夏合宿 朝日連峰

2010年度山行No.18  夏合宿朝日連峰FB                     

面子:3菊池* L鈴木* 長崎* 2F高梨※ WH蓜島※ E松崎* 1松尾
*:藪L権者 ※:道L権者
日程:8/6~8/12
今年の夏合宿は計画段階から迷走を続けていた。
沢藪と道藪の二隊構想は新歓の失敗でとん挫し、沢区間は天候不順と持ち物忘れの凡ミスで不可能に。最終的に前半:朝日(鈴木)、後半:飯豊(菊池)という実質2企画の形式で行うこととなった。この方法は企画者の負担軽減の点では優れているが、接続時のモチベーション維持が難しい。結果として今年の合宿は後半に入山することなく終わってしまった。
未来の企画者はこのあたりのことに留意しつつ計画を立てることを勧める。
8/4(水):先発デポ隊(菊池長崎蓜島)出発 8/5(木)
赤羽=鶴岡=(タクシー)=泡滝ダムバス停
後発隊はいつものように赤羽集合だが、時間どおりに来たのは自分と見送りの大城さん高橋さんのみ。最終的に広瀬さん以外の四年会と三谷さんが見送りに来てくださり、大量の差し入れをいただく。しかしロケット花火by高橋さんは持ち帰ってもらった。ちなみに広瀬さんはtwitterのアドレスを差し入れてくれた。
一応発車時間前に全員揃って出発。あっという間に(嘘)鶴岡駅に着いた。途中松尾が野菜ラーメン大盛りを食べきれなかったりといろいろあったが割愛。
先発隊と合流してジャンタクに乗り込み、泡滝ダムバス停へ向かっているところで自分の大缶がないことが発覚。自分は菊池にリーチを頼んでいて、エキチェ時には混乱防止のため現地で渡すものの所在も確認するよう言い含めていたのだが・・・。苦し紛れに茶飯を冷やで飲むことにして、緊急連絡先の高橋さんにその旨を伝える。駐車スペースのようなところで長崎の杏仁豆腐(差し入れだが破裂していた)を頂いて就寝。

8/6(金)快晴→夕立→晴れ
泡滝ダム4:50~5:25取り付き~たるみ×2~7:42稜線7:52~8:15p983~たるみ1回~9:371120ベロ9:47~10:501200ベロ▲1
日の出とともに泡滝ダムを出発と思ったら、長崎が赤布をタクシーに忘れたという。150必要なところに100枚しかないので、今日のサイト時に50枚を縦に半分に裂くことにする。
取り付きはイモかった。コンクリ橋のかかった沢の手前(バス停寄り)の沢筋をたどるのが正解。自分がボールペンを落としたり長崎がキジをうったりしているとあっけなく合宿1p目が終了。しばらくは沢筋のゴーロ歩きだが、先頭の蓜島がためらった小滝の手前あたりで左岸180°尾根に乗り、腕力登攀でガシガシと高度を稼ぐ。主稜線に乗ったところからが藪入りだが大して濃くない。トップ二人、本体誘導3年の布陣で進む。P983先のタルミ適地は1張り可能で展望よい。松尾が藪メガネを置き忘れて取りに行った。このさきは傾斜と濃さが負の相関にあるという情報通りだった。ベロの通過に割と時間がかかる。1200ベロ周辺には刈り払えばサイトできる程度の平坦地が散在している。というわけで刈り払いを行ったが、鉈が弱すぎる。今後は鋸×2で良いと思う。

水汲みは自分以外全員が行ってくれた。北側20/20。はじめは水量が少なかったらしい。
外サイトをしていたら夕立に見舞われる。雨がやんだと思ったら茶畑方面に2重の虹がかかっていた。こんにゃくゼリーby蓜島と杏仁豆腐を食して就寝。

8/7(土)くもり→晴れ→ガス
4:40▲1~(たるみ4回)~9:05茶畑山9:25~(たるみ1回)~11:00三つ池~11:20二つ目の池11:35~(たるみ1回)~13:05Max1通過~(たるみ1回)~14:30大池▲2
34半だが少し出遅れる。灌木+笹で藪慣れていればさほど濃く感じないが、それなりに時間がかかる。Co1300あたりから藪が肩程度になり、これから目指す稜線が見える。ガスっていて戸立は見えなかったが、ちょうどよかったので地図読みを確認。正答率はイマイチ。

