秋企画 吾妻連峰縦走

福島県と山形県の県境に連なる日本百名山の一座、吾妻連峰を1泊2日で縦走してきました。

人形石付近の池塘群と、吾妻連峰東部の山並み

全体的になだらかな山体で顕著なピークはありませんが、東部には活火山独特の荒涼とした風景が広がる一方で、西部は広大な湿原や美しい針葉樹の森が主体であり、まるで別々の山を歩いているような新鮮な感覚でした。2日目は晴天でしたが1日目は超がつくほどの極悪天だったのであまり評判が良くなく悲しいです。。。


ヤマレコより

【行程概略】

10/6(金):東京=(レンタカー)=浄土平▲0
10/7(土):▲0浄土平〜吾妻小富士(一周)〜姥ヶ原⇄東吾妻山〜一切経山〜東大巓〜明月荘▲1
10/8(日):▲1明月荘〜西吾妻山〜西大巓〜ゴンドラ山頂駅


参加者(敬称略)

3年会: F朝比奈, E吉田

2年会: WH道下, L渡部


10/6(金) 晴れ、強風

東京=(レンタカー)=浄土平▲0(0.0p)

中目黒でレンタカーを借りて、遠すぎる登山口へ出発。都内の渋滞を除けばとくに何のアクシデントもなく、日付が変わる頃に浄土平に到着。今山行最大の難所であるアプローチを無事にこなした。磐梯吾妻スカイラインからは福島市の美しい夜景が望めた。しかし車を降りてみると、あまりにも寒すぎる。寒すぎてまともに喋れないくらいだ。急いで防寒具を着て、時折車体を揺らす突風が吹く中、1時ごろ車内で就寝。朝比奈さんはオカンしていた。星が綺麗だ。


浄土平の夜。とんでもなく寒い



10/7(土) みぞれ時々雪、強風

▲0浄土平5:00〜5:14吾妻小富士最高点〜5:31浄土平5:33〜6:08着衣調整6:13〜6:29鎌沼方面分岐6:33〜7:09東吾妻山〜7:33姥ヶ原7:42〜7:59酸ヶ平〜8:30一切経山〜8:39樹林帯入口8:49〜9:18家形山〜9:45家形山西1850m地点9:55〜10:15兵子10:19〜10:49烏帽子山東1800m地点10:57〜11:14烏帽子山11:27〜12:26昭元山西コル12:35〜12:56谷地平分岐〜13:21弥兵衛平分岐〜13:49明月荘〜14:00金明水14:06〜14:16明月荘▲1

朝起きると車の窓が凍っている。朝比奈さんは生存していた。車内組は寒くてあまり眠れなかったが、朝比奈さんは快眠だったらしい(!?)。そして外は相変わらずの強風、やはり寒い。寒いがとりあえず吾妻小富士へ。眠気を覚ます風だ。なお火口縁は時計回りの一方通行のため、今後この山を出す人はBのログを探す必要はない。Lは風が冷たすぎて頭痛を感じる。「君の名は。」の聖地でもある(らしい)場所だが、そんなことはしていられない寒さなのでささっと一周。


大きすぎて画角に入りきらない。


本ザックを回収して姥ヶ原へ歩き始めると朝日が差し込み、朝靄と合わさって綺麗。前日朝のめざましテレビでやっていた通り、紅葉はまだまだ。


一切経山。中腹に見えるのは雲ではなく噴煙


姥ヶ原以降、この日はずっとガス。漫然と歩いていたせいで、分岐の場所を間違えて変な場所にザックをデポしてしまった。移動させて、東吾妻山を空身ピストン。山頂からは那須・日光・磐梯・蔵王などの素晴らしい眺望が得られず、即退散。


清々しいほどのホワイトバック

鎌沼あたりでみぞれが降り始める。寒。しかし標高が高いので紅葉は綺麗。一切経山はザレた斜面の登り、下る際は注意が必要だろう。山頂が近くなると、すれ違った方から「山頂は雪」との情報をもらう。まじか。山頂に着くが、半雪半みぞれ+爆風のため樹林帯を目指し即退散。寒。樹林帯の入り口でたるみ。こんなに樹林帯をありがたく感じたことはない。家形山の登りで五色沼が姿を現す。「魔女の瞳」はこんな天気でも鮮やかな青だ。


