夏合宿和賀隊

面子 3年 L坂田、水野、三宅、宮崎 2年 E梅宮、WH高市、F廣長 1年 中村

秋田・岩手国境の和賀岳~羽後朝日岳~秋田駒ヶ岳~八幡平を縦走してきました。東大ワンゲルいるなら藪でしょ、と。 それに、今回の夏合宿では珍しく食料を途中にデポしないことにしました。


8/1(木)アプローチ
赤羽=角館=薬師岳登山口(甘露水)▲0

忘れ物してもどうにかなるように終電の一本前の電車に集合。結果的にこの後に集合していたら忘れた食料を買う時間がなかった。見送りに来てくれた松岸から差し入れをもらう。丸一日鈍行を乗り継ぎ、角舘からジャンタクに乗る。登山届を出したり忘れた行動食と食料を買い足すために警察署やスーパーによってもらった。地方の駅周辺には近くにスーパーマーケットがないことがあるため車が必要だ。真木集落から砂利道を行き甘露水登山口の手前の避難小屋で下してもらう。タクシーの運ちゃんは緊急時にと発煙筒をくれた。重くなるだけな気もするがありがたく受け取る。夜中小雨が降り続ける。明日からは晴れるというが心配になる。宮崎は顔に虫がアタックしてくると言っていた。虫が多いが快適な小屋だった。


8/2(金)曇りのち晴れ時々ガス
薬師岳登山口▲0 5:45~6:25620m6:35~6:55滝倉水場7:05~7:50倉方8:05~8:45薬師岳9:10~9:30薬師平9:40~10:40小鷲倉1354p10:55~11:35和賀岳12:35~13:101412p13:25~13:35雪渓横▲1

前日徹夜の人が多かったため長く寝て出発を遅らせた。中村の1分間スピーチの後出発。水は21発。くもっているが雨はやんでいる。ゆっくり登り滝倉の水場で全員水1発汲む。ここは小さな沢を渡ったあとに標識がある。ブナ林の中を順調に進み薬師岳へ。限界上は草原や高山植物が多くきれいだ。薬師岳では少し晴れてきたが和賀岳はガスの中だ。ひげが良く伸びる宮崎の顔を毎日同じ角度から撮ってコマ送りのようにすれば面白いのではないかという話があったが、結局同じ角度なんて無理だった。今日は時間に余裕があるので薬師平の池塘でもたるむ。全体的に道に笹や草が覆いかぶさっているが、道はしっかりしている。和賀岳山頂で水野のメロンと梨をいただく。メロンはぶよぶよになっていたが味はおいしかった。ガスがきれいに晴れないかと思い1時間ほど居座ると微妙に晴れてきた。ここからいよいよ藪入り。はじめは高山植物の咲き乱れる斜面を下っていく。うっすら踏み跡がついているが、小さな鞍部から笹になってきてこれ以降踏み跡は一切出てこなかった。晴れてきて気温はどんどん高くなってきている。肩までの笹をこいでいくが、1412pで水野が熱中症っぽいということでたるむ。ここから先の雪渓まではずっとお花畑と草原の斜面が続く気持ちいい所だ。場所によってはニッコウキスゲが群生している。雪渓は大きくその下から豊富に水が出ている。すぐ左は快適な草原の好サイト地だ。遠くのガスが切れると明日から行く羽後朝日岳やその先の稜線が見える。食後に差し入れのパイナップルを食べて俺と水野、廣長はオカン。



8/3(土)ガスのち晴れ
1 4:40~5:40ひょうたん池5:50~6:50治作峠先1290p7:10~8:151200p8:30~9:301226p9:45~10:451230m11:00~11:55根菅分岐12:15~12:451260p12:55~13:25大荒沢岳14:00~14:551240コル15:05~15:501300m露岩16:05~16:551350m17:05~17:35羽後朝日岳▲2

