作成者:白濱
面子:OB1 木村、L白濱、塚越
日程:09/8/20-22
滝の表現は『日本の渓谷98/99』を参考にした。
09/08/19(水)晴れ
上野=猪苗代▲0
18切符で猪苗代駅へ移動。磐越西線で来るかと思っていたが、初めて東北本線の下りで検察が来た。侮れない。
木村が宇都宮でリカバーするものの、全員そろって猪苗代駅に降り立つ。因縁の土産屋は避けて、バス停のとなりで寝る。虫が少なく、意外と快適。
09/08/20(木)晴れ時々曇り
猪苗代510=(バス)=530秋元湖入口〜700車止め入渓点720〜805レイクライン下〜835タルミ845〜945白滑八丁〜1120魚止滝1130〜1205取水堰堤〜1225銚子口1235〜1330観音滝1340〜1430布滝上1440〜1445▲1
始発のバスに乗り、一路秋元湖へ。当然乗客は我々だけで、途中で乗ってくる人もなく、タクシー気分である。秋元湖からはサイクリングロードをひたすら歩く。ちょうど湖から朝日が登るところで、幻想的な雰囲気がただよっている。猿くさいのが玉に瑕。
秋元湖 |
舗装路が終わると入渓点は近い。車止めからは中津川河口へと道が続いている。川床に降りるところで沢装になる。この辺の藪蚊は刺すのが下手でいたい。もと上手く刺して欲しい。
河口から入渓する人は少なく、記録もほとんどないため、遡行が新鮮である。水量も多く、大渓谷を感じさせる。柱状節理のゴルジュが続くが、右岸のバンド上 をひたすら歩くのが一番安全だろう。ただ、それだと飽きるので、たまに水際をへつって遊ぶ。意外にすんなり行かず、この先の遡行に不安を感じる。途中、大きな浮輪が引っ掛かっていた。たぶんレイクラインから川遊びに降りてきた人が流してしまったのだろう。とても立派で高そうな代物だった。
下部のゴルジュ |
橋を越えて少しすると遊歩道が合流し、沢は平凡になる。川原歩きを続けていくと、川岸に白滑八丁の片鱗が窺えるようになる。それがだんだん大きくなり、白滑八丁の始まりとなる。
はじめは水際にちょうど足場があってざぶざぶ歩いてゆける。それがなくなった頃、白滑八丁が本領を発揮する。釜釜釜の連続で、フリクション頼りのへつりしか突破方法はない。泳ぐには流れは強すぎる。その代わりなのか何なのか、ここの岩は非常にフリクションが利く。傾斜30-40°でも充分利いているのだからびっくりである。たいがいの場所がへつれるが、いつもとの感覚の違いにとても神経を使う。
白滑八丁の小滝 |
3段5mはフリクション全開で登り、どうしようもなさそうな左岸をへつる。写真を見ればその異常さに納得してもらえると思う。2段5mは右岸をへつる。ここも怖い。さすがに限界に近く、四肢に体重を分散させてのへつりとなる。若干スプーンカット状を呈しているので、傾斜の緩いところを選んで足や手を置いていく。トラバースが長く、時々あるわずかな段差がオアシスのように感じられる。おそらくここが白滑八丁の核心であろう。木村は惜しいところで、越えられず、最後はザックとハーネスにザイルを結んでひっぱり上げて突破した。
白滑八丁のへつり |
白滑八丁が終わると再び平凡になる。1時間も歩くと、岩相に顕著な違いが現れ、ゴルジュ状に変わる。そうなると魚止滝はもう近い。魚止滝は中津川の中では 中堅クラスの滝だが、その水量と深い釜の生み出す轟音に圧倒される。十分堪能したのち、巻きに入る。左岸のルンゼを詰めていくと荒れた登山道に出る。それをたどっていくと、途中降りれそうな支沢を発見。しかし、取水堰堤まで巻きたいのでスルー。取水堰堤を越えたところで、再び支沢が横切ったので、そこを辿って沢床に降り立った。
川原歩きを続けると銚子口に到着。右側を容易にへつれる。次に出てくる5mほどの斜瀑も右を容易に上れる。ちょっとし たゴルジュになると観音滝となる。他に負けず劣らずきれいな滝である。予定ではこの辺で泊まるつもりだったが、明日の天気が悪いし、時間も早いので、サイト地を探しつつ先へ進むことにする。サクッと右から巻いて先を急ぐ。左側にロープのある大岩は右の滝沿いに行くと詰まるので、ロープ沿いに登ったほうがいい。大岩を越えるとゴルジュがあり、右をへつるか泳いで対岸に渡る。
狭いゴルジュ入口に来たところで、右岸のバンド上にサイト地を発見。ツェルト2張りは余裕。落石の危険はあるものの、増水の心配はない。何より平らな石畳が快適である。もう少し進みたかったが、これ以上快適なサイト地がこの先に期待できそうもないので、幕営決定。いそいそと焚火、飯の準備を始める。
ラジオを聴くと明日は正午ごろに寒冷前線が通過しそうである。その前に朱滝は越えたいところ。巻きがスムーズに行けば良いのだが。久しぶりの焚火とアルコールを楽しみ、就寝。
09/08/21(金)曇りのち雨
415起床515〜620神楽滝630〜730熊落滝745〜910筋滝上920〜950朱滝下1000〜1050朱滝上1100〜(タルミ三回)〜1445大凹〜1530西吾妻避難小屋▲2
