安倍奥FB
企画:柏嶋始
藪トレが上越ばかりでつまらなく感じていたので、南アルプスの端、静岡県の安部奥に行きました。初トレースの藪なのでドキドキしながら計画したのですが、藪が薄すぎてグダグダに……。
あれ~?藪って聞いて来たんだけどなあ…… |
4年会:CL保田
3年会:sL*柏嶋、*鈴木、長根、*野原
2年会:梅宮(4)、久保(4)、島田(0)、高橋(2)、武田(2)、E田嶋(0)、W張(2)、中津(4)、H西山(2)、F根岸(1)
1年会:今本(初回)、坂田、松峯、幕内
*:藪sL/L権者、()内は今山行に参加する前のトップ日数
6月24日(金)雨 東京=(車)=小河内▲0
体調不良のため川原は不参加。
アプローチでタクシーを使うと費用がかなり高額になってしまうため、山行に参加しない人に車の運転をお願いすることになった。梅宮以外の1、2年会は19:00に駒場集合で村田・八嶋の車、その他は19:00に本郷集合で大西さんの車で出発。高速で静岡の市街地まで行き、その後県道を使った。八嶋・村田は県道189号から県道60号、大西さんは県道27号から県道60号を使ったのだが、あとで調べてみたところ、静岡県道29号(黄金の湯のあたりに続く唯一の道)と合わせて、
・連続降水量120mm以上で通行不可
・(小河内集落よりさらに先では)深夜21時以降は通行不可
・大雨で土砂崩れが起きて、通行不能になることがよくある
などのかなり危うい道であることが分かった。
真っ暗で細い県道は途中で電波が入らなくなったりしたが、田代の集落につく頃にはしっかり電波が入るようになっていた。時刻は大体12:00くらい。
もともとは田代の集落で前泊する予定だったが、安全に車を止めておける場所が見つからず、小河内の集落へ車を進めた。小河内の集落の入り口と出口付近にはそれぞれ車2、3台が止められるスペースがあり、今回は集落出口付近のスペースに3台の車を止めて、車中泊した。1時過ぎに就寝。
6月25日(土)早朝のみ雷雨、以後晴れ ▲0~小河内岳~山伏岳~山伏小屋▲1
▲0小河内5:03~5:18鹿牧場入口手前分岐~5:44(たるみ)6:01~6:52(たるみ)7:12~7:47一色山8:08~9:05(たるみ)9:16~9:49
1807p~10:05(たるみ)10:18~10:43
1891p~11:23小河内岳Ⅲ峰12:05~12:18小河内岳峰~12:27小河内岳Ⅰ峰~12:55(たるみ)13:05~13:57山伏峠14:10~14:36山伏岳14:54~15:02西日影沢分岐~15:15山伏小屋▲
目が覚めるとひどい雷雨だったので、完遂できなくなることを覚悟で、雷が収まるまで
一旦様子見。4:30に雷が収まったのを確かめて、少々遅めに出発。出発前に村田がスイカの差し入れをくれた。Lは荷物が重いとつらいので、鈴木に持ってもらう。林道の分岐を左に進んで20mほどで中部電力の反射板発見、踏み跡をたどった。
1p目の途中で雨が止み、その後のたるみで前もって藪装をつける。2p目に中部電力の反射板を目印に西にトラバースする道と、中部電力の黄色い大きな看板を目印に東にトラバースする道を過ぎたあたりから、踏み跡は途切れがちになった。その後のたるみでは隊の前の方を歩いていた1、2年会がヒルにやられていることが発覚。対応に追われる。3p目はそろそろ藪らしくなるだろうと期待してトップを出すも、RF箇所なし。一色山のイモピークでたるみ。村田のスイカと長根の蒟蒻ゼリーの差し入れを食べる。藪が薄くて進みが早いので、完遂のめどが立って嬉しい反面、もしかしたらこのまま藪トレにならずに終わるのではないかと一抹の不安を感じる。4p目、不安がだんだんと現実味を帯びてくる。5p目、もはや期待した藪は存在しないことを悟る。1750mu付近で、トップは正しく進んでいたようだが、中継張、本体誘導武田が何を勘違いしたのか、本体は尾根の右側を進み始めてその後すぐリカバー。標高が1800mを超えると、少し笹の背丈が高くなるも踏み跡多数。人が入った痕跡はほとんどないので、これらの踏み跡は鹿の仕業だろうと考察する。6p目、長尾根が終わり、当初の計画よりもだいぶ早く小河内岳Ⅲ峰についてしまう。天気が良いので見晴らしは最高によく、程よい風もある。こうして新ルート「長尾根」は楽しい道として終了。めでたし。
