奥秩父 鶏冠谷右俣

2009年山行No.9 沢L養成 鶏冠谷(5/23)             
企画者:大城
面子:4秋山、山岸 3L大城、廣瀬 2被EH鈴木、被FW長崎 1初蓜島、初松崎
遡行図 「東京周辺の沢」

昨年行った釜の沢の美しさは印象深く、いつか自分で奥秩父の沢を出したいと思っていた。今回その機会に恵まれ、選んだのが鶏冠谷右俣だった。思っていたとおり美しい沢であったが、またしても後半が潰れたり色々物を壊したりとあまりついていない山行になってしまった。



5/22(金) 晴れ
新宿19:48=21:49勝沼ぶどう郷22:00=(甲州タクシー)=22:40西沢渓谷バス停—10:55あずま屋▲0
新宿駅19:10分集合。先に行った秋山さんを除く7人で勝沼ぶどう郷の駅に向かう。ぶどう郷で秋山さんと合流(秋山さんはこの駅で4時間以上待っていた とのことです)。駅から山梨市街地が俯瞰できるが、ここから見える夜景は見事。この駅には塩山タクシーと甲州タクシーが常駐しており、今回は甲州タクシー を利用し二台で西沢渓谷に向かった。さすがに距離が長く深夜料金だったせいもあって一台あたり10000円近くかかってしまった。西沢渓谷から定番のあず ま屋まで移動する。ラジオを聴くと明日の天気はもちそうだが明後日は朝から雲が広がり午後から雨との予報。明日は天気予報を聞きながら遡行し、翌日の天候 が悪そうでかつ避難小屋まで着けそうでなければ下降に切り替える方針とする。沢装で出発することを告げ就寝。

