奥多摩 犬麦谷・悪谷・滝谷

2009年度山行No.5 GW沢L養成 犬麦谷・悪谷・滝谷(5/2〜5/5)
企画者:大城
面子:3L大城、広瀬 2被鈴木、被長崎 1初高梨、初蓜島
遡行図:犬麦谷、滝谷…東京周辺の沢 滝谷…奥多摩の沢123ルート

沢Lとして初めての企画。今回行った沢はそれぞれ個性があって面白か
った。タクシーを使うと林道歩きが少々長くなります。



5/1(金)快晴
19:00 に立川駅集合。人身事故の影響でダイヤが乱れている。そのせいもあるのだが19:38発の青梅行きに乗る予定が、Lは独り慌ててなんと甲府行きの電車に 乗ってしまう。すぐリカバーしてわずかな遅れで済んでよかったが…。奥多摩駅からはタクシーで鍾乳洞に向かう。やはりタクシーはここまでしか入れないとの ことで鍾乳洞からは小川谷林道の終点に近い駐車場まで歩くことになった。1時間半林道をサクッと歩いて(ということにしておこう)到着。駐車場はとても広 く、自分たちしかいないのが不釣り合いに感じる。適当な場所を選んで各自就寝。

5/2(土)快晴
4:47駐車場—5:05入渓点—8:20F2上8:30—9:40F4下—11:15F6下—(リード)—2:20F6上—15:30登山道15:45—(天図15:55—16:20)—16:45駐車場
朝 から天気がいい(が寒い)。長崎が起きるのが遅く結局この日初心者のチェックは鈴木が全てやっていた。長崎に聞くと、アラームを鳥の声に設定していたらし いが本物の鳥の声と勘違いしたらしい。入渓点は歩いて15分程度と近い。最初の流木のある小滝で鈴木が左壁TR。小滝のすぐ上で左から大きなガレ沢が入り 本流には15m滝がかかっている。この滝もそれなりに迫力はあるが、この上には奥多摩最大のタツマの大滝50mが控えているはずだ。2つの滝を同時に巻く ように巻き道がつけられているので、鈴木・長崎が右の大高巻きを見に行くがなかなか合図がない。ザイルをかなり上の方から張ろうとしていたらしいが、その 位置からは届かず支点を付け替えたりして遅くなっていたようだ。結局巻きの下部を鈴木、長崎で2段TR(長崎は初めてのTRでやり方をあまり覚えていな かった)。その上でスリング手がかりを数カ所だし、上部の岩場は鈴木TR。さらにその上部で50mザイルをフルに使いFixを張って初心者を通過させ、 やっとの事で沢床に降り立つことができた。巻き道は明瞭と書かれているが、岩場より先は判然とせず崩れやすいため慎重に行く必要があった。またこの巻きは 全体的にTRが必要な部分やFixの方が良い部分、フリーで問題ない部分が混在しているので、場所に応じて確保の方法を的確に変えていく必要がある。
タ ツマを越すと小滝がいくつかあり5m滝で鈴木が左側に手がかりを出す。その上の傾斜のついた10m滝を長崎が水流中TR。この10mがモリノ窪爆流帯の入 り口らしい。どこがどう爆流なのか誰か説明してください。F415mまでは倒木のある小滝ばかりで全てフリーで通すが問題ない。F4でもリードは可能だ が、F6下がMaxでF6でもリードは出来るためここでは行わないことにする。直登はかなり難しそうだが右の凸角岩上はホールド・スタンスが豊富にありこ こを鈴木TRで通す。最上部はTR+スリング手がかり。F4を越すと8m樋状。実際のところ全くトイ状ではない。はじめ長崎が左壁を手がかりで通そうとす るがここは見た目からしてTRが必要。結局水流中を長崎TRで通した。F610mCS手前に小滝があり鈴木が右岸TR。上部を手がかりでトラバースさせ手 がかりのままF6直下の沢床に下ろした。意外と時間がかかりこの直前にリード有りの場合のMax通過リミットを越してしまったため今日のリードは諦めかけ たが、このリミットは自分が出したものを後からより早めの時刻に訂正したものだったので、ダメ元で計算し直してみると元の時刻で正しいことが判明。リミッ ト10分前であったがとにかく間に合ったのでタルミの後リードを開始する。鈴木クライマー、長崎ビレイヤー。バックアップとして広瀬が上からTR(広瀬は 右岸巻き)。鈴木はほぼ手順を覚えていたが、長崎はイマイチ。下界訓練であまり時間を取らなかったせいもあるだろう。岩がもろく鈴木は一つ目のハーケンが なかなか入らなかったようだが、残りは比較的スムーズだった。鈴木が打ったハーケンは計4本。鈴木が振り返ったとき長崎が持ち手を離していたらしい。絶対 やめて下さい。長崎がランナーを回収した後、蓜島をTR+手がかりで通す。最後に手がかりだけ残してもらって自分が登ってみる。2/3くらいまでは手がか りなしでもいけるが、CS直下は手がかりがあってもかなり怖い。フリーで登るような滝ではない。
これを越すと滝らしい滝はなくなり4段8mで長崎 が左側手がかり。その上の小滝で水流中TR(長崎)で通すと先に進んでいた広瀬が左手の稜線に上がれたようなのでここで水汲みをして遡行終了とする(水汲 みの際、駐車場で水を汲むことが出来ないことを考慮し忘れていたことに気付く。結果的に犬麦出合で汲むことができポリの数も足りていたが要反省)。尾根状 の薄い笹の中を進むと七跳尾根(旧ゴンバ尾根)の登山道に飛び出した。七跳尾根はよく整備された九十九折りの登山道。途中で鈴木に天図をとってもらう。約 30分の下りで林道まで下りることが出来た。駐車場に戻ると車が何台か停まっておりテントも張られている。賑やかにキャンプをしている脇でこぢんまりとサ イト。メニューはキムチ鍋。天図を見ると明日の天気は問題なさそう。焚き火を囲んで広瀬のシュールな話に盛り上がった後就寝。

