救助訓練 モミソ沢

今年も行って参りました。
記: 三宅
面子:4*鈴木(不参加),*松岸,L三宅,3*廣長,EF被 豊島,2WH被 中村,1初 益田,初 山田
背負い搬出訓練の様子

4/18()霧、雨
東京 = 大倉
 支度を終え家を発とうとした頃、鈴木から不参加を希望する旨のメールが届いた。ひどいドタキャンだが、就活生にはグルーミーな事情があるので黙って了解した。がんばれ。珍しく濃い霧がかかった大倉で初心者の下界訓練をした。今回の初心者は新人の益田と山田。山田は木曜に教わったことをテキパキとこなす一方、益田はまるで初めてザイルを見たかのような顔ででこちらを見るので逆に当惑した。下界訓練が終わってしばらくすると、終バスを逃した豊島が渋沢から徒歩で到着した。雨がポツポツきてるので今日はここで就寝。


4/19()霧、のち曇、のち雨
大倉0402 ~ 0448新茅山荘0525 ~ 0535モミソ出合 ~ 0642F2~ 0815大滝下(タルミ15分・リード訓練)1050 ~ 1221F2(タルミ15分・救助訓練開始)1310 ~ 1653モミソ出合1705 ~ 1715新茅山荘▲0603 ~ 0658大倉
 先週にも増して林道歩きが快速で、読みより4分早かったがこれは地味に凄いことである。新茅山荘で新人にデポの説明をしている間に日が昇り、霧の切目にうっすら青空も覗く。なかなか美しい朝だ。益田のメガネバンドと笛が無いことを松岸が指摘してくれたが、トップは次からそういうところも確認して欲しい。
 入渓は特に問題なく、すぐにF1が現れた。豊島が右壁TR。続く2mは水流中、2mCSは左壁を中村がTR3mはフリーで巻。その次の3mは豊島が水流中TR。二人とも交互に素早い工作ができていた。序盤は登りごたえのない滝が続き、気がつけば早々に水涸れである。
 F2上部は中村が右壁、私が左壁を登り確保しやすい左壁をTRで通した。同じザイルを手がかりとして使い下の2mを上げた。F2はホールドが細かく面白い。ゴルジュに入る。チムニーを豊島がTR2mCS下まではフリーで通し、最後はゴルジュ出口の木からまとめてTR2段になったので下段を豊島、上段を中村。日光が差し込むゴルジュ出口でほのぼのとしていると、廣長がヒルに腰を喰われ風貌に似合わない乙女ちっくな悲鳴をあげた。2m表示の滝は4mくらいに見える。豊島がやや手こずったが直登しTR。大滝に到着。

 大滝は立派な涸棚で、水を落としていればさぞ美しかろう。リード訓練を行うために私がザイルを持ち登攀したが、目測を誤り上部で詰まった。エスケープとして見ていた左トラバースも逆層で使えないので、残置ボルトにビレーを取りながらクライムダウンした。しかし残り3mでビレーを解除した次の一歩で大岩ホールドを剥落してしまい、下部で砕けた破片が松岸の足と廣長の喉にぶつかった。幸い怪我には至らなかった。3m滑った私は何ともなかったが、リーダーらしからぬ振る舞いを猛省した。
 リード訓練はクライマ中村、ビレイヤ豊島。ヌンチャクの授受忘れがあり、またヌンチャクにゲートの型がストレート&ストレートになっているものがありと課題が残った。豊島のビレー手順も滑らかではなくもう一度確認して欲しい。中村のハーケンが凄く良く入ったのか豊島のハンマーが凄く下手なのか、ハーケン回収に予想外の時間がかかり、とうとう1つは残置してしまった。下降リミットまでに他の人を登らせる間がなく、かわいそうだが斬り上げる。豊島が懸垂。リード訓練中、山田は文系の益田に数学物理の神秘をこんこんと説いていた。益田は表情を変えずに黙って聞いていた。
 下の2mの懸垂では中村が極太の倒木から行おうとしたが、TRで使った太い支点があるのだからそれで良いだろう。倒木の外側は痛んでおり中が腐っている可能性もある。ゴルジュは豊島が懸垂。曲がり角の2mCSは手がかりと迷うがホールドスタンス指示で十分安全だ。中村のチムニーの懸垂は支点の手前に並ぶ木を縫ってザイルを敷いたが、そこは干渉しないようにまとめるところ。その下の2mはホールドスタンス指示をした。

 ついにいわくつきのF2である。ここを下降するパーティは誰かしらが何処かしらを複雑骨折するという伝説がある。皆が互いに目配せし緊張が走った。次の瞬間、ヘナヘナと座り込んだのは松岸であった。こうして今年も救助訓練が始まった。中村に背負い搬出のセットをさせると覚束ない様子だが、何度かやる機会があるので追々覚えるだろう。その後トップは右岸から降りるという判断に時間がかかりすぎだ。あまりに遅いので松岸の足がいったん治り自力で用を足しに行けるほどだった。適宜スリング手がかりを出し、豊島が敷いて中村が介助懸垂。
 降りた地点でザイルを連結し、下の2m23mを中村がトップ、豊島が介助。支沢出合まで懸垂を3度繰り返し、ひと通り上級生の介助懸垂を回した。小雨が降りだした頃、3m2mCS3mの懸垂で豊島が集中力を切らし遅かったので注意した。行動時間も長かったので廣長ももっと急かして欲しい。F1上で山田も背負われてみたいというので松岸と交代した。最後は豊島と廣長が背負い、無事懸垂岩まで搬出した。背負われた松岸の感想では、トップは疲労が溜まっており安定感が落ちるそうだ。

 デポ地に戻ると、豊島のF装が一部獣にやられていた。そして雨が強い。ツェルトを張るも、ポタポタと雨漏りする。行動時間は13pと長かった。サイトの頃には日が暮れていた。最悪なことにヒルの生息域が新茅山荘にまで拡大しており、サイト中に寄ってくる。私は思う。帰りたい。でも今山行は新歓でもある。新入生は新茅に行きたいに決まってる。使命感から泊ることにした。隊員からブーイングを受ける中、今日ずっと表情を変えず寡黙であった益田に意見を乞うた。
「すいません、帰りたいっす(真顔)」もはや笑うしか無かった。豊島がやけくそで尾崎豊を熱唱する中、就寝。
 翌朝、雨とヒルと尾崎豊を乗り越え掴みとった新茅遡行に向け準備をしているとき、松岸が携帯で天気予報をチェック。何と今日は雨だそうだ。あまりの仕打ちに肩を落とし、反省会をして帰路についた。大倉を出る頃には小雨が降り始めていた。打ち上げは益田リクエストの「お粥」に決定。こんな朝からやってるお粥専門店は歌舞伎町にしかないらしい。独特な雰囲気の中で打ち上げ、解散。


まとめ

 時間いっぱい使って良いリード訓練、救助訓練ができた。水涸れが早いところが惜しいが登攀意欲をそそる滝がいくつかある。工作は簡単。大滝で滑落したことについて初心に帰って色々と反省した。

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