茶畑手前の二重稜線ではトップが散開せず、薄いという情報の北側稜線にだれも乗ろうとしない。蓜島曰く「見た感じどっちも同じくらいかなーと思ったんですけど」見た目で分かったらトップいらんだろう。またトップは地図読みもあやふや。ただ、ここでのイモリはトップ二人体制を続けていたせいもあるだろう。
茶畑ピークまでの目標タイムは4pであったが、この怠慢が響いたのかこの時点で4p経過。あまり読みを超えるとMaxが12pを超えてしまうので撤退が濃厚となるが、トップのリベンジに期待して「ここ(4回めのたるみ地。2重稜線を超えたあたり)から茶畑まで15分で到着しなければ敗退」という新たなリミットを設け、出発。とりあえず敗退でもピークは踏んでおこうと思った。
地図上の距離的にはかなり絶望的なリミット設定であったが、高梨がなんとリミット30秒前に茶畑山に到着。一気にテンションが上がった。茶畑の三角点付近は礫地でサイト可。
高梨がボッカしていたドライマンゴー(塚田さん差し入れ)を一部開け、記念撮影して出発。ここから先も基本的にMax12pとの戦いとなり、予断は許さない。蓜島の提案(というか指摘)で、最善策としてトップを2年3人に固定する。
主稜線は確かにここまでよりワンランク濃い感じ。二股ピョコ越えは手前の沢筋が交錯していて多少の議論が発生したものの、薄いところを選びつつきっちりと鞍部を目指して難なく通過。さらに雪渓と溝状地形を進んで三つ池に到着。一つ目の池は西の尾根を進んで越え、二つ目の池に降り立ってタルミ(ここで松崎の足の爪がふやけて剥がれたが、行動に支障はなかった)。さらにそこからも薄い沢状をうまくたどり、茶畑以降は読みを上回るペースでMax越え。
あっさりと書いたがこのあたりは2年と長崎菊池の的確な連携で、かなりスムーズに進んでくれたと思う。
大池までは稜線を忠実にたどり、二重稜線を右に乗り越えてあっさりと到着。この少し手前で蓜島が右下の草原から大池を目指すルートの開拓に行ったが、結果的に本隊と結構離れたので3年を一人つけるべきであった。

大池南岸の草原は少し傾斜があるものの素晴らしいサイト場であった。水は虫が大量に死んでいて臭かったが。水汲みであるが、浄水器フィルターとプラティパは一応併用できるものの、本来の容器より使いにくかった(絞るには大きすぎ、接続部から多少の水漏れもあった)。今後は容器もきちんと純正のものを用意することを勧める。
サイトはスープ春雨。大城さん差し入れの黒酢にんにくを開け、松尾の不完全な天図を批評しつつ適当に就寝。長崎オカン。

8/8(日)朝ガス→快晴→にわか雨
4:45▲2~(たるみ2回)~7:55(トップ)8:25(本隊)戸立山9:00~9:54p154810:04~(たるみ1回)~11:47藪抜け11:55水場雪渓▲3
34半だったが大キジに行った松崎のパッキングが遅く、出遅れ。サイト場から主稜線への復帰は二重稜線の間の笹壁をラッセル陣形で直登15分。松尾はやはりまだ慣れないのか遅れがち。上部は灌木主体であまり意味はなかったが。
稜線に上がると周囲は朝焼けに彩られた山々である。月山、障子岳への稜線、化穴山、そして眼前にそびえる戸立山。これだよ。この景色こそが藪の醍醐味。
稜線は所々顔が出るが濃い灌木。東斜面にある露岩は沢Nくらいなら登れそう。ピークへの最後のピッチは腕力登攀の急斜面が続き、トップは遅れる松尾をかなり引き離して山頂に到着。松尾はかなり消耗したようだ。声が届かなくなる前に上級生が止めるべきであった。「干からびるかと思った」by松尾。ここで松崎のマップケースが藪に持って行かれたことが発覚。昨日からガムテの固定が甘いことに気づいていたのに手を打たなかった本人の過失。厳重注意。
ここで松尾のプラティパが(昨日の水汲みが原因で)水漏れを起こし、水が一発失われたことが判明。ここまで消費量が割と少なく水に余裕があったのでとくに縛ったりはしなかった。ただ原因を探っている間かなり松尾に対してきつく当たってしまい、反省。
差し入れのフルーツ缶、ドライフルーツを開け、出発。ここから藪は限界上となり、基本的に膝下の笹、ハイマツで薄い。P1548先の池塘は情報通り左から巻くが、この次の2重稜線乗り換えで蓜島と松崎が怒鳴りあっていた。二人とももっと自分自身が前に出る気持ちを持ったほうがいい。あと植生を観察して笹藪を縫って行くテクニックも重要。結局ここは自分が稜線左側の笹藪をトラバースして本隊はそこから稜線に戻す。このあと稜線左の草原でたるむまでLはひたすらトラバースを続け、暴走していた。反省。
このあとは何事もなく藪抜け。短い藪区間だったが、皆かなりの達成感を感じているようだ。自分も満足。

