山小屋60周年記念の小屋祭での記念行事の一環として、山小屋→幻湿原→巻機のコースで薮山行を実施しました!初日はまずまずの天気で、幻湿原や1809p南コルにて爽快な草原の景色を味わえました。2日目は台風(or秋雨前線)の影響もあり、終始濃いガス&小雨、そして稜線を横切って吹く強風、さらに稜線上の人跡稀な特濃灌木薮に悩まされましたが、無事巻機山頂で現役の皆・OB諸氏と合流することができ、大感激でした!
やっぱり上越の薮は絶品ですね♡
◎計画
今年は我が部の愛する山小屋が建立60周年記念ということで、8/30(前夜祭)から9/1にかけてOB・現役ともたくさんの参加者を集め、盛大に小屋祭を行った。記念行事の一環として、数隊に分かれ各方面から入山し伝統の「聖地」巻機山頂にて集合する巻機集中山行を開催することとなったので、その1隊として薮山行を企画した。当初は2泊3日の白巻(土合駅→白毛門→朝日岳→巻機まで縦走)を企画していたが、薮合宿を延期した関係でCLを変更したため日程の都合が合わず、1泊2日に短縮してER3入山→幻湿原→巻機のコースで実施した。
◎参加者(総員5名)
4年会:CL H 田村
3年会:sL sW古谷、E sF永田
2年会:豆田
1年会:W F永原
◎記録
◯台風10号
8/23の本審の時は本州を南北に横断し8/28の午後に新潟を通過する予測になっており、沢の増水や風が残ったり、アプローチ時の交通機関への影響などを懸念していたが、その後数日のうちに進路予報が奄美・屋久島方面へ大きく迂回するようになり、白巻直撃→小屋祭直撃、とだんだん遅くなっていき、直接の影響はなく実施することができた。ただ、秋雨前線と台風からの湿った空気の影響か、終始微妙な天気だった。結局、入山中にさらに予報が遅れ小屋祭直撃も避けられ、台風は小屋祭最終日に紀伊半島付近で消滅した。
◯当日
8/28(水)
17時本郷部室集合だったが古谷が20分、永田が40分遅れる
ずっと田村さんの運転で小屋までアプローチ。群馬を通過する時にかなり強い雷雨にあってちょっとヒヤヒヤした。
9時ごろに雲天に到着し、和彦さんに挨拶して鍵をもらう。幻沢沿いなので増水などを少し心配していたが、和彦さん曰く大した雨は降っていないとのことで一安心。また、和彦さん曰く深沢の堰堤から尾根までの林業用作業道があるらしい。もし見つけられたらぜひそっちを通りたいところだ。
小屋は薮トレ以来ほぼ人が入っていないのか、やたらと蜘蛛の巣と蛇の抜け殻がある。各自で夕食を摂り、布団で就寝。
蛇の抜け殻。長さ2mくらい |
8/29(木) 曇り
5:06体操 5:09小屋出発
5:31深沢堰堤到着、渡渉&薮装準備 5:42出発
6:11~6:27 1010mでたるみ
7:16~7:29 1330mでたるみ
8:22~8:35 1410mでたるみ
9:28 1450m地点通過
9:26~9:41 1470mでたるみ
10:20~10:36 1600m付近で水汲み
11:06 幻湿原到着
11:34 幻湿原出発
12:16 尾根上
13:01 1809p到着
13:15 1809p南コル到着▲1
4:00起床、sLは今一つ寝つけず寝不足気味でつらい。朝飯を急いで喉に押し込む。5時体操で出発の予定でいたが、永田が(飲み物類の片付けを押し付けてしまったこともあって)少々遅れる。
トップ永原で出発し、深沢まで林道を辿る。高曇りで気温も快適、絶好の薮日和だ。ほどなく堰堤到着。永田・豆田が堰堤本体の上に行こうとするので止め、いつも通り堰堤の下を渡る。
深沢の堰堤 |
渡った先で薮装装着。出発時に済ませていた方が良かったかも。永田が夏合宿からコンパスを忘れたままなのに気付いたので、sLの古い方のコンパスを貸す。そのために非常用パックを出したりして幾分時間がかかる。とりあえず薮風にトップを豆田&永田として出発。
