2014年9月20日土曜日

秋企画八幡平岩手山

面子:4*松岸、3廣長(CL)、豊島(沢sL)、2大西(道sL)、*中村、1N深山
(CL:チーフリーダー、sL:サブリーダー、*:L権者 N:ニュートラル 文責:道区間→大西 沢区間→豊島)

八幡平から大深岳、乳頭山を縦走後、乳頭温泉、滝ノ上温泉で羽を休め、葛根田川遡行、関東沢下降、大深沢遡行を経て再び大深岳に戻り、最後は裏岩手縦走路を岩手山まで縦走する、という美しい一筆書きルートを計画しました。沢も湿原も温泉も名峰のピークも・・・・という欲張りな企画でしたが完遂できて何よりです。

適宜避難小屋を利用させていただきましたが素晴らしい避難小屋を大事に維持管理している地元の方々に敬服しました。以下概念図及び記録。








9/14() 午前中晴れ、午後曇り時々雨(記:大西)
盛岡駅9:40(路線バス)11:30「八幡平頂上」バス停12:35-12:48登山道入口-13:02畚岳分岐13:15-13:50諸桧岳-(たるみ10)-14:40前諸桧-15:10嶮岨森15:20-15:52大深山荘△0
全員が夜行バスを利用し、朝9:30に盛岡駅に集合。Fチェックで高野豆腐がなかったが、麻婆豆腐には肉も野菜も入っているので問題ない。天気予報ではむこう1週間曇りが続き、雨が降るとしても16日という予報だったので、本ルート通り八幡平から入り、16日~18日を沢区間にあてることになった。当初の計画ではこの日は八幡平へアプローチして藤七温泉に入って終わりの予定だったが、一日目のピッチ数が11pと長いことから今日中に大深山荘まで4p進むことにする。今日から歩くかもしれないことは13日に豊島さんからメールがあったので、みんな行動食も持ってきている。もしこうせずに15日に11pも歩いていたら、八瀬森でのデポに時間がかかったことも考えれば最悪日没に間に合っていなかったかもしれない。八幡平へのバスは1300円ちょっとで1時間以上かかる。八幡平へのバスを降りると空がかなり暗く、嫌だなと思った。少し自由時間をとったが、八幡平頂上に行ったのは豊島さんだけだった。(自分も水場の件と入山連絡がなければ行っただろう。)


皆が見逃した景色。



レストハウスは、そこで水を汲んだという記述だけを見てよく調べずに水場にしていたので、具体的にどこが水場なのか聞かれても答えられず、反省。レストハウスの人に聞くと建物外の入り口脇の水道と建物内のトイレの水は水質検査をしていて飲むことができるということだったので一安心。圏外なのでレストハウスの衛星電話で入山連絡をしたが、100円玉しか使えず30100円だった。体操は深山、トップも深山で出発。このスタイルは山行中変わることはなかった。駐車場のおじさんによると八瀬森山荘はトイレが満杯になっているので覚悟した方が良いらしい。畚岳への分岐でたるんだが、畚岳をピストンしたのも豊島さんだけだった。裏岩手縦走路は木に囲まれたイモピークが少なくなかったが、険阻森は名に反して(?)切り立っており、1日目では一番展望があった。


穏やかな山並みがどこまでも続く

大深山荘にはすでに先客があり、中に入らず小屋前で荷解きをして持参の夕食を食べた。最終日の道区間分のFをデポ。南東の水場までは道がついている。荷物整理中にsLのパンとおにぎりの入った袋が行方不明になり、みんなに探してもらっても見つからなかった。結局3日後に廣長さんのザックから発見されるとは思わなかった。深山の天図は整っているものの細部に改善できる点が多かった。皆に指摘された点をちゃんと覚えていて、山行中にも日増しに上達していっていたので良いと思います。自分らの後も続々と人が来て、最終的には20人はいただろう。詰めれば小屋内で寝られる人数だが、皆がスペースを広く使ってしまっているので日が落ちても中に入りづらく、僕らは外でオカンすることにした。気温はかなり低く、夏用シュラフを持ってきたsLはほとんど眠れなかった。他の人もあまり眠れなかったようだ。

