2007年7月1日日曜日

奥秩父荒沢谷遡行

メンバー: 3木村、白濱、塚越、L長谷川、2秋山、1広瀬(N)、森谷(初・3本目)、大城(初・4本目)
企画:長谷川

奥秩父北面の沢に行きたかった。本当は、大荒川谷とか豆焼沢とか充実感がありそうな沢に行きたかったのだが、これらの沢は初心者を連れて行ってザイルをポンポン出していたのでは、すぐリミット敗退するのは目に見えている。夏合宿で沢に行く一年生を沢に慣れさせるのがこの時期の山行の大きな目的である以上、N以上に絞って行くのも無理だろう。「東京周辺の沢」等のページをめくっても、奥秩父北面で一年生を連れて行っても大丈夫そうな沢は、この沢くらいしか見つからなかった。
消去法で選んだ沢ではあったが、苔に覆われた長大で穏やかな流れ、鬱蒼とした森、時々現れる深い釜を持ったゴルジュなど奥秩父北面の雰囲気を十分に持った沢だと思う。自分にとっては上部のガレ詰めを除いて好みのタイプの沢ではあるが、滝らしい滝がベンガラの滝くらいしかないので、物足りないと感じる人もいるかもしれない。しかし夏合宿で行く沢の内容を見るに、ここでの長い沢歩きやブユ等の不快な虫との戦いは、夏合宿で沢に行く一年生にとって無駄な経験では無いと思う。
今回は一年の広瀬をNにして、一年の初心者を二人連れて行くということをやったが、広瀬にもTRを施し、結果的にTRを3回ずつ行うことも多かった。そのことでトップを消耗させ、時間がかかってしまったといえるかもしれない。振り返ってみると、悪場はベンガラの滝と井戸淵とガレの詰めくらいだが、沢が長いこともあり、初心者を多く連れて行きすぎると思わぬ時間を食うかもしれない。



2270.jpg
荒沢谷斜面の巨樹





6/29(金)
予報では、明日の天気は曇り時々晴だったが、夕方に崩れそうとも。まあ夕方までには沢抜けして、小屋にいるだろうと考え、出発する事に。20:00に西武の飯能駅に集合。三峰口まで行く。途中の御花畑駅で秩父農林振興センターの林業関係の方々と世間話する。この近くに東大秩父演習林がある関係で、東大林学科との関わりが深いらしい。林学科に在籍している自分にとっては、日頃大学で授業を聴いている教官の名がこんなところでポンポン出てきて少し驚いた。
三峰口から事前に予約してあった中型タクシー2台に乗る。大洞川沿いの林道は所々に大きな落石があるが、大体舗装されていて、車止め近くの荒沢橋まで入ってくれた。荒沢橋で各自寝る。
6/30(土)朝方晴れ間がのぞくが、次第に雲が厚くなり、10:00頃から断続的に比較的強い雨
4:20荒沢橋を出発―5:15桂谷出合― 7:00ベンガラ滝上(タルミ)7:15―9:00井戸淵下―10:15井戸淵のTR終了―11:15狼谷出合―13:00北雲沢出合―15:00ガレルンゼ中のちょっとした棚の上(タルミ)15:15―16:40登山道に出る(沢装解除)16:55―17:20雲取山避難小屋▲1
寝ていると顔がチクチクする。何故だろうと思いながら顔がチクチクするので寝られないでいると、3:40頃から皆が起きだした。
「なんか顔がかゆいんだけど…」「ちっこいのがとんで来て刺すんだよ」というような会話を塚越とかと交わしながら、白濱の顔を見るとブクブクにふくれている。ブユだった。ちっこいけれど厄介な奴。この後ずっとこいつに悩まされるとは、思ってもいなかった。かゆみは蚊よりもかなり強く、長く続く。更に厄介なのは、自分の場合噛まれた後半日位してから赤く腫れてきて、猛烈なかゆみが襲ってくる点だ。白濱の場合は、噛まれた後腫れるのが早いのだろう。
4:20頃から入渓。流量は多い(表丹沢などと比べて)。最初の2mは右側をスリング手がかり。その上の滝は、トップは右側をへつって行ったが、初心者は淵を腰まで浸かって対岸に渡り、フリーで通した。5m滝では、水流左をTR。ここから先ベンガラ滝までは苔むした河原を全てフリーで行く。
この谷で唯一の滝らしい滝であるベンガラの滝は、木村が左巻きを見て、秋山が右壁に取り付いた。右壁は難しそうだったが、秋山は何とか乗り越えて(とは言っても降りられる範囲で登るというルールを逸脱してはいたが)、初心者のためにTR手がかりを出した。左を巻くとしたら、懸垂で沢床に降りるそうだ。
2266.jpg
ベンガラの滝
2268.jpg
ベンガラの滝右壁をよじ登る。
ベンガラの滝上のゴルジュ中の滝では、岩支点で二段階のTRを行った。下段は右側を、上段は水流中を通らせた。三条2mはフリーで通す。
菅の平は沢床より1~2m高台になったサイト適地がずっと続く感じ。苔の絨毯、蝉(?)の穏やかな鳴き声、時々聞こえる鳥のさえずり。いい感じである。養成が目的でなかったらこういうところでゆったりするのもいいかもしれない。
井戸淵は深い釜を持った滝が幾つか連なっている。最初の釜が特に深そうで、これを強引に越えるとなると全身ずぶ濡れになること必至で、左から高巻くことに。左側の斜面に取り付いてかなり(20~30mくらい?)登った後にトラバって狼谷との出合に降りる。斜面の登りはボロボロしていて落石を起こしやすく、小さな岩場もあり、高度感もあるので気が抜けない。ここを森谷は手がかりTRで登ったが、TR用のザイルダウンが大変という事から、塚越の提案で広瀬、大城はバッチマンで通した。しかし実際登らせてみると、意外とバッチマンで登るのにてこずっていた。やはりTRで登らせた方が良かったのだろう。TRを行っている間、上にいた者はずっとブユに集られていた。全員が上がった頃から雨が降りだしたので、木村と自分で先の方を見て、避難できそうな場所があるかを確認してから本隊を進める事にする。先を見た結果、狼谷出合上のゴルジュを少し進んだところに、少し高台になっていて、斜面も緩く、いざとなったら逃げ込めそうな場所があったので更に本隊を進める事にした。初心者は狼谷出合に懸垂で降りてもらう。
この先もゴルジュ帯が断続的に続くが、フリーで越して行く。途中倒木を支点とした二段階のTRを行った。北雲沢出合一つ手前の出合の少し下にある滝は、左側を白濱、左壁を秋山、水流すぐ左を塚越が見て、初心者は塚越のルートでTRで通した。
北雲沢出合の一つ手前の、左から入り込んでいる沢との出合付近は高台になっておりサイト適地。さっきから比較的強い雨が降ったりやんだりを繰り返しており、ここでビバークすることも考えたが、天候は下り坂で、明日になると地盤がゆるんだり増水したりする危険性が今日より小さくなることはないだろうと考えたので、とにかく今日中に稜線に出ることにする。
大雲沢に入ってすぐの2m4mはまとめて二段階のTR。続く5mは右側をTR。その上の小滝は左側をフリー。更にその上の小滝連続でTRを出す。そこから少し進むと水涸れで、全員1発ずつ水を汲む。
