年越し吾妻連峰
まとめ
雪が少ないせいで木や薮が埋まっておらず、さらにスノーブリッジもかかっていないため渡渉にも難儀した。最後の林道までシールが外せず、滑走としては全く不満足だったが、移動用具としてのスキーという、スキーの原点に回帰する山行だった。また、中吾妻山もとい継森(後述)へのルートを途中まで見つけるというおまけもあった。ところでこういう山域こそテレマークの出番ではないだろうか。
ルートについて言えば、積雪が少なく樹林に囲まれている時や、ガスが出ている時はルートファインディングが難しいだろう。実際今回はGPSで答え合わせをしながら進んだ。また谷地平の渡渉の難しさは侮ってはならない。とはいえ慎重を期せば別に危ないことはない。
OB1大橋 4L藤原 3村田 2EF中津 WH久保
12/29(アプローチ)
武田が風邪で不参加との連絡を28日21時頃に受け取る。もっと早く言ってくれればよかったものを。とりあえずFを中津に引き継ぐこととする。武田が池袋駅西口が分からず終電アプローチになってしまった。終電の1本前にしておいてよかった。
郡山駅の一駅先の日和田駅が駅カン適地だが、体力回復を優先したい藤原と村田は、郡山駅のスーパー銭湯「まねきの湯」に行く。1泊1800円くらい。駅を降りてから村田が歩くのが速くてどんどん置いてかれるので、藤原は泣きそうになる。まねきの湯は、受付でスキー板やザックなどの荷物を預かってくれるので、他の客に気兼ねしなくてよい。さらに朝は卵掛けご飯と漬物が300円で食べられる。中津と久保は日和田に行った。大橋さんは29日中に郡山に着かなかったので、30日朝に鈍行で郡山駅に来るらしい。
12/30 曇り 微風 視界良好
スキー場下11:30−第2クワッドリフト上12:15−12:45第3クワッドリフト上12:55−たるみ25分−3:20西大巓−4:15西吾妻小屋
郡山駅に全員集合する。久保が予想天気図とトランプを持ってきていない。まあトランプは無くてもいいが....。携帯電話でスクリーンショットをとる。
どうせ2pしか行動しないし、水作りの負担を減らした方が楽だと思い、全員水2発で出発。後で辛い思いをすることとなる。グランデコスノーリゾートのシャトルバスに乗って、スキー場まで移動する。スキー板も当然積める。スキー場で藤原がリフト券を買う間に入山の準備をしておくよう言ったはずだが、戻ってきても準備が終わっておらず苛立つ。年末なのでスキー客が多く、リフトに乗るのにかなり時間がかかる。4人乗りのリフトに2人で乗ろうとしたら、係員が他の客を無理に同乗させようとしてきて、焦った藤原は転んでしまった。すぐに立ち上がることが出来ず、運行を止めてしまって恥ずかしい。中津も降りる時にザックをうまいこと担げず転んでいた。今回の装備は30kg以上あった気がする。天候不良で第4クワッドリフトが止まってしまったので、パトロールの人に許可をもらって、第3クワッドリフト終点からゲレンデ内を登った。第4クワッドリフト上に着くのが遅くなってしまった。
ようやくスキー場の上から入山できたが、木があまり埋まっていないため難儀する。2年会はなぜかわざわざ枝の下をくぐって引っかかりたがる。このあたりはひたすら登るだけなので特筆することはないが、西大巓直下の1900mくらいの急坂が結構しんどかった。
西大巓頂上は樹林帯で、まわりがよく見えないので、角度を切って稜線上を進む。トップの久保が木の少ないところを進むうちに北西の谷に誘い込まれそうになるので、後ろから指示して東へ軌道修正する。
西吾妻小屋は1階が埋まっていなかった。小屋の中にテントを張る。水をボッカしたおかげで水作りは不要だったが、逆に消耗してしまった気がする。この晩に空中戦をしなかったため、藤原は腰が痛くなり、下山後まで引きずることとなる。村田も雪訓以来の膝の痛みがあるらしい。明日はとりあえず東大巓まで行ってみて、膝の調子が悪かったら明月荘に泊まって大沢下りをすることにする。(今になって思えば大沢下りは木が埋まってなくて厳しかったかもしれない)行ければ谷地平まで行こう。
12/31 ガスときどき小雪 稜線上で風を感じる 視界200m、時々1km
西吾妻小屋6:45−たるみ10分−8:10中大巓−8:30人形石−たるみ10分−9:40藤十郎9:50−10:40(1890m)10:50−11:35分岐−たるみ50分、渡渉で1pほど使う−17:30谷地平小屋
この積雪だと西吾妻山もどうせ芋ピークだし、今日は行程が長いので、西吾妻山はカットする。トップの久保がわけの分からない方角に進もうとするので、もしやと思って尋ねると、ゴーグルが曇っているらしい。中津はゴーグルをしていない。限界上に出ると分かっている日は、最初からゴーグルをしておくべし。またゴーグルを一度外すと必ず曇るので、一度つけたら二度と取らないこと。