9/15() 快晴(記:大西)
0 5:30-5:40源太ヶ岳分岐-5:55大深岳-(たるみ10)-6:15関東森分岐-7:15 1283m湿原7:35-8:20関東森-8:45八瀬森山荘9:20-9:38八瀬森-(たるみ13)-10:55曲崎山11:08-12:00大沢森12:10-12:36林道への分岐-13:08大白森山荘△1
4時起床5時半出発。前日に水場で会った人に「大白森山荘の水場は多くはないがしっかり水が出ており、八瀬森の水場は水が濁っていた。大白森で汲んだ方が良い」と聞いて、八瀬森で汲む予定だったのを変更し大白森で汲む事にした。関東森分岐までは良く刈り払われた道で展望もあったが、分岐を過ぎると急にササが道に張り出すようになり、朝露で服が濡れる。


分岐は岩手山のシルエットが綺麗


倒木もあり、整備の跡は窺えるものの乗り越えに手間取るものもあった。1420mの湿原で深山に現在地を尋ねたが分からなかった。八瀬森山荘で沢区間後半分のFとポリ5発をデポ。誰もトイレを確認しようとはしなかった。水場は、湿原が沢になろうとするところまで踏み跡があり、ここだと思われる。確かに雨が降れば濁るだろうが、他の水場に比べれば枯れる心配はないかもしれない。朝は寒かったが昼は気温が上って暑い。曲崎山のピークは展望がないが、登る途中からは来た道を望む事ができた。他のピークはだいたいイモい。



すっかり秋色の湿原を行く


大白森山荘は先客なし。山荘の目の前に枯れ沢があり、水はその枯れ沢の左岸に刺さったペットボトルから流れ出ていた。その場所は分かりにくく、また小屋にあった地図が間違っていたため発見に20分を要し、中村と豊島さんに無駄に藪を漕がせてしまった。晴れていたのもあって水量はチョロチョロで、必要分を汲むのに30分かかった。晴天が続くと枯れるという話も頷ける。小屋は八瀬森より小さく、定員15人は一階の土間に寝ないと入りきらないだろう。翌日の天気が崩れそうだったので18時半の消灯の後も豊島さんがラジオを聞いていて、19時の天気予報を聞いたらしい。

9/16() 午前中雨、午後曇りのち晴れ(記:大西)
1 5:35-6:08大白森湿原6:20-7:10鶴の湯分岐7:20-8:10蟹場分岐8:40-(たるみ10)-9:55田代平山荘13:33-14:00乳頭山14:10-(たるみ2回、計20)-15:38白沼-16:25滝ノ上温泉△2
(分離隊:蟹場分岐8:40-(ER1)-9:15乳頭温泉11:20-(ER2)-12:20田代平山荘)
深山は目覚まし時計を持って来ていたが、残念ながら鳴らなかった。5:10からの天気予報を聞くと、今日は時間が経つにつれ天候が悪化するが、明日以降は回復するらしい。出発する頃に雨が降り始め、大白森を過ぎると徐々に強まった。大白森の湿原も晴れていればもっと良かっただろう。松岸さんが膝の不調から今日で下山したいそうなので、滝ノ上温泉と異なりバスの通っている乳頭温泉へ分離下山する事に。松岸さん・豊島さん・中村を分離隊として、分離隊はER1で蟹場分岐から乳頭温泉に下り、ER2で田代平山荘へ登って来てもらうことにする。本隊(大西・廣長・深山)は本ルートで田代平山荘まで進んで待機し、分離隊の到着を待つ。乳頭温泉では、豊島さんと中村も松岸さんと一緒に温泉に入って来るらしい。今日の終わりにも温泉に入れるのに。深山は分離隊と本隊どちらに参加しても良かったが、本隊を選んだ。


