袖沢林道の偵察

 今回は今後のワンゲルの活動範囲を広げるために、袖沢林道の開拓を行った。目指すは丸山岳方面へと向かう尾根である。しかしながら、結論としては沢の水量が想定・事前情報よりも多く、袖沢を挟んで北にある尾根に乗ることは叶わなかった。
記:梅宮
水量が多い袖沢と雪が多い袖沢林道(北沢出合付近)

メンバー:3年 sL梅宮、sW島田、高橋、CL中津、西山
     2年 E勝木、FW木村、H佐久間、曾根田、W幕内、豊島
     (ワンゲルでは行ったことがない場所なので1年は連れて行かなかった)

以下行動のフィードバック



6/9()晴れ時々雨
東京=(車)=(奥只見湖シルバーライン)=奥只見湖駐車場
 金曜の11:00頃、sLが授業を受けていると、中津からLINE電話が届く、その時は出れなかったが、これはただ事ではないと思い、すぐにかけなおす。中津によると、アプローチの道が冬季閉鎖で使えないとの連絡が、計画書を提出していた警察から運動会経由で中津の元に来たらしい。アプローチの道の状態をグーグルマップの検索で行けたからokとしていたsLは焦った。次からは山周辺の道は特に道路管理者のHPで調べるなどしたい。仕方がないので、中津と「巻機小屋にでも行く?」などと代替案を話し合っておく。ちなみに、この時の会話で中津から「夏合宿の南会津は諦めたから、最悪、いけなくても大丈夫。」と言われた。電話を切った後、sLが念のため調べなおすと、「あれ?いけるじゃん」。確かに、通行止めになっている道は近くにあったが、今回は使わない道であった。一安心。予定通り出発することにした。アプローチは金曜なので、授業終わりが早い組と遅い組で分かれて行く。早い組は16:45に本郷を西山車で出発。遅い組は18:15に部室集合でレンタカー、としていたが、レンタカーを借りるのが遅くなってしまい、実際に本郷を出れたのは19時過ぎになってしまった。西山車に乗る予定だった木村は集合場所を駒場だと間違えて、遅い組がカバーした。駒場には、予定の一時間遅れで20時着。いざ出陣である。西山車が通過したときはゲリラ豪雨が襲ってきたらしいが、レンタカーは少し雨に降られただけだった。さすが西山。最後の奥只見シルバーラインは運転していて楽しい。まるで某テーマパークのセンター○オブ○ジ○アースのような道であった。対向車もいないので、快適な洞窟探検(適当)。西山車は22:30頃到着。レンタカーは23:45頃到着した。中津から偵察はあまり奥までできなくてもいいといわれていたこともあったので6時頃出発予定にして就寝。

6/10()晴れのち雨
奥只見湖駐車場6:15-6:18ゲート-6:50袖沢林道入口-7:08たるみ7:19-7:30南沢出合-7:45第一渡渉点7:50-8:10北沢出合(撤退)8:20-8:30たるみ8:42-9:11南沢出合-9:15南沢沿いのテン場9:40-たるみ2回(時間不明)-11:30 870m付近で撤退-11:40たるみ11:50-12:40 760p前の岩場-12:48たるみ12:55-13:50テン場(方針会議→帰る)14:00-14:40林道入口-15:15ゲート-帰る

①袖沢林道編
朝は睡眠も十分とれた(?)ので、だらだらすることもなく6時ちょうどくらいに体操。袖沢林道までの道はダムを管理している電力会社が設けたゲートを頑張って越えなくてはならないが、ネットの記録では藪を漕いでゲートを回避したという記録もあったので、トップの勝木にどうするか決めてもらう。藪のほうは踏み跡が崖のほうに続いているように見えたのでそのままゲート正面から行くことになった。ゲートは2mくらいあるが、真ん中に横に棒が入っているので、そこに足をかければ難なく越えられる。ゲートを越えると舗装路が続く。長くゆっくりと下る道で、帰りが思いやられる。
只見川を越える橋まで来ると、その先で雪が道を覆っていた。斜面から雪崩れた雪が積もるように斜めに積もっているので、上を行くのは高度感もあり、落ちると川にサヨナラなので怖い。怖いところは沢の河原まで下りて迂回した。雪はザクザクなので軽アイゼンは使わなかった。三か所ほど雪を攻略すると、袖沢林道へ続くトンネルが現れる。ここでもソフトバンク、auの電波が入った(docomoは試していない)。
トンネルを通過すると立派な袖沢とそのわきを通る、林道という名に恥じない道が現れる。ただ、この道もところどころ雪が斜めに雪崩れるようにたまっていて、沢近くの道の端を通らなければ通過できなかったり、雪をトラバースしなければいけなかったりして、決して難易度は低くない。常に中津をトップ補佐にして進んだ。
気は抜けないものの、南沢出合には特に大きな問題もなくついた。南沢にはしっかりしたコンクリート製の橋がかかっていて、通過には何の問題もない。南沢沿いを通る道もしっかりしている。そこから進むこと数十分、第一渡渉点につく。目の前の沢を詰めると袖沢乗越へとつながる。「あの、白く泡立っているところワンチャン渡渉できませんかね?笑」と冗談が出るくらいに水量は多い。中津が諦めたくなさそうに近くまで降りて見に行くが、流れが穏やかなところはなさそうだ。沢メンツでそれなりの経験(養成受け始めた人くらい)がある集団なら行けそうなポイントはあったが、今回のメンバーでは行きたくない。仕方なくそのまま先へ進むことにした。
道中、太陽が山陰に隠れるところには雪が多く残っている。北沢の近くまで来ても渡渉点はなさそうである。さらに、北沢近くのトラバース点(予備地図に危険マークをつけたところ)は雪が大量に残っており、中津を偵察に出すと、沢のところまで降りて河原を行かなければ通れないとのこと。この後増水するかも知れないことを考慮すると、最悪の場合この地点が通過できなくて帰れなくなるかもしれない。加えて、沢がかなり上までいかないと渡渉できなさそうということで、ここで撤退を決める。袖沢林道の探索はこれでおしまいなので、引き返して、南沢沿いの林道から、白戸山を行けるところまで行くことにした。本ザックで行って、白戸山下のベロっぽいところでサイトすることも案として出たが、水が足りなくなるのでサブ装でリミットを切って進むことにする。

