個人山行 裏丹沢エビラ沢(敗退)


メンバー:OB2大城(単独)
遡行図:ネット資料

あまり大した沢ではありませんが(しかも途中で敗退)、おそらく部内記録が無いので一応アップしておきます。もし今後企画することがあれば参考にどうぞ。

6/10(日)晴れのち曇り、夜一時雨

橋本6:20=(神奈交バス)=7:35音久和バス停―8:05入渓点8:15―8:25川床―9:20堰堤下―10:30タルミ10:40―11:00白滝11:05―11:55 12m滝下―13:00東海道自然歩道13:15―13:30袖平山直下13:40―14:30登山口―15:00東野バス停
表丹沢の沢は行き尽くした感があるが、西丹・裏丹などに目を向けるとまだまだ知らない沢はいくらでもある。今回はそんな沢の一つ、神ノ川の一大支流エビラ沢を遡行することにした。尚、関東が前日に梅雨入り。今日も午後の降水確率が高くなっていたが、天気予報や数値予報モデル結果を見る限り日中は天気が持ちそうなので、遡行には特に問題ないだろうと判断した。
6時20分、橋本発のバスに乗車。乗客はまばら。雲は多いながらも日はしっかりと射している。梅雨入りしたとあって蒸し暑い。三ケ木にてバスを乗り継ぎ道志みちを西へ。音久和(おんぐわ)にて下車。バス停横の歩道橋を渡って集落を抜け、林道を神ノ川キャンプ場方面へ向かって進む。途中数名のトレイルランナーと挨拶を交わす。エビラ沢出合(エビラ沢橋)には車数台分の駐車スペースがあり、脇には水汲み場、その奥にはエビラの大滝12mが控えている。今朝は3台の車が駐車していたが人影はなし。東屋にて、さっと入渓準備を整えいざエビラ沢へ。大滝は登れないので右岸の仕事道を使って大きく巻く。ジグザグに登って途中から斜面をトラバる感じで進み、適当なところで小さな沢状地形を下降し沢身に降り立った。

エビラの大滝

下部の渓相 (3D画像をご覧いただけます[交差法])

泳いだ淵 (3D画像をご覧いただけます[交差法])

大きな釜を持った滝と堰堤
左にスリングの付いた2条滝
丹沢の沢にしてはなかなか水量が多い。ゴルジュっぽい部分も時折出てくる。丹沢というよりも奥秩父を想起させるような渓相だ。いくつか小滝を越すと、奥に小滝を控えた長細い淵が出現。右からへつろうと試みたが途中から続かなくなる。左も巻けそうだがちょっと面倒な感じ。結局泳いで突破。丹沢の沢で泳ぎは初かも。ここを過ぎると大規模な釜をもった滝と大きな堰堤が出現。滝を登るには左から取り付いた方が良さそうだが、そのためにはまた泳がなければならなさそう。6月上旬ということもあってやや寒いのでなるべく泳ぎはしたくないところ。幸いここは上の堰堤と一緒に右から簡単に巻くことが出来た(巻きの下部はちょっと脆かった)。堰堤の上はしばらく穏やかな河原が続く。20分くらい歩くとまたゴルジュっぽくなり、難しそうな2条滝が出現。左に残置スリングが設置されていて、巻かずに突破するとすればこれを利用するしかなさそうだが、そもそもスリングに取り付くのが一苦労しそう(後日「丹沢の沢110ルート」を確認したところ、残置スリングを使って強引に体を引き寄せて突破するのがポイントというようなことが書かれていた。なにそれ……)。というわけでここも右から大きく巻く。巻きの途中から見下ろした連瀑帯はなかなか立派だった。適当なところから沢床に戻る。

3条5m
白滝20m (3D画像をご覧いただけます[交差法])

2段8m (3D画像をご覧いただけます[交差法])
岩床が発達
10m滝落ち口から (3D画像をご覧いただけます[交差法])

