個人山行 比良山地 安曇川水系奥ノ深谷


メンバー:OB2大城(単独)
遡行図:関西基点沢登りルート100

帰省ついでに関西の沢デビュー。本当は大峰の沢などに行ってみたいが、今回はレベルの問題と時間的制約から「日帰り可能」「アプローチが楽」「渓相が良さそう」と3拍子揃った裏比良の沢を選んでみた。


8/16()晴れ
出町柳7:45=(京都バス)=8:45坊村バス停8:50―9:20白滝谷出合(入渓点)9:35―10:05 4段40m大滝10:10―11:55登山道横断点12:20―13:05金糞峠13:15―14:25比良駅
 京阪電車の京都側終点である出町柳駅で朽木学校行のバスに乗車。懐かしい京都の風景を見ながらバスに揺られること1時間弱で坊村バス停に到着する。バスの中には他に沢登りらしきグループが2パーティほど。全員坊村で下車。このバス停から行く沢といえば通常は明王谷流域の「白滝谷」「口ノ深谷」、そして今回遡行予定の「奥ノ深谷」の3本があり、目指すのが同じ沢かどうかは分からない。林道を歩いていると早くも汗ばんでくる。天気は快晴に近い晴れで日差しが皮膚を焼いていく。道中、先程とは別の沢登りパーティに会ったのでどこに向かうのか聞いてみると白滝谷だそう。入渓点に着く直前に左側に口ノ深谷を見送るが大分暗い印象だったので、正直こっちにしなくて良かった~と思った。ま、出合しか見てないんだけど。一転して奥ノ深谷は陽光が谷底まで届いて気分が良い。ガイドには「奥ノ深谷には裏比良特有の暗いイメージはなく…」という記述があったので、こちらの方が例外なのかもしれない。
下部の様子
2段8m


4段40m(見えているのは下半分)
大滝上の10m(右壁を登る)
8m美瀑手前のきれいな部分
 白滝谷を一瞬下降して奥ノ深谷に入渓。一昨日の豪雨の影響かもしれないが水量は多い。逆川の下部を思い浮かべてもらうと良いかもしれない。暑いので積極的に水に浸かりながら遡行する。少し進むとブルーの釜を従えた滝がいくつか出てきた。「7m釜大きい」とガイドに記された滝は左に登山道並みの巻き道がついていてこれを利用して越す。そのあと出てくるいくつかの滝を問題なく越すと、ゴルジュ内にある28m滝が現れる。どの記録にもあるが上段5mは豪快だ。ハングっていて直登は出来ない、少なくとも常人には。セオリーでは大岩右のガリーを登るらしいが、とある記録で「滝裏に回りこんで上を見上げると明かりが見えた。どうやらトンネルになっていて垂直に上部に通じているようだ。オポジション登攀で上まで抜けた」というものがあったので瀑芯の裏に回ってみる。が、天井の闇から得体の知れないヌメヌメしたものがいっぱい垂れ下がっていて気持ち悪い…。技術云々以前に生理的に無理と判断し、おとなしくガリーを登ることにした。こちらはガバガバで容易に登れる。 これを過ぎると早速大滝440mが出現。ここからは下半分しか見えない。3段目までは非常に簡単で左の岩を使ってどこでも登れる感じ。最上段の樋状は水流が強いうえほとんどホールドが無く、かなり難しそうだったので右側の巻き道を利用して通過した。

斜瀑①
斜瀑②
廊下奥の5m滝
2匹います
円形の釜を持つ滝
 10m滝に到着するとちょうど男女の先行パーティが右壁を登攀しているところであった。ちょっと待ってから同じルートで登る。ロープを出すこととガイドには記されているが、ある程度登攀技術があればフリーでも充分可能なレベル(前のグループもフリーで登っていた)。続く7mはそのパーティが右壁をロープを出して登ろうとしていたが、もし自分が後ろで待っていて急かせているようになると悪いので右岸をさっさと巻いて追い越した。その次に出てくる大きな滝「8m 美瀑」は直登不可能と書いている。丹沢なら普通に登攀対象になる気がしたが、巨大な釜をもっており取り付くのに一苦労しそう。巻きは左岸と書いているが、 右岸の方が小さく巻けそうだったのでこちらから巻くことにする。でも遡行図には従うもんですね。巻き道の上部がかなり急傾斜になっていて結構ヒヤヒヤし た。一箇所セルフビレイをとるなどして一応通過。続く斜滝群は時折微妙なムーブが必要になるものの特に問題となるような滝は無く、どれも快適に越えてい く。それにしても見事な滝が続くものだ。この辺は沢全体が滝で出来ていると言っても良いほど間断なく美しい滝が現れる。写真を撮りまくりながら登ってい く。やがて廊下の奥に掛かる5m ほどの滝を見るとこの沢の核心部は終わる。尚、奥ノ深谷には「この滝がピンポイントで核心!」というような難しい滝は無いので、核心が無いとも全体的に核心とも言える感じだ。ここから終了点までは、美しいナメと小滝によって構成される癒し系、いや、癒し渓である。一箇所ライトグリーンの美しい淵が出てきたので(全くその必要は無いが)泳いでみた。ちなみに全体で3箇所くらい泳いだため、ザックが水を吸って大分重くなってしまった。そうこうしているうちに黄色いロープが沢を跨いで張り渡されているのが見えてくる。ここ が登山道横断点、すなわち終了点。沢装を解除して、あとは平凡と化した奥ノ深谷に沿ってつけられた登山道を辿り金糞峠を目指す。随分と良いとこどりな沢だ。滝がバンバン出てきて密度が濃かったためかわりと充実した遡行な印象だったが、考えたら入渓から2時間半しかたってないじゃないか…。


金糞峠より臨む琵琶湖
緩々の傾斜を登って峠に出ると、眼下に青い琵琶湖の湖面が広がる。ストーリーとして悪くない。あとは緑の水田の広がる琵琶湖畔に向けて表比良の谷につけられた登山道をひたすら下り、2時間ほどでJR湖西線比良駅に到着した。

・まとめ
かなり短い沢だが滝がみっちり詰まっていて面白かった。滝の数で言えば勘七と水無本谷を足したくらいはあった気がする。渓相は総じて美しく、碧碧とした水が印象的。ほとんどの巻き道がしっかりしているので、各自のレベルにあった遡行が可能。大阪市内からでも日帰りで行けるので、もし関西に来ることがあればぶらっと遡行してみてはいかが?




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