朝起きてみるとガスガスだった。昨日の夕方までは虫はいなかったが、夜に大量にやってきたようで水野は唇がはれあがってお化けみたいになっている。水を全発汲んで明るくなるのを待ち出発。灌木と肩までの笹で結構濃く、時々草原を通る。はじめの二重稜線は西を行く。1284p手前のコルにはひょうたん池がある。灌木の中の凹地にできた池塘である。廣長が一個目のコンパスを壊す。この先は基本東側がうすく笹時々草原で、稜線上より西は灌木。治作峠先1290pを過ぎるとどこも濃い灌木となる。この辺から進みが読みより遅れ始める。予想外に濃い灌木がひたすら続き、重い荷物と相まって一向にペースが上がらない。尾根の左右どこも変わらないので基本は稜線上を忠実にいく。進むにつれて灌木と笹が密生して余計に濃くなってきた気がする。1226pに着くころにあたりのガスが消え始め、今まで歩いてきた稜線が見えだす。廣長が2個目のコンパスを壊し、三宅の予備コンパスを持ってもらう。太陽が出てきて急に気温が上がってくる。1226p先の鞍部だけは灌木がでかいため歩きやすいが他は濃い。暑さと重い荷物もあって皆が消耗しているのが分かる。時々隙間から羽後朝日岳が見えるがその遠さに絶望したくなる。予定の1.5倍の7時間をかけて根菅分岐に着き、いったん藪抜け。
大荒沢岳までは今は刈り払いがされており、きれいな道になっていた。メンバーの疲れを考えて短いピッチで切っていく。ハイマツと低灌木の中展望のよいところだ。大荒沢岳ピークは沢尻岳への道とは分かれて少し行ったところにある。ここでまた水野のフルーツ差し入れを頂く。パイナップルはどれだけ歩荷しても傷まないししうまいから合宿の差し入れにはありがたい。
大荒沢岳から羽後朝日岳までは先程と同じ藪の濃さが続くとすると相当時間がかかるとも思ったが、今合宿のメインピークであり諦めるという選択肢は俺の頭にはなかった。日の入りまでにはどうにかしてたどり着くだろう。廣長が3つ目のコンパスをなくしたというが、RFは難しくないし尾根が明瞭なので、とりあえずはなしでトップしてもらうことにする。磁石の外れた使い物にならないコンパスをふたつ勲章のように肩からぶら下げているが、邪魔そうにしか見えない。幸いコルまでの下りは灌木と笹の先ほどより薄い藪だった。コルからの登りも灌木より笹が多くラッセルして笹をつないでゆく。羽後朝日ピークが近づくと再び灌木が多くなりペースが落ちる。山頂手前のなだらかな稜線でゲロ濃い灌木とハイマツに捕まり空中戦を強いられると一向に進まなくなり、このペースだと日の入りに間に合わないのではないかと焦り始める。宮崎から羽後朝日を諦めサイト適地を探す話が出てきたところで急に笹地に変わり、まもなくトップから叫び声が上がり山頂直下の草原に飛び出た。あたりはお花畑と草原で素晴らしい所だ。しばらく転がったりしながら休んでから平らな草地にテントを張ってサイト。廣長の飯は本当にうまい。外は寒く誰もオカンしなかった。



8/4(日)晴れ
2 4:55~5:451310m5:55~6:45コル後1230m6:55~8:05大荒沢岳8:30~9:10沢尻岳10:45~11:401210m11:50~12:351160コル12:45~13:251240m13:35~14:15モッコ南東草原14:55~15:00モッコ岳18:10~18:25南東の北の草原▲3