分離隊は乳頭温泉の風情を満喫

過去のワンゲルの記録にあった1110mの水場で水が出ているのも確認したが、沢上で晴天時には期待できなさそうだ。蟹場分岐ではauの電波が入ったが、田代平では入らなかった。中村と豊島さんはなぜかER2(高度差400m)を60分で駆け上がってきた(本ザック)。田代平で待っていても乳頭山のガスは晴れなかったが、乳頭山から下り始めて20分ほどの小ピークでやっと晴れ、岩手山・秋田駒を望む事ができた。16時に間に合わなそうだったし、滝ノ上温泉は末端なのでこの日は天図をとらないことに。


秋田駒と乳頭山をバックに。天気晴朗。

(以下文責豊島。)
滝ノ上温泉は、橋の袂に滝ノ上園地休憩舎なる謎の建物と駐車場が整備されていた。休憩舎は暖かく、テーブルやイスが整然と並んでおり、きれいなバリアフリーのトイレ付きであった。滝峡荘の人にさりげなく聞くと夜に施錠されることもないらしい。山の上では素泊まり2500円温泉宿の滝峡荘に泊まるかオカンするかを話合っており、皆がそれぞれ顔色を伺って自分の意見を言わないという日本人の悪い性質から結論が出なかったのだが、結局休憩舎宿泊に落ち着いた。滝峡荘では日帰り入浴し(400,貸しタオル無料)、その間にゆで卵を5個(1人1個)作ってもらうことにする。しかし多くの人がもっと食べたい様子であり、廣長にいたっては「俺は一人5個でも食べられる」とのたまい始める始末であったので、結局10個に増やした。浴室は全て木造であり、4人程度入れる小さな浴槽へ薄茶色に濁った湯がコンコンと注ぎ込む趣ある温泉であった。


滝峡荘にて入浴。

入浴後はビール、カップ酒を追加購入し、電話をお借りして鈴木さんに17時の週間予報と葛根田のアメダスのデータを聞き、降水が朝の2時間だけであったこと、秋田内陸の翌日12時から18時の降水確率が40%だがその後数日問題はなく、岩手内陸側もずっと降水確率が低いことを確認して予定通りの入渓を決めた。下山連絡と入山連絡を無事流せてとりあえず一息つき、早速外のテラスで入渓祝いの乾杯。


至福の一時。


温泉あがりの火照った体にキンキンに冷えたビールが浸みわたった。気分上々で夕暮れの空を眺め、鼻歌を歌いながら休憩舎に戻りサイト。Fの海鮮パエリアは貝の旨味が凝縮されておりとてもおいしかった。空は雲一つなく星空が美しく、廣長はオカンを決意していた。サイト後再びビーフジャーキーとクラッツをつまみに宴会。こんな良き日に松岸さんがいないのは本当に残念だなぁ寂しいなぁと思った。

9/17()晴時々曇、時折小雨
6:05 滝ノ上温泉~入渓点6:50~7:36大ベコ沢過ぎ淵7:46~8:26大石沢出合8:43~9:07(中ノ又沢出合通過)~9:22大滝下9:41~10:40滝ノ又沢出合△3
空は晴れ渡り沢日和。しかし廣長によると夜半に通り雨に打たれたらしい。入渓点までは地熱発電所の中を歩く。不可解な形をしたパイプのあちこちから蒸気が上がる独特な雰囲気であった。林道の奥で入渓。川幅が広く少し緊張感を持ったが水量は平水より少ない。広い河原を歩き、徒渉というほどの所もない穏やかな流れの中を歩く。途中釣り師に会って少し身構えたが凄く感じの良い人であり、「先週大深沢側のヤセの沢に行ったが水量が多めだったので気をつけて行ってきてください」という暖かい言葉をいただいた。途中の淵で景色がよかったのでたるみ。