小河内岳Ⅲ峰~山伏峠はエアリア破線の道。普通の道だが、灌木や岩があって長尾根よりは歩きにくい。山伏峠~山伏岳の登りは急坂で、結構大変。1、2年会が落石しまくっていて、ひっきりなしに「ラーク!!」の声が飛び交っていた。もっと歩き方に気を付けましょう。山伏岳は笹がきれいな山頂で、高橋にくっついてきたヒルをみんなでいじめる。中から血が出てくるのでなかなかグロテスク。あと、記念写真もとった。
山伏小屋はトイレがないもののバルコニー付き。水場は小屋近くの沢で、昨日の雨のせいで濁るかと心配したが、きれいだった。晩御飯はカレー。Lがサイマスを指名したあとは1、2年会が積極的にサイトをしてくれた。じじい共は気持ちよさそうに寝ていた。審議資料の「12.5p」を見てビビったじじばばは差し入れを持ってきておらず、宴会はなし。6時前のまだ明るいうちの就寝となった。
6月26日(日)晴れ ▲1~大谷嶺~七人作りの峰~黄金の湯
▲1山伏小屋4:37~4:50西日影沢分岐~4:58山伏岳~5:27(たるみ)5:37~6:08新窪乗越6:18~7:08大谷嶺7:25~8:19ハチビツ山直前8:30~9:21七段沢コル手前コル9:34~10:17(トップ1766p確認)~10:24(1766p先でたるみ)10:40~11:32(1612手前でたるみ)11:46~12:39(1489先でたるみ)12:56~13:49(たるみ)14:02~15:12黄金の湯
朝ご飯は肉卵スープうどん。ワンゲルの慣習に従って水300mlで作った汁なしうどんに卵スープの素を乗っけたら、卵スープの素が溶けず、なんだか残念な事になっていた。まあ、L的にはうどんも卵スープも割と好きなメニューなので、嫌ではない。
山伏岳~新窪乗越は稜線だが、木が茂っているので展望はない。危険個所はないが、1箇所だけ北側斜面が大きく抉れているところがあり、いつか崩壊しそう。新窪乗越~大谷嶺は南が大谷崩になっていて、視界が開ける。特に事故等はなかったがエアリアの1.1倍の時間がかかってしまった。
大谷嶺から藪入り。藪入り前に、保田さんがゴアマを紛失していることが発覚、半そでで藪へ突入。いざ藪入りすると、安倍奥最強の藪との評判に反して、長尾根同様笹が薄く踏み跡多数。ご丁寧に赤布まで打ってある。七段沢のコルまでは崖の縁を歩くだけなのでRFもあまりない。トップの西山の話だと、ハチビツ山の南東~東に伸びる尾根は「明瞭で行きたくなる尾根」だそうだが、迷うことはなかった。ハチビツ山にも赤布が打ってあり、慶應が作ったプラスチックのカードもあった。
七段沢コルの先、崖と尾根が分離するところから、崖に沿って巨大で真新しいレールが敷かれていた。(後日Lが調べると、どうやら2014年秋~2015年春に作られたらしい。用途不明)その後の1766pまでは多重稜線でやっとまともなRF区間。本体にいたLには「トップが尾根から落ちました!」「本体は根岸に従って尾根右を進みます!尾根上には誰もいません!」「島田がリカバーしました!」など、混乱した状況が伝えられてきたが、隊は止まることなく西側の尾根を進み、1766p先の尾根に着いた。後でトップ指導の野原に話を聞くと、トップ(張・島田・根岸)はとてもうまくRFしていたとのこと。ただし、中継(梅宮)との連携がうまく取れず、正しく情報が伝わっていなかったらしい。実際には根岸が西側、残りの二人で東の尾根を進み、その後全員合流して尾根上を進んだところ、1766pの南西を通って1766pの先の尾根に出た。そこで、島田が1766pまで登り返して90°の間違い尾根を確認し、全員合流した、というのが真相らしい。