朝はうっすらとガスがかかっているが日の出は見えたり見えなかったりであった。太陽光がガスに反射しておかしな色に輝いていた。山頂で記念撮影してから羽後朝日岳を後にする。廣長のコンパスは高市の予備コンパスを使う。三宅は軽いまたずれ。昨日通ったゲロ藪を避けるため北側をトラバるようにして進むと少しだけましだった。まもなくガスが晴れてこれから行く秋田駒ヶ岳から岩手山が遠くにはっきりと見える。藪の朝らしく澄んだきれいな空気だ。尾根北東を落ちるように下るとだいたい笹で早めに進んだ。登りはどこも灌木と笹なのでラッセルでいく。RFが要らないので中村にトップさせてみる。大荒沢岳に着くと晴れて和賀岳~羽後朝日がきれいに見える。ここから再び道を沢尻岳まで歩く。沢尻岳では南東の沢に水汲みに行ってもらう。梅宮、高市、廣長、宮崎で、下り、登りとも20分。途中まで貝沢へ降りる道を使い途中から沢に入るそうだ。沢尻岳では県境歩きをしているというおばさんにキュウリを頂いた。中村は変な態勢で眠っていた。
沢尻岳から再び藪入り。今日は1211手前コルまで行きたいので隊をせかすが、トップも本体誘導も下手で広い尾根の左右にぐにゃぐにゃ曲がりよくない。本体は落ちては戻りで遅く、3年をトップや本体誘導に出す。Lも中継に入る。2年は交代でトップに出す。しばらくは稜線上が灌木とネマガリで濃く、稜線西がブナと笹で薄いことが多い。2年は疲れ気味で本体に追いつかれがちだが、廣長は強くいつも一番先を行っている。モッコ手前のコルからの登りは灌木とネマガリでどこも濃い。梅宮は相当消耗しているらしくいつもの冗談を飛ばさない。最後のピッチ、モッコ山頂直下でゲロゲロ濃いハイマツに捕まりどうにも動かなくなる。宮崎に西側を見に行くように頼んだが近くしか見てくれなかったようで結局ハイマツの中を行く。宮崎の性格を考えれば遠くまで行ってくれる訳なんてなかったのに無駄な消耗だった。2~3mのでかいハイマツを枝を伝っていくため非常に遅いし消耗する。しばらく行くと笹に変わり、草原に出た。だいぶ東側に行きすぎたようだ。中村、梅宮、高市がひどく疲れて、みんな黙りこくっている。これからサイト予定地まで2時間かかること、翌日の五番森までの行程で天候判断に天気図が必要だがそれをとる時間がないこと、メンバーの消耗がひどいことを考えてこの北の草原にサイト適地がないか三宅、宮崎に探してきてもらう。テント2張りできる平らなとこがあったので前進しないことにする。ここで俺がマップケースをなくし、探すが見つからなかった。藪にとられたわけではないし歩いた範囲も狭いのに不思議である。
高市に天気図をとってもらう間3年と廣長で水汲み。梅宮が疲れているので代わりにLも水汲みに行く。モッコ岳三角点から北に延びる沢の一本西の小沢を30分下ったところ。急斜面に小滝もあるがロープは使用せず。登り45分。水汲みが終わり全員でサイト地へ移動。気持ちのよい草原でサイトするのも今日で最後だ。草の上からサイト場まで宮崎がザックを転がしたらジッパーが開いていてヘッデンをなくした。馬鹿だ。
ここから五番森南ピークまではERが増水時使えないため準則上大雨だと前進できない。天気図を見るとシベリア側に低気圧が並んでおりよさそうには見えないが太平洋高気圧があることや沢尻であったおばさんに予報では明日からも晴れるよといわれたことから大雨が降ることはないだろうと考え前進判断した。しかしどう見ても二日間崩れないとは思えないので明日中に五番森南まで抜けなければならない。今日サイトを進めなかったことが明日に引きずらなければいいと思う。明日も根性日だ。



8/5(月)ガス・曇りのち雨
3 4:50~5:05モッコ岳5:10~6:051205m6:20~7:001211手前コル先1195m7:20~7:351211p7:50~8:351150p先1145m8:50~9:15西の間違い尾根1100m9:30~9:451140mまで復帰~10:201100ベロ先1090m10:35~11:00ER3分岐~11:301075m11:50~12:35980コル手前ベロ12:50~13:501025p先1000m14:10~15:00965m15:15~16:05979p16:15~17:15五番森南ピーク手前コル▲4

行動が長く睡眠が短いため朝起きるのが辛い。若天は飯ができるのも撤収も遅い。今日は読みでは12ピッチ行動で時間ぎりぎりということで3年中心に藪トップを回すことにする。モッコ岳先ははじめはハイマツ、潅木で濃いが尾根が0度に変わると笹と灌木で少しうすくなる。1211手前コルまでは4mくらいの巨大灌木と笹で濃くはない。先も薄い灌木と笹で薄い、西はブナ笹で薄いことが多い。1211pは晴れていたら展望が良いだろうがガスっていて何も見えない。水野がナイフをなくす。宮崎と三宅は足が濡れてふやけてきているらしく毎たるみ靴下を脱いで絞っている。この先は稜線上笹とうすい灌木。徐々にガスがとれて周りの山影が見えだす。1200pから先はRF注意なのに1140mから北に延びる間違い尾根に入ってしまう。角度がおかしいのと右手に正解尾根が見えるということで気付いた。登りかえして復帰。余計な時間を食ったがこれまで速いペースできていたので致命的にならずに済んだ。ずっとネマガリとうすい灌木が続く。だいたい稜線西側がブナ笹で薄いことが多い。ER3分岐に赤布をベタ打ちして通過。しばらく同じうすい植生が続くが、1025pの登りから猛烈な太いネマガリに変わる。直径1.5~2cm×3m位の竹をラッセルで進む。水野がずっとトップをしてくれた。1025pからの下りで普通のサイズのネマガリに戻る。宮崎がまたずれで相当痛いそうだ。腿の内側全体にひろがっており、範囲が広すぎてバンドエイドでは無理なのでテーピングしてみる。三宅はだいぶ前から我慢して変な歩き方をしている。早く歩けないので本体にいてもらった。自分もたまずれが相当ひどくなってきている。じじい3人でひどいありさまだ。次のたるみで宮崎のテーピングは無意味どころか逆効果だということで外す。またずれの3人が遅いが読みより少し長い程度。稜線上はネマガリで濃いが、三宅が痛すぎてトラバースできないため西の薄い所は見ずに2年トップで稜線上をラッセルして進む。979pの登りから雨が降り始める。979pに着くころには本降りになってくる。大雨時は五番森南pがサイトMax北端となっていたが、じじいの遅さでは日の入りにそこまでつけるか怪しいことや、これ以上行動時間を延ばしたらサイト用の水が足りなくなるかもしれないことから、末端をER5 の電波の入る中でずらして(偵察で末端をずらせることが判明したが、あえて審議で直しはしなかったところ)五番森南p前コルをサイトMaxとする。最後のコルへの下りは尾根が広く分かりづらい。全部堅いネマガリに覆われていて快適なサイトは絶望的だと思っていたが、梅宮と三宅が偶然テント2張り分の草地を木の下に見つけてくれた。
水場はすぐ北東に降りたところにあるはずだが時間が遅くサイト分の水が余っていたので水汲みは翌日に回す。じじ天はまたずれが痛くて動けず四つん這いになっていて哀れな光景だった。