五色沼(魔女の瞳)

家形山からは荒れた道が予想されていたが、刈り払いされている。これは嬉しい予想外。刈られた藪がぬかるみの水を吸って歩きやすい。しかし少し進むと刈り払い終了。刈り払いされていたのは滑川温泉方面の登山道だった。信じられない。ここからは沼の道が続く。Lには3歩目で登山靴浸水のお知らせが届いた。他の皆の登山靴も終わっている様子。悲しい。


もはや薮企画。足元は水溜り


家形山の三叉路付近で急に藪っぽくなったと思ったらルートを外していた。大きな倒木により登山道が見通せなくなっていたのである。兵子分岐まではアップダウンがないが、沼のせいで歩きづらさは続く。分岐でザックをデポして兵子をピストンするが案の定何も見えない。ここからは同じようなピークが3つ、ニセ烏帽子山・烏帽子山・昭元山と続く。烏帽子山の下りで一瞬眺望が開け、東吾妻山・谷地平・昭元山が見える。この日唯一の眺望であった。ここの下りは岩場なので、降雨時は滑りやすく注意が必要だ。


雨が止んだ。正面は昭元山


昭元山を越えると湿原が目立つようになり、木道が現れる。この木道がひどいもので、やたらとぬめっていてとにかく滑る。皆慎重に歩いているのでペースは落ちる。Lは邪魔な藪をかき分けたら反作用で滑って転んでしまった。登山道は東大巓山頂を巻くようにつけられているが、山頂への方向標識はあった(どうせ展望はないのでスルーした)。弥兵衛平分岐から明月荘の間の木道で道下が転倒して腰を2度打った。痛そう。


西に向かうと色づきが良くなる

やっとのことで明月荘に到着すると歓声が上がる。小屋は2階建てでとても綺麗。とりあえずザックをデポして金明水へ水汲み。往復15分と書いてあるが、25分くらいは見ておいた方がいいだろう。結構下らせた割には水は細い。沢筋でもなんでもないところにパイプが引いてあるのだが、枯れることはないようだ。小屋に戻って2階に陣取り、どうせ乾かないと思いつつも一応濡れたものを干す。風が遮られるとはいえ寒いので、小屋の中でホットレモンやココアを飲んで温まる。が、寒すぎて秒で冷める。皆持ってきた防寒具をフル装備するがそれでも寒い。吉田さんはエアマットを持ってこなかったようでずっと寒そうにしていた。寒さのせいで皆の手がむくみ、赤ん坊のような手になっていて面白い。サイトは朝比奈さんによるハンガリー料理のスープ。美味しいトマトスープで体も温まる。日の入り時刻ギリギリになって、大勢の人が小屋に入ってきて騒がしくなった。19時ごろ就寝。



10/8(日) 快晴のちガス、微風

▲1明月荘5:30〜6:04弥兵衛平分岐〜6:48藤十郎分岐7:00〜7:37人形石7:49〜8:24梵天岩8:33〜8:57西吾妻山〜9:05西吾妻小屋〜9:38西大巓9:48〜11:04山頂駅

4:15起床。話し声と寒さのせいであまり眠れなかった。朝サイトは春雨。外を見ると前日とは打って変わって快晴で、朝焼けが美しい。干したものは何一つ乾いておらず、濡れた登山靴に足を突っ込んで出発。ここでLは使った靴下を小屋に置き忘れるというテロを起こしてしまった。分岐までは昨日通った木道を行くが、朝の冷え込みで木道は一部凍結していて、昨日にもまして滑る。前を行く3人がペンギンみたいな歩き方になっていた。Lはよそ見しながら歩いていたら滑って湿原に転落し、上半身が濡れた。弥兵衛平はかなり広い湿原で、朝日に照らされてナウシカの金色の野みたいになっている。