5/3(日)晴れ
4:48駐車場—5:27三又—5:45F1下—6:25F1上—7:15F2下—7:35二俣7:45—8:50F4上—9:40F6下—11:50 F6上—13:00 F7上—14:05 稜線上14:28—15:25駐車場
3半起床。CCGⅡを食べて出発。駐車場から三又へは登山道であるが、昨日の整備された七跳尾根に比べ荒廃した印象を受ける。一カ所崩壊箇所がありザイル 手がかりを出す。三又から本流に沿って進むとすぐに右から悪谷(割谷)が出合う。水量の多い谷である。自分は入渓のときうっかりメットをし忘れていた。気 をつけなければ。F1前の小滝で鈴木がスリング手がかりを出す。F1は左の岩上あるいは右ルンゼ状から登れる。長崎TR+手がかりで左岩上を通す。最初こ のルートだと初心者が落ちたときに水流中に振られるのではないかと思ったが、岩が凹角になっており仮に滑ったとしても振られる可能性は非常に低いのでその ままでOKとした。ただ角度的には右ルンゼ状の方が安心である。その後しばらくは大きな滝はなく、一カ所小滝で鈴木が左からスリング手がかりを出し、もう 少し後の小滝で長崎が岩の左の隙間をTRで通した。F2はリードに適しているとの記述があったがホールド・スタンス豊富で水流左を簡単に直登できる。右巻 きも容易。鈴木が水流左TR。F2のすぐ上が二俣でタルミ。
水量の少ない左俣に入りしばらく倒木帯のゴーロを歩く。ここから遡行図との対応がよ く分からなくなる。F3と思われる位置にあるナメ滝は鈴木が水流中TR。そこからまたしばらく歩くと2つのスラブ状滝があるが、1つ目は右岸から簡単に巻 くことが出来、2つ目もフリーで通って問題ない。この先にF4‘10m’があるがそんなに高さがあるとは思えない。右から巻き気味に登るが全体的にヌメっ ていてあまり気持ち良くなかった。鈴木がTRで通す。その間に長崎がF5(名前を付けるほどではない)で手がかりを準備。セルフビレイをせずにザイルダウ ンしていたので注意する。いくつかナメ小滝を越えていくと、左に2本のガレ沢をあわせた後いよいよ核心のF68mが見えた。今日はここでリード。手前の小 滝を鈴木がTRで初心者を通す。今回は初心者を先に上げることにし、まず自分が手がかりで滝を直登する。その上でTR+手がかりをセットし蓜島を直登ルー トで滝上に上げた。リードは長崎クライマー、鈴木ビレイヤー。LがTRで上から確保。特に問題は無かったが、この滝は全体がスラブで長崎は登るのに苦労し ていた。長崎の打ったハーケンは計3本。F6を越すと両岸が切り立った中に3mの滝があり長崎が右壁TR。そのすぐ上にF720m。やはり大きい。左ルン ゼ状が簡単で、水流中はやや怖い。初心者は長崎のTR+手がかりで水流中を通す(長崎が再びセルフビレイを取らずにザイルダウンしていた。また支点と長崎 の間に結び目が残っていたので予め解いておくように言った)。ここを越すとF86m。木が詰まっており左壁TR(鈴木)。その上の小滝で長崎が水流中 TR。これを最後に滝はなくなり沢が二手に分かれる地点で水汲み。右のガレを詰めるとやがて笹の斜面となり50mほど登ったところで登山道に出た。
昨 日と同じ七跳尾根を下り駐車場へ。さらに人とテントが増えている。サイトの後、予定通り廣瀬に蓜島を末端(鍾乳洞バス停)まで同行してもらい、帰りに高梨 を駐車場に連れてきてもらうことにする。往復3時間の林道歩きはさすがに申し訳なかった(「死ぬかと思った」by 廣瀬)。八時半頃二人が到着し、高梨に下界訓練の残り(懸垂下降)を行う。長崎の指導があやふやだった。たのみますよ。今日は全員疲れていて即就寝。