このあと雪渓のある水場におりてたるんだが、ここの草原があまりに気持ちいいので、今日はここでサイトすることに決定。皆思い思いに過ごす。
途中夕立に見舞われて大騒ぎになるものの、サイトでは高梨の差し入れである白玉小豆(1kg!!)が振る舞われたり菊池のみそかつおニンニクをいただいたりして、至福の時を過ごす。夕方、高橋さんの差し入れの花火をやってみたが思った以上に儚く、これならロケット花火も持ってくればよかったと一同落胆したのであった(高橋さんごめんなさい)。
長崎をはじめ多数がオカン。自分はこの夜は腹を下してあまり眠れなかった。夜小雨。

8/9(月)晴れ・曇り
12:00▲3~12:50オツボ峰先1680コル13:50~13:33以東岳13:50~14:40中先峰手前14:50~15:30?狐穴小屋▲4
34半の予定だが、朝から引き続き自分の体調が悪い。食欲まったくなし、37.5℃の熱、下痢。とりあえず行動できないので、各小屋への出発リミットを切りつつ出発を無期限延期とする。この日の朝食が白毛門、新人合宿で自分が体調を崩した時と同じトマトスープパスタだったのは何の因果でありましょうか。
11:30ごろ、なんとか体調が回復してきたので、狐穴小屋に向かう方針で出発。Lポリは長崎に持ってもらう。松尾トップ。なんとかついていけるが、せっかくの景色を楽しむ余裕もない。一度松尾に地図読みを聞いたが、自分が間違っていた。
以東岳について背後の藪稜線とともに記念撮影。ここでさきほどすれ違ったおじさんがなぜか登り返してきて、シャッターを押してくれた。以東小屋の人だろうか。
以東岳を離れる。ついに今回の藪稜線ともお別れである。何事も無く狐穴小屋に到着。
小屋が空いているのでテント泊は不可、ひとり1500円での素泊まりとなった。
小屋の管理人氏はたいへん親切で、自分が腹を押さえているのを心配したり、全員がまとまって寝られるよう計らってくれたりした。この日のサイトはシーフードシチュー。高梨の盛大な差し入れもあったが、さすがに合宿中に酒は自重してほしかった。
さて、明日の行動であるが、天図によると台風が発生・接近しつつある。自分の体調が良ければ大朝日を打って下山、自分の体調が悪い場合、台風接近が早ければERで竜門山から下山、遅ければ大朝日小屋でサイトという方針にした。

夕日が美しい。
就寝後、管理人氏と何名かは朝日連峰の環境について語り合ったりしていた。
なんと長崎・松尾はこの日もオカン。もはやあきれて何も言えない。

8/10(火)快晴
5:00▲4~5:10三方境(松崎コンパス忘れ?のため小屋に戻る)5:23~5:52寒江山6:02~6:51竜門小屋7:05~7:15竜門山~8:01西朝日岳8:15~9:05金玉水9:30~9:40大朝日小屋9:45~9:54大朝日岳10:25~10:33大朝日小屋10:54~(たるみ2回)~13:06ハナヌキ峰分岐~(たるみ1回)~14:34林道~14:50日暮沢小屋▲5
3半4半。自分の体調はほぼ回復したようなので大朝日を打ってその日のうちに下山とする。しかしオカン愛好者達の撤収が遅い。だいぶ出遅れて5:00出発。
高速化のため、水は各所で補給することにして最低限しか汲まない。
今日もトップは松尾。三方境で松崎が小屋にコンパスを忘れたと言い、小屋に戻ったが管理人氏の指摘でポケットに入っているのを発見。徒労感にまみれて戻ってきた。
このあとはひたすら雄大な景色のなかを稜線歩き。この辺の充実感はやっぱり行ったものにしかわからない。
竜門小屋、金玉水でそれぞれ水汲み。松尾の地図読みはまだまだイモく、金玉水分岐で「分岐です」としか言わない。大朝日小屋に荷物を置いて山頂へ空身ピストン。ガスで景色が悪いのは残念だが、さすがに合宿前半の最高峰だけあって感慨深いものがある。ここで伊佐さん差し入れのマンゴープリンを開ける。ボッカした2年の苦労に見合う美味であった。
大朝日小屋に戻り、松尾の携帯(ドコモ)が通じるとのことなので途中連絡、twitterへの投稿と明日のタクシーの予約をして下山開始。

