2021年7月26日月曜日

OB山行 南アルプス北部縦走

東京オリンピックの開会式に合わせて出現した4連休を使い,OBメンバーを集めて南アルプスの百名山4座を巡る縦走に行ってきました.3泊4日の山行で総ピッチ数が36ピッチを超える長大な縦走企画となりましたが,天候にも恵まれて久しぶりにワンゲルらしい山行を楽しむことができました.

参加者:(OB4) 村田,川原 (OB3) 飯沼,西山,根岸

記:飯沼

朝焼けの仙丈ヶ岳にて

7/22(木) 天気:晴れのち曇り時々雨

伊那市 7:15 =(タクシー)= 7:50 仙流荘 8:05 =(バス)= 8:45 丹渓新道登山口
丹渓新道登山口 9:00 〜(たるみ約30分)〜 12:36 馬の背 12:46 〜 13:04 丹渓新道合流 〜 13:37 仙丈小屋 14:04 〜 14:20 仙丈小屋分岐 〜 14:49 小仙丈ヶ岳 14:56 〜 15:22 仙丈小屋分岐 〜 15:35 仙丈小屋

 伊那市駅へは前日21日のうちに自宅から各々アプローチ.村田さん以外は駅から徒歩3分ほどのホテル伊那に宿泊した.村田さんも別にホテルを手配しており,駅カンをした人はいなかった.ワンゲルを卒部してようやくホテル泊という文明を手に入れたらしい.
 22日は朝7時10分に伊那市駅前に集合.7時15分に予約しておいたジャンボタクシーで仙流荘へと向かった.所要時間は約35分,料金は13,200円.一応,仙流荘まではバスでも行けるが,北沢峠行きのバスにうまく接続できないのでタクシーで行くことを選択した.仙流荘の駐車場脇にあるバス乗り場で歌宿までのチケットを購入する.旅客運賃と手周り品の運賃を合わせて1人1,070円.バス乗り場前には広々とした駐車場が設けられているが,コロナの影響か停まっている車はわずかだった.マイクロバスに乗り込み定刻通り仙流荘を出発.道中,運転手が南アルプス林道の歴史や,車窓から見える山々の解説をしてくれた.2019年10月の台風で南アルプス林道が被災したため,バスの運行は北沢峠手前の鹿の沢までとなっている.歌宿バス停を少し過ぎて丹渓新道登山口で運転手に声を掛けてバスを降りた.

丹渓新道登山口から望む鋸岳

 丹渓新道登山口には駐車場も水場も何もない.乗ってきたバスを見送って体操をする.登山口からは甲斐駒ヶ岳や鋸岳の眺望が素晴らしい.一通り写真を撮って道路脇の登山口から階段を登って樹林帯に入っていく.最初の2ピッチほどはひたすら樹林帯の急坂を登っていく.マイナールートなだけあって道は細く,人とすれ違うことはほとんどなかったが,赤テープは沢山つけられており道迷いの心配はない.標高2639mの独標を越えると視界が開ける.さらに登っていくと,ハイマツの生い茂るなだらかな稜線に出る.ここが馬の背で,正面に仙丈ヶ岳のカールと宿泊予定の仙丈小屋がよく見える.しかし,このあたりからガスが濃くなり,遠くでは雷の音も聞こえてきた.少し歩みを速めて稜線を登る.当初なだらかだった尾根が徐々に傾斜を増していく.馬の背からおよそ1ピッチで標高2880mに建つ仙丈小屋に到着した.小屋の少し手前の沢に水場がある.小屋の方の話では,その水場は8月上旬には涸れてしまうらしい.カールの上部に雪渓が見えたので,そこが水源になっているのだろう.