8/6(火)曇りのち雨
4 終日停滞 ▲5

3日連続で根性日だったこともありゆっくり寝てもらった。一晩続いた雨もやみ、朝は曇っていた。朝7時サイト開始。飯の後はずれていない人に水汲みに行ってもらった。コル北西の沢で、下り8分登り11分。豊富な水量だそうだ。皆さん体を洗ったり遊んだりしてきたようでうらやましい。ずれてるやつらは歩くことが困難なためテント内で破けたゴアマの修理をして、あとはまたをひたすら煽ぎつづけて乾かしていた。こんなに停滞日がありがたかったこともない。
昨日までの行動がハードだったためかもともと持ってくる行動食の量が少なかったためか皆の行動食の残量が割と少なくなっているらしく、この日は一切行動食を消費しないよう我慢した。昼飯代わりに差し入れのポップコーンやフルーチェ、ぜんざいを食べた。何せ我々は岩手山か八幡平まで行きたいのだ。予備日を使ってORを行くことは3年の中で当然のことのように話されていたが、この時は下級生には半分冗談のように思われていたらしい。夕食はだまっこ鍋。米を練って餅にするという廣長渾身の力作。毎日うまいものを食べさせてもらってありがたい。
ラジオでは午後に東北でゲリラ豪雨がくると言っていたが実際は普通の雷雨がきたくらいだった。雨は夜まで続いたが、蒸し暑く虫も多くテント内はなかなか不快だった。


8/7(水)曇りのち晴れ
5 5:15~5:55五番森南ピーク6:15~6:50五番森7:05~8:15980m8:30~9:20986p~9:35950m10:00~11:05860p11:25~11:40ER5分岐13:20~14:15トンネル上ピョコの2つ前ピョコ14:30~15:35トンネル上ピョコ先すぐ15:50~16:30地森手前コル▲6

34半のはずが寝坊して35に。テント内の虫のせいで水野の顔が2日目とは別の腫れあがり方をして妖怪人間のようだ。ずれた傷跡にはかさぶたが張って、停滞を挟み一気に荷物が減ったため心も体も軽くなった気分だ。水野が持ってきてくれたずれ用のテープには大変お世話になった。これがなかったら合宿は大変なことになっていただろう。五番森南pへの登りは太ネマガリだが左にうすいブナ笹が混じる。五番森南pは腿丈の笹でサイト適地。五番森まではコルまで薄くその先ネマガリ濃い。ピークで看板を見つけ出し記念撮影。五番森からは西が特に薄いわけでないので尾根上をラッセル。昨日一日中かけて縫った宮崎と三宅のゴアマが一瞬にしてビリビリに破けてチャイナドレスのようになっていた。
尾根が太いと散開して細いとラッセル、としていたが全体に薄い灌木とネマガリでたいして濃くない。986pは最高点が分かりにくいが、過去記録ではだいたい東の間違い尾根に入ることが分かっていたので早くから4人に散開させて素早く正解尾根に乗る。途中から視界が晴れたので楽勝だった。ずっと尾根上または西側で薄いほうを通す。時々西側には獣道のような下草だけの所がある。明るい林でごうごうと風が通り抜けていく。ER5分岐は偵察で赤布をベタ打ちにしていたのでわかりやすい。ここで中村、梅宮、高市、廣長、水野に水汲みに行ってもらう。この先水場がないので全発汲む。ER5分岐の北の沢で、下り登りとも15分。
この先は濃い極太竹藪がメインになる。目つきに注意しながらバキバキ踏みつけていく。トンネル上ピョコまで竹藪が続き、ラッセルするがトップはすぐに尾根を外す。本体は落ちては登りを繰り返すが今回のように本体が強い場合はトップの消耗を抑える意味でもラッセルでよかっただろう。サイト地の地森手前コルまでは西がうすい。コルもブナ笹でよいサイト地だ。風が強く虫が出てこないので快適だった。時々風がやむと虫が大量にわきだしてきてうざい。三宅が体を歩いているマダニを見つけたのでライターであぶって殺そうとしたがピンセットからダニを落としてしまった。結果的に誰もやられていなかったので問題ないだろう。



