2009年度山行No.12 藪トレ企画 荒海山 (6/13〜6/14)
企画者:大城
面子:4L山岸 3sL大城、高橋、広瀬 2E菊池、F鈴木、HW長崎、1佐藤、高梨、蓜島
ワンゲルで藪といえば上越だが、たまには別の山域を、と思い選んだのがこの荒海山だった。情報集めにはやや苦労したが、藪の要素が色々詰まったルートであり2年生の良い藪トレになったと思う。藪が初めての1年生には少々辛かったようである。
6/12(金) 曇り
20:25北千住駅—(東武線)—22:58小佐越駅▲0
19:40 北千住集合。長崎からは特急リカバーとの連絡が入っている。5限後に出発すると特急を使っても目的の川治湯元までは行けないため、今日は鬼怒川温泉付近ま で行き土曜日の始発で川治湯元に入る計画である。ちなみに安ヶ森峠に最も近い駅は湯西川温泉であり日光交通の営業所が湯西川にあるとの情報だったので最初 はこの駅まで行くつもりであったが、直前に湯西川営業所は無くなったことが判明。というわけで一つ手前の川治湯元から川治観光タクシーに乗り安ヶ森峠に入 る計画に変更したのだった。今日は鬼怒川温泉手前の小佐越駅にて下車&就寝ということにする。小佐越はもっと寂れた感じの駅かと勝手に思い込んでいたが、 意外と立派で駅前にもファミレスがあったりと、あまり田舎という感じがしない。今日部室で広瀬の代わりに鋸をリーチした…つもりだったが「はい、鋸。」 「これ、スノーソーじゃね?」「え!?」と就寝前何ともアホなミスをしてしまったことが判明。Lの山岸さんとも相談したが、基本的に鉈で代用可能であり、 無いとどうしても困るということはないので入山可能と判断し、緊急連絡先もこれを了解してくれたので何とか事無きを得た。駅が綺麗なのは良いが、虫がすごい。しかも目の前が車道で車がひっきりなしに通るので寝心地は良くなかった。12時過ぎには巡回中の警察に声を掛けられたりした。
6/13(土) 曇りのち雷雨のち曇り
▲0 06:17—(東武線)—06:43川治湯元駅07:00—(川治観光タクシー)—07:45安ヶ森峠07:55—08:38安ヶ森山08:48— 09:45 1363p 09:55—10:451480p手前1450m付近10:55—11:481480p後1460m付近12:00—12:50次郎岳手前1490m付近 13:00—13:55次郎岳直前1540ピョコ14:05—14:50次郎岳直後1530コル(雷雨で停滞)15:20—15:55(天図タル ミ)16:25—17:35荒海山西峰(5分ほど歩いた東峰で▲1)
随分早く起きてしまい時間を持て余す。ウロコ雲が浮いている。天候の変わり目 だろうか。6時17分、ようやく電車が来て乗り込む。30分弱で川治湯元着。清算のため3分くらい電車を止めた。タクシー2台で安ヶ森峠へ向かう。始めは 普通の車道だが安ヶ森林道に入ると所々道路が陥没していたり落石があったりと車で行くには少々きわどい道になる(舗装はされている)。それでも20年前よ り随分整備されたと運転手は話していた。安ヶ森峠は舗装/未舗装の見事な境界になっている。尚、未舗装の福島県側は現在崩落で通行止めとの情報。
安ヶ 森峠で体操して出発。トップは2年。取り付きは栃木県側に10mくらい行ったところに明瞭な踏み跡がある。赤布も付いている。最初は登山道といってもいい 感じ。安ヶ森手前までは非常に明瞭。安ヶ森直前の登りは結構急でこの辺は踏み跡も不明瞭だが低い笹原で簡単に進める。難なく安ヶ森山着。次郎岳付近の独特 の稜線がよく見える。山頂にはいくつかプレートもあった。安ヶ森からも少しの間踏み跡がある。すぐ不明瞭になるが藪自体は木立の中の笹原といった感じでと ても進みやすい。広い1350pピョコでトップが稜線左側に落ちる。遠くを見ていれば稜線が右側に続いていることは容易に分かる場所だ。次のコルはサイト 適地。進みやすくガンガン行く。1290コルは平坦な薄い笹原でとても良いサイト適地。何十張りも出来そう。