1日目の宿・仙丈小屋

 仙丈小屋にテン場はないので6,600円/人で素泊まりの予約をしておいた.コロナ対策でパーティションで仕切られた居室に通される.外見は若干古さもあるが,内装は新しく,綺麗な水洗トイレも併設されている.小屋で荷物を下ろして空色を伺う.ガスが濃くなったり青空がのぞいたりして小仙丈ヶ岳に行こうか迷ったが,雷鳴が遠かった気がしたので行くことにしてサブ装をまとめた.小仙丈ヶ岳へは小屋の前の分岐をカールの西淵に向けて登り,その後,稜線伝いに歩いていく.ゆっくり歩いて1ピッチほどで小仙丈ヶ岳の山頂に到着.正面に優美な仙丈ヶ岳の姿を・・・とはいかず,再びガスが濃くなってきたので,たるみもそこそこに小屋に戻ることにした.再び雷鳴も聞こえてきたので急いで稜線を登り返して小屋に戻った.小屋に戻ってすぐに雨がパラパラと降ってきた.雨雲レーダーを見てみると,仙丈ヶ岳の南側で激しい雷雨が観測されていたらしい.丁度良いタイミングで帰ってこられた.

山行中の晴天を祈念して乾杯

 すぐにでもサイトを始めたかったが,雨の心配もあったので小屋内サイトを選択.17時が小屋の夕食の時間なので,それが終わってからなら食堂のテーブルを使っても良いとのこと.17時半まで昼寝をしたり水を汲みに行ったりして時間を潰した.予定通り17時半からサイトを開始.この頃にはすっかり雲が晴れて甲斐駒ヶ岳の姿も見えるようになっていた.1日目の夕食は夏野菜カレー.900円の生ビールのジョッキを片手に材料を刻んで鍋に放り込んでいく.トマトの酸味が効いてとても美味しかった.しかし,どうも村田さんの様子がおかしい.ビールを飲んでいる時も夕食を食べている時もしんどそうな顔をしていた.高山病で頭が痛いらしい.他のメンバーにも確認すると,程度の差こそあれ,飯沼以外は何かしら高山病の症状が出ていた.特に症状の強かった村田さんはバファリンを服用し,翌朝の準備をして消灯の20時に合わせて就寝した.


7/23(金) 晴れのち曇り時々雷雨

仙丈小屋 4:08 〜 4:15 地蔵尾根分岐 〜 4:30 仙丈ヶ岳 5:00 〜 5:28 大仙丈ヶ岳 〜 7:15 苳の平 〜 7:34 伊那荒倉岳 7:51 〜 7:57 高望池 〜 8:22 2499m地点 〜(たるみ約15分)〜 8:51 横川岳 9:15 〜 9:32 野呂川越 〜(たるみ約45分)〜 12:46 三峰岳 13:03 〜 13:36 三国平 〜 14:00 熊の平小屋

未明の仙丈ヶ岳と仙丈小屋

 小屋の起床時間は4時だが,4時には出発したかったので3時に起床.前日の夜サイトと同様,小屋の食堂をお借りして朝サイトを行なった.メニューはサバ味噌煮うどん.乾麺にサバの味噌煮缶としょっぱくなりそうな組み合わせだったが,意外と美味しくいただけた.4時に居室から荷物を出して暗闇の中で体操.体調を確認すると,皆高山病の症状は改善していた.ヘッデンを点けて仙丈ヶ岳に向けて登っていく.前日とは逆方向のカール東淵に向かって登っていき,山頂部の稜線に取り付く.天気は快晴.甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山を背に,雲海を眺めながら仙丈ヶ岳の緩やかな稜線を登っていく.まずは百名山1座目の仙丈ヶ岳の山頂に立つ.正面にはこれから歩く塩見岳への稜線,そして赤石岳など南アルプスの3000m級の山々が目に入る.東には富士山,北岳,間ノ岳の日本の標高トップ3,さらには中央アルプス,北アルプス,八ヶ岳まで見渡せる.素晴らしい.日が上るまでしばし景色を楽しんだ.しかし同時に,塩見岳へのあまりにも遠い道のりに一抹の不安を覚えた.

