薮トレ4週目 幻湿原


薮トレ4週目 幻湿原

 

投稿ご無沙汰で申し訳ありません(汗。6月の恒例薮トレの記録です。

   記:福家将斗

1809p南側の草原


◎参加者

4 中尾、西田 3 塩野、春木、CL船引、sL福家

2 朝比奈(2→4)、大坪(4→6)、鴨田、川中、谷(5→7) 1 市野、加茂、田中、松尾、山本


6/24(金)

東京=(車)=TWV小屋▲0

 本郷側は17時45分からエキチェをして18時35分頃出発。先週7天本体を振られた道下がテントを裏返して乾燥させたようで、ゴミ一つなく完璧な状態で返却されていて感動した。

 ハイエースワゴンを任せた朝比奈大坪を含む駒場側も無事出発できているようで一安心。雲天に挨拶して鍵を受け取り古田に入山連絡して小屋に向かう。南京錠の番号を堀が教えてくれて助かった。小屋では無理をすれば16人眠れたのだが、床のクッションの上で寝ることになったsLは寒くてあまり眠れなかった。深夜雨音が聞こえたがうつらうつらする内に聞こえなくなっていた。


6/25(土) 曇り→晴れ→ガス→曇り

▲0 04:37〜05:00堰堤05:10〜05:55 1000m地点 06:07〜07:00 1250m地点 07:10〜07:50 ナナカマド台地 08:10〜09:00 1495m地点(水汲み) 09:30〜10:50 幻湿原(sub装) 11:30〜12:20 1770m地点 12:22〜13:35 柄沢山 13:51〜14:45 1770m地点 14:57〜15:23 幻湿原▲1

 3時50分起床で4時30過ぎ出発。薮装はほとんど準備させた。小屋に泊まって気が緩んでいるのか動きが悪い。また2階の電気を消し忘れていたが一旦西田さん(船引さん)が走って消しに行ってくれた。林道の分岐で川中が迷っている間に西田さんと船引さんは本隊に合流した。朝方は湿度が高くて大変暑く、ゴアマが不快。前述の通り深夜に雨が降ったが堰堤の渡渉は全く問題なかった。対岸に渡ったところで薮入りする。尾根に乗り上げる所で多少時間がかかるが想定内。最初は尾根上の植生が薄く蒸し暑いのでゴアマの腕を捲っていたら、アブに一瞬で3箇所刺されて慌てて袖を戻した。ふと頭上を見ると晴れ間が見え始めていた。

 ナナカマド台地までは地形図以上に尾根が細く、ルーファイは容易。赤布が残っていてsLが打つ練習にならない。露岩は報告が安定せず何れとも判別しづらかったが、恐らく右巻きした。危険というわけでは無いが、下りで雨が降っていたらいやらしいだろう。

 ナナカマド台地の入り口でたるみ、南アの主力である鴨田・朝比奈・川中・大坪でトップと中継を回す。散開陣形を保ち偽沢に惑わされず幻沢に辿り着けるかが勝負だったが、早々に偽沢に捕まっていたようだった。北側の尾根との距離がちっとも離れず1450m程でようやく幻沢に合流した。船引さんと西田さんは途中で本隊から分離し幻沢に先に着いていた。最終的に幻沢に合流できることは分かっていたので大して問題ではないが、もう少し早く見つけられても良かっただろう。

水汲み地点

 幻沢は1480m程から水量が安定してきたのでトップに汲みやすい所でたるむよう指示する。ナナカマド台地は風通しが悪く、蒸し暑くなると思っていたが雪渓から吹く風が冷たくて気持ちよく、意外に快適。水汲みしつつ西田さんの差し入れのジュースを消費する。その後幻沢を詰めていくが、幻沢は浮石が多く水流に落ちる人もいて、早めに右脇の笹原に突っ込んだ方が時間はかからなかったかもしれない。また水汲みももっと上で良かった。幻湿原には雪渓が残っていたが地表が露出している部分もあり、そこにテントを張れた。絶好のサイト適地である。予想以上の好天に1809pでのサイトも考えたが、雷を警戒してやはり湿原でサイトすることにした。中尾さんがスノスコを持ってきていて用意周到さに驚いた。船引さんはペグを小屋に忘れてきていたのに気づいてかなり落ち込んで銀マの上で寝ていた。

 サブ装を用意して1809pに出発する。市野が手提げ袋にサブ装を入れて行こうとするので慌てて止めてパッキングし直させた。今年はトップが威森松山尾根から登ることにしたが、こちらが正解だったように思う。ラッセル陣形を20〜30分続ければ尾根に乗れ、以降はあまり濃くない。1年会も想定よりは遅くない。1809p前の草原でたるみ、トラバースして国境稜線に取り付く。国境稜線に出たところは素晴らしい草原であり、確かに機会があったらここでサイトしてみたくなる。次第にガスが出てきて度々柄沢山が隠れていた。国境稜線は情報通り東側が歩きやすいが、後半になると急になるので最後は尾根上右側を歩いた。sLはCLが発見したガマガエルを2020年の白毛門にちなんでJJと名づけ、一緒にしんどそうな1年会を励ましつつ登った。JJは当初sLの手から逃れようと抵抗していたが、その度にsLが軽く握りしめると次第に大人しくなった。体温が低く手が冷えて心地よい。柄沢山は展望はあるが打っても達成感はさほど感じられない。