和彦さんから聞いた作業道の入口は堰堤のすぐそばには無く、探すのも面倒だったので本ルート通り真っすぐ尾根にとりつく。かなり急傾斜なわりに薮が薄い脳筋ルートで、永原がちょっと手間取るが無事通過。尾根上は下草の少ない樹林帯で、平和。かなり先まで踏み跡がある。トップもなにも不要だった。950m付近は二重稜線になっていて池がある。岩峰二つは大したことはない。岩峰ではなく「露岩」程度の呼称に改めるべきだと思う。1010m付近でたるむ。合宿でのルーティーンとして秤でザックを測る。驚きの18キロしか無かった。
夏合宿参加者の今日一日の統一見解として、ザックが小さい&軽すぎ、ピッチがめちゃくちゃ短く感じる。薮2ピッチ目は初めて永原トップで進む。ちょっと薮が生えるようになってきて、永原のスピードが少し遅くなる。まあ1年の薮漕ぎとしては平均程度か。
1240mからはRFに備えて3人トップで本隊2人(!)というキモい陣形で進む。しばらく前から腰丈程度のササが増えていて、尾根が不明瞭になった先からは背丈のササになる。平坦でさほど濃くもなく、まあ楽。左豆田・中永原・右永田で散開し、幻沢を探す。豆田が左に登りすぎて少し不安になるがまあ問題ないだろう。しばらく進むが、永原がうまく進めず本隊で回収した。本隊はしばらく進んで沢状地形を見つけ、その後それを辿る。しばらく後で豆田が前方に下りてきて合流する。角度も概ね正しく、これが幻沢とみて間違いないだろう。永田はしばらく右を進んでいたが、幻沢確定とみて合流し、その後たるみ。
永原1人トップで出発するが、沢状地形が目立たず、手こずる。後ろから助言しつつ、一番はっきりしていそうなところを辿って進むが、そのうちだんだん不明瞭になり、消えてしまった。角度的にみて左の間違い沢に入ってしまったとみて、右側へ移動することにする。右の尾根地形に乗ると、樹林越しに奥に緑の森が見える。おそらく1430の張り出しとみて、その手前のくぼみ=幻沢に下る。案の定、底に岩の露出した明瞭な沢が現れ、これであっていると一息つく。
1450より少し上くらいでたるみ。たるみ時に雪渓が無く水が出ないかもという話が出てちょっと焦る。そういえば浄水器をもって来るのを完全に忘れていた。
トップ豆田でひたすら上へ辿る。この季節なのにアジサイが咲いている。滑ってちょっと面倒な岩場越えがいくつかある。思ったより晴れていて、ところどころ木の途切れたところから下界が見える。季節外れ?のアジサイ |
ところどころ下界が見える |
しばらくして水がでてきて安心する。水がドバドバでむしろ歩きづらい。少し開けたところで水汲み、満発汲むがまあ合宿に比べれば大した重さではない。少々長引く。たるみにしてしまっても良かったかもしれない。もう少し進み、両側のササが濃くなり水が伏流したあたりで右のササ壁に取り付き、幻湿原へ進む。思いのほか濃く、手間取ってトップと離れたりしたが、結局本体はsLがラッセルして一面の草原、幻湿原に這い出した。
幻湿原は聞きしに勝る気持ちの良い草原で、高曇りの空の下、これから行く稜線も清水の谷も六日町方面も、予想以上の良い景色が楽しめた。幻経験者曰く、6月とはだいぶ景色が違うらしい。
集合写真を撮ったあと長たるみ。今回、当初は台風接近に伴う発雷を警戒し午後の稜線上には上がらず幻湿原でのサイトを計画していたが、たるみしつつ天気予報を見ると発雷確率が十分低かったため、明日の行程を短縮するため1809pでのサイトに変更した。念のためサイト地変更の途中連絡を送る。