仙丈ヶ岳山頂から望む御来光
 仙丈ヶ岳から大仙丈ヶ岳にかけては3000mの稜線を歩く空中散歩.大仙丈ヶ岳を過ぎると徐々に高度を下げ,やがて樹林帯に入る.途中,2499m地点の独標など,一部で眺望の開ける場所はあるものの,伊那荒倉岳や横川岳を含めてほとんど眺望はない.伊那荒倉岳の先にある高望池は水場ありとされているが,あまり頼りにしない方が良いだろう.仙丈小屋の方の話では,しばらく雨が降らないとすぐに涸れてしまうらしい.仙丈ヶ岳で3033mあった標高は野呂川越に至って2300mまで下がる.道中,所々倒木が多い箇所もあるが,基本的には歩きやすく整備されていた.野呂川越を過ぎると,道は再び上りへと転じる.当初なだらかだった登山道は勾配を増し,露岩を攀じ登るような場所もあった.野呂川越から登ること標高差700m,3ピッチかけて2999mの三峰岳山頂に至る.ガスが湧いてきてしまったが,間ノ岳と農鳥岳の山容に圧倒された.

三峰岳山頂から望む農鳥岳
 三峰岳から熊の平小屋までは再び400m下る.三国平あたりまで下ったところでパラパラと雨が降り出した.隊を止めて雨具を装着する.雨は強まったり弱まったりしながら,徐々に強まっていった.雷鳴も近づいてきて,肉眼でも稲光が見えるほどになった.小屋へ急いで向かうも,後少しのところで間に合わず,熊の平小屋のテン場に差し掛かったあたりでスコールのような土砂降りになってしまった.全身ずぶ濡れになりながら熊の平小屋に到着.森林限界上でこの雷雨に合わなかっただけ良しとしよう.熊の平小屋は今年,営業休止しており,冬季避難小屋を一般向けに開放してくれている.上下2段に分かれていて,収容人数は30人ほど.中に入るとすでに20人ほどスペースが埋まっていた.どうやら,おじさんハイカーがスペースの割り振りを買ってでてくれたらしい.我々は上段の一番出入り口に近いスペースを充てがわれた.とここまでは良かったのだが,割り振り奉行のおじさんの印象がどうにも良くない.自分にだけは他の登山者の倍近いスペースを割り当て,夜遅くまで音量も絞らず喋り続けていた.
根岸作・イワナの天日干し


 まあ,それはともかく,濡れてしまった装備の始末をしてサイトを開始.この日のメニューはモツと牛すじのピリ辛煮込みだ.甘めのモツと牛すじ煮込みにニンニクを合わせて豆板醤で辛味を加えた鍋が疲れた体に染み渡る.大満足の夕食だった.サイトの片付けを済ませて宴会の用意をする.この日は,根岸が差し入れたイワナの天日干しを肴に,村田さん持参の日本酒をいただいた.宴会をしながら翌日以降の方針を話し合う.帰宅の時間などを考慮し,最終日は1時起床,2時出発を目指すこととした.それに伴って OR としてとっていた蝙蝠岳は「行くつもりで用意して行けたら行く」ことになった.18時ごろには周囲が就寝する準備を始めたので,我々も宴会をお開きにして寝る前に水を汲みに出る.この水場,2500m近い沢の最上流部にあって,雪渓が水源となっているわけでもないのに,年中涸れることなく冷たい清水がこんこんと湧き出ている.なんとも不思議な水場だ.翌日のサブ装の支度を済ませ,19時頃には寝袋に入った.

7/24(土) 晴れのち曇り

熊の平小屋 4:04 〜 4:39 安倍荒倉岳 〜 5:08 竜尾見晴 5:23 〜 5:35 新蛇抜山 〜 6:27 北荒川岳 6:39 〜 6:45 北荒川岳キャンプ場跡地 〜 7:11 雪投沢源頭水場下降点 〜 7:45 北俣岳分岐 〜 8:20 塩見岳 8:52 〜 9:10 北俣岳分岐 〜 9:28 雪投沢源頭水場下降点 〜 10:05 北荒川岳キャンプ場跡地 〜 10:15 北荒川岳 〜 11:08 新蛇抜山 11:23 〜 11:36 竜尾見晴 〜 12:18 安倍荒倉岳 〜 12:42 熊の平小屋