たるみポイント。


その少し前から空がどんよりして少し不安な雲行きになっている。再出発後、両岸が切り立ってきてお函に差し掛かったが、へつりというほどの場所もなくあっという間に通過してしまい、後から振り返ってようやくそこがお函であったことに気づいた。振り返って見るお函は白色系の明るい岩壁の中に青緑色の水が滔々と流れ、そこに光が差し込む美しい場所であった。ほどなくして大石沢出合。。ここで小雨がパラつくが、中ノ又沢出合もサイト適地で増水しても逃げ場はあるのでそのまま進む。幸い心配していた天気は途中で好転し、たどり着いた大滝は日光を受けてキラキラしていた。


大滝


大滝はゆっくりたるんだのだが、「あと3分」と言った時点で皆が俄かにザックを背負い出し、おいおいちょっと待てよと思いながら俺も遅れないようにとザックを背負うとそのまま出発してしまった。件の事故のこともあるので、Nの二人には巻き道の途中で適宜セルフビレイを取るように伝え、トップの二人には普段より慎重にと伝えておいた。結局最後落ち口へ降りる時に灌木にフリクションノットの支点でザイル手がかりを出した。難しい場所ではなかった。滝壺に向かって手を合わせてから遡行を再開した。滝ノ又沢出合までは平凡な河原で、時折転がっている良さげな流木を収集しながら進んだ。ほどなく出合に到着し、とりあえずビールで乾杯。近年のワンゲル山行らしくない雰囲気に「何なんだろうこの秋企画wby中村。一日の行程を歩ききった直後に飲むビールは「到着のビール」と呼ばれ、今山行の流行語となった。単に全員で350mlを一缶空けるだけなのだが非常に幸せになれる。始めの一口が一番おいしいとはよく言ったものである。気分良く飲んだ後は深山の練習のためツェルトを1張張ってから各々充実した時間を過ごす。14時よりサイト開始。ハヤシライスは無難に美味しい。食後盛大に焚き火。岩魚を焦げないように慎重に焼いていると時間がかかった。その間にカップ酒をお燗して飲んだ。カップ酒でもこんなに美味しいんだと少し感動した。幸せな夜だった。