1363ピョコへの登りは濃い潅木との情報 だったが明らかな誤り。基本的に薄い笹が続き特に苦労することも無くピョコに着いてしまった。ピョコからやっと藪っぽくなってくる。潅木主体で時々シャク ナゲ・ツル・ネマガリダケが混じったりする。特に濃いということはなく、RFも比較的容易。1480手前の露岩はよく分からなかった。過去の記録だと 1480ピョコを過ぎた部分が「猛烈な潅木とツル藪」であるとの記述があったが、あまりに大げさである。1450コルのサイト適地に着き、もう藪の核心は 過ぎたのかと思いがっかり。結構濃い場所を選んで出したつもりだったのに…。しかしこれは間違いだった。1475ピョコ直下はわりと密なネマガリダケの 藪。1475の後いったん藪は薄くなるが標高を上げるにつれて再び濃くなりだす。次郎岳手前の1530ピョコから次郎岳まではかなり濃い。低木ブッシュで 展望は効くものの、潅木や硬い針葉樹の幹、ネマガリダケがぐちゃぐちゃに尾根を覆っておりペースが一気にダウンする。尚、トップは1530ピョコを次郎岳 と間違えていた。次郎岳は尖ったピークをもちなかなかかっこいい。次郎岳直下のあたりで栃木県側から雷鳴が聞こえだす。天気が良ければ次郎岳で長めにたる んでも良かったが、だんだん雷が近づいてきて怖いのでできるだけスピーディーに次郎岳を通過。雨が降り出す。次郎岳直後の下りは部分的にかなり急である。 ブッシュに掴まりながら慎重に下る。ここを過ぎると雷の避けられそうなコルがあり最悪ビバークも出来ないことはなさそうなので、いったん行動を停止してフ ライを被って天気の様子を見る。天気予報を聞くと栃木県側に雷注意報。幸いすぐに雷雨はおさまり晴れ間も見えてきたので30分ほどしてから再び荒海山を目 指すことにする(荒海ピークは雷雨の場合、ピーク直下の小屋に逃げ込むことが可能)。コルのすぐ後に大きな露岩あり(地図上に示した位置より手前)。左か ら巻いて尾根に乗る。尾根は細いことは細いがよほどの事でなければ滑落したりすることは無いだろう。この後も潅木主体の混合藪が続く。トップのペースが上 がらない。それなりに濃いのは事実だが特別ゲロいというほどでもないのでもっと頑張ってほしい。1560と荒海山の中間付近でまたガスってくる。途中で天 図タルミ。天図を見るかぎり天候の回復はあまり見込めなさそう。天図タルミのあと荒海山手前のピョコで、疲れているせいかトップが「荒海山着きました」。 地図読み以前に荒海山には登山道がついているのだから流石に間違わないで下さい。このあとも荒海山に着くまで全くペースは上がらなかった。ようやく着いた 荒海ピークはガスの中。天気が良ければ360度の展望が開けるはずなのだが、残念。西峰でもテントを張ることはできなくは無いがかなり狭いので東峰に偵察 を出す。東峰も狭いが西峰よりはマシなのでここでサイトすることを決定。45天2張りがやっと。別にピークに限ったことではないがブヨが大変多い。やはり 情報どおり東峰の東側には刈り払いの跡が見え、「中三依方面」の看板も出ている。エアリアにも載ってないこの道を一体誰が作ったのだろうか。
夕飯 のハヤシライスの後は、次郎岳で開けるつもりだった缶詰を含め、ジジ天からの差し入れを一気に開ける(フルーツ缶計6缶、パウンドケーキ、梅酒1.5ℓ、 焼酎750ml)。誰かの持ってきた焼酎は強すぎてあまり消費されなかった。今夜のキーワードは小沢一郎。明日は34半にして就寝。なんだかムシムシして あまり寝心地は良くなかった。
6/14(日) 曇りのち晴れのち雷雨
▲1 04:20—05:15 1400m付近05:25—06:15 1260m付近06:25—07:17 1130m付近07:27—08:40八総鉱山跡09:15—10:15会津高原尾瀬口駅