 前日同様,3時起床4時出発.朝食はトマトチーズリゾットを作った.パルメザンチーズをたっぷりかけて一気にかき込む.体操を済ませて予定通り4時過ぎに出発する.しかし,出発後まもなく村田さんが水を汲み忘れたことが発覚し,隊を止めて水を汲みに戻ってもらった.10分もかからず村田さんが戻ってきたので再度出発.安倍荒倉岳を目指して高度を上げる.登山道は安倍荒倉岳の山頂をかすめて稜線をトラバースしていくが,山頂に登ることも可能で1分ほどですぐに到着する.その後,小刻みにアップダウンを繰り返しながら進んでいくと竜尾見晴に至る.ここからは間ノ岳や農鳥岳,そして遠くに目指す塩見岳がよく見える.

目指す塩見岳は未だ遥か彼方
 竜尾見晴を過ぎると再び樹林帯へと入っていく.新蛇抜山の山頂を巻いて一旦100mほど下る.鞍部から再び登り返し,北荒川岳の山頂へと至る.北荒川岳の北側斜面は低木の樹林となっているが,山頂への坂道を登り切ると一気に視界が開ける.これまで遥か彼方に見えていた塩見岳がここで眼前に現れる.
塩見岳を背景に集合写真
 北荒川岳を過ぎると開けた稜線歩きとなり,右手前方に塩見岳を見ながら進む.途中,打ち捨てられた小さな山小屋がある.ここは以前キャンプ場としてテン場などが整備されていたのだが,今は幕営禁止となっている.さらに進むと雪投沢への下降点に至る.雪投沢方向へ降っていくと,やがて水場が現れるらしい.しかし,登山者の屎尿で汚染されているという情報もあり,あまり当てにはしない方が良いだろう.ここを過ぎると北俣岳分岐まで一気に高度を上げる.登山道はザレていて非常に登りづらい.落石を起こさないように注意しながら登っていく.この頃になると,周辺の雲が徐々に厚くなってくる.前日のような雨に降られるのは嫌なので OR の蝙蝠岳はカットして,塩見岳のみを討って引き返すことにした.北俣岳分岐からさらに100mほど高度を上げると,塩見岳の山頂 (東峰) に到着.雲はさらに高くなり,ここまで歩いてきた仙塩尾根や仙丈ヶ岳を拝むことはできなかった.山頂で記念写真を撮るなどゆっくり過ごして,帰途に着いた.
塩見岳東峰山頂にて
帰りは行きと同じ道を戻るだけ.途中,行きには寄らなかった新蛇抜山や安倍荒倉岳の山頂を登って帰ることにした.どちらのピークも眺望なしのイモピーク.行くべきかと言われれば行く必要なないと答えるだろう.帰路の道中も徐々にガスは濃くなっていき,今にも雨が降り始めそうになる.歩みを速めて進もうとするとガスが切れて晴れ間が見える.そんな状況でなんとか雨に降られずに小屋まで戻って来られた.
 小屋に戻ると中はすっかりもぬけの殻.自分達ともう1組の荷物がデポされているだけで中には誰もいなかった.荷物は2段目に置きっぱなしにしていたが,それでは不便なので下の段に移動した.一部メンバーは誰もいないことを良いことに,パンツ1丁で小屋の内や外を徘徊,テラスに汗で濡れた衣類を並べて乾かした.荷物の整理などをしているうちに他の人が到着したので,大急ぎで干していた衣類を回収し服を着た.到着したのはトレイルランな風の男女1組,結局この日,熊の平小屋に宿泊したのは合計9人で,我々以外の4人は皆トレイルランナーの方々だった.前日とは違ってスペースを広々と使って寛ぐことができた.
 荷物を一通り整理して13時半ごろからサイトを開始.もはやお昼ご飯の時間だが,この日の晩御飯は柚子胡椒鍋.具沢山でつくねの塩味と柚子胡椒の辛味がよく合う.14時半過ぎに食べ終わると,これまでの疲れからか皆寝袋に入って寝てしまった.次に目を覚ましたのは17時ごろ.声を掛けるとみんなのそのそ起きてきて宴会を開始した.残っていた差し入れを次々に投入し,ウィスキーや日本酒が飛ぶように売れた.しっかり昼寝してしまったのであまり眠くなかったが,翌日1時に起きなければならないので,19時には水汲みや翌日の準備を済ませて再び寝袋に入った.