5/4(月)曇り
4:38駐車場 —5:17三又— 7:552条6mCS上8:05— 9:30下ツ滝上— 12:00大岩のある滝上 —14:30大岩のある滝下 —15:05駐車場
今朝も3半起床で朝食は普通のCCG。Maxが厳しいので出来るだけ早く出発する。昨日同様登山道を歩き崩壊箇所で長崎がザイル手がかり。長崎のザイルが 途中で絡まってしまいこれを解くのに時間がかかった。橋を2つ渡って入渓。最初に釜を持った小滝が現れる。右岸巻きが明らかに最も簡単だがフリーだと微妙 なので長崎がFixを張ろうとする。中間支点を取らないと長すぎるが良い支点が得られず結局左岸を長崎がTRで上げて鈴木が懸垂をセットし初心者を降ろ す。さらにこのすぐ先に大きな岩のある滝があり本流は岩の右側を流れている。ここは鈴木が左岸の立ち木支点に岩の左側をTR。しばらく進むとやや深い淵が あり左右巻くことは可能だが、鈴木は躊躇なく水中突破しフリーの合図。別に問題ないが、すぐ右側に手がかりの支点にできそうな木が生えているので一応スリ ングを出してもらう。この少し上流の小滝で鈴木が左岸TR。ここは水流中や右岸なら手がかり程度で十分であった。さらにその上部の小滝で鈴木が水流中TR の合図をするが、フリーで左岸巻き可なのでそっち側を通す。2条6mCSは分かりやすく鈴木が水流中TR。ここを越すと下ツ滝まで何も無いが、カエルが異 常繁殖していた。踏みそうなので気をつけながら進む。下ツ滝はでかい。水量が多いため一昨日のタツマよりも迫力がある。しばし滝を堪能した後、右岸の巻き 道を鈴木・長崎が見にいく。途中までは簡単そうだが上部のトラバりルートがなかなか定まらないようである。結局初めは手がかりで初心者を上げ、そこから Fixを落ち口上部まで張り、最後は懸垂で沢床に下ろすことになった。長崎は初めてのFixで張るのに時間がかかっていた。最初の支点で末端処理をしてお らずビナの向きが全部逆だった。スリングの継ぎ目の位置も良くなかった。
下ツ滝上部に到達したところで時間切れ。少しゆっくりしてから下降に切 り替える。元のルートを戻るという選択肢もあったが、せっかくなので下ツ滝をダブルで懸垂下降することに決定。鈴木がセット。水流右を下降するが最後は上 手くやらないと釜に浸かってしまう。続いて2条6mCSで長崎が右岸懸垂。その後はしばらく何も出さずに大きな岩のある滝上部まで来る(途中で15分ほど 天気予報を聞いたところ明日は夕方から雨という予報であった)。ここで鈴木が下の滝と合わせてダブルで懸垂しようとするがスムーズに降りられず一旦滝上に 戻る。行きに通ったルートがおそらく最も簡単であったが左岸をFixで通す方針になった。最初鈴木が左岸上部に登り手がかりをセット。同じロープで長崎が Fixを張っていくが見た目では怖い。危険を感じたらロープに巻き結びをして張っていくように言ったが張らずに進む。さらに下の方に良さそうなルートがあ るのに上のほうに登っていく。もう少し早めにルートを変えるようにこちらから言っておくべきだった。ようやくFixを張り終え鈴木がそのルートを試しに 通ったが案の定通りにくかったらしく、結局下側のルートにロープを張り替える。ここまででなんと2時間もかかってしまった。さらに長崎が懸垂をセットし初 心者を沢床に下ろすのに30分。長崎のザイルがまたカオスになっていた。   
三又からさっさと駐車場に引き返す(崩壊地で3回目の手がかり)。 明日の天気次第では今日帰ることも視野に入れつつサイト。ポトフと炊き込みガーリックライスはどちらも美味しかった。天図は南海上に雨雲が広がりつつある ことを告げているが、天候がいつ崩れるか判断するのは難しい。やはりこの後の気象情報に頼るしかなく、そうすると終バスに間に合わない可能性があるのでと にかく今日はここに泊まることに決定。この駐車場もさすがに飽きてきた。21時の天気予報によれば関東南部は昼前後から雨の予報で明後日も曇り時々雨。山 間部ではさらに崩れが早いと思われるのでこの時点で下山を決定。明日は5時起床とする。