西吾妻小屋から中大巓までは、樹林帯で地形がよく分からないから、ひたすら角度を切って進む。天狗岩と梵天岩のちょうど中間を通ったため、岩は分からなかった。GPSで地点を確認した。
中大巓頂上も樹林の中だが、頂上付近だけがピョコンと盛り上がっていて、意外と分かりやすかった。審議ではこのあたりから東大巓まで限界上とみなしていたが、実際には、樹林に被われていないのは人形石のあたりの数百メートルだけだった。竹竿の出番は無かった。人形石あたりから、おそらく大沢に向かうであろう(東大巓の手前までは確認した)スキーツアールートの標識が続いているが、鉄の棒に三角で黄色い小さな標識がついているだけなので、あまり目立たない。視界不良時の当てにはならないだろう。
稜線上の小ピークはすべて南を巻いた。東大巓は1850mあたりから南に巻く。せっかく巻き終わったのに、中津がトラバースを続けて明月荘へ向かおうとするので、嫌味を言ってルートを修正する。谷地平へ向かって稜線を外れる地点には道標があると聞いていたが、見つからなかった。湿原マークの場所が開けているので、それと沢状地形で下降点を判断した。
ここからは谷地平に向けて滑り降りるだけだと思っていたが、樹木に悩まされて全く進まない。とんだインチキスキー山行である。沢に近づきすぎると樹木が密で進みにくく、沢から離れすぎると、今度は別の沢が出てきて変な地形に入り込む。寄りすぎず離れすぎずが大切なのは人間関係も同じである。今日は谷地平まで間に合わないかもしれないと思うが、谷地平までのどこでもテントは張れるので気にしない。
最後の方で渡渉に苦労した。左俣の沢の滝マークあたりで、右俣の沢を渡るように夏道が地形図に書かれているが、実際はこれより20mほど高い地点に渡渉のテープ・標識があったので、そこで板を脱いで渡る。その後はずっと沢の左岸を降りていく。本当は1490mあたりまで沢沿いに行くのがスキーの場合の正解だと思うが、うまく降りられなかったので、小さい尾根上のテープを信用して、尾根の終端まで行ってみる。案の定尾根の終わりは急だったから、ここでも板を脱いで下っていく。なおここの下りもテープがついているので、これは夏道のテープなのだろう。雪が多いとここを下ることは出来ないかもしれないので、小さい尾根に乗らずに、早めに下に降りたほうがよいだろう。
谷地平に着いた時点で日没が近かったが、谷地平にもところどころ樹林帯があり、どこでもテントを張れそうだし、危険箇所もなく、天候も安定しているので、ヘッデンを点けて小屋を目指すこととする。ここでトップを大橋さんに交代。GPSを駆使しつつ、3回ほど渡渉をして、谷地平避難小屋に到着。
村田の膝が痛むので、明日は停滞日とし、村田以外の4人で中吾妻山への渡渉点を尾根の取り付きを偵察に行くこととする。村田が恢復しなければ村田を小屋デポして中吾妻山へ登るという藤原の案は、反対多数により否決された。我々は山行成立条件という鉄の掟によって守られているのである。
藤原は眠いし大晦日とかいう人為的なものには興味が無いので、さっさとシュラフを広げるが、藤原がシュラフに入ったタイミングを狙って、中津が上等なハムを出したので、再び起きる羽目になった。美味しかった。夢うつつでベートーベン交響曲第九番を背景にPPAPを聴いた気がする。
1/1 曇り 微風 視界良好
谷地平小屋10:00−偵察−谷地平小屋15:30
ゆっくり起きて、村田を小屋に置いて偵察に出かける。出発前のビーコンチェックで久保の持っているものの動作がおかしかったから、村田のと交換する。渡渉点をさっさと見つけて竹竿を打って帰るつもりだったが、5pも行動してしまった。谷地平は非常に入り組んだ地形で、地形図に載っていない沢や崖がたくさんあるため、渡渉につぐ渡渉でうんざりする。しかしそれが面白い。どこに向かうのか分からない妙な場所に赤テープがついていて不思議だ。
昨日シールを濡らしてしまったせいで藤原と大橋さんのシールが役に立たない。入山前に期待していた渡渉点は、対岸の岩にマークがあるため、夏は使えるのかもしれないが、今日は無理だった。もっと北から2回渡渉して回り込むことを考えたが、どうしても行けなかったので、計画を変更して、中吾妻山の北にある継森を目指すこととする。継森にも三角点はある。とりあえず継森の下にある1530mの湿地をめざし、そこからうまいこと尾根に乗ってみようと考える。湿地の直前に急な上りがあり乕ーゲンを組む。地形図の情報と、1530mの湿地から見た感じから、1702pへの尾根に取り付いて、山頂直下はうまく傾斜のゆるいところを見つけて登るのがよさそうだと判断した。1550m地点まで竹竿を大量に打っておいた。この続きが楽しみだ。