15分寝坊。ラーメン餅をかきこみ、出発。1時間ほど歩くと右から権現滝が出合う。なるほど立派である。権現沢の沢床は酸化鉄が沈殿しており、木村によると水もしょっぱかったそうだ。尾根を回り込むと神楽滝が堂々の姿をさらしている。
巻き道は間の尾根から始まる。残置ツェルトがあるのでわかりやすい。踏み跡をたどっていくと大きな洞を持った木にぶつかる。そこから下降する踏み跡に従って下ると夫婦滝の目の前に出た。夫婦滝は左の鎖沿いも、左壁も容易である。
静滝を右から鎖沿いに巻くと熊落滝となる。滝以上に周囲の岩壁、奥のゴルジュの迫力に圧倒される。長大な岩壁に巻きが長いことも頷ける。左岸の支沢を詰め て岩壁上部の平坦面までのぼる。そこから北に向かって直進し、沢が右に屈曲したあたりで適当に下降する。最後の10mほどの草付きを塚越が頑張ってクライムダウンしていたが、その緊張感がめんどくさいので、懸垂して沢床に降り立つ。どうも筋滝まで巻いてしまったようだ。途中塚越が見つけた踏み跡沿いにトラバースすれば小さく巻けたかもしれない。
腰までつかるゴルジュを右から突破した後、朱滝となる。50mの直瀑は壮観の一言で、来てよかったと心の底から感じさせてくれる。上部の柱状節理に下部の火砕岩と華厳の滝に似た実に火山らしい滝である。巻きは右岸の支沢の対岸の小尾根から取り付く。踏み跡らしいものはあるが判然としない。急な斜面を藪を頼りに登っていくと残置ロープを発見。腕力頼りに登っていくとしっかりとした尾根となり踏み跡に合流した。と、その時、木村の奇声が聞こえた。塚越が滑落したらしい。藪中とはいえ急斜であり、結構落ちてしまったらしいが、幸いにも無傷であったことに胸をなでおろす。
平らなところにきて踏み跡に沿って少しトラバースしていくと、沢音が遠ざかっていく。東向きに登っているようなので、踏み跡を外れて 適当に下降開始。すぐに支沢となるが、朱滝を超えたところで合流しているかどうかがいささか不安である。藪越しにどこかの滝の落ち口は見えるのだが、それが朱滝であったら登り返しがめんどくさい。越えていることを祈りつつ下降すると、なんと朱滝の落ち口にどんぴしゃで出た。結構適当だったのに素晴らしいRFであった。結局三つの大滝の巻きは思っていたよりも苦労しなかった。4年間培った藪こぎの成果か?
朱滝 |
上流部になると沢は平凡になる。朱滝上部はそれなりに滝もあり、楽しいが、すぐに川原状になる。途中ヤケノママと呼ばれるところに来るが、タイミングが悪かったのか湯気もなく、特別面白いところではなかった。そこからは2時間以上景色の変わらない川原歩きが続く。晴れていれば気持ちがいいのだろうが、いまにも降り出しそうな天気ではテンションは上がらない。藪が覆いかぶさってくると、次第に沢は狭まってくる。途中北向きの沢に一時迷い込んだが、本流をたどっていくのが正しかったようだ。最後沢が人幅以下になったところで湿原に上がる。角度を切って湿原をたどる。天気が良ければ天国のような場所なのだろう が、残念ながら雨が降り出し、みじめな気分にしかならない。湿原が切れた所で意を決して藪入すると、数分で立派な登山道に飛び出した。
強い雨が降っているので、沢装のまま避難小屋を目指す。大凹の水場で水をくむ。凡天岩、天狗岩のあたりに来ると風が強い。ロングピッチのため腹が減ってしょうがないが、こんなところで休みたくないので先を急ぐ。
ようやくついた避難小屋は実に立派で、2階を貸し切り状態で利用できたのはありがたかった。濡れたものを干して、飯を食い、みんなで昼寝。20時頃に起き出して残ったつまみ、酒を消費する。屋根をたたく雨音を枕に就寝。少々寒い夜であった。
09/08/22(土)曇り
500起床630〜(645西吾妻ピストン)〜720西大巓730〜840ゴンドラ乗り場850〜1000ホテルグランデコ=(バス)=猪苗代
のんびり起床し、のんびりと出発。西吾妻をピストンする。視界もそこそこあり西大巓ぐらいは見える。
西吾妻にて |
帰りは早い。西大巓を打ち、さくっとゴンドラ終点を過ぎて、ホテルグランデコへと到着した。
ホテルグランデコでは日帰り入浴もできたし、事前に予約しなくてもシャトルバスに快くのせてもらえた。ホテルマンの皆様は、貧相な我々には分不相応といっても過言ではない丁寧な対応をしてくださった。実にこそばゆい思いをした。
猪苗代駅に到着後、郡山に行き、そこで打ち上げ。刀削麺を食って、各々の現実へと帰還した。
まとめ
下流、中流、上流と渓相は目まぐるしく変化し、遡行する者を飽きさせない。難しい所といえば白滑八丁のへつり、熊落滝の巻きであろう。しかし、時間をかけ れば突破できる類のものなので辛抱強く挑戦すると良い。中流部の連瀑帯に入ると幕営地に適したところは少ないので、1泊2日の場合はきちんと調べたほうが 良い。
大渓谷の割にアプローチが容易で安く済むところもまた魅力の一つであろう。
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