幸せ


しばらく小さくなった炎を眺めていたが、18時半頃に俄かに雨が降り始めたので荷物をまとめて撤収した。滝ノ又沢出合の少し下流の左岸に周囲より二段高い平坦な台地がある。先ほど張った1張のツェルトには大西が入り、もう一つのツェルトには中村と深山がくるまり、俺は少し小さいモンベルのツェルトに一人くるまり、廣長は何を血迷ったか一段下の台地(十分安全)でオカンしていた。雨は断続的に強くなったり弱くなったりしていた。そのまま耐えていても辛いだけなので俺の尾崎豊を皮切りに歌会を開始。中村は高校ワンゲルで教わったという山の歌を3,4曲歌い、大西は「あー歌詞がわからない」と言いながら何かの歌をフンフン歌っており、深山は黙って聞いていた。雨はまだやまない。辛いのでかまどの歌を歌う、が、みんな音痴。調子が狂うのでしっかり音程を覚えてほしい。最後は中村に音頭をとってもらい、フレーフレー東大フレーフレーワンゲルで締めた。やっぱり雨はやまないのでラジオを聞く。2020分頃に2年会がもう寝ていいですかと聞いてきたのでとりあえず念のため荷物をちゃんとまとめておくことだけ指示しておいた。俺はどうせ眠れないのでラジオを聞き続けた。2055分の天気予報では、秋田県全域で雷注意報と乾燥注意報が同時に出ているという不可解な状況で、降水確率は秋田県で午前20%午後30%、盛岡は午前10%午後20%だった。今は帯状高気圧の狭間の気圧の谷にあるが、次の高気圧もゆっくり近づいていることなので天気がこれから悪くなることはなさそうだと判断し、大深沢も予定通り行くことに決める。雨は22時過ぎに次第に弱くなり、22時半頃止んだ。一応川の様子を見に行くと全く増水はしていなかった。改めて空を見上げると月と星が出始めていた。ようやく安心して眠りについた。
9/18() 曇り時々雨 時折晴れ間も
3 5:35~6:58 20m滝下 7:08 ~8:00 20m滝上 8:30(10m滝上通過)~9:00八瀬森山荘9:17~9:57関東沢二股10:09~11:03大深沢本流合流点11:15~11:56ナイアガラ下12:06~12:45三俣△4
朝起きると廣長に「昨日はちょっとうるさかった。とくに豊島が」と言われた。すまん。出発して何個か釜を持つ小滝があるが左から小さく巻ける。しばらくすると北ノ又沢出合。本流筋は北ノ又沢だが今回は八瀬森山荘へ行くので支流に入る。出合の滝は簡単に左から巻いた。滝上は一気に水量を減じ、両岸もなだらかになってきて源頭の雰囲気を感じる。ナメをヒタヒタと歩いて辿り着いた20m滝は右岸から巻く。一箇所斜面をトラバースする箇所が危険ということで、トップはザイルを上部立木支点に固定してNの二人をプルージックで通過させる方針にした(ついでにその後少しはプルージック登高)。が、トラバース区間は短く、手がかりで十分だった。
10m滝は右壁直登。大きな立木は腐っていたので別の細い木で流動分散で取っていた。サクッと越える。滝上でRFに注意するよう伝え、優秀なトップは無事八瀬森湿原に直接詰めあげた。デポを回収し早速関東沢を目指して湿原を進む。しばらくすると沢が深くなり、初めは藪っぽいが初めの二俣を越える頃からナメが広がり渓相が良くなる。関東沢の右俣と左俣の二俣でたるみ。


関東沢下降

はじめは時折晴れ間も見えていたのだが空が暗くなり雨も少し強くなっている。とはいえ大深沢本流出合も開けた幕営適地で増水に耐えられるので下降を続ける。唯一の難所4m滝は右岸を小さく巻く。ザイル手がかりを出した。その後は高速で下り読みよりかなり早くに本流出合についた。少し日も差し始めたのでたるみ後予定通り三俣を目指す。本流はやはりスケールが大きく、森の中を滔々と流れている。10m滝と4m滝はまとめてフリーで右岸を巻き、ナイアガラに到着。大深沢ナイアガラの滝は、左右2つの大きな滝に分かれている。中央のクラック状を難なく登る。