朝 サイトは早い。起床から撤収完了まで70分で済んでしまった。相変わらずガスっているが記念撮影だけして出発。最初は刈り払いの下り道。道は滑りやすく急 で、一般向きというには難があるがそれでも藪を漕ぐのとは天と地ほどの差がある。周りの植生を見るかぎり刈り払いが行われていないとすればかなり時間を食 う部分だろう。サクサク進みあっという間に1420分岐に到達…と思っているとトップはそのまま栃木県側に下っていく。尾根から外れるとともに角度と傾斜 が変わり、赤ペンキもあるので注意していれば分かる。一部はトラバって一部は登り返しリカバー。登山道から外れる地点からのRFは少し難しい。明瞭な尾根 に乗るには少し距離があるのでトップは積極的に伸びる必要がある。昨日の密藪とはうって変わって樹林帯下の薄い笹が主体となり、進みやすい。この辺からガ スが晴れ陽が差してきた。青空も顔を覗かせている。コルから1276ピョコにかけては一面のネマガリダケ。濃さは大したことなくスイスイ進んでいける。展 望もある程度ある。ちなみにピョコ手前のコルは少し整地すればサイト適地になるほか、もう少し手前の斜面にも広いサイト適地が有る。1276を過ぎるとさ らにすすみやすい薄い笹原で、TWV基準ではもはや藪ではない。尾根の少し左側の方がより進みやすい。ところどころ踏み跡っぽい部分も出てくる。途中のわ りあい分かりやすい場所で試しに一年に場所を聞いてみるが誰も分からなかった。少しずつ地図読みもやっていきましょう。1160ピョコをトップが1050 ピョコと勘違いし、あらぬ方向に下っていく。スピードが出ている分、地図は丁寧に読むように。でないと場所がすぐ分からなくなるから。1050ピョコでは 今度は尾根の左側に落ちていく。ピョコからの下り口が多少分かりにくいがやはり遠くを見渡していれば尾根がもっと右にあることは分かるはず。1050先で 一瞬ツルが濃くなる。情報どおり。それもすぐに終わり、あとは雑木林の中を適当に下っていく。尾根末端より少し手前から朝日岐沢に降りたが、最後の部分が やや急なので最後まで忠実に尾根を下ったほうが良いかもしれない。朝日岐の左岸に降り立ち恒例のやぶ抜けコール。少し進むと左岸に林道があり自分はこれを 利用して八総鉱山跡のスペースまで行ったが、半分以上の人は(暑かったから?)そのまま朝日岐を下降して駐車スペースまで来た。
このとき天気は完 全に回復していて夏の日差しが降り注いでいた。駐車スペースで長めにたるんで、セミの鳴くなか林道を会津高原尾瀬口に向けて出発。ところが駅手前でまたも やパラパラ降ってきて急ぎ足になる。やはり早めに下山できて良かった。駅から150mくらい歩いたところにある温泉「夢の湯」で汗を流し、駅前の定食屋 「山の王さま」で打ち上げ(ここで出される食事の量は特筆に価する。雑炊は特に凄い。帰り際には饅頭もサービスしてくれた。次ここの駅を利用する時は是非 ここに入りましょう)。浅草行きの急行に乗り遅れそうになるが、何とか全員これに乗りこむ。車窓には先ほどの晴れ間が嘘のような雷雨に包まれた奥会津の山 並みが広がっていた。
・まとめ
藪トレで少し変わったところを出したいと思い、TWVでは2回ほどしか出ていない荒海山を企画して みた。結構濃いとの情報であったが、前半部はかなり薄かったのでもっと短めに読んで問題ない。一方、次郎岳手前から荒海山までは藪漕ぎの練習にちょうど良 い濃さ。下りは全体的に薄いが角度が頻繁に変わりRFの練習になる。藪の質としては潅木が多いが、笹藪、シャクナゲなどもあり、また地形的には散開が必要 な広い部分あり、露岩のある細い部分あり、と総じて見れば藪の色々な要素がミックスされた良いルートであったと思う。アプローチが少々面倒だが帰りは上越 よりも楽なので今後もこの山域の藪を企画してくれる人がいれば嬉しい。
注意すべき点としては、分水嶺にあたるため天候が不安定であるという点。ま た、ERが一般登山道とはいえ、増水時使えなくなるということも考慮しておく必要がある(今回増水時ER1は取らない方針とした)。得た情報の範囲でコー ス中水場はないが、偵察の条件を付けた上で探しに行かせるのも良かったかも知れない。
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