1766p以降、やっと1m程度の笹が生えてくる。ワンゲル的には薄いので別に問題はないが、ネット記録で「激ヤブ!!」などと言われる箇所だと思われる。トップ(中津・久保・高橋)からの報告が「踏み跡がついています!」ばかりだったので、角度を切るよう指示したところ「210°です!」。その後少し進んで、さらに尾根を西に外した状態で本体停止。このとき本体は1650mの西側の尾根をさらに西に外しており、中継の張も西に落ちていた。中継の張に代わり、梅宮・西山(もともと本体)が尾根上から中継を行い、自分たちのいる尾根が間違っていること(保田さん)、東に正解尾根が伸びていること(中津)を確認し、リカバーを行った。意外なことに、西側の尾根から東側の尾根に移るルートにはしっかりとした踏み跡があり、リカバー特有の苦しみは全然なかった。
1612pからのRFは割とうまくできていて、方針会議で決めた通り、1612からの尾根はしっかり押さえつつ、本体は尾根の右側を通すことに成功。ただし、トップと本体の距離が近かったのが残念。本体が時々止まってしまった。また、ぎりぎりまで尾根に乗って進んだ方が、藪が薄くて歩きやすかったらしい。
1489p以降は踏み跡が明瞭でほぼ道。七人作りの峰は、本体は踏み跡に従って右巻きしたが、トップの中津は尾根上を進んで七人作りの峰のピークを打つ。以後は笹もなくなり、完全に消化試合。落石が多いのが気になったが、特に事故はなく無事下山した。下山直前の30分ほどの区間だけは藪っぽかった。結局、今山行では全く人と出会わなかった。
下山からバスの発車時間まで45分しかなかったので、温泉に入らない人、超スピードで温泉を済ませる人、温泉に入って次のバスを待つ人に分かれて解散となった。
◎長尾根まとめ
道ではないが、藪でもなかった。「登山道の脇にある、ほんの少し草が生えていて歩きやすい所」、そんな感じの地面が山全体を覆っていて、道山行以上に歩きやすい。灌木は全くなく、背丈30cmもない笹がまばらに生えているだけなので、地形図上で平らな地点であればどこでも幕営適地。1800mを超えたあたりから少し笹の背丈が高くなるが、鹿の食害のせいか、いたるところに鹿道と思しき踏み跡が存在し、結局最後まで藪漕ぎは不要。
このような植生の上、ほぼ一本道の尾根なので、RFもほぼ不要。コンパスなしで単独行をしても迷わないだろう。
熊には出会わず、糞を見つけることもなかったが、鹿はたくさんいた。トップは何度も鹿の群れに遭遇していたらしいし、Lも背後を鹿が走っていくのを目撃している。
人間の痕跡が全くない山を好き勝手に歩き回れるのは気持ちが良いが、少なくとも藪を求めて行く山ではない。
◎七人作り尾根まとめ
白毛門や幻などと比べて世間の認知度が少し高いせいか、毎年一定数訪れる人がいる藪である。踏み跡が多く、実質的な藪区間(RF区間)は七段沢のコル~1489pだけだと思う。藪自体は上越などと比べると薄いので、1年会の「藪を漕ぐ」練習にはならない。
長尾根と比べると、(人間のものと思われる)しっかりした踏み跡や赤布などがある分、人間の出入りを感じさせる。
◎全体のまとめ
好天に恵まれ、道山行だと思えばなかなか良い山行であったが、薄すぎる藪のおかげで藪トレとしての価値は極めて少ないものとなってしまった。L個人としては、初トレース企画を立てることの難しさを痛感させられた。そして、
①南ア深南部の藪は薄い
②南ア深南部のアプローチは険しい
の2点を甘く見ていた。南ア深南部の企画を立てる方は、十分気を付けて欲しい。
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