戸沢山荘で就寝。

11/3() 曇りのち晴れ
戸沢山荘 6:066:57F1 上〜7:14F2 上〜7:57F3 上〜8:22F4 上〜8:40 書策新道(たるみ)8:509:05F6 上〜11:06F8 (たる み)11:2012:30 塔の岳 13:0014:20 戸沢山荘
三宅は認定を控えた緊張、寒さ、そして「アェアェアェア↑↑x3」という坂田の謎めいた寝言のせいで一晩まともに眠れなかった。 豊島が胸に 120 をかけ忘れていることを指摘し、入渓。間もなく堰堤があり、記述通り左手に鐙が垂れている。掴む所が欲し いのでスリング手がかりを出した。F1 は左を TR し、F2 は右 TR 手がかり。この辺りで鈴木は三宅と別ルートを見るよう桑原 さんから注意を受けた。右を巻いた 7m の上には見事な巨岩が鎮座していて、すぐ後ろにもこれまた立派な岩が寄りかかってい た。傘状になっているその天井には人工登攀の訓練跡と思われるスリングがぶら下がっている。F3 は三宅が直登を試みるも取 り付き後すぐに敗退し、左巻き TR(鈴木)のあと fix を張る。TR/fix 中間ともに全く支点が無く、仕方ないので鎖の支点を支点と して流動分散し、対岸の大木に最終支点をとって沢床に下ろした。トラバースの足場の岩はしっかりしているように見えるが、 かつて何度か崩れているそうだ。この残置もいつまでもつか分からない。別の工作を組むなら、巻いたトップが上から手がか りを出して直登という選択肢が可能かも知れない。
 続く 5m4m はまとめて二段 TR(1:鈴木 2:三宅)。工作が難しいと予想された F5 は、右壁をまっすぐ巻けば TR で確保できる。 ここの鎖は崩壊を繰り返しており、絶対に使うべきではないと念を押したい。100m ほどで ER の書策新道と交わる。秦野市役 所から「あの道は事故が多いので絶対行かないでください。でも、あそこにしか咲かない花があるんですよ?」というお誘い を受けていたが、通過。  木ノ又大日沢との分岐点から F6 が見える。三宅が見た直登は困難。右岸にしっかり巻き道があり、やや高度があるものの道 幅は広く滑落する心配はないだろう。今回はフリーで通したが、初心者の様子によっては fix を張る場合もある場所だ。F8 がチ ラリと見える手前の少滝で、念のため右に TR を出したが、左を選べばフリーで通せたのではとの声もあった。心持ちとして、 sL 企画ではなるべく多く工作を出したかったのかも知れない。
 いよいよお目当て F8 を前にする。一年ぶりに再会した、背の高い相変わらずの美人滝だ。遥か上空から降り注ぐサラサラと した水しぶきはまるで白いドレスのよう。だが近くで触れてみると岩肌はガサガサのボロボロで、これをどうすることも出来 ない。左岸から大高巻きに入る。基本は残地の fix ロープ沿いがよさそうなので、そこまでは鈴木に TR しておいてもらう。そ の間に 60m いっぱいの fix を張る。砂っぽい草付きは中間支点に乏しいが、落下時のラインを考えれば要所要所にとれる。最終 支点直下は、15m ほどの登り斜面。ここで鈴木を待つが、なかなか来ない。小休止。紅葉は終りを迎え、風がカラカラと葉を 揺らす。その奥に F8 を見下ろす。巻いたそなたも美しい。さて、どうやら鈴木はザイルを背負ったまま開始支点の解除役を 担っているらしい。なぜだろう。60m を引っ張り上げてその末端をもって再び fix を張りに行く。今度もザイルいっぱいの工作 で、ぴったり沢床。F9 はどう見ても取り付けないのでサクっと右巻き TR(三宅)fix(鈴木)。大きめの落石が簡単に起こるので工 作中の移動は最小限に留めたい。壊れた堰堤の直前で水をくみ、しばらく歩いて左尾根上の道を登る。お昼時の塔の岳は大混 雑であった。「去年ここで重力レンズの話をした」の話をした。安定のリピート率である。
渋滞する下山路をグズグズ下っていつもの河原へ。反省会後に免許皆伝の見込み通達をいただいた。リアクションしなかっ たけど内心嬉しかった。豊島の天気図は割と上達したが、H L の色が逆でショックだった。明日は快晴。食後はやはり盛大 に焚き火をする。鈴木は初めてキーホルダー作りに挑戦したが、うまくいかなかった。フランベしたウイスキーが温かくて美 味しい。けっこう疲れている皆をよそに坂田は踊り明かしたい気分らしい。これだから N は。三宅は宴会中からウトウトして しまい、早めに消火、就寝。