小屋の前の湿原。この辺りが最上川の源流だという。


湿原の靄地帯を抜けると、昨日は見えなかった吾妻の稜線がようやく姿を現した。遠くになだらかな西吾妻山が靄に浮かんで見え、横には磐梯山の爆裂火口が威嚇するかのようにこちらを向いている。両者の対比が面白い。さらに遠くには冠雪した飯豊連峰や、蔵王、朝日連峰も見える。素晴らしい景色だ。が、滑る木道を警戒して皆足元ばかり見ているので、景色がいいことに誰も気づかない。30分ほど経って朝比奈さんがようやく気づいて感動していた。あまりに平行移動すぎたので全く疲れず、80分のロングピッチになった。


正面に西吾妻山


池塘と磐梯山


人形石まではようやく登りらしい登りだが、道下は昨日打った腰が痛むらしい。荷物を抜いても変わらないだろうというので、そのまま進む。人形石は開けた岩場で、「吾妻山高度指導標」なる標識があった。眺望が良いので集合写真を撮って出発。登山道は中大巓を巻いて進む。途中の大凹の水場は、前情報とは異なり水量豊富。おそらく前日の雨のせいだろう。梵天岩も開けた岩場なのでここでたるみとしたが、眺望は人形石の方が良い。道下は腰がだいぶ痛むらしく後に控える西大巓の登りを嫌っているが、ERを使ってもさほど変わらないので耐えてもらうことにし、先に進む。天狗岩は飯豊連峰を見渡す展望台だが、ガレ場で登山道標識がないので視界不良時は道迷いに注意が必要だろう。


梵天岩・西吾妻山方面


ここからわずか数十メートルの上りで、吾妻連峰の最高峰である西吾妻山(2035m)に到着。展望がないので写真だけ撮って通過。西吾妻山の下りは岩場が目立つが、濡れた岩でも木道よりは滑らない。ラスボス西大巓は120mほどの登りだが、普通にしんどい。やっと辿り着いた山頂はガスに巻かれて眺望なし。本来眺望が素晴らしいピークだけに文句が飛んでくる。朝はちゃんと晴れていたので許してほしい。西大巓山頂で猪苗代タクシーに電話で配車を頼み、下山開始。登山道は狭く、足元はぬかるんでいる。紅葉シーズンの3連休の中日ということもあり、登りの登山者が多くすれ違いに時間を要する。すれ違う登山者に浄土平から縦走だというと皆驚いてくれた。ええ、寒くて大変だったんです。長い下りを終えるとスキー場のゲレンデになり、猪苗代湖がばっちり見える。ここから150mほど下って山頂駅到着、下山完了。ロープウェイは片道1,300円で、山麓駅で清算してほしいとのことだった。縦走で下山だけの利用というのは向こうも想定していないのだろう。


ラスボス、西大巓



山麓駅でタクシーに乗り込み、浄土平まで戻る。なんと浄土平の駐車場待ち渋滞が前後1kmほど発生している。紅葉はまだだしガスっているし、観光客は気の毒だと思った。なかなか進まないのでキャンプ場付近で下車し、徒歩で浄土平に帰還。料金は16,000円。浄土平の木道は全く滑らなくて感動である。駐車場から出る時にわかったが、駐車料金は前払い式であり夜間は無人なので、深夜に停めれば実質無料で使える(たぶんアウト)。1,000円得した。高湯温泉は軒並み13:00で受付終了していたので、あえなく温泉カット(泣)。東北道は佐野あたりから延々と渋滞しており、レンタカー屋に着いたのは20:00の5分前だった。中目黒のサイゼリヤで打ち上げと反省会をして解散。「寒かった」以外の感想が欲しかったなあ...。



総評


初日は悪天候で寒く、路面状況も死んでいて試練の1日となったが、2日目は朝から快晴で空気

も澄んでおり、大展望の湿原歩きが楽しめた。紅葉も始まりつつあり綺麗だった。足元は悪いが

景色は良いので、興味を持った人はぜひ企画として出して欲しい。




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