2016年9月20日火曜日

藪 笈ヶ岳(敗退)


白山北方の笈ヶ岳を藪を漕いで縦走するという意欲的な企画でしたが、悪天のため敗退しました。またいつか登ってみたい。
大笠山より望む笈ヶ岳




参加者 3*鈴木、L*村田、2FH*久保、1EW佐久間
アプローチは車



9/15(木)本郷=白川郷=ブナオ峠

12:30に本郷に集合した。運転手を適宜交代しながら、松本・上高地経由で白川郷を目指す。途中高山のショッピングセンターでF共装のネギと油揚げを買い、センター内にあった食堂で夕飯を済ませた。高山からさらに1時間ほど車を走らせブナオ峠へ続く林道の入り口にたどり着いた。この富山県道54号線は、舗装こそされているもののすれ違い不可能なほど道幅が狭いうえ、道の真ん中に沢が流れたりしていた。ブナオ峠は広場になっている。峠の向こう側にも道は続いているが、何年か前に崩れて通行止めになったらしく、通行止めの看板の向こう側は草が生い茂っていて歩くのも難しそうだ。村田と鈴木は車内で、久保と佐久間は外で寝た。
ブナオ峠



9/16(金)ブナオ峠~奈良岳~大笠山~旧避難小屋水場⛺1 天気☁

(ブナオ峠)5:36~6:24(たるみ)6:34~6:53(大門山分岐)~7:02(大門山)7:08~7:16(大門山分岐)7:18~7:40(赤摩木古山)7:44~8:16(たるみ)8:26~9:13(見越山)9:28~10:05(奈良岳)10:30~10:40(たるみ・荷抜き)10:51~11:22(1591m)~11:33(たるみ)11:55~12:44(たるみ)12:59~13:33(大笠山)14:17~(20分寄り道)~15:09(旧避難小屋水場)

久保が南ア合宿で考案した、腕を曲げ伸ばしする奇妙な体操で1日が始まった。佐久間「こんな体操絶対なかったですって!」ブナオ峠からブナの林の中ゆるやかな登りが続く。あまり人が多い山域ではないと思うが、道はしっかりしている。分岐からは空身で大門山ピストン。山頂はあまり展望がよくないが、これから歩く南の稜線はよく見えた。見越山、奈良岳の奥に、大笠山がどっしりと構えている。結構遠いな…。奈良岳までは道もしっかりしていて展望もよく、快適な稜線歩きが楽しめた。他の山域とは異なる山容で道区間なのに人も全くおらず、久保は今までワンゲルで歩いた道区間で一番良いと言っていた。Lもそう感じた。何より人がいなくて静かなのが良い。

赤摩木古山にて

見越山のたるみで佐久間が疲れた様子を見せていたので、たるみを長めに取った。靴擦れもしている。奈良岳まではとりあえず様子を見るがかなり消耗しているようで、後ろから見ていてふらついていたので奈良岳の先で荷物を抜いた。この時気づいたが、佐久間は下界装をボッカしているらしい。車で来たんだから置いてこい。奈良岳から大笠山まではこれまでと比べると少し歩きにくいが、きちんと刈り払いされておりとくに注意する箇所はない。が、佐久間は荷物を抜いたのにまだ足元がおぼつかない。初めのゆるい道区間でこれだけ疲れていて、笈の濃い藪の急登に連れていくのは無理だと感じたので、今日は藪入りせずER0の水場でサイトし、明日全員で末端まで下りて佐久間を分離することにした。方針が決まってからは時間にゆとりができたので、のんびり進んだ。大笠山の山頂で明日の藪の様子見を兼ねて藪入り予定地点から数メートル藪を漕いだが、藪入り直後から密度の高い藪ですぐに参って引き返してきた。笈ヶ岳方向への藪入り地点にはピンクテープがあるが、そのテープは茂った藪に埋もれてしまっていて分かりにくい。山頂からすぐのところには新築の大笠山避難小屋があって、中をのぞいたがかなりきれいで快適そうな避難小屋だった。小屋内にノートがあってパラパラめくっていると、去年の秋にグレートトラバースで大笠山から笈ヶ岳まで行った田中陽希さんが書き記したコメントがあった。山頂から30分ほど下って、旧避難小屋跡の水場に到着する。ホースがあって水がぽたぽた出ているが、1発汲むのに10分弱かかった。水を引いているもとの沢までは200mほどで、そこまで踏みあとがある。汲みに行った鈴木曰く、そこまで行けば水量は豊富らしい。避難小屋跡の横の平らな場所にテントを張った。夕飯はカレー。明日汲まなくていいように夜のうちに全部水を汲んでおいた。


9/17(土)⛺1~桂橋~大笠山~1560鞍部⛺2 天気☁のち☂

(旧避難小屋水場)5:28~6:19(前笈ヶ岳)6:32~7:23(たるみ)7:34~8:17(桂橋)9:07~9:57(たるみ)10:09~10:59(たるみ)11:11~11:22(前笈ヶ岳)~12:17(旧避難小屋水場)13:04~13:44(大笠山)14:02~(たるみ1回)~(50分ほどイモ)~17:30(1560鞍部)

