三月合宿リカバー 白毛門~上越国境

2011年度山行No.41
残雪企画 上越国境稜線FB           
作成:鈴木 克明
○面子
4菊池 L鈴木 三谷 3高梨 蓜島 2EW松尾 FH成田
東北大震災の影響で中止となった三月合宿のリカバー①。

4/28()東京=土合
自分と高梨は小屋列車、残りは三谷さんの車でアプローチ。車組にスキーを預けたので楽チンであった。
自分のゾンデが足りないことを下界に伝えて就寝。
4/29()晴れ~曇り~ガス~雪
土合5:40~6:30Co8506:40~7:32Co11547:50~(タルミ2回)~11:43白毛門12:30~(クトー装着10)~14:13笠が岳~14:20笠が岳避難小屋
自分と三谷さんが寝坊し、日の出から30分ほどたってから出発。雪が全然ないのではじめからトラーゲン。プラ靴の自分以外は運動靴である(兼用靴もボッカしている)。さすがに以前秋企画で来た時よりだいぶゆっくりである。暑い。2p目終盤から雪がべったり着き始めたので、自分がトップでステップを切ったりする。1154で兼用靴装着。次のタルミでサングラスorゴーグル装着を呼び掛けたら成田が「今回晴れないと思ってサングラスを省略した」という。限界上のタルミでアイピケ装着を提案したら蓜島に却下される(雪が腐ってるとか、岩場で逆に怖いとか言っていた。そういうのは一長一短なんだが…)。が、その後雪が中途半端に溶けてリッジ状だったりしたので結局止まって装着させた。
白毛門直下はかなりの急登で、松尾成田はステップ切っての直登に苦戦していた。山頂目前の岩場は鎖場を巻いて岩の脇を通る。「一歩が怖い」ところであった。
山頂でロングたるみ。東面にクラックが入っていて怖かった。誰かの缶詰をいただき、シールはってついにスキーの出番である。長かった。じつは僕はGW残雪は初めてであった。明後日の予報が悪かったので、ラジオを聴きながら進む。東面の植生が見えず、いかにも雪庇っぽいかんじであったので左寄りに滑るよう再三注意しながら進む。笠が岳の登りではトップが各々勝手な方向を行っていて見苦しい。斜面途中でクトーを装着。成田がシール袋を流したのでLが回収。笠が岳ピークに雪がなかったので、トップは巻きを探る。伸びた高梨は「ちょっと怖いけどそこさえ抜ければ…」とか曖昧なことを言っていたので残りは全員スキー脱いで山頂通過。
笠が岳避難小屋は雪が吹きこんでいて入れなかった。成田が疲れているし、なんだか天気もイマイチなので今日はここで張ることにする。登山道脇の笹藪サイト。
さて、あすの方針であるが、予想天気図にだと前線通過が明後日朝なので明日中には主稜線から下りたい、ということで、いろいろ計算した結果明日朝1pで朝日岳につかなければER下山という方針にした。
キーマカレーが絶品であった。若天は高梨の日本酒を飲んで寝たようだ。夜は風音が強かった。

