2009年10月11日日曜日

奥秩父 豆焼沢

2009年度山行No.25 沢L養成 奥秩父豆焼沢
企画者:大城
面子:3L大城、広瀬 2sE鈴木、被sFW長崎、NH三谷 1初E松崎、NFW蓜島
遡行図:「東京周辺の沢」
日程:2009/10/11-12

今年に入って奥秩父の沢を出すのは、鶏冠谷、和名倉沢に続いて3回目である。中でもこの豆焼沢には惹かれていた。ホチの滝、トオの滝、「東京周辺の沢」の表 紙を飾る50m大滝、50mスダレ状…これらの写真と記録を見てはイメージを膨らませていた。しかし、豆焼はそれほど甘い沢ではなかった。本文を見てもら うと分かるとおり、初心者がいる場合ザイルを鬼のごとく出さねばならない。N以上で行くなら充分楽しめること間違いなしだが、養成で出す場合はかなり覚悟 して行ったほうが良いであろう。


10/10(土)
19:38池袋=(西武線)=西武秩父=(秩父鉄道)=22:12三峰口22:20=(丸通タクシー)=出会いの丘23:00▲0
池袋駅西武池袋線ホームに19:00集合。皆早めに来ている。この状態を維持してほしいものだ。三谷がザックカバーを忘れたらしいが、大きな問題ではない だろう。ホームで話していたところ、松崎が沢L養成を受けるという。これで時期養成の見通しがついた。良かった!電車に乗ってしばらくすると広瀬の流した MLが届く。何でもMax通過リミット計算ツールを作ったらしい。よくそんな技術があるものだ。ところでこのことがきっかけとなったのだが、Max通過リ ミットを計算する際、林道を考慮せずに(即ち実際のリミットより厳しく)算出していたことが判明。今回は当初の予定では初日にMaxを通過してしまう予定 だったのであまり深く考えなかったのだが、この時点できちんと算出し直し緊急連絡先にも伝えておいた方が良かったと思う。三峰口から丸通タクシー2台で 「出会いの丘」へ向かう。一台あたり9170円もかかった。出会いの丘は標高1000mで気温は5℃。皆寒がっていた。ここにはトイレ、(テレホンカード のみの)公衆電話などがある。下界訓練と共に、次期被養成者である蓜島にはザイルのたたみ方などを学んでもらう。トップとしての下界訓練は行なっていない が、今回の山行で蓜島にはトップの仕事を見せて養成に備えることにしていた。明日の出発を5:45として、12:00前就寝。

10/11(日)快晴
▲0 5:50—6:12豆焼沢出合—8:00 6m滝上—8:18ホチの滝下8:30—11:10ゴルジュ上11:20—13:30トオの滝下13:45—16:00 8mスダレ状上(天図タルミ)16:25—16:35明るい二股▲1
寒いが空は晴れ渡っており清々しい。トップは長崎と鈴木だが判断など長崎主導で行なう。ガードレールの切れ目から、モチゴヤ沢(ワサビ沢)左岸に付けられ た踏み跡を辿り豆焼沢出合へと向かう。踏み跡は注意すれば外すことはない。この辺りの詳細な地図は06年のFBに詳しいので、次に豆焼を企画する人はそれ を参考にされたい。それにしてもモチゴヤ沢の護岸のしかたは過剰である。出合の手前で大きな堰堤があり、これを越す際にザイル手がかり。この先ザイルポイントが多いと思われるので他のメンバーにも出来るだけ支点の回収など手伝うよう指示。出合は河原だが、少し歩くとすぐに滝が現れだす。遡行図を見ると右岸 から最初の支沢が流入してくるが、この手前に少なくとも3つの滝があった。1つ目は3mで左側ザイル手がかり。長崎は左岸から支点を取っていたが、右岸か ら取るべきであった。次の1mで右側ザイル手がかり。その先の2mで水中左寄りをTR+手がかり。右岸に支沢を見て次に現れる1m2条は右側を水流中手が かり。ここでやっと遡行図に記述のある6m滝に着く。水量の多い堂々とした滝で06年はホチの滝と勘違いしたらしいが、今回も若干名がホチの滝だと思った 模様。右巻きを鈴木が見に行くが厳しいとの事で、残置トラロープのある左壁を登るしかない。また登りきってから滝の落ち口をトラバースしなければならない のでTRに加えてFixを張る必要がある。ところがこの上部には良い支点は全く無く、結局ハーケンを3枚打つことになった(2本支点、1本ランナー)。ここで時間を大幅に要す。しかもこっちが工作している間に後ろから別のパーティーがやってきて、ランナーを掛けたハーケンに別のランナーを掛けだすので、その人たちが通過するまでハーケンを回収することが出来なくなってしまった。後から考えると、このパーティーはハーケンを残置と思いランナーを掛けた可能性もあり、(万が一事故などが起こった時の事も考え)自分たちが打ったハーケンであるということを、予めはっきりと伝えておいたほうが良かったと思われる。 この上の遡行図に無い小滝でザイル手がかり。ホチの滝手前の5mは右からフリーで巻けた。