8/8(木)ガスのち曇り
6 5:10~6:20地森南ベロ6:357:05地森西ベロ~7:15地森三角点7:40~8:351026手前コル8:50~9:451026p10:10~11:10994p手前11:35~12:45貝吹岳手前960p13:25~14:30貝吹岳14:55~15:15仙岩峠~15:40ヒヤ潟▲7

日の出が遅くなっていることもあり今日から35とする。2年と中村でトップを回す。地森への登りははじめ薄い笹だが途中から猛烈な竹藪になる。高市が途中にマップケースを忘れて15分くらい待つ。途中普通のネマガリも混じるが太い所が多い。地森西ベロから地森三角点までは薄い灌木と笹で薄い。三角点は腿丈笹で晴れていれば展望がよさそうだがあいにくガスっている。少し待つが晴れる気配がないので進む。1026手前コルに向けて降りていくが、過去記録と違いだいたいネマガリと太竹で濃く、コルも濃い。1026pへの登りははじめネマガリだが940m付近から細くなり、潅木主体。尾根は細く両側が切れているが、潅木につかまれば問題ない。1026pには巨大反射板があり熊の糞も見つけた。結局熊には全く遭遇しなかったが。この先はずっと笹藪でそんなに濃くない。稜線もくっきりしていてRFもいらない。途中から中村が膝ずれで痛み出す。とりあえずガーゼをあててテーピングし、トップから本体に移す。途中でガーゼが外れたとわかったが大丈夫そうなのでそのまま行ってしまったが、これは全くよくなかった。次のたるみでよりひどく痛みだしてまたテーピングしなおした。ずれは早めに手当てしないと大変なことになる。ここらで宮崎のゴアマの下のほうが分離したり梅宮のゴアマも腿から足首までビリビリに裂けてテーピングで処理した。貝吹岳手前のピョコは展望が良くさわやか。三宅はまたマダニを見つけた。次のピッチで貝吹岳に到着、藪抜け。この先は雑に刈り払いされた広い道が続く。藪抜けしたあとなのに虫が異様に増えてうっとうしい。仙岩峠の鉄塔から林道の砂利道に入り、虫が減ってきた。しばらく歩くと仙岩峠と書かれたでかい石碑と舗装道路になる。この裏にヒヤ潟の池があり、サイトは道路わきの草地の広場にした。水汲みは道路を北に10分行った沢をまたぐところ。中村の膝ずれがかなりひどく、体液が出ていたのでLポリで洗い一晩乾かす。外サイトしたが虫が多い。夜になると大量の虫が出てきてテントの外からアタックして雨のような音がしていた。テント内の虫は光で天井に集めて潰したら割と楽に消去できた。



8/9(金)豪雨
7 5:10~6:10国見峠手前6:20~6:35笹森山6:45~7:40280度の尾根7:50~8:55982pの登りはじめ9:25~10:45途中11:00~12:201115p12:45~14:05横長根手前コル14:20~15:20横長根15:35~16:252展望台16:35~16:43大焼砂分岐~17:25横岳~17:40阿弥陀池避難小屋▲8