5/5(火)曇りのち雨
6:32駐車場—8:12東日原バス停
起きると明るい。のんびりとサイト。朝飯はBCG(個人的にはシリーズ中最も好きだった)。荷物をまとめて新緑の美しい林道をひたすら下る。滝上谷、カ ロー川谷を横目に見ながら歩き、100分で東日原のバス停に着いた(ちなみに滝上谷出合のすぐ上に小さなスペースがありここでも泊まることは可能)。奥多 摩駅に9:30に着くがさすがに開いている店など無く、打ち上げは珍しく立川駅でやることにする。新しく出来た焼き蕎麦屋は人でごった返していたが、誰も 入っていないタンタン麺屋を見つけて打ち上げ。今日はここで解散になった。

・まとめ
初めて沢Lとして企画を出した。最初の企画 としてはレベルが高すぎるのではないかとの指摘を受けていたが、少なくともこの3つの沢に関しては無理な内容ではなかったと思う。ただ、資料の作成に十分 な時間を割けず、滝の越え方の情報・水場の情報などの収集が不十分であった感は否めない。
犬麦谷はモリノに期待さえしなければ変化のある面白い沢である。もっと出ても良いのではないかと思った。悪谷も一部平凡であるが、色々な滝が出てきて養成 に向いていると思う。滝谷は美しい渓相の沢で下ツ滝は一見の価値がある。ザイルワークを的確にこなしていけば完遂も無理ではない。アプローチの長さがネックである。

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