トップ永田でササ壁へ突撃、速いトップを抑えつつ、適宜トップ交代しつつ進む。後で見ると露岩方向に進んでいた。岩の手前で永原がササが滑って登れずだいぶ手間取る。手助けのしようもないので、いろいろアドバイスだけしつつ頑張ってもらう。露岩はむしろ滑らなくて楽。尾根に出て一息つくのもつかの間、尾根上はササ薮に灌木がまじり、薮漕ぎ難度が一気に上がる。灌木を左右に巻きつつ、いろいろ頑張ってやっと1809p(の手前の草原)へ上がる。このころから小雨が降り始める。徐々に強まるので、時間は十分あったが柄沢ピストンはやめにした。とりあえず隊をたるませ、sLはサイト適地を物色。今たるんでいる手前の草原も多少傾斜があるがよいところで、ピーク上のササ原も悪くない。だが、永田のアドバイスを頼りに手前の草原から南側の稜線へトラバースしていくと、南のコルが一面草原に覆われた素晴らしいところだったので、そちらでサイトすることにした。コルにある2つの池塘の間がほぼ完璧に水平な平面だったので、そこにテントを張ることにした。(このテントの立地が今夜の苦しみの始まりだった)
少々風が吹き始めた中、ちゃっちゃと設営を済ませてすぐサイトした。夕サイはトマト卵スープ。初めてのメニューだったが、めちゃ美味しいものが出来上がった。トマトと卵って合うんだね。
4時からsL(sW)、豆田、永原(W)で天気図を書く。台風十号と秋雨前線がうろついており少々忙しい。永原の天気図の出来としては、前線のウロコの書き忘れと、地上の気圧に寄せすぎて気団の周囲の等圧線の流れが崩れていた事などから、W取得は見送りになった。その後永田のラーメンなどで宴会。
食事の終わった後は束の間の憩いさ (部歌「夏の山で」より)
6時すぎから就寝の準備を始めたが、このころにはかなり風が強まり、テントを激しく雨粒が叩いていた。テントの出入口の方向を風向と一致させてしまったため、入口の吹き流しがテント内に入り込んできて出入りにも一苦労。外に出ると降水量は大したことはないのだが、今後明日午前中まで雨も風も弱まることはない予報だったので少々憂鬱になる。sLはテント周りを歩いていたところ、草の被さった隠れ池塘に足がはまって両足泥水まみれになる。
7時に就寝するが、sLは8時に顔に水が当たって起きる。永田も動く。8時半ごろから強風でテントの壁がつぶれ、顔に打ちつけてくる。深夜過ぎまで雨と強風は続き、下からの浸水でテントは水溜まりになり、なかなか眠れない一夜だった。
8/30(金) ガス・小雨、強風
5:00 出発
5:03 1809p
5:38 1809p(北)通過
5:51~6:03 1790m(1809p(北)からすぐ)でたるみ
7:02~7:15 米子頭山手前でたるみ
7:29 米子頭通過
8:17~8:30 1710mでたるみ
8:51 1646c通過
9:21~9:34 1720mでたるみ
10:33~10:43 1850mでたるみ
11:10ごろ 1900m付近の草原
11:25 1928p
11:54 木道に出る
11:58 薮抜け
12:04 巻機最高地点
12:11 御機屋
12:28 避難小屋到着 12:43出発
12:49 ニセ巻通過
?~13:49 7合目でたるみ
14:00 6合目通過
14:24 5合目通過
14:58 登山口(750m)
15:17 小屋到着
3時半起床。水溜まりを処理しつつ朝サイ。今回は珍しい永谷園のビーフンで、トロッとしたスープが美味しい。朝サイを早めに食べ終わったので、テント内で少し待ってから強風の中に飛び出し撤収開始。幸い雨は無く、代わりに一面湿った濃いガスに真っ白に包まれていた。
体操豆田、トップ豆田で道同様の1列で出発。結局巻機まで道陣形だった。草原を突っ切って群馬側の踏み跡を見つけ、ほどなく1809pへ。霧雨が尾根を横切る強風で吹き付けてきて寒い。居頭山(2つの1809pの中間のピョコ)は巻こうとしたが、東に延びる間違い尾根を越えた先が急斜面になっていたので、おとなしく頂を通る。居頭山より先は腰丈のササ薮。1809p(北)から先は灌木交じりの肩丈のササ薮になる。コルでたるみ。皆特にさむがる様子もなく安心。