小朝日岳は思った以上に立派だが、皆疲れているので巻き道をとった。ここで当初の予定にあった入りソウカ沢を一部見渡せたが、かなり下のほうまで雪渓に覆われていた。結果論だがもし沢区間を決行していたら台風と雪渓で何もできなかったことだろう。
うだるような暑さの中、急斜面をひたすら下っていく。「ここが一番しんどかった」という声も多く聞こえた。
そんな感じでデポ地の日暮沢小屋に到着。三階建ての立派な小屋である。50mほど離れた日暮沢で体を洗い(ちなみにメジロアブは結構いた)、高梨の渾身の中華料理一式を満腹になるまで味わう。ちなみにデポ品は常軌を逸した量の缶詰by三谷さんではじめは皆狂喜していたが、サイトだけで十分満足してしまったので皆お腹がポニョ状態になり、もてあまし気味だった。
ちなみにサイト中はみなパンツ一丁なのに加え、広げた荷物が恐ろしく臭かったので、誰かきたらどうしようかと皆ビクビクしていたが、幸いなことにほかの訪問者はなかった。

8/11(水)停滞・移動日
▲5=(タクシー)=左沢駅(⇔温泉)=寒河江駅周辺で買い出し=柴橋駅▲6
適当に起きてサイトし、朝9時に呼んでおいたタクシーで寒河江駅に移動したあと、運ちゃんの厚意でそのまま温泉に移動。このあたりで下山連絡をいれ、指揮権を菊池に移動。
が。適当に寛いだあとにみたテレビの天気予報で、台風が東北に上陸しそうであることが判明。しかも予報円は13日あたりまで日本上空にある。
後半戦の計画書に(朝日の行程の遅れを想定した)入山用予備日をつけ忘れていたため、この時点で後半戦の完遂が絶望的となる(※)。また昨日の行動で皆思った以上に疲れてしまった(ようするに合宿で一日8p越えが続くのはかなりしんどい)こと等を考えて、今後の方針としては8/12に天気予報を確認、問題がなければER1入山で縦走するという方針に決定。今日明日は終日停滞。左沢駅にバスで移動、長い電車待ちののちに寒河江駅に移動し、今日の夕飯を購入して左沢駅手前の無人駅に移動、海鮮キムチ鍋による盛大な宴会を行った。結構遅くまである電車の車掌さんに乗り遅れを心配されたりしつつもしぶとく深夜3時まで(さりげなく梅酒が登場したりしつつ)語り明かした。
思えばこの時すでに皆は合宿の終わりを感じていたのだろう。

8/12(木)合宿のおわり
▲6=山形駅~山形城跡(天突き)~山形駅=東京
始発列車で山形に移動し、昼の天気予報、天気図更新まで自由行動とする。
山形城跡の石垣で「勇者の壁ごっこ」をしたり、高架下の公園で鉄棒で遊んだりしていた。

昼。台風は明日になれば日本を抜けるものの、その後の天気予報は前日雨。低下しつつあった皆のモチベーション、基本的に限界上行動で雨続きが予想されることによる体力面、安全面の条件の悪さを考慮し、後半戦は入山せずに合宿を終えることとなった。

山形城跡で天突き。高校の体育祭以来久しぶりに叫びまくったら、なんだかすっきりした。言いたいことは半分も言えなかったが。
皆、前半戦だけでもかなり充実してくれており、そのことが救いだった。
この後は焼き肉屋のカルビ食べ放題で再びお腹がポニョになるまで食いまくり、帰京。
おしまい

まとめ
今回の藪稜線はTWVでは97年以来のトレースとなるが、前評判ほど濃くは感じなかった。
藪慣れしていない一年生、トップを任される2年生にとっては相応にハードなルートであることは間違いなく、(下級生を鍛え、ある程度の水準の経験を一様に積ませるための)合宿ルートとしては非常に有用。

※下界での停滞、入山中止の判断についての詳細、補足
ルートの満足度と行程の長さを天秤にかけると浮上したのがER3入山→本ルート下山という行程(3泊4日は変わらないが本ルートより楽)。他の選択肢(ER下山、ER4入山)は行程の厳しさがリターンに見合わないと判断され、却下された。
飯豊区間の本審用紙によると、8/16行動用予備日、8/17下山用予備日。予定では3泊の行程で、一日は予備日を確保しておきたかったので8/13入山が最終ライン。
8/11の時点で12or13に台風が東北直撃することが確定していたので12入山は消え、13
入山に賭けることとなった。
8/12昼の更新時、正確に覚えていないが山形の予報が15日まですべて雨マークを含む予報。限界上行動であること、隊のモチベーションなどを考慮して入山を中止した。
この判断に関しては、安全性を重視すればある意味当然であると考える。しかし、入山用予備日のつけ忘れは明らかに審議会全体の過失であり、これによって行動の選択肢がかなり削られてしまったのは間違いない。また、下界での停滞自体が隊のモチベーションを場合により著しく損なうものであること、その影響を企画者が軽視していたことも反省すべき点である。
細かい点だが、冷たい茶飯は苦し紛れであったものの、コッヘルを洗える状況であればわりとお勧めである。

いつか飯豊に皆で行こう!!

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