出発時はまだ曇っていた。ここの行程はどうみても芋稜線だが、秋田駒ヶ岳まで尾根上をつなぎたいからルートとして取っていたところだ。今日で藪は最後だという気持ちで歩く。過去の記録でいつも国見温泉にエスケープする気持ちがよく分かる。登山道を少し行くと鉄塔の広場に出て道が消えていた。一本西の尾根に移るがこちらにも道がない。笹森山までは道という情報だったのに藪だと遅くなる、ただでさえ10p行動の日なのに、と思った。突然の藪入りを宣言しても誰も何も言わない。登り始めてまもなく雨が降ってきた。心が折れそうになるのを我慢してしばらく進むと30分で登山道に出た。地形図とは道の位置がずれていて見つけられなかったのだろう。一安心して笹森山へ向かう。道だと一瞬で着いた。山頂でたるんでいると雨がどんどん激しくなっていく。さっさとたるみを切り上げて藪入り。ネマガリ、太竹、潅木がまじりそこそこ濃い。途中から激しい雷雨になる。梅宮のゴアマはどうしようもないくらいに破れていて、ズボンも破れている。危ないのでズボンはたるみ中にさっさと縫ってもらい、ゴアマはテーピングでくるくる巻きにして応急処置をした。毎たるみゴアマのテーピングが取れるのでいちいち直していた。藪が濃いため進みが予定より遅く、雷雨も激しいため、雷がやまなかったらER8で国見温泉に下山だろうと思った。時間がこれ以上遅れると日の入りまでに阿弥陀池避難小屋につけないのでロングピッチを切り続けて急いだ。
1115pは笹で展望があるはずのピーク。広く視界がないためどこにいるのかよく分からない。もちろん何も見えず、RFも難しいので散開して下る。今回はいったん北のピョコに乗りそれからコルへ下るルートをとった。4人を広く散開させたおかげで一番端っこの人がうまく北のピョコへの正解尾根に乗ってくれた。ピョコからは分かりやすい尾根上なのでラッセルで進む。最後は濃く進みが遅かった。読みよりも2ピッチ余計にかかったが、ついに最後の藪抜け!このころには雨脚も弱まり雷も止んでいたので本ルートを行くことにする。天図たるみをとると日没までに小屋に着くか怪しいので今日もなしで行く。しばらくは普通に歩くが、大焼砂手前で限界上に出るとひどく風が強い。あられや雨が強風でゴアマに打ちつけられ、藪中一週間の汚れがすっかり取れてしまった。小屋に着いたら誰もおらず快適に過ごせた。夏合宿完遂が決まり嬉しい。天気図は取れなかったが、ラジオでは東北地方がひどい豪雨に見舞われあちこちで道路が寸断していると言っていた。国見温泉も土砂崩れで道路通行止めになっていたらしい。全部は聞き取れずどこが通れるのかよく分からなかったが、秋田駒の八合目登山口は車が通れなさそうだし、最後のピークは晴れてほしいし、明日も天気は良くなさそうなので、方針としては晴れれば男女岳を打ってから乳頭山方面へ縦走、ガスでは停滞とした。


8/10(土)雨・ガス
8 終日停滞 ▲9

5時起床。水場が出ているか一応確認しに行った。しかしガスがひどく、近くにあるはずの水場がよく分からず、阿弥陀池から流れ出ている水を水場だってことにして汲んで帰った。大雨できれいになっているしいいだろう。ラジオでは昨日今日ともに秋田、岩手に大雨洪水警報が出ていることを告げていた。国見温泉も八合目も通行止めと分かる。新幹線、田沢湖線もストップしているらしい。午前中は強風と雨が断続的に続き、今日中に乳頭山まで移動することはできないだろうと思った。携帯も頼みの高市のドコモが電池切れで下界につながらなかった。
11:30頃、環境省?のゴミ拾いの人がやってきた。八合目には一般車は通行止めで、国見も止まっていて今日は小屋に登山者は誰も来ないだろう、と言っていた。孫六温泉や八幡平のほうは道路が通じているとも聞いた。彼らには日大の女の子がバイトでついてきていて、何かびっくりした。我々はズボンをはいていない者が多かったが見て見ぬふりをしてくれた。おじさんは明日以降は晴れるだろうと言った。
午後は時々ガスが取れたが、基本的に何も見えず男女岳も行かなかった。翌日はガスでも乳頭山に向かうと決めた。また、合宿のこれからの方針についても話した。3年は皆八幡平まで行く気満々だったが、他の人はもう帰りたいと言っている。予備食だけで食べるのも嫌だし、もう完遂しているからいいとか言っている。予備日に予定を入れているから帰りたいという輩もいる。とりあえず八合目から車が出ないので乳頭山までの縦走は決まっているが、なあなあのまま話が終わってしまった。2年会は行動食をほとんど食べ尽くしていたので、予備日に支給する分を残すために3年は皆で行動食を食べるのを我慢した。もとから量が少なめだったので飢えて辛かった。