7/24(土) 晴れ
熊の平小屋 2:01 〜 2:43 三国平 2:55 〜 3:29 三峰岳 3:43 〜 4:26 間ノ岳 5:04 〜 5:45 中白根山 5:57 〜 6:25 北岳山荘 6:44 〜 7:12 トラバースルート分岐 〜 7:28 吊尾根分岐 〜 7:47 北岳 8:11 〜 8:22 吊尾根分岐 〜 8:35 トラバースルート分岐 8:42 〜 9:05 吊尾根・北岳山荘トラバース道分岐 9:12 〜 9:27 八本歯のコル 〜(たるみ15分)〜 11:01 大樺沢二俣 11:16 〜(たるみ15分)〜 12:50 白根御池分岐 12:54 〜 13:10 広河原山荘 13:15 〜 13:23 広河原インフォメーションセンター

 予定通り最終日は1時に起床.朝ごはんというか夜食というか CHP を作る.西山が欲張ってペンネを多く持ってきたので,想定以上にドロドロになってしまい食べ切るのに難儀した.サイト後,2日間お世話になった小屋の床を箒で軽く掃いて外へ出た.前日のヤマテン予報では晴れのはずだが,どうも標高の高いところは曇っているようだった.体操を済ませて2時に小屋を出発.間ノ岳に向けて600m近く登っていく.三国平までは樹林帯を進む.三国平の手前で森林限界上に出ると,満月に照らされてヘッデンなしでも歩けるほど明るい.昼間の山歩きとは一味違う幻想的な時間を過ごせた.しかし,それも束の間,標高を上げるにつれて風が徐々に強くなる.三峰岳に到着する頃には,山頂でたるめないほど風が強くなっていた.岩陰で風を避けられる場所を探して荷物を下ろして防寒着を装着した.ここまでずっと半袖短パンで乗り切ってきた飯沼も,流石に耐えかねて長ズボンとウィンドブレーカーを着用した.