今日は、これから末端まで1000m下ってまた戻り、さらに藪入りするというきつい行程である。Sub装を作って、デポ品はビニール袋に入れて小屋跡の脇に置いておいた。前笈ヶ岳の三角点は登山道上にはなく、分岐して15秒くらい歩いたところにある。前笈ヶ岳とはいうもののピークらしさは全くない。手前にあったアカモノの頂上というピークのほうが展望はいい。

アカモノの頂上付近より 右より宝剣岳、錫杖岳、鋭鋒の笈ヶ岳

そこからはひたすら単調で急な下りが続いた。最後に鉄製の丈夫な梯子を下り、これまた丈夫なつり橋を渡ると桂橋についた。天気予報を確認するとかなり悪化していたので、三方岩までの本ルート完遂はあきらめて18日は停滞することにした。佐久間と数日後会う約束をしたあと、今下ってきた道をまた1000m登り返す。風もない急登で汗がとめどなく流れて、たるみの度に全員シャツとズボンを脱いで体を冷やしながら登った。今朝出発したところまで戻るが、これから藪中で水が得られなかった場合に戻れるだけの余分と、停滞日の分の水を持って本ザックでまだ大笠山まで登らなければならないので、気が重い。おまけにパッキングしていると土砂降りの雨が降ってきてかなりつらい気持ちになった。この時降り始めた雨は結局この後3日間やむことなく降り続けることになる。大笠山までの登りは、雨が強いうえにsub装から本ザックにかわって、佐久間の共装も分担して持っているのでなかなか応えた。大笠山で藪装をつけ、山頂のベンチ横からいざ藪入り。藪入り直後からいきなり濃い藪が続く。雨とガスで視界がない。山頂から藪入りした後は少し西に進んでから南に進まなければならないのだが、トップは西に行き過ぎてしまい、途中で引き返した。正解のルートに復帰しようとするものの、途中に藪に埋もれて見えない深い窪があり、それを超えるのにだいぶ時間がかかった。結局正解ルートに戻ったときは出発してから1時間くらいが過ぎていたが、地図で見た限り山頂から100mくらいしか進んでいない。つらい。そこから、ひたすら尾根上の灌木と笹が混じった濃い藪を下っていく。藪の背丈は2~3mで、視界の効きにくいところがある。植生は上越の藪と似ているが、全体的にこっちのほうが灌木の割合が高くて濃いと感じた。また、尾根全体にびっしりと灌木ヤブがついているので、薄いところをつなげていく、といった進み方ができない。
 
ヤブ

尾根左側(東側)に草付きの斜面があって一瞬利用してみたが、雨で滑って歩きにくかったのですぐに尾根上に戻った。1700mの分岐で一回平らになる。そこからしばらく下るとブナ林になっていて、これまでよりは薄くなった。ブナ林を進んで1560鞍部についたのは17:30で、暗くなりかけていた。最後のほうは気合だけでヤブを漕いでいた。長い1日だった。1560鞍部は地面は平らだが、普通にヤブが茂っているので薄いところを選んで張る必要がある。明日の大雨に備えるため狭い藪の中フライをきちんと張る方法を考えたところ、ネマガリを本体とフライの間にねじ込むとネマガリの茎の弾力でフライがかなりきちんと張れるということに気づき、結果完璧な設営ができた。雨が強くテントの出入りが憂鬱なので、荷物は全て中に入れることにした。夕飯は酒粕味噌鍋で、かなりうまかった。


9/18(日)⛺2~終日停滞~⛺3 天気☂

朝、テントを激しく叩く雨音で目が覚めた。藪に囲まれているためテントは風にさらされないが、予報通り風も強いらしく、昨日下ってきたブナ林が轟音をあげている。夜中の雨でテント内に桂湖ができていて、様々な荷物がずぶ濡れになってしまった。朝はゆっくり寝て、9時ごろもそもそと予備食のジフィーズを食べる。これから笈ヶ岳の方へ前進するには今日中に水を汲んでおかなければならないし、戻るための最低限の水しか持ってきていないので今日汲まないと明朝の茶飯が無しになる。が、雨が強く外に出る気になれないので、フライの軒下にコッヘルを置き、折り畳み傘を利用した集水システムを構築して天水を集めた。雨が強いうちはみるみるうちに水が集まったが、1発ほどの水が集まったところで雨が弱くなって集まらなくなってしまった。しょうがないので、テントを出て水汲みに行くことにする。1560鞍部東の沢は1985年に部内の記録が1つあるのみだったので覚悟して出発するが、2分ほど歩くとあっけなく水の流れる沢に出た。さらに2分ほど下ったところで汲みやすくなったので、そこで汲んだ。大雨のせいか茶色く濁っていたので、戻ってからろ過する必要があった。結局水場は鞍部から東に下り4分上り4分だった。雨のおかげで近くで汲めたが、沢は普段から水が流れているような様子で、雨が降っていなくても10分下れば水は出るだろう。テントに戻ったら佐久間の残した予備食を昼飯として食べ、午後はひたすら汲んできた水のろ過作業をした。何もかもが濡れたテント内で黙々とろ過するのはつらかった。夕飯は野菜スープだが、切り干し大根と春雨が水を吸っておひたしのようになっており、きつい飯トレであった。この日、麓の金沢市では最大時間雨量29.5㎜の雨が降ったらしい。雨の藪中テント停滞は精神的につらいし、消耗する。鈴木は夜中チクチク病を発症してつらそうにしていた。久保は水汲みの時から背中が赤く腫れていて、結構痛むらしい。Lも次の日にチクチク病を発症したので、今回は全員皮膚に何らかの異常をきたしたことになる。