8/11(日)ガス
9 5:40~5:50男女岳6:25~6:45男岳7:00~7:30 ▲9 7:50~8:40湯森山手前1420m8:50~9:30宿岩9:45~10:20笊森山10:30~10:45千沼ヶ原の水場12:10~12:55乳頭山13:10~13:35田代平山荘▲10

早朝、きれいに晴れて岩手山がくっきり見えた。天気に期待したが、出発するころにはガスっていた。とりあえず男女岳と男岳をポリ1発だけ持ち、あとは空身で回った。時々晴れて展望が出るが、ガスが多く残念。男女岳と男岳ピークではauの電波が入り、下界に途中連絡を入れた。家族に連絡を入れたい人も電話してもらう。小屋に戻ると八合目が今朝開通したのか、登山者が数人入っていた。ここから本ザックで出発。ガスで展望のない道だが、途中にあちこち湿原が出てきて気持ちいい。途中の宿岩は簡単に登れる。笊森山先の分岐で右に行き、千沼ヶ原方面に向かう。下の水場で水をくむ。高市が楽しくないしいらいらするから自分だけでも下してほしいと言いはじめ議論する。田代平山荘から高市だけ下ろすか、全員で下山するか、全員で八幡平まで縦走するかという選択肢があった。そのうち雨が一瞬きたので先に田代平山荘まで行ってから方針を考えることにした。
道だということもあり結構速く乳頭山に着いた。ピークは展望なし。雨がぱらつくのでさっさと小屋まで降りる。先の話のことをずっと考えていたが、高市が嫌がろうが合宿なんだし最後まで来てもらうということを伝えた。納得する人しない人いろいろいたかもしれないが、これが最終的に最善の選択だったことは間違いない。
廣長のFはもう尽きていたので予備食のジフィーズを夕飯にする。白米とふりかけだけでも意外とうまかった。おかずには差し入れでとっておいた缶詰をあけた。田代平山荘には何人か登山者が寄って行ったが、結局泊まったのは我々だけだった。家族連れの子供が小屋の前でなんかくさいとか言っていた。小屋の外まで匂いがもれているようだが、自分たちには全然わからないことだ。



8/12(月)ガスのち晴れ
10 5:00~5:45蟹場分岐6:00~6:40鶴の湯分岐~7:00小白森7:10~7:40大白森8:00~8:25大白森山荘8:40~9:40大沢森9:50~10:50曲崎山11:10~11:551160m12:05~12:40八瀬森山荘13:05~13:501180m14:05~14:401283湿原14:50~15:301384mの湿原15:40~16:20八瀬森分岐~16:30大深岳16:40~17:25大深山荘▲11

二年三人はジフィーズの量を勘違いしていて朝の分を持ってきていなかったが、中村が今まで間違えて少なめにしかα米を出していなかったため余りをその分に回した。今日も天気は微妙でガスっている。田代平山荘からしばらくは湿原の中の木道を行く。今日中に大深山荘まで行っておけば翌日の行程が短くすむので、読みでは14pだが間に合わせるように急ぐ。はじめは読み0.7倍くらいのいいペースだ。小白森は湿原でいい感じ。ここらから晴れ間が出てきた。大白森はガスの中だが、広い湿原でいいところだ。尾瀬のミニ版みたいな感じだ。ここからすこしぬかるみがあったり倒木が出てきたりして歩きにくい。大白森山荘で水汲み。曲崎山の登りから晴れだして非常に暑い。ピークで潤さんのコンニャクゼリーをいただく。この先暑さとだらだらした登りで消耗してペースが遅くなる。八瀬森山荘はでかい立派な小屋だ。ここでも水汲み。あちこちに水場があるからたくさん水を持たずに済んだ。俺と水野が熱中症気味でつらい。はじめからタオルを頭に巻いておけばよかった。湿原をいくつか過ぎる。倒木がちょいちょいあって歩きにくい。八瀬森分岐手前は笹がかぶっていて見かけが藪みたいだが一応刈り払いされている。大深岳手前できれいに晴れて岩手山が見えた。大深山荘手前で水場に寄った。小屋からすこし離れている。登山道から往復6分、山荘からは片道15分くらいだ。大深山荘はきれいな小屋だが、泊まりの人が3人いた。時間が遅いのと自分たちは臭いので外のベンチでサイトした。ジフィーズに余っていた食料で高野豆腐とにぼし汁、ポップコーン、ホットカルピス等をあわせて豪華な晩飯になった。翌朝の米がない二年には水野のチキンラーメンを配り、わずかに余っていた行動食も配給した。