ホチの滝は直立した美しい滝。両岸はツルツルのスラブで、どう見ても直登不可能。ちなみにこのすぐ上には黄色い豆焼橋が架かっている。この景色の感じ方は人 それぞれのようだが、自分はやはり橋が無いほうが滝の美しさが際立つと思った。セオリーどおり左の木立の中を巻く。06年の記録によると手がかり数回で通 過させているが、踏み跡が明瞭であるわけでもなく手がかりでOKと言える巻きではなかった。今回はザイル手がかり→手がかり+巻き結び→Fix→TR→手 がかり+巻き結び(沢床へ)、と複雑に工作。この上はすぐにゴルジュとなっており、鈴木が見に行くがかなり難しそうとの事。ゴルジュ内では先ほどのパー ティが苦戦しており、すぐに左岸巻きを見に行く。この巻きもルートは分かるもののそれほど明瞭でなく結局2本2段TR→Fixと工作。2段の一段目は長崎 が行なったが、支点があまりなくブッシュと木の根の流動分散で処理する。Fixを張った部分では一箇所本当に怖い場所があり(左側が遥か下のゴルジュまで 切れ落ちており、幅の細い木の上を足を滑らせるようにして進まなければならない場所)、ここは全員Fixにしても良いようなところだった。多くがFixを つけても恐る恐るという感じだったが、蓜島だけは何事もないかのようにフリーで一瞬で通過。これにはLも唖然…。このあと沢床に下りる時はザイル手がか り。最後の回収を考えると懸垂の方が無難である。ゴルジュ先の3mは大きなCSあり。岩の左から越すが、最後の一歩がやや難しかった。初心者はTR+手が かり。次の6mと3mは合わせて右岸から巻く。右岸上でFixを張るが無くても可。沢床に下りる際はザイル手がかり。この辺りまで来ると、渓相は穏やかに なってくる。ここまで滝に次ぐ滝であったので一段落といった感じである。20mナメ床は長崎が左岸TR+手がかり。ザイルを張るタイミングがもう少し早い 方が良かった。5mやや幅広では左岸にスリングを垂らす。美しい小沢手前の2条になったナメ滝で右側をTR+手がかり。その後の3mで右岸を振り子手がか り。トオの滝手前で出会いの丘から通じる仕事道が出合う。白い看板あり。