特に中流部以降は岩床になっている部分が多く、美しさを感じさせる。3条5m(左側の水流を直登)などの小滝を快適に超えていくと、この沢で最も美しい印象だった白滝20mが登場。白い水を垂直に落とす豪快なこの滝を見ていると、奥秩父和名倉沢の大滝とどことなく似ている気がした。白滝の巻きは右から。そこそこ踏まれているようで、恐怖感を感じることもなくすぐに滝上に出ることが出来た。この後も次から次へと滝が出てくる。基本的にどれも容易に直登可能。ただ10mくらいの滝を登った時は、「なんで自分修行してるの?」というくらい濡れてしまった。

エスケープルート
問題はこの先。遡行図に12mと記されている滝(写真撮り忘れました)が現れる。立っていて、パッと見でフリー直登は選択肢から除外。リードでも結構大変そう。そもそも全体的にヌメヌメしていてあまり登攀意欲が湧かない。右上に残置スリングが垂れているのが見えた。というわけで巻きを見ることにする。たしか右から巻いている記録があったので、念のため左の巻きが厳しいことを確認してから右を見に行く。その高巻きだが、脆い急斜を木に掴まりながらひたすら登ることになる。たまに「人が踏んだのかな?」というような形跡もあるにはあったが不明瞭。トラバースできる地点を探しながら登るが、そのような箇所があまり見いだせない。もうちょっと上がればいけるかな…いや無理…もうちょっと…やっぱり無理…を繰り返し、高度を上げ続ける。そのうち沢の音がだんだん遠くなってきてしまいには全く聞こえなくなってしまった。こうなると懸垂で沢に降りるにしても絶対一回では降りられないしどの地点に降りるかも判然としないので、しまいには「もうこのまま尾根まで上がってしまえ~」ということで急斜を登り続け、13:00ジャストに東海道自然歩道に飛び出した。これにて遡行打ち切り(後で確認したガイドの情報では、「この滝を巻く場合は、まず左岸の脆い斜面を木に掴まりながら70mほど登り…(中略)…ガレたルンゼから懸垂下降する」とあった。頑張って懸垂下降しないといけなかったんですね)。
沢装を解除していると下から次々にトレイルランナーが登ってくる。トレランってこんなに流行っているのだろうか。あるランナーから「どこから来たんですか?」と訊かれたので、「この下の沢を登っていたのですが高巻きに失敗してここから上がってきたんです。」と話すと「スッゲ~~!」と大分感心していただいた。実際のところ全く褒められた状況ではないので、さっさと沢装をしまってとりあえず山頂を目指す。山頂直下にて左側に見えた本来のエビラ沢の詰めはガレガレの急斜で、こちらもあまり快適そうではなかった。袖平山分岐、姫次を経て、八丁坂の頭からは登山口まで急坂を一気に駆け下る。登山届用のポストが設置された登山口からはアスファルトの舗装路となり、さらに30分ほど歩くと東野バス停に到着した。
ちなみに、バスを待っている時に旅館の女将さんと話をしていて初めて知ったのだが、7月上旬に北丹沢で山岳耐久レースが催されるらしい。だからこんなにトレイルランナーが多かったのか、納得です。

・まとめ
裏丹沢は表丹・西丹・東丹どれとも異なる雰囲気があり、予想以上に良い沢であった。ただ、ワンゲル的に考えた場合、滝がかなり多いことや工作するとなると面倒そうなゴルジュが控えていることなどから、日帰りの養成には厳しいかもしれない。行くならばN以上が良さそうだが、今回敗退の原因となった12m滝の処理にはそれなりに時間がかかるだろうし、またその上にもやや難度の高い滝が控えていることから、適切にペース配分を考えて行動する必要があるだろう。

P. S.
その後ネット記録を見ていたところ、自分が最も頻繁に参照している沢関係のHPを作成されている方が、同日隣の社宮司沢を遡行されている事を知りました。入渓点の車のうち一台はその方のもので、思わぬ偶然に驚いた次第です。

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