②白戸山尾根編
 トレも兼ねて明日もう一回白戸山を目指すのもありだと考えていたので、今日は偵察メインで、明日スムーズに行けるようにするため赤布ベタ打ちで行くことにする。尾根南側から取り付いて尾根上を行く。トップと中継は初藪の木村、豊島を除く二年会4人で回す、本体誘導は島田にお願いする。中津と西山は前の二年会の補佐。ただ、尾根が細く、ほとんど散開できない。RFも何もないのでひたすら進む。踏み跡?のような通りやすいところがなんとなく尾根上にあるので、そこを行く。
 それにしてもそもそもそれなりに藪が濃い(特に最初のほう)のに加えて、sLが赤布打っていて遅れたり、高橋が疲れてペースが落ちたりと、思うように進まない。さらに、割と岩が露出している箇所が点在していて、そこも時間がかかる。途中の岩場で、高橋が「雨が降ったら、帰りで通れる自信ないわ」と言い始めるが、泣きごとのように聞こえたので無視して進む。760p下の岩場が一番岩々していたが、ホールド・スタンスがしっかりしていて問題はない。そのまま進む。途中で曇ったり晴れたりと安定しない空模様になってくる。
 天気も心配しつつ進んでいると、870m前でトップが「もろい岩場が出ていて、本体を通らせるのが怖い」と言ってきた。トップがでかい落石もしてしまったらしい。この下は袖沢林道が通っているので落石は絶対にしてはならない。声で聴いていてもらちが明かないので、sL自ら見に行く。sLの感想としては、「怖さはあるが、気を付ければ通れるようなところ」という感じである。しかし、①:今回はもともとピストンの予定で、帰りもここを通らなくてはならないこと、②:天気が悪くなりつつあり、高橋が言っていた岩場でのスリップのリスクがあること、の2点を考慮してここで撤退することにした。
帰りの途中、風と雨が激しくなってくる。sLは「自分の山行は晴れる」という自負があったので、この雨を西山の雨男ぶりに競り負けたということにした。冗談はさておき、やせ尾根で気の抜けない下山ではあるので、「焦らず、早く」をモットーに降りる。途中で雷も鳴って焦る。雷のリスクについて考えていると、島田が「側撃雷ならあるんじゃね?」と言ってくる。やめてくれよ。下山中、落石も何度か起きる。よく見ると、下のほうでは自然?落石のようなものが発生していて、複数の拳くらいの石が袖沢林道方向に落ちていった。やはり、あまり開拓されていない場所は様々なリスクが起きやすくなっているのだと実感した。760p下で曽根田がRFミスをしたが、自分で?気づいて修正していたのでまあ許そう。この時、下山に焦っていて方針会議を直前のたるみでしていなかったので、少し前に通った道とはいえ、怠ってはならないと実感した。
そんなこんなで、無事テン場に戻る。雨で隊全体のテンションが下がっていたこと、そのときは増水していなかった袖沢が、いつ今の雨で増水するかわからないこと(最悪の場合、日曜中に下山できない)などを鑑みて、再入山するかは戻ってから決めるとして、このまま駐車場に戻ることにする。袖沢林道は雨によってたまった雪の下から水が滝のように出ていて、行きで来たようには通れなくなっている箇所があった。一か所では、仕方なく、沢まで降りて下から巻くことにした。しかしながら、この沢に降りるポイントで、木村が2mくらい意図せず落ちてしまった。本人は起き上がり、手を擦りむいた程度と言っていたが、要様子見として、林道に上がれるポイントを探す。木村以外は無事沢まで降りる。ただ、よくよく思い出すと、ここではあくまで西山だけを偵察のために、沢に降ろしていただけだった気がするのに、なぜ全員が降りているのか。前のほうで勝手に判断して降り始めたのも問題だし、西山が偵察で降りる旨を伝えなかったsLも問題である。理想論かもしれないが、こういう焦りがちな時ほど、冷静な対処が必要だと実感した。上がるポイントも柔らかい土でスリップが怖かったが、無事通過。支点はなかったが、人やザックをバックアップにしてロープを出してもよかったかもしれない。この後は、行きに来たように無事只見川の橋まで戻る。ほっと一安心。このあと、ゲート近くで駐車場までいける藪ルートがないか探してみると、見つかった。まあゲートも問題なく通れるしどっちでもいいよ。車に戻って、明日はこれ以上状況が好転すると思えないので再入山はなしとする。下山。 


まとめ
 ほぼ情報がない状態での山行は探検のようで楽しかったが、山における様々な潜在的な危険を認識するいい機会ともなった。今回はいろいろと苦労したが、今後もこのような初トレース藪企画が出ることを期待する。袖沢林道はもう少し雪が減ったら再挑戦したい。判断についても、いまだに答えが出ない場面が多くあった。

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