5/23(土) 晴れ
▲0 0430—0453鶏冠谷出合—0508魚止滝下—0545魚止滝上—0650奥飯森沢出合—0745逆くの字滝下—0950逆くの字滝上—1015二俣 (タルミ)1035—1230逆くの字滝上—1320逆くの字滝下—1400 3段12m滝下—1510魚止滝上—1550魚止滝下—1410サイト場(サイト後あずま屋▲1に移動)
時間通り出発しもう見慣れた林道を歩い て入渓。鶏冠の出合は看板もあり分かりやすい。明るい東沢から見ると暗い感じのする出合である。初めは右岸につけられた踏み跡を辿る。魚止滝手前のナメ滝 は右から簡単に巻ける。魚止滝は事前に写真で見て受けた印象よりもひとまわり大きい感じがした。後で気づいたのだが、この沢の滝は横幅が広いため、大きな 滝でも写真に撮ると人が写っていなければ縦横の比率から小さく錯覚してしまうのだ。この滝には左岸に明瞭な巻き道が付いている、が工作するとなればFix やTRが必要になるだろう。今回はTR(鈴木)+手がかりで水流右を通すことになった。まずLが手がかりで直登する。下半分は容易だが上部はホールドがほ とんど無いのでフリーはやめた方が良さそう。山岸さんによると珍しく鈴木が支点の環を閉め忘れていた。またTRの立ち位置は滝をやや下った場所だったが、 そこから安全な場所まではやや距離があったため(傾斜は緩かったが)最後は手がかりに巻き結びをつけさせ登らせるなどした方が確実であったと思う。
魚 止滝先の2段5mで鈴木が左壁TR。ここを過ぎるとしばらくは何もないゴーロ歩き。左から飯盛沢が出合うとやがて3×4m(ナメ)滝が現れる。水流中央は 滑りやすく右側をフリーで通す。手がかりがあっても悪くないレベル。その後の遡行図にない小滝(1.5mくらい)は滑りやすく鈴木が水流中TRで通した。 左をへつればほとんど濡れずに済むが、ここを行った人は滑りそうで苦戦していた。この後左から奥飯盛沢(沢というより岩壁)が出合うのだが、その手前でカ メラを取り出したときにどうやらラジオを落としたらしいことに気づく。ちょっと戻って探しに行くと見つけた…水中に落ちているラジオを。完全にご臨終の模 様。仕方なくWの長崎のを貸してもらうことにする。
さて、奥飯盛沢出合は本流の3段12mナメ滝の下にあたる。ここは下段が傾斜がきつく手がかり がないとおそらく直登は無理。右岸、左岸とも巻けるが結構いやらしい。結局水流左を長崎→鈴木で2段TR+手がかりとする。水流左の立ち木支点であるが長 崎の角度がやや悪かった。3段12mを越すとすぐに核心の逆くの字8×20mが姿を現す。鈴木が取り付いている間に天気予報を聞くが明日はやはり悪そう で、二俣に9時に着けなければ下降に切り替えることにした。その間に鈴木が水流右から屈曲点まで登るがここで苦戦。右には3本の残置スリングがあるが使い たくない様子、と見ているととうとう滑り台開始。2年前と全く同じ状況ということもあり最初は全員わりと楽観視していたようだが、だんだん加速し最後は ちょっと浮いて岩にぶつかりようやく停止。大きな怪我は無いようだがまずは落ち着いて様子を見るためいったん休止とする。やや痛むが聞いたところでは行動 する分には支障ないとのことだったため休んだ後継続して遡行することにした。だが、もう少し丁寧に様子を見ておくべきであったと思う。この間に長崎が取り 付く。やはり屈曲点で苦戦し残置にセルフビレイを取るも動けなくなる。さらにその間に山岸さんが左巻きを見に行き、やがて滝上に到達。それほど難しくない とのことで鈴木も同じルートでまわり込み長崎にザイルを出す。初心者は水流中TR(鈴木)+手がかりで通す。二人とも特に問題なく越える。最後にLが気合 を入れて直登。屈曲点までは特に問題なく屈曲点からも右側にある岩を上手く利用すれば以外にあっさり越えられたのでちょっと拍子抜けした。
既に9 時を過ぎており下降決定。二俣からの下降開始目安までまだ時間があるのでもう少し進むことにする。遡行図にない2条2mは右側手がかりで通すがこの手がか りはあまり意味が無かった気がする。その上の3つのナメ滝は1つ目左岸フリーで通すが、滑りやすくこここそ手がかりがあった方が良い。上の2段は下段手が かり上段TR(鈴木)。このあと幅広の快適なナメを歩き(但し中心は滑りやすい)、二俣到着。二俣には快適な一枚岩がありこの上でたるみ。長めにたるんで ここから下降に切り替えることにする。再び鈴木に足の状態を尋ねるとまだ痛みがあるとのこと。ゴアマをめくると左膝が結構赤くはれている。ヘルボを出して もらい鈴木が自身で消毒。その後下降開始。
三つのナメ滝は順に懸垂(長崎)、手がかり、手がかり。二つ目の手がかりは懸垂に使ったザイルの末端に スリングを結びつけるという変則的な形だったが安全面で問題はないと思われたのでOKにした。逆くの字滝はダブルで懸垂。セットは長崎が行ったが全体的に 遅かった。ダブル懸垂は長崎にとって初めてであるが、やることはシングルの時と大して変わらないのでもう少し早くできるよう意識的にやってほしい。 続く 3段ナメ滝は同じくダブルで鈴木が懸垂。ここを過ぎるとほとんど懸垂ポイントはなく、途中の1.5mで流木支点てがかり、2段5mで右岸手がかりで下ろ す。尚、最終バスが16:25でありこれにぎりぎり間に合うかどうかというところであったため二俣からタルミはとっていなかった。よく動いていた鈴木は流 石に疲れの色が見えており、また足の状態も考えればタルミをせめてもう一箇所くらいとるべきであったと反省した。最後の魚止滝は鈴木がダブルで懸垂。結局 この通過には時間がかかりバスには間に合わなくなった。おまけに可動チェックしたはずのザイルが途中で動かなくなり最大5人くらいで引いてみたがびくとも しない。最終的に長崎が滝上に戻りザイルを解き一件落着。
東沢まで戻り、登山道に上がる直前の河原でサイトをする。薪をたくさん集めたがサイト後 早くも雨がパラついてきたので屋根のあるあずま屋まで行って寝ることにした。あずま屋に着いて宴会。8人いるといつもより楽しい。山岸さんの情報によると 明日は7:20にバスがあるとのことでこれに乗って帰ることにする(自分は遅い時間帯の方しか調べていなかった。やはり全ての時刻を調べておいたほうが良 い)。明日は下山のみなので少々遅くても大丈夫だが、それでも9時半過ぎには寝た気がする。

5/24(日) 雨
▲1 0645—0700西沢渓谷バス停
5半6半だが5時ごろには目が覚めた。雨が降っている。土砂降りというほどではないが思いのほか雨足は強い。サイトをしていると自分の持ってきたヘッドが 分解した模様…ラジオに続きなんともついていない山行である。サイトが終わる頃雨はいったん小康状態なってきたが一度雷が鳴って驚いた。朝飯はTCG。ピ ザ風味でいける。出発直前に再び雨足が強まったがバス停に着くころには再度弱まった。あとはバスで山梨市へ向かい解散、各自帰路に着いた。

・まとめ
鶏冠谷は大きな滝が多く美しい谷である。しかし大規模なナメ・ナメ滝は奥多摩や丹沢には無いだけに、慣れていなければちょっとしたところで滑るなど危険も 大きい。やはり沢登り未経験者は連れて行くべきでは無いだろうし、今回のような大人数だと時間がかかるのはやむを得ないのでそのことは予め充分考慮してお くべきである。一方で、今までにないタイプの沢であったためトップや自分自身の経験値を上げることが出来たという点では良かったと思う。

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