米子の手前のピークからは灌木の濃い薮で、一気にスピードが落ちる。特に永原が苦戦するので、今日はトップに出さず豆田・永田で回すことにした。このあたりから何か所か稜線右側に露岩がある。さほど危険ではないが都度注意して通過。米子まで行きたくて少しロングピッチを切ったが、なかなか進めず灌木の中でたるみ。吹きっ曝しの登山道と違って、たるみ中に風を避けれるのは薮の良いところだ。
米子頭は灌木に覆われ、永田と2人あたりを少し嗅ぎまわるが三角点は見つからなかった。米子までの薮で十分辟易していたのだが、前情報通り米子の先の薮は特濃の灌木薮だった。苦戦しつつどうにか進む。1750のピョコを巻いたあたりから、稜線右側のササをつなぐことができずいぶん楽。1646cは確かに平らでサイト適地だが、ササ原に灌木がまじりちょっと微妙。その先もしばらくササが続くが、1700mあたりから灌木が多くなる。左側にササが続いているように見えてトップの永田に左巻きを支持するが、ササと見えたのはシャクナゲで、灌木につかまり進めなくなる。時間も来ていたので一度たるむ。たるみ後、豆田がみ群馬側に踏み跡が無いか偵察したいと主張したので見に行ってもらう。本隊はとりあえず尾根上をめざした。じきに豆田から報告があり、群馬側は薄いらしい。急いで灌木をかき分けて群馬側に出る。その先は稜線右側に続くササ薮を辿って進む。しばらく進むと稜線右側のガスの中で大型の茶色い猛禽類が強風のなか舞っているのが見えた。
次第に灌木が減り、稜線は腰丈の純ササ薮になる。この辺りにはササ薮の間に微かな踏み跡があり、また附近の灌木にはあまり古くない刈り払い跡が残っており、かろうじて人通りがあることが感じられる。
最後の登りの手前、1850mでたるむ。このころには風もかなり弱まっていた。(というより、風向が東から南よりに変わって、稜線と直行方向成分が弱まって感じた)悪くないペースで来れてる、このぶんなら小屋祭グルに流したとおり11時半ごろに巻機に出れそうだ、と甘い読みをしてひとしきり盛り上がる。実際のところはそう楽にはいかなかった。1900mまでササの斜面を登ったものの、すごく綺麗な湿原を見つけただけで、この先のピョコを巻ける踏み跡はみつからなかった。ヤマレコをゴリゴリ使って探せば道に出れたろうが、諦めて1928pへ直登する。この辺りは高い木の疎らに生えた樹林で、木の下にササと細い灌木の薮が広がる。皆疲れもあり今一つスピードが上がらない。
コルから道を求めて右寄りに進むと、やっと11:54に1930m付近で木道を発見した。道の状態は悪くない。すぐにガスの中に巻機山頂が見えてきた。ガスの中に黒く人影が動くのが見えた。11:57、薮抜け。分岐で待っていてくれたのは大高さんだけだったが、水浸しで南風吹きっ曝しの木道を超えた先の御機屋には2年会が待っていてくれた。記念写真を撮って避難小屋へ下り、OBと一緒に60周年記念の立派な横断幕を掲げてまた写真。集中といっても1隊だけで、さらに山頂に3年が一人も迎えに来てくれなかったのはちょっと悲しかったが、薮抜けの先で人が待っていてくれる、というのはなんとも新鮮な体験で嬉しかった。
下山。限界上は強烈な南風 |
sLは前夜祭の空気に務めをすっかり忘れ、下山連絡がlimit過ぎになってしまった。
◎総評
日程を短縮する破目に陥ったのは非常に残念だったが、台風を避けて実施でき、巻機集中がかろうじて形を保つ事ができたのは良かった。微妙な天気のなかだったが、幻や1809南コルの草原、巻機近くのササ尾根など小屋周辺の美しい薮を満喫出来た。
◎感想
浄水器など装備忘れをしてしまった。準備はもう少し丁寧にしたい。テントを張る場所が明らかに失敗だった。飯豊の件があった後にも関わらず下山連絡を忘れていたのは本当に良くなかった。猛省したい。
薮経験が浅いなりに濃い薮でも意外とそこそこ漕げて、白山・笈に向けて少し自信がついた(→でも結局笈ではめっちゃ苦戦した)
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