秋薮 国師ヶ岳〜烏ノ尾根

秋薮企画として、国師ヶ岳に行ってきました。奥秩父最奥エリアから、南に伸びる「烏ノ尾根」をひたすら下って甲府盆地に降りてくる企画で、ほぼ薮がなく歩きやすい稜線でした。薮好きには物足りなかったかも?

 

◎行程図(ヤマレコ)



 

◎参加者(敬称略)

4年会:田村

3年会:cL酒井、sE古谷、sL渡部

2年会:sW下川、sF田中慎、豆田

1年会:H須貝、永原、EFW中谷

 

◎係・権利

トップ日数 +1

渡部 薮L

中谷 EF

 

 

 


せっかく薮sL権があるから薮企画のひとつくらい出してみるかーと思い立って、いけそうな薮を探してみたが、見つからない。ちょうどタイミングよく古谷から国師ヶ岳北尾根の存在を聞き、なんとなく南の尾根もみてみたところこれが適度に長く景色も良いらしいので、しめたとばかりに企画を立てた。行程上車は2台必須なのだが、予約がうまくいかず本郷からハイエース、白山(ニチレン)から4人乗りを出すことになった。大弛峠の林道は12月から閉鎖開始とのことなので、ひと安心。

 

 

 

アプローチ

 

集合はレンタカー屋に直接とし、装備の漏れなどもなく無事出発。とりあえず2台で道の駅に集合したが、大弛峠に2台で行ってから車をデポしに道の駅を往復することにした。Googleマップではここの林道が案内されないので正確な所要時間が不明だったが、普通に片道1時間以上かかって絶望。駐車場にテントを張ってヤリスを下に置きに行く。下りはすれ違いが面倒で上りより時間がかかった。帰りは飛ばして50分を切った。大弛峠RTAとかやったら面白いかもしれない。さすが標高2300mともなるとクソ寒く、震えながら車中泊とテントに分かれて就寝。

 

 

 

11/16(土) 快晴→曇り(夜時々雨)

▲0大弛峠6:02-6:26朝日峠-6:48朝日岳6:58-[地図読み4]-7:50金峰山8:09-8:53朝日岳9:03-9:21朝日峠-9:39大弛峠9:59-[水漏3]-10:38三繋平-10:44国師ヶ岳10:54-10:59三繋平-11:04北奥千丈岳11:06-[地図読み5]-11:45奥千丈岳11:55-[地図読み5]-[地図読み7]-12:40白檜平12:50-[地図読み6]-13:16ゴトメキ13:25-13:37水場のコル13:59-14:16遠見山-14:49サイト地(2030mベロ根)▲1

***一重下線部sub装、二重下線部空身、緑字薮区間

6時出発予定で各自適当に起床。まじで寒い。まずはサブ装を作って金峰山にむけ出発する。日の出が6時台とはずいぶん遅くなったものだ。トップの槌谷が速いので苦情をいったが、普通に読み通りだった。1ピッチ目はつらいなあ。朝日峠は謎ケルンがあるだけの謎峠。朝日岳あたりで金峰山方面の景色が開ける。当初雨マークがついていたがまた晴れにしてしまった。

朝日岳直下のガレ場から、鉄山と金峰山を望む。
奥は南アルプス

鉄山の巻道がはじまるところで地図読み出題(易)。中谷があさっての場所を示していたのでじっくり考え直してもらったが、コンパスの角を使ってなかったことによる誤認だった、ごめん。適当に登るとハイマツ帯に飛び出し、周りの山が全て見える。露岩帯を好き勝手に直登したりしていたら何人か進退極まったので素直に巻く。金峰山の五丈石は想像よりかなり大きくて驚き(別に登りたいとは思わなかった)。鳥居で写真を撮って引き返す。

金峰山付近の限界上区間から。左は小川山

良いペースで進み、特に何事もなく大弛峠に帰還。みんな結構疲れている。小屋の水場は所在不明で、トイレの水を汲んだところ謎に泡立った。本ザックに戻して再出発。このとき実は重大なミスを犯していたが誰も気づかなかった。国師までの登りは夢の庭園ルートを選択。夢窓国師の「夢」だと下川がいうが本当か?傾斜が急なので庭園感はないが景色は良かった。分岐(三繋平)から国師ヶ岳を空身ピストン。山頂は一等三角点「國師岳」。