柄沢山山頂にて

 JJと一緒に集合写真を撮って引き返す。JJは野に放ち下界での再会を約束した。あとは帰るだけとなったからか隊に緊張感がなくなり、本体の前半は草原に着くと気が抜けて座り込んで後続を待っていた。川中とCLは寝っ転がっていた。

 他方、柄沢山までの登りで度々出ていたガスの量が増え、1809p手前のコルについた頃に辺りはガスに完全に覆われた。行きにたるんだ1770m地点でたるむよう指示するもいつまで経っても到着した報告がない。植生も行きとは異なり少し濃くなってきて、本体誘導がなぜか右に寄りたがる。このあたりでどうやらイモったと気づいた。尾根上の角度が深すぎる。まだそこまで下っていなかったので本体を止めてトップに正解尾根を探させる。ガスで見えづらかったが左側の尾根(そもそも左側に尾根が見えているのがおかしい)が正解尾根である旨の報告と、川中が行きのたるみ地点を発見したとの報告を受ける。失敗には違いないが致命傷ではなくて一安心。行きに寄った所だからと油断せず、視界がない時に下り始めるならばきちんとピョコから角度を切って進まなければならないという鉄則を徹底すべきだった。黒瀬さんに白毛門で教わった記憶が蘇る。1770m地点でトップを止まらせ、本体もトラバースして合流したるむ。すぐにトップが反省会をしていたのは偉かった。

 最後のピッチは威森松山尾根から幻湿原への降り口を見つけられるかが勝負だった。ここは船引さんがヒントを出したもののトップが優秀で行きと同じルートで下り始めることができた。幻湿原に戻ったあとは時間に余裕があったのでペグを自然から調達した後のんびりサイトした。宴会の準備をしていたところ元気な12年会+船引さんが雪玉でテントを狙撃してきた。テントのベンチレーターを狙っていたらしいが心が少年(アホ)のままなのか。同士討ちして欲しかった。もう1人の少年である中尾さんは大量に捕獲したトンボでテント内の小虫を駆除しようと試みていたが、トンボはテントの壁に突進するばかりで無能だった。


羽音がうるさいので全て自然に戻す。起床係はサイマス朝比奈により西田さんに指名された。普段後輩に厳しいばちがあたったのだろうか。

6/5(日) 高曇り

▲1 04:23〜05:23 1660m地点 05:35〜06:57 1490m地点 07:10〜08:02 1340p前ベロ08:14〜08:58 1310p 09:07〜10:20 威守松山(薮装解除) 10:32〜11:15 分岐 11:25〜11:46 TWV小屋

 3:00起床。sLはジジ天に入ったのでのんびり茶飯を作る。梅パスタは美味しかった。パスタが伸びていなくて食べやすかった。撤収開始は4時、体操は20分とする。大した問題も起こらなかったので体操が終わったらそのまま出発した。

 天気は高曇であり、土曜の夜見たSCWとは全く異なり夜中も雨ひとつなく、雨雲も見当たらなかった。威守松山尾根への取り付きは昨日と同じ箇所からで、さほど手こずることなく尾根に乗った。ラッセル陣形は偉大。1660m地点でたるむ。

 ここからルーファイ箇所までは大して難しくないと思っていたが、ここでトップと中継、本体の前半がまとめて北側に落ちた。灌木が高くなり視界が悪く、植生に流され右に落ちやすいようで、ここは尾根感を研ぎ澄ませなければならない。せめてトップと中継の誰かは落ちずにいて欲しかった。1490mのルーファイ箇所に少し入ったところでたるむ。次のトップは土曜同様に2年会4人で回す。今回は角度を切って小地形に惑わされず進み続けられるかが勝負だったが、結果から言えば成功した。南側の沢状地形を見に行った朝比奈も一度は本体に吸収されたものの復帰し、トップ同士の間に1340p前ベロを捉えた。イモピッチの後成功する流れがあるらしい。ベロでたるむ。

 灌木のウザさは健在でsLは若干嫌気が差し始めるが、本体も同様のようでなかなかスピードが上がらない。天気は雨が降るどころか晴れはじめ、気温が高くなって蒸し暑くなっていく。ゴアマの袖は下げたままなのになぜか食われ続けたsLの腕はパンパンに腫れ上がっていた。なぜ中村さんに虫除けスプレーを預けたままにしたのか…。1310pでたるみ、次のピッチで薮抜けする事を誓う。

 威守松山前コルの前からも踏み跡はあるが大して歩きやすくはなく、コルになっても踏み跡が明瞭になるわけでもなく、結局威守松山まで薮装は外せない。ロングピッチをやり切って威守松山につくが、市野の頭から血が出ていると報告を受ける。慌てて薮抜け写真を撮らずに応急処置に移るが、傷は深くなく止血もできて安心した。威守松山からの登山道は険しく、雨が降っている時は通りたくない。今回はむしろカンカン照りだったので詰まることなく下り切った。

 小屋についたらさっさと帰る準備をして雲天に寄って鍵を返し、金城の里で風呂に入ってすぐに東京に帰った。本郷車は車を返した後、やよい軒で打ち上げた。


◎総評

 幻湿原が薮トレとして定番企画である所以がよくわかる山行だった。トップはイモった経験も成功した経験も積めて、各自自信をつけつつ課題も発見できたと思う。1年会にとっても夏合宿に向け良いトレになっただろう。もちろん幻湿原や1809pの景観は素晴らしく、充実した1泊2日だった。

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