トオの滝はホチの滝とは随分雰囲気の違う幅広いナメ状の滝である。直登している記録では水流右のルートが最も多いが、明らかにシャワークライミングとなりこ の時期はとても行く気がしない。そもそもそんなに簡単そうではない。乾いた左壁を登っている記録もあり、近づいてみると確かに登攀ルートが見えた。しか し、2段目がどうなっているか分からず、またクライムダウンも難しそうなのでやはり取り付くべきではないだろう。ということで右岸の部分的に崩壊した仕事 道を使って巻く。始めの方で一箇所TR、中間の崩壊した箇所でFix。この巻きは概ね明瞭である。
既に予定より大幅に遅れており、最悪作業小屋 跡のBPでサイトすることにするが、その場合明日のMax通過が相当厳しくなるので出来るだけサイトを延ばす方針にする。作業小屋は土台すら残っていな かったが、確かに良さそうなBPがあった。ここからBPに注意しつつ進む。小屋跡の二つの3m滝はくっついており、2段TRで通す。下段水流右、上段水流 左。共に易しい。その後の4mで沢床に下りる際に手がかり。この辺りからツバクラ岩が見えるらしいがよく分からなかった。この先、遡行図では沢が2本に分 かれるような書き方をしているが、実際は右側の12mはただの岩の壁。10mナメの右側をTRで通す。これまで、ここぞというBPがないが、遡行図を見る と「明るい二股」と書かれた部分でサイトできるのではないかと思われた。そこで広瀬をそこまで偵察に出し、良い場所がなければ戻ってきてもらうことにし た。また、天図の時間が迫っており早く落ち着ける場所に着きたいのと、ここまでトップはかなりの回数ザイルを出しており疲れていると思われたので、自分が 長崎に代わってトップをすることにする(さらに良い場所が見つからない場合は、広瀬と自分で懸垂を行いサイト場まで戻ることにする)。だが、結果的にこれ はあまり意味がなかった。3m滝で左岸にスリングを垂らし、8mスダレ状手前でザイル手がかりを出して沢床へ。8mスダレ状(10mはゆうにある)は左の 狭いルンゼをTR。この上で広瀬に会った。聞くと明るい二股でサイト可能との返事で胸をなでおろす。ここで天図タルミ。その後は二股まで滝らしい滝はな く、ほどなくサイト場着。実際に見てみるとなかなか良いテン場である。河原に焚き火跡がありここが一番快適そうだが、増水の心配が多少あるので、ここはサ イト用として右岸の一段上がったところにツェルトを設営する。なんとか3張り張れた。一つはツェルトポールを使用。(ここには枯れ枝がたくさん落ちてお り、これで代用すればツェルトポールを使う必要は無かった。)
事前に聞いていた天気予報では明日関東付近は概ね晴れの予報で、蓜島の天図を見ても 明日は天気が良さそう。予定通り遡行を続けることにする。問題はMax通過リミットである。先の記述の通り林道を考慮すればMax通過リミットは1時間延 びるが、今日のコースタイムで読み替えると延ばしたリミットでは日の入り前に余裕を持って林道末端に着くことができない。結局通過リミットはもとのままで 行動する事にした。サイトのあとはお待ちかねの焚き火。差し入れのウインナーやウイスキーなどが飛び出す。だが特筆すべきはLの持ってきたかき揚げ風枝豆 であろう。これを焼いて食べたのである。豆を焼いたのである。豆焼。明日は蓜島起床係で4:20起床とする。N崎おかんで20:30頃就寝。

10/12(月)晴れ
▲1 5:48—6:30大滝下—7:25大滝上—8:30 4段24m下8:40—10:15スダレ状50m下10:25—12:40Co1865(水汲み)—13:00稜線(長崎13:15着)13:40— 14:15雁坂峠14:28—15:18 Co1500 15:28—16:30道の駅みとみ
4:20になったが起床コールがかからない。 4:30まで待ってLが起床コール。ラーメン餅を食し、急いでツェルトなど回収して日の出ジャストで出発。初っ端の3m滝は右壁TR。左巻きも可。沢床へ 向かうときはフリーだったが手がかりが欲しかった。蓜島がキジ。腹の調子がやや悪そう。6mは左壁に残置ロープあり。階段状で登りやすい。松崎は左壁 TR。ナメっぽい部分が徐々に増えてきていい感じ。

ここを過ぎるといよいよ大滝登場。巨 体をくねらせる様に水流を落とす美瀑である。この滝は左から巻くが、ここも06年の記録に詳しいルート図が載っている。ガレ場から登っている年もあるが、 今回はその右の樹林帯から取り付く。取り付き点がやや分かりにくいが、登るにつれて次第に踏み跡がはっきりしてくる。といっても、フリーで初心者を通せる ような場所ではなく、今回は取り付きでザイル手がかり→ザイルを目いっぱい使用しFix→2段TR→上部フリー→沢床へ下ろす際手がかりとまたかなり複雑 な処理を行なう。ルートは過去の記述どおり岩頭を左から巻くコース。上部で2箇所ほど赤布あり。上部は傾斜が緩くなっていた。この上から4段24mまで遡 行図との対応が分かりにくい。とりあえず、大滝上に4mと5mほどの滝がある。下の滝は右から簡単に登れるが次の滝はSCになる上難しく、下の滝も纏めて 右から巻くのが普通のようだ。今回鈴木が右から巻き、長崎を水流中ゴボウで通し、そのルートを初心者TR+手がかりで上げた。鈴木は長崎と松崎に有無を言 わせないといった感じで水流中のルートを指示していたが、全身ずぶ濡れの二人は見ていてかわいそうだった。上の滝の右壁は手がかりがあれば登れるルートで あるので、寒い時期はこちらをTR+手がかりで通したほうが良心的である。5m上に06年に泊まったというBPがあった。それなりの適地だが、この人数で はきついかもしれない。そのあと沢が右に屈折する地点にやや幅広の1m滝とその奥に8m滝があるが、これは右岸の踏み跡を利用し巻ける。巻きの取り付きで スリング手がかり、終わりでザイル手がかり。巻き道には茶碗などが転がっていた。