国師ヶ岳山頂の一等三角点

撮り忘れかけた集合写真を撮って分岐に戻り、本ザックに戻して北奥千丈岳へ。奥秩父最高峰で2601m、高い。一応写真を撮って進む。ここからは石楠花新道と名のつく登山道で、メインルートではないため若干細い。傍の石楠花が邪魔な感じ。2540mあたりで地図読み出題(標準)。田村さんはコンパスがないらしく、酒井もコンパスが不良品らしい。1年会は全員正解していて素晴らしい。奥千丈岳は名前だけ立派で実態が伴っていない。2340mあたりで地図読み(悪問)。須貝はちょっとズレてたらしいが1年回は概ね正解。2180mあたりで再度地図読み(やや難)、こちらはみんな正解。1年会の地図読みは結構上手だ。

綺麗なコケ

シラベ平は細い沢が流れる雰囲気の良い平場で、ここで田村さんからプリンの差し入れ。牛乳プリンで高級品に見える。おいしかったです。ゴトメキまでの登りで地図読みを古谷に委託したところ、2200m直前での出題(やや難)。キモい形のピョコに注目できればわかる問題で、悩んでいたがほぼ皆が正解。ゴトメキはピークかどうかかなり怪しいが、「甲斐百山」という怪しいリストにも載っている。遭難碑があって下川が頑張って解読していた。ゴトメキから先は本来トップを出すまでもないが、練習のため1年会を出し、練習なので補佐もつけた。薮装はつけなくて良いことにした。ゴトメキからの下りはいきなり踏み跡があって驚いたが、コルにつくとよくわからなくなった。多分人間の踏み跡と鹿道が交錯していると思われる。短い下草が生えている感じで非常に歩きやすいのであっというまに水場のコルに到着。希望者で沢を見に行ったら全員ついてきた。沢まではあまりにも明瞭な踏み跡があり、片道5分弱。沢自体は細くて汲みにくいがこの時期に出ているということは信頼できそうだ。あまりにも薮がなさすぎてL権等の諸々が怪しいが、コルから薮陣形に戻して出発。

遠見山への登り

道ははっきりしないが薮はない。謎に中央だけシャクナゲゾーンがあって、古谷は楽しそうに突っ込んでいた。楽々遠見山に到着。遠見山の次のピョコからは笹が出てくるが足首〜膝丈程度で歩きやすい。ただ倒木が死ぬほど多くて、普通に脛に攻撃を喰らった。

下遠見付近の笹藪

2070mあたりで南に進路を変えるところはRFが難しいと見込んでいたが、トップがうまく対処してくれた。今回のサイト予定地マークは適当につけたので、2020mのベロ付近でサイト適地を探してもらう。付け根付近に良さげな平場があったのでここでサイトすることにする。なんか隣に道標があるが、そんなものはなかったということにする。

サイト地(2020m旧道分岐付近)

中谷と槌谷は水汲みに行ったことがないようなので、一緒に西側の沢を偵察しに行く。地形図では谷地形があまりはっきりとは出ていないが、ちゃんと音のする沢が流れており、2000m付近は望みがありそうだったが結局岩だらけで汲みにくかった。戻ってサイト。いつも通りのポトフで非常に安牌な感じだが、中谷のF取得のためには最適。慎之助はサイト用具一式を部室に忘れたらしく、ソロコッヘル飯を堪能することとなった。サイトをしていると雨がポツポツきたが、降ったり止んだりという感じだった。正真正銘のW権保持者の槌谷以外は天気図を書いたが、sWの下川によると過去1ムズイらしく、基準等圧線が読み上げられない上に気圧配置が色々キモイらしい。宴会中に品評会を行うが当然出来は良くない。しかしさすがにこれで判断するのは酷だということで下山後に追試をすることに決定。まだ戦いは続きそうだ。ヤマテンを確認するとガス予報が晴れに変わっていて謎。寝ようとしたら7天の真下に倒木が2,3本あって鬱。おやすみ。

 

 

11/17(日) 晴れ

▲1サイト地(2030mベロ根)6:05-6:29林道交点-6:52大烏山7:07-7:41馬止根場7:45-8:051705p8:40-9:00西御殿-9:20東御殿9:30-10:06大久保山-10:35大久保峠10:50-11:04大明神山-11:50870地点12:00-12:55道の駅

分離隊:1705p8:30-8:47馬止根場-9:20大烏山-10:02大烏山登山口

4半6予定で起床。笹なので快眠だった。朝はカルボナーラペンネで美味しい。撤収がやたら早く、まだ日が昇らないので各自適当に暇を潰す。慎之助は力学のなんとかいう授業の試験があるらしくてスマホと睨めっこしている。日の出前だが明るいので体操をし、昨日と同じく薮陣形で出発する。天気は快晴で雲海が広がっている。富士山が大きく映る藪山行のはなかなかないのではなかろうか。