ナイアガラの滝登攀風景


Nの二人は念のため倒木支点でTRしたが、フリクションもよく効き難しく感じる場所はなかった。ナイアガラ上部は広大なナメが広がる綺麗な場所である。生憎空はドンヨリしており小雨までパラついていたが、それでもその少し薄暗い雰囲気も悪くはなかった。すぐに三俣につきツェルトを張る。水が溜まる場所を避けてツェルトを2張張ったら俺の寝る場所が無くなったので俺は仕方なく水流沿いの傾いた場所に銀マを敷いた。到着のビールを飲んで少しのんびりしてからサイト。麻婆豆腐は廣長の高野豆腐忘れにより豆腐の要素が欠落しており麻婆でしかなかったがまぁおいしかった。食後深山の天気図を確認すると、朝鮮半島〜沿海部にある高気圧の接近が思っていたより遅いようである。好天はまだか。深山の天気図は今山行の最初と比べるとかなり見やすくなっていて良かった。飯を食い終わるとみんな思い思いに時間を過ごしていた。大西は東ノ又沢の入り口でのんびりと流れを眺めながら佇んでおり、俺もボーッと水流沿いに敷いた銀マに座って沢を眺めたり空を見上げたりして考え事に耽り、中村と深山はツェルトの中で何やら楽しそうに話しており、廣長は早々に寝たようだった。のんびりと時間が流れた。これはこれで良いなぁと思った。しばらくするとみんな眠りについたようだった。一瞬星空が広がったが、19時頃また雨が降ってきたのでツェルトをかぶった。水流沿いは流石に怖くなり少し上がった場所に退避したが傾きすぎて眠れたもんじゃなかった。寝ているのか寝ていないのかよくわからない意識の中でしばらく時間が流れた。何時だったが虚ろな意識の中で天気予報を聞いていると、翌日の秋田県は曇り時々晴れで所により雨や雷雨という予報であまり参考にならなかった。顔にまとわりつく湿ったツェルトと傾いた斜面が不快で1時頃完全に目が覚めた。仕方なく起き上がってラジオ深夜便を聞き始めた。ビリーバンバンというグループのフォークソングが流れていた。優しい音色に少し癒された。
9/19() 小雨のち曇りのち晴れ
4 5:30~7:00勾配強くなる前7:10~9:00大深山荘10:00-源太ヶ岳分岐10:20-大深岳10:30-関東森分岐10:40-(たるみ10)-11:25小畚山-11:48三つ沼11:58-(たるみ10)-12:30三ツ石山荘△5 14:15-(以降空身で水汲み)-14:27分岐-14:30登山口-14:39水場14:45-14:53登山口-14:57分岐-15:15三ツ石山荘△5
起床コールが響いて長い夜が終わった。秋刀魚スパゲティが旨くて元気がでる。両門の滝のようになっている6m滝はホールドが細かいという情報があったが難しくない。左壁直登。Nはザイル手がかり使用。その後すぐにもう一つ同規模の滝が出てくる。廣長が中央、中村が右水流中を登り、Nは中村のルートを手がかり。俺は中央を登ったが6m滝よりもこっちの方が難しかった。


6m滝上部の滝


たるみ後、沢は勾配が急になり標高を稼いでいった。再び勾配が緩くなり沢が南へ向きを変えるあたりから稜線登山道へ向けて薮を漕ぐ。事前情報で稜線まで1時間程度かかると聞いていた隊の皆は「自分達は藪漕ぎエキスパートだからそんなに時間がかかるはずはない」というテンションで臨んだが、ネマガリの墓場のような場所で苦戦して結局ちょうど1時間くらい要してしまった。薮まみれの酷い格好で大深山荘にたどり着きデポ回収andたるみ。風がびゅんびゅん吹いており寒い。
(以下文責大西)
大深山荘から三ツ石山荘までの道は、展望と若干の紅葉が望める良い道で問題なかった。しかし三ツ石山荘で水場が枯れているというピンチに遭遇した。そもそも計画書の段階では、三ツ石山荘の水場は枯れることが多いという前情報だったので使用しない予定だった。しかし、沢区間を抜け大深山荘でたるんでいる時に、「ずっと雨天続きだったし水場が枯れていることはないだろう」という雰囲気に自分と隊がなり、三ツ石山荘で水を汲める計算にして進んでしまった。先の15日に、同様に前情報からあてにしていなかった大白森山荘で水を汲んでいたことも、この甘い判断の背後にあったと思う。結果、三ツ石山荘の水場は枯れており、日没までに水を確保しなければならなくなった。山荘周辺は湿原だが、見える沢は全て枯れていた。幸いにも到着が早かったので、始めの1時間は山荘の北側の湿原でお互いに声の届く範囲で道を外れて水のある沢を探したが、見つからなかった。ER6で滝ノ上温泉まで往復するのもやむなしかと思ったが、山荘でお会いした方により近くに水場があると教えてもらった。その位置は産業開発道路の登山口から道路に出て道なりに15分ほど下った所(1090m付近)で、滝ノ上温泉へのERを途中で外れて20分歩かねばならないが、滝ノ上温泉よりも近いのでそこに全員で水を汲みに行った。水汲みの行動分の水は残っていた。エアリアには載っていない水場だが、手入れがされてあって水量もそこそこだった。今回は到着が早かったので15時には水を汲んで山荘に戻ることができたが、撤退や水不足を招きかねないミスだった。明日の方針としては、岩手山からの下山ルートを本ルートからER8に変更することにした。その理由は、本ルートの下山口にはバス停がないがER8なら早い時間にバスがあり、今日までのペースなら温泉に入っても終バスに間に合うだろうから。三ツ石山荘は他の宿泊者なし。