11/4() 快晴
戸沢山荘6:076:35F1 下〜7:05F2 下〜7:51F3 下〜8:12F4 下〜9:38F5 (たるみ・下降開始)9:5610:59F4 下〜11:23F3 下〜 11:43F2 下〜11:53F1 下〜12:00 戸沢山荘(デポ回収)12:3613:51 大倉=渋沢
 お玉の代わりに小ブキを使ったことが功を奏してか、分配出来までが早くて優秀であった。今日からトップは鈴木啓太と廣 長啓太のダブル啓太。廣長は実に長い N 期を経た。出発後、堰堤を巻き切ったのち書策新道から左に降りる地点で RF に手こずった。一度沢まで降りた鈴木が「あ、まだ堰堤ありました」と言って戻ってきたが「ならあの赤布は何だ」と思って自分で 確かめると、何も見えない。流石にテンパリすぎなので落ち着かせる。(驚いたことに、05 年の twv 記録を読み返すと全く同 様のやりとりが記されている。「見える人」と「見えない人」でもあるのか...)  F1 は水流左を TR(鈴木)で確保。支点とビレイヤーの間でザイルが弛んでいたり、絡まったり、4m なのにザイルダウンに失敗 したりと、まだまだぎこちない。本格的な養成は初めてのようなものなので、一つ一つ丁寧に指導する。今日のところはトッ プを片方ずつ先に伸ばすこともやめた。楽しいと噂の上部の枯滝登攀にやや未練が残るが、F5 以降の工作は少ないし、詰めた ところで昨日と同じ山道下りでは風情がないので、方針も F5 上までの遡下降と決めた。F2 前の小滝で水流左を TR 手がかり(廣 長)。支点のエイトノットが緩くザイルがかなり遊んでいるし、もっと声を張らないと初心者にルート指示が伝わっていない。 F2 は水流左をトップロープ手がかり(鈴木)。このとき鈴木は TR と手がかりの支点末端を分離する必要があることをまだ知らず、 1 つのノットから 2 本とも出していた。監督ミスでそのまま初心者を上げてしまったことを深く反省しなければならない。続く 5m を水流中 2 TR(1:鈴木 2:廣長)。上の 5m を左 TR(鈴木)F3 トイ状は水流中 TR 手がかり(廣長)。廣長の立ち位置を修正し た以外は特に問題がなかった。
 大きな崩壊地を左に認めて沢は右にカーブする。このあたりはガレガレで歩きにくい。すぐに F4 が現れる。廣長は左壁を登 る。ここを使ってリード訓練が可能である。鈴木がど真ん中直登を試みるも、2m 位の高さで全身に水をかぶったまま動くこと が出来ない様子。ルートのバラエティを増やすにしても、見切り発車は極めて危険なのでやめること。結局初心者は左巻きを TR 手がかり(鈴木)で通すことにするが、鈴木がセルフビレィを取る前にザイルダウンしてしまった。少し歩いて二股を右に入 るともう F5 が見える。3 段のうち 2 段目だけが滝という感じ。鈴木が水流の左を、廣長は左尾根を使った巻きを見る。再び登 攀中に詰まった鈴木に廣長がザイル手がかりを出す。てっきりそのまま鈴木ルートで TR 手がかりかと思ったら、最後が垂直で 手がかりを使っても相当腕力が必要なので通さないほうがいいと言う。そうだろうか。松尾さんと三宅が登った右壁を通すた めに支点を付け替える作業に移ったが、近くにいい支点が無いので遠くの木からザイルを 1 本ずつ TR(廣長)、手がかり(鈴木)と して出すことにする。ようやく F5 上。ひらけたゴーロでたるみ、下降を開始する。
 F5 の懸垂(廣長)は左岸の壁を頑張って登りそこの木から。初回なのに懸垂セットの手際が良くて感心した。自分の時にさん ざん絡まり倒した 60m 青ザイルが、廣長にはすんなりデレている様子を見て激しく嫉妬した。この間に松尾さん、鈴木、桑原 さんは右岸尾根から下ったが、この下りは相当悪いらしい。F4 の懸垂(鈴木)F3 の懸垂(廣長)も、支点が分かり易く問題ない。 5m+5m は手がかり(鈴木)。判断は良かったが初心者を待たせる位置が悪い。また支点選びにも手こずった。まず岩支点を却下 する。岩支点(特に転がっている大岩)は意外と簡単にスリングが外れたり転がってしまったりするので、他に何も無い時の手段 とすること。ここでは登りで手がかり工作をしているので、それと同じ支点で良い。  この先は松尾さん監督のもと、廣長の誘導で初心者を次々フリーで下ろす。とうとう最後までフリーで下ろしてしまったが、 これは疑惑の判定。今回は初心者が沢 5 回目の豊島だったからという判断かもしれないが、それにしても手がかりは欲しいと ころ。そもそも登りで確保したルートを下りでフリーというのは原則無いと思ってもらっていい。なにも養成初回で基本に悖 ることはない。
 これにて遡下降終了。デポ品を詰め込んで長い林道を下る。林道中は鈴木がよく喋ったらしい。大倉から満員のバス乗って 実は 1 年ぶりにアジャッて解散。

まとめ
 本谷は「攻略済み」といった感じで、工作もほとんどマンネリ化している。しかしその人気ゆえに残置が多く、なおかつ岩 が脆いとあって、残置へのちょっとした過信が事故に直結する怖い沢だ。ワンゲルでも十分に気をつけたい。源次郎沢は養成 序盤向きとしては下降込みで演習効果が高い。上部を見てみたい気もするが。




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