4/30()晴れ~曇り~雨~曇り
避難小屋4:40~5:52p19346:07~6:48朝日岳(ナルミズ源頭滑降に行ってくる)8:42~9:14Co1880(タルミ、偵察、トラーゲン作り)9:42~11:15Co158011:50~12:35登川本流左岸12:45~13:45Co95013:55~(イモる)~14:55Co925鉄塔15:05~タルミ2回~18:20雲天
朝、10分出遅れ。出発時はスキーを履いていたが登山道が出たので即座にトラーゲン。コルに下りたところでアイピケも装着。一回目のタルミで成田にゴーグルを出させる。三谷さんは朝日岳に着いたと勘違いしていたが、まだ半分しか来ていない。ということで敗退が決定し、朝日岳直下のナルミズ源頭で遊んでからER下山することにした。朝日岳にデポって、空身にスノスコ、ゾンデをスリングで肩がけにして出発。しかし現実は非常であった。広い稜線から沢が落ち込んでいるところで弱テをすると、あっさりと肘30くらいの結果(たぶん新人合宿の雨と同じ二つ玉であろう)。菊池成田以外は稜線の緩斜面をもう一本だけ滑って、シール貼って出発。ここでなぜ2時間かかったのだろう?今思うと不思議である。JP手前、雪が消えたのでスキーを脱いだりした。巻機方面の国境稜線を縦走している人が見えて悔しい。
で、ER。まずCo1880の地点で稜線がものすごい感じで切れていて、向こうが見えない。右にある雪庇は落ちていて、左に伸びる稜線から出た雪庇にはクラックが入っている。トップが驚いて隊を止め、トラーゲンor後退を提案したので、とりあえずタルミ。地形図をみる限り怖いのは一瞬だけだろうと推測し、僕蓜島三谷さんで偵察。案の定、リッジを越えればそれなりの広さの尾根が下まで見渡せた。とはいえリッジ状で風によろめいたら間違いなく死ぬところであり、偵察してよかった。二年は空身で通した。
ここからしばらくトラーゲンを続け、雪が多くなったあたりでスキー装着。1580の細尾根でトラーゲンにしたが、スキーで問題なかった。雪だと遠目の傾斜感覚が狂う。
※ルート変更に関しては後述※
隊員全員にルート変更の件を話して了解をもらい、1580pで広瀬さんに十五里尾根の一本東の尾根を下ることを伝えて滑降開始。広い疎林で快適な滑降。1270ベロから東に滑りこみ(雪が所々落ちかけていた)、本流左岸の段丘に降り立つ。が、期待していた登山道沿いの橋が見当たらない。対岸に林道っぽい地形が見えるので、どうもちょっと下に降りすぎたようであった。いろいろ議論の末、1020二俣のあたりのスノーブリッジを越えてトラーゲンで林道に復帰することにする。渡渉ではなぜか一番薄いところでスキーを脱ぐ輩がいたりして、怖かった(スノーブリッジの危険性をしっかり言い含めなかった上の責任もある)。トラーゲンでは3年が大活躍して、なんとか林道に復帰。2年の荷を抜き、先行者のトレースを見つけて送電線沿いに滑っていくと、Co929のところの沢周辺で雪が消えた(登山道上は)のでふたたびスキーを脱ぐ。沢床に下りて浅い所で渉ろうとおもっていたが、堰堤の段部分が梯子状になっていたのでそちらを渡った。で、この先はS62発行の地形図になかった林道がCo929から下りてきていたが、とりあえず地形図を信用して本流沿いに滑りこむ。が、結局登山道が危ない感じになったので戻ってCo929に登り返した。
この後は雪が溶けかかって片斜面状になった林道を板を脱いだり履いたりしながら進む。一か所雪解け水が林道上を流れていたのでスキーを脱いだりして進む。スパッツのない兼用靴組は浸水したようだが、全然寒くないので気にしない。最後の2pは「スキー着脱が時間の無駄」ということで、トラーゲン。成田が疲労していたので僕は4本トラーゲンした。
なんとか日の入り前に雲天に着いた。明日再入山もありえなくはない感じであったが、みな疲れているし予報も悪いのでここで解散。菊池高梨は特急で帰京し、残りはTWV小屋でサイトして帰った。
~解散後~
といっても特筆すべきことはないのだが、雲天に大荷物を置かせてもらい、食糧等を持って小屋に向かう。桜坂登山口手前まで雪は無かったが、小屋手前はまだ雪で埋もれていた。積雪のある小屋に来たのは初めてだった。
もう遅いので夕飯を作って寝ることにする。しかし、サイト2用のぺミカン(当然7人分ある)にカアチャンが例のごとく大量に分けてくれた野菜を沢山投入したので、危うく食べ残すところであった。一人あたりコッヘルにすり切り2杯くらい食べた。
この後打ち上げですこし飲む予定だったが、僕は布団に潜り込んで乾杯だけして、適当に雑談していたら即座に寝てしまった。
翌朝はたしかスパゲティを沢山ゆでて食べたような気がするが、偽記憶かもしれない。小屋を出たら丁度トウチャンがおにぎりを持って軽トラで迎えに来てくれていた。有難く頂いて、朝バスで湯沢に下った。
で、電車の接続が悪くてなんだかんだで土合に着いたのが昼前。三谷さんの車に荷物を積んで、ふもとの温泉に入り、沼田駅近くの「ワンゲル盛り」のあるトンカツ屋で昼ごはんを食べた。ここのトンカツは今まで見たことがないくらい分厚く、非常に満足感のある定食であった。ちなみに「ワンゲル盛り」というのはご飯の盛りのことだが、精々「成田盛り」程度である。まあ、ご飯おかわりが出来るので問題はない。
ちなみに店は「山彦」という所である。値段もそこそこなので近くの山の帰りに是非寄ってほしい。沼田駅から徒歩1分。


なんだかんだで家に着いたのは夕方頃だった。お疲れ様でした。

総評
スキーを持っていったのが完全に裏目に出た企画だった。実際ワンゲルでスキーを持って行ったことがないルートなのだからもう少し企画段階できめ細かく情報収集するべきであった。
ER下山時のルート選択の是非は別として、今回とったルートは積雪さえあれば十五里尾根より安全であると思われる。今後ここの企画を出すときは十五里尾根と1401尾根の両方をルートにとっておき、残雪量に応じて使い分けることを勧める。
山深さ、雄大さなど国境稜線の魅力の片鱗くらいは感じることができたが、足並みのそろったメンツでまた行きたいところである。

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