朝焼けと富士山

林道交点はロープと梯子状のステップがあって安全に降りられる。大烏山側は特に問題なし。1940pあたりの大岩は中央で二つに分かれていて、隙間をいく方が安全。「右巻き」の指示はむしろ悪手と思われる。大烏山は御料局三角点あり。里山感がすごいが中国九州地方のほぼ全ての山は標高で大烏山に負けているらしい。下川と豆田が悲しそう。丈はかなり低いながらも一応生えていた笹はこのあたりで消滅し、以降は高い樹木以外何も生えていない尾根に変わる。馬止根場の手前は岩場になっていて、巻けそうにないので直登した。だいぶ下の方なら巻けるのかもしれない。ここから先はかつて馬も通れる仕事道が山麓まで通じていたらしく、それらしい道型が目につく。しかし踏み跡があるわけではなく、道型もピークを巻いていくので、尾根上を通る我々は一応RFをする。1705pでたるみにしたところ、古谷がヤリスの鍵をハイエースに置いてきたという。やっちゃった〜😇😇😇。タクシー会社に連絡したところ空いている車がないらしく、田村さんがニチレンに遠隔開錠できるか問い合わせたところ「まったくできません🤗」との回答。分離隊を出してタイムズをもう一度取る案も現実的ではないので、古谷と豆田の2人で分離隊を出して、ER2から下山してもらい、豆田が林道16kmを走って大弛峠まで登りハイエースを回収することになった。申し訳ない。本隊もすぐに出発。藪がなく周囲の地形がよく見渡せるので薮陣形は畳んで道陣形で進む。漫然とくだっていると西御殿のピンを見逃すミス。あまりにもわかりづらすぎる。踏み跡はほぼないのでしっかり尾根の角度を測って進路を定めつつ、気を取り直して東御殿へ進む。こちらは見間違えようのないピークで三角点あり。

明瞭な仕事道の跡

大久保山手前の名もないピークは、南側を巻く仕事道に乗って回避。調子に乗って歩いていると大久保山ごと巻いてしまいそうなので、手前のコルで稜線に復帰する。大久保山は目立たないピョコだが御料局三角点あり。大久保峠の直前でトップがER方面の谷に引き込まれたので修正して峠に戻る。大明神山(五町山)から先は尾根が入り組んでいてRFが面倒そうなので、薮陣形に一瞬戻す。実際RFは難しく、1000m級ピョコから先は明瞭な間違い尾根に引き込まれたのでトラバースして正解尾根に乗った。送電線横断点の手前もトップが南東の間違い尾根に入りかけたので修正。角度は正確に測るようにしよう。

鉄塔の根本から。小楢山かな。

870mの間違い尾根分岐点でのたるみを予告し、トップに該当地点を特定してもらおうとしたが普通に難しく、自信を持って言い当てられた人はLを含めて誰もいなかった。尾根の終端付近で南西に曲がるところはトップがうまく当てていた。もうすぐ藪抜けというところで、地図にある林道がなぜか見えない。あるのは背丈越えの藪ばかり。え??もうしょうがないので突っ込むと藪ボーボーの廃林道に出た。まさか最後が一番濃いとは。全っ然林道ではない林道をしばらく進み、藪抜け写真(笑)を撮影。

林道にあった廃車

未舗装区間をしばらく進むと鹿柵ゲートがあり、下の方が土に埋まっていて全然開かない上に背丈の笹藪に覆われていて不快。槌谷のパワー系開扉により全員脱出し、道の駅に帰還。気色悪い植物の種が服にびっしりついていてかゆい。1年会は下川が持っていた録音で天気図を書き、後々査定することとなった。そうこうしていると豆田と古谷がハイエースに乗って登場。ありがとう、お疲れ様。塩山温泉「宏池荘」で風呂に入って、すぐ近くのラーメン屋で打ち上げ。大盛りにしたら会計時に突然150円加算されて許せない。帰りは案の定渋滞に巻き込まれて、ハイエースの返却は翌日永田に頼んだ。全然関係ないのにありがとう。

 

  

◎総評

薮かどうか怪しいレベルの薮だったが、RFのトレにはなったようで良かった。実は1959年の「奥秩父研究」(原全教著)という本には、ゴトメキ〜遠見山付近がシャクナゲの激薮であるみたいなことが書かれているらしい。この辺りは鹿の食害によって年々藪が薄くなっているようなので、今後どのように植生が変わっていってしまうのか気になるところではある。

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