小屋に戻ると村田がかなり心配していて済まなかった。寝る前に久保が熱っぽいと言う。どうやら風邪気味のようだ。明日は行けるだろうか?ビーコンは結局直らなかったので、後ろにいて雪崩に巻き込まれるリスクが小さい藤原が調子の悪いビーコンを使うことにする。
1/2 曇りときどき晴れ 暖かい 微風 朝は視界良好、姥ヶ原あたりから視界2,300m
谷地平小屋7:00−7:50たるみ8:00−9:10沢が南へ折れるところの渡渉点9:20−たるみ20分−12:05姥が原−12:25鎌沼南12:35−13:40浄土平14:00−14:45鳥子平−(たるみ10分)−16:05夏道分岐−17:00サイト
朝起きると久保はやはり37度の熱がある。行動できるか尋ねると、正直行動してみないと分からないというので、少し行動してみて判断することとした。村田の膝は痛くないらしい。小屋を出て出発直前にもう一度体調をきくと、寒気がするという。残念だが今日中に下山することにした。竹竿を大量に残置することになり心苦しい。
谷地平から出るには沢を1回渡渉しないといけないが、この渡渉点を探すのにやや手間取る。その後は右岸をひたすら夏道通りに行くだけなのだが、夏は簡単に渡れるであろう1540mあたりの渡渉点(沢は地形図にかかれていない)が、川沿いが雪に埋まっているせいで渡りにくく、2pほど消費してしまった。
姥ヶ原は視界がよければ気持ちのよい場所なのだろう。遮るものがないので、やや風が強い。悪天時はかなり風が強いと聞いている。
予定では東吾妻山の裾をトラバース気味に進んで鳥子平に直接下りるはずだったが、樹林帯を抜けるのが大変そうなので、夏道沿いに一旦浄土平に出て、そこから磐梯吾妻スカイラン上を進むこととする。結果的にこの判断は正しく、浄土平までは容易に下りることができたが、シールは外せなかったが。最後のチャンスだったのに...
スカイライン上には20,30cmほど雪が積もっているのでシールを付けたままスキーで進む。中津の靴ずれが痛いらしい。今日中の下山はもう間に合わないので、ここらでテントを張りたかったが、隊員は今日中にできるだけ進んでおきたいそうなので、できるだけ進むこととする。
つづら折は夏道でショートカットできるはずだが、雪が少なくて薮が鬱陶しいので、スカイランを進む。クラスとしていると危険だという前情報があったが、クラストはしておらず、雪も少ないので、安心して進める。スノーモービルで遊んでいる集団が何往復もしていて、複数回すれ違った。ロープで引っ張ってほしい。
二度目の夏道との分岐に着く。薮が鬱陶しいが、なんとか夏道を進めそうだ。テントは適当な場所で張れそうだから、進めるだけ進むこととする。1350mの台地あたりでもう暗いので幕営した。日没ぎりぎりまで行動してしまったことを反省。もう少し早めに幕営地を探しにかかるべきだった。樹林帯で風もなく快適な幕営だった。村田の膝はほとんど痛まないらしい。素晴らしい。
1/3 曇りときどき晴れ 微風
テン場6:30−7:05幕川温泉7:20−13:00くらい横向温泉
あと少しで幕川温泉なので、今日はすぐ下りられるだろう、と思ったのが間違いだった。幕川温泉まではすぐだったが、そこからがかなりしんどかった。スキーは滑らないし、微妙な上り返しが多い。涙目になりながら進む。中津は雪が団子になっていて可哀想。
横向温泉まであと1pほどというところで、スノーモービルにローラーをつけたもので圧雪している人と何度かすれ違う。クロスカントリーの練習用のコースでも作っているのかと思ったら、果たして鷲倉温泉でクロカンの中学生たちを見かける。非常に軽いノルディックスキーを使っておりうらやましい。幅広のアルパインスキーを使っている自分がアホのようである。
横向温泉からはさすがに滑れるかと思ったが、傾斜はあるものの板が滑らず結局ほとんど歩き通しだった。涙目になりながら歩く。
ようやっとのことで横向温泉に到着。横向温泉には、一番上に廃業した「横向温泉」、そのすぐ下にホテルマウント磐梯、スキー場を挟んで中の湯、滝川屋がある。最初滝川屋に行こうとしたが、予約が無いと湯の準備をしないらしい。2時間待てば入れられると言ってくれたが、それは待てないので、諦める。中の湯が営業しているか電話をして確認すると、今日も営業しているらしいが、何となくホテルマウント磐梯の方に行きたい気がしたので、頑張って上まで戻る。なおこの3軒の温泉は上の湯・中の湯・下の湯と昔は呼んだらしいが、今の人には通じないらしい。ホテルマウント磐梯の風呂はよい風呂だった。館内に具足がある。
ジャンタクで二本松へ向かい、打ち上げをしようと思った店が閉まっていた(よく考えたら正月)ので郡山へ移動し、ラーメンを食べて解散。なお二本松にはビバークという面白い名前の店がある。
藤原記す
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