月明かりの下,三峰岳を目指す
 三峰岳から間ノ岳までは岩稜帯の登りとなる.まだ日の出は先なのでヘッデンを点けたまま,注意深くマーキングを辿っていく.しかし,本来巻くべき岩峰に取り付いて登り始めてしまった.どうにも道らしい道がなかったので,一旦戻って下の方でマーキングを探すと,はっきりと道がつけられていた.昼間ならこんなミスは有り得ないだろうが,ヘッデン行動で視野が狭くなっていた故のミスだろう.今後とも十分に気をつけたい.三峰岳から40分少々,日の出前に間ノ岳の山頂に到着.この頃には上空の雲はすっかり飛ばされ,眼下には雲海が広がり,これまで歩んできた稜線が一望できた.日の出の時間に三峰岳に着けば良いかなあと思っていただけに,ご来光を間ノ岳山頂で拝めるのは望外の僥倖であった,各々写真を撮ったり景色を眺めたり,思い思いに時を過ごす.すっかり日が昇るのを待って間ノ岳山頂を発った.
間ノ岳より北岳と八ヶ岳,そしてご来光
 間ノ岳からは開けた稜線を歩んでいく.左手には2日前に歩いた苦しい苦しい仙塩尾根の稜線が遥か下に見える.改めて見ると三峰岳への登りがえげつない.よくまああんなところを歩き切ったものだ.右手には富士山,正面には北岳を望みながら,ひとときの空中散歩を楽しんだ.中白根山の山頂でたるんでいると,遠くからヘリコプターの音が聞こえてきた.観察していると北岳山荘横に着陸し,5分ほどして山梨側に飛び立っていった.誰か遭難したのだろうか?中白根山の下りあたりから,村田さんの歩みが遅くなる.ここまでの疲労も相まって膝の調子がおかしいらしい.痛みを堪えて歩いていた.
間ノ岳を後に北岳へと向かう
 北岳山荘に到着し,キジウチたるみを取って,最後のピーク北岳へと登っていく.途中,根岸がトラバース道への分岐と吊尾根分岐を間違えて荷物を下ろしてしまったが,村田さんの膝への負担を考えて,重い荷物を背負って下る時間を短縮するために,トラバース道との分岐に荷物をデポして空身で行くことにした.これより上は木製ハシゴや鎖場などが続き,すれ違いに気を使う.案外荷物をデポしておいて良かったかもしれない.空身でおよそ30分ほどで山頂に到着した.山頂は混雑しており,山頂標の前では多くの人が写真撮影を待っていた.間ノ岳に隠れて南アルプス南部の山々は見えなくなってしまうが,仙丈ヶ岳,塩見岳,間ノ岳と,これまでに登ってきた名峰を一望できた.
仙丈ヶ岳をバックに最後の最後の集合写真
 ここまで来れば,あとはもう下るのみ.広河原とその先の温泉を目指して高度を下げる.デポした荷物を回収して,水計算をし直して不要な水を村田さんのザックから抜いた.トラバース道をまわり,八本歯のコルへと降りていく.八本歯のコルの少し手前から木製のハシゴがかけられた箇所が多々あり,すれ違いに苦労する.皆の疲労もすでに限界突破しており,下れど下れど広河原は近づかない.時々北岳バットレスを見上げて,クライミングする人を眺めながら気分を紛らわしながら下った.高度を下げるにつれて気温も上がり辛さは増していく.読みから大幅に伸びることはないものの,全く縮まらないので,当初予想していた12時下山の予定を大幅に過ぎてしまった.結局,13時過ぎにようやくゴールとなる広河原インフォメーションセンターに到着した.
広河原の吊り橋.旅はもうすぐ終わりだ.
 広河原を14時のバスに乗って後にする.元の計画では芦安で温泉に入り,甲府駅前で打ち上げをしようという話だった.しかし,芦安発の甲府駅行きバス17時40分にしかないので,このプランは諦めた.結局,甲府駅までバスで移動し,さらに電車で石和温泉に移動して温泉に入り,打ち上げをすることにした.広河原から甲府駅へはほぼ2時間.石和温泉駅に荷物をデポして,駅から徒歩6分ほどのかんぽの宿で温泉をいただいた.その後,村田さんたっての希望ではま寿司に移動して打ち上げを行った.ビールを飲みながら達成感に浸り,その後各々帰路についた.

総評
 なにはともあれ,大きな怪我なくこの山行を終えられてよかったというのが正直な感想だ.そして,控えめに言って最高の山行だったと言える.2日目の最後に雨に降られたものの,基本的には晴天に恵まれ,全ての主要ピークで素晴らしい景色に出会えた.
 企画者の飯沼にとって,(結局テントは使わなかったものの)久しぶりのテント泊装備での登山であり,不安の種は尽きなかった.2泊以上の山行は実に4年ぶりである.そんな中で,3泊4日で合計36ピッチを超える長大な縦走企画を作ってしまった.体力的にも精神的にも,他のメンバに迷惑をかけないか心配でならなかった.しかし,終わってみればとても自信につながる山行となった.やはり登山はライフスポーツ.これからも機会を捉えてこのような参考を積極的に企画,参加していきたいと思う.
 また,今回の山行では,ワンゲルを卒部して OB になったからこそ楽しめたという側面もあったと思う.特に,日の出前行動不可の準則がつきまとう現役では,テン場の場所を選ばなければご来光を拝むことすら難しかった.しかし,OB となって,自由に出発時間を決められるようになったからこそ,山頂から素晴らしいご来光を拝むことができた.今の準則がどうなっているのかは分からないが,個人の裁量が大きいのは OB 山行の1つの良さだと思う.
 
さあ次はどの山に登ろうか・・・

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