9/19(月)⛺3~大笠山~奈良岳~ブナオ峠=白川郷 天気☂

(1560鞍部)6:32~(たるみ1回)~10:00(大笠山)10:20~(たるみ1回)~11:23(1591m)~12:00(奈良岳)12:10~12:35(見越山)~(たるみ1回)~13:52(赤摩木古山)14:02~14:21(大門山分岐)~15:08(ブナオ峠)

この日の予報は昨日よりましだったが、朝起きると昨日と同じくらい強い雨が降っている。大笠山から1560鞍部まで読みから伸びていたこと、雨がかなり強いことなどからこれ以上藪区間の深いところに行くのはやめて、本ルートを引き返すことにした。朝食を食べ終わった後、あまりのつらさに1時間ほどテント内でぼーっとしてしまって、反省。6時半ごろ雨が弱くなってきたので、意を決して出発する。

ブナ林

ブナ林が続いているうちはまだ進めるが、背丈超の灌木になってきてからは下方向に伸びる密度の高い藪で、筋力で強引に体を前に進めていく感じだ。先頭の鈴木がウォッとかウァァなどと形容できない声を出していて、トップのつらさを窺い知れた。全身が濡れていて止まると冷えて消耗するので、結局たるみ1回で藪抜けまでいった。藪の密度が濃いので藪抜けは2mくらい前まで全く分からず、突然目の前に大笠山山頂の人工物が現れたのでびっくりした。藪抜けは解放感よりも、「これで助かった」という気持ちのほうが大きい。この後は、朝の出発時点では桂湖に降りようと考えていたが、タクシー代が浮くのでちょっと遠いが車を置いたブナオ峠まで戻ることにした。道区間の稜線にはところどころ木道が敷かれていて、雨でぬれるととても滑りやすいので上を歩くと危険だ。奈良岳の山頂でたるんでいると突然雨が土砂降りになってきたので、たまらずすぐに出発する。1日目にここを歩いたときはとても楽しかったのだが、視界が全くなく足元が滑るので修行のような雰囲気となり、全く楽しくなかった。ザックは水を吸って重いし、全身濡れて寒いので隊員のテンションは最低だった。普段よくしゃべる久保も、一言も発さない。たるみでは、全員下を向いたままついに誰も一言も発さず10分が過ぎたこともあった。雨のブナ林の中を下っていき、ようやく車の置いてあるブナオ峠に到着。つらい山行だった。久保は今までで最もつらい山行だったと言っていた。そのあと白川郷の南にある平瀬温泉に入りに行き、集落の食事処で夕飯を食べた。明日の昼前に高山で佐久間と落ち合うことになったので、この日は道の駅白川郷で車中泊をした。


9/20(土)白川郷~高山~東京

高山に行く前に、朝一で雨の中白川郷の合掌造りを見て回った。朝なので人が少ない。
白川郷

その後高山駅で佐久間を拾って市内で打ち上げをした。佐久間は我々の下山まで富山の方を放浪していたらしい。東京までは、敗退したのに交通費がかさむのは嫌なので一般道で帰ることにした。途中暴風雨の中美ヶ原を通ったが、何も分からなかった。日が落ちてからは台風16号の猛烈な雨の中車を走らせ、東京に着いたのは10時半ごろだった。


まとめ

残念ながら笈ヶ岳には行けなかったが、ひと昔前のワンゲルのクラシック藪エリアである白山周辺の藪がどういうものなのかを体感することができた。藪は濃いとは思うが、植生は上越と似ているし、やはりワンゲル向けの藪だと感じた。ショウガ山~鳴岩山~白山のあたりや、今回の大門山の北にも過去に我が部が通っているヤブ尾根がいくつもあるので、白山でヤブ合宿を出すのはなかなか面白そうだと思った。今回の大門山~笈ヶ岳~三方岩の稜線はMAXが深く岩場もあり、途中でバテたりトラブルがあったりするとなかなか面倒なので、今後この稜線に行くときは強い面子を集めたり、藪が薄く日照時間も長い夏のはじめに行くのがいいだろう。

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