この上が遡行図の4段24mである。Max通過リミットに間に合うことが出来、喜ぶ。この滝は迫力満点。水量が多く、50m大滝に劣らない景観を創り出して いる。直登している記録もあるが、ちょっとそんな気は起きない。なので右から巻く。踏み跡はあるが一部不明瞭で藪っぽくなっている。取り付きでTR(手が かりでも良い)、途中でスリング手がかり数回、上部でTR。それに続けてFixを張り沢床へは手がかり+巻き結び。ここも懸垂が無難か。尚、ここは次の 6mと3mも合わせて巻いた。この先には遡行図に記述のあるとおり快適そうなBPあり。10mナメは美しい。06年はフリーだがそりゃないだろう。水流左 TR。ここからスダレ状50mまでBP点在。とくにスダレ状50m直前には「明瞭な」焚き火跡があった。確かに誰でもここでサイトしたいと思うであろう景観だ。左俣の2段16mも美しく、釜ノ沢の両門の滝を彷彿とさせる。

ここは皆楽しんで思い思いに登る。斜度、難度的には(夏合宿で行った)エサオマントッタベツ沢300m大ナメのミニチュア版といった感じだ。初心者は下段水流中TR、上段手がかりで上げる。 この辺りから周囲の木々が色づいてきて楽しませてくれる。6mナメは右側窪状ザイル手がかり。左側も登れるが右の方が簡単。20mナメ床をひたひたと登 り、第一ミニゴルジュに突入。いくつか滝があったが、ザイルを出した箇所の処理を示すと、手がかり→TR→2段TR。ここらへんで苔むしてきて、ようやく 源頭部の様相を呈する。いい加減滝に飽きてくるが、さらに第二ミニゴルジュが現れる。この手前で右からガレ沢が入っており、ここを利用してゴルジュを巻け るかもしれないということで長崎・三谷・広瀬がそちら側に登っていく。なかなか情報が来ないので、先に松崎を第二ゴルジュ内2段TRで上げる。ゴルジュを 抜けたところで3人と合流できるかと思ったが、3人の姿が見えない。ホーヤコールで連絡を取ると、どうやら3人は尾根上に乗り、そのまま稜線直下の登山道 まで出ることにしたらしい。こちらは沢をそのまま詰める。途中で二股になり本流は左だが、右のガレ沢のほうが登りやすそうなので水汲みをしてからここを詰 めることにする。急なガレ(確保は必要ない程度)を15分ほど登ると登山道に飛び出し、広瀬・三谷とも合流した。ん?長崎がいないではないか。聞くと長崎 はホーヤコールで連絡を取った後、初心者に付くためにひとり沢に下り返し、再び本来の沢を詰めることにしたらしいのだが、こちらには全くそのことは伝えられていなかった。長崎は15分ほど遅れたが無事到着。ここで沢装解除とする。

晩秋の色が漂う道を松崎トップで歩き、雁坂峠へと向かう。日本三大峠である雁坂峠は明るい笹原の広がる気持ちの良い場所だ。広 瀬の持ってきたフルーツ缶を開ける。本来ならもっとゆっくりしたかったのだが、16:28道の駅みとみ発のバスに乗りたいので休むのもほどほどに出発。 トップを急かせなんとか2ピッチで下ろうとしたが、辛くも2分遅れでバスに間に合わず。「17:50西沢渓谷発のバスが最終なので間に合わなければこれに 乗ればよい」、と伝えていたのだが、ちゃんと資料を見直すとなんと、これは川又発の終バスの時刻だったことが判明。Oh、何たるミス!ということはもうバ スが無いのでタクシーを呼ぶしかない。道の駅みとみから塩山タクシーを呼び、行きと同じく2台で駅へと向かった。ザイルを出しまくったトップの二人はかな り疲労していたよう。お疲れ様でした。行きほどの値段はしなかったものの、やっぱりバスに比べればかなり割高。塩山駅前の定食屋で反省会&打ち上げをして 解散となった。

・まとめ
豆焼沢は正直手ごわかった。06年の記録を読むとそれほど頻繁にザイルを出していないようだが、実際は巻 き道もそれほど明瞭でない場所が多く、現在の基準だと初心者を連れて行くには息つく暇も無くザイルを出さねばならない。とりあえず和名倉上級、豆焼中級は おかしい。しかしその分、いくつもの美しい名瀑を有しており遡行価値はかなり高いと言える。できればN以上で行きたい沢である。

0 件のコメント:

コメントを投稿