三ツ石山荘は草紅葉の湿原に囲まれていた


9/20() 晴れ(記:大西)
5 5:30-(たるみ10)-6:55網張温泉分岐-(たるみ10)-8:00姥倉山分岐-8:17黒倉山8:32-8:45黒倉山分岐-(鬼ヶ城コース)(たるみ10)-10:30不動平避難小屋10:40-(お鉢の西側,空身)-11:00薬師岳11:18-(お鉢の西側,空身)-11:32不動平避難小屋11:40-(たるみ2,20)-14:06御神坂駐車場


最終日。何とも清々しい朝。


朝から晴天でテンションが高まる。沢区間に来ることを期待した高気圧が遅れて到着したようだ。歩き始めはガスっていた岩手山も歩くにつれ姿を現し、山行のクライマックスにふさわしい天気になった。この山域の森林限界は14001500m程度で、歩くにつれ視界が開けていき雲海も望むことができた。

犬倉山と姥倉山の間で水場への分かりやすい分岐を見たが、確認はしていない。黒倉山は火山活動が活発で頂上では湯気が上がっている。分岐点の道標で頂上へのルートも案内されているが、古い看板には立ち入り禁止と書いてあった。ぜんそくの人などが隊にいるなら巻き道を選んだ方が良いかもしれない。頂上は360°の展望が望め、十分登る価値がある。鬼が城コース(岩尾根)を選んだが、晴れていたので他の登山者もこちらを選んでいるようだった。岩の登り降りも少なくなく、雨の日に歩くのは怖いルートだと思った。


岩手山を目指して岩尾根を行く


不動平避難小屋にザックを置き、薬師岳までピストン。さすが岩手山は登山者が多く、お鉢は混雑している。岩手平野はガスの切れ目から少しだけ望めたが、もしガスが完全に晴れていればもっと良かっただろう。お鉢の円周の東半分をルートにとっていなかったので、西半分を往復することになった。





山頂記念撮影


不動平からの最後の下りは急坂を1300mも下らねばならず疲れた膝に優しくない。駐車場にはトイレがあり水を汲める。御神坂駐車場から最も近い温泉は駐車場から3kmも離れているため、30分歩かねばならない。温泉から盛岡までのバスは950円。バス停で反省会をやり、打ち上げは盛岡駅地下街で冷麺を食べた。東日本パスで東北観光をする豊島さん以外はその日中に夜行バスで帰京。

まとめ(豊島)
沢と薮と道を繋げると、難しい場所を選ばずともオリジナルで魅力的なルートはいくらでも描くことができる。けれどもその可能性を活かした企画はあまりなかったように思う。その点今回は図らずも自分の企画と大西企画が繋がることで、一つの山域を沢から稜線の湿原、山麓の温泉、展望の良い山頂と縦横無尽に結んで満喫する本来のワンゲルらしい自由な山旅になり良かったと思う。そして完遂できて本当に良かった。参加者の皆様ありがとうございました。
まとめ(大西)
(道区間)なんだかんだピークでは晴れてくれて、穏やかな山容・湿原・岩尾根・火山と変化に富むこの山域の魅力を味わうことができて良かった。本ルートをほぼ完遂できたのも嬉しい。分離下山に下山路変更と、ERORを多くとったことの恩恵を感じる場面も多かった。一方、水場についてピンチになったり、方針決定の際に自分だけで決められず上級生に頼ったりと、自分はLとしてまだまだだと感じた。

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