8/13(火)ガスのち晴れ
11 5:15~6:05けんそ森先1410m6:20~7:05諸桧岳7:20~8:00もっこ岳分岐8:35~9:15八幡平レストハウス9:30~八幡平周辺散策~10:40レストハウス

朝サイト中、臭い上に朝方うっかり物を二階から落としてしまい誰かに怒鳴られる。山まで来てそんなに怒鳴らなくてもいいじゃないかと思ったが、こっちももう少し静かにできただろう。昨晩も寝る前すこしうるさかったし。道は普通だがなぜか虫が多い。ガスっていて展望ない。読みより早く進み、もっこ岳は空身で往復。分岐から往復10分程度。晴れていればと思うがガスって何も見えない。分岐からは八幡平や手前の林道が間近に見えている。少し歩けば舗装された藤七温泉への道路にぶつかり、そこからは道路上を歩く。レストハウスに着いたらザックを置き、下の駐車場で天突き。そのあと空身で八幡平の湿原を談笑しながらゆっくり一周した。観光客だらけだが、偵察で遊びにきた時よりも花がきれいだった。晴れてきていろいろ見えそうだったが和賀岳や秋田駒は雲の中だった。最後に八幡平のピークで記念撮影し、駐車場へ戻る。和賀岳~八幡平縦走は達成感が大きかった。
レストハウスは電波が不安定なので、歩いて藤七温泉に移動。ここも携帯が入らなかったので温泉に電話を貸してもらい、下山連絡。盛岡まではバスもタクシーも対して値段が変わらないだろうと思いジャンタクを呼んだ。実際は一人3000円以上もかかり損していたがいったん荷物の回収もできたしまあよかったんじゃないかな。

盛岡では焼肉盛楼閣で打ち上げ。下山後はじめて食べるものは冷麺だった。最高にうまかった。焼肉はもっとうまかった。こんな高い店で食べることもそんなにないだろう。しばらく自由時間をとり、夜に再集合し飲み屋で2次会。中村の誕生日を歌って盛大に祝った。夜は盛岡駅前のベンチで寝た。他にも寝ている一般人もいたのでうまく溶け込んだ。
翌朝、一、二年と宮崎は始発の鈍行で帰って行った。俺、水野、三宅はせっかくだから岩手山に登ることにした。ピストンなのにせっかくだから本ザックで行った。俺は体調が良くなくて辛かったが始発バスで行って終バスに間に合ったし、晴れて景色は最高だったし行ったかいがあった。三宅は新幹線で帰り、俺と水野は盛岡でもう一泊して鈍行で帰宅。みなさんお疲れ様でした。




まとめ
ノンデポでの藪合宿というワンゲルでは長い間なかったであろう合宿形態だったが、けが人を出さずに皆で完遂できた。初トレースを含む長区間縦走の達成感は半端じゃなかった。
藪区間では前半は予想よりだいぶ濃く読みを大幅に超えたために毎日ハードな根性日続きになった。天気図をとる余裕すらなかった。行動中は特に重さから遅くなっているとは感じなかったのだが、やはりノンデポの重い荷物も影響しているのだろうか。でも濃い藪の中にあるお花畑や草原はオアシスみたいで最高だった。サイトは極楽だった。すべての日の食事を担いでいって食うっていうのはいいものだ。
後半はネマガリや竹藪が多く展望はあまりよくなかったが、ブナ笹は爽快だった。毎日しつこく目つきの注意喚起をしたおかげかわからないが、誰も目を突かなかった。藪は長く藪嫌いにはつらかったかもしれない。
みんな、最後まで来てくれてありがとう。

◆ピッチ数
1日目 6.6p
2日目 12.2p
3日目 8.4p
4日目 11.4p
5日目 終日停滞
6日目 9.2p
7日目 9.0p
8日目 11.6p
9日目 終日停滞
10日目 5.4p
11日目 11.1p
12日目 4.3p
総ピッチ数 89.2p (藪中57.5p


◆合宿中の食糧
1夜 パエリア、コーンスープ
1朝 トマトチーズリゾット
2夜 チリコンカン
2朝 ナポリタン
3夜 魚肉ポトフ
3朝 すき焼きうどん
4夜 ちらしずし、いもたき
4朝 ラーメン
5夜 だまっこ鍋、鮭茶漬け
5朝 ペペロンチーノ
6夜 シチュー
6朝 稲庭うどん
7夜 もぶり、まめぶ
7朝 和風スープパスタ
8夜 酢豚
8朝 卵野菜雑炊
9夜 カレー
9朝 野菜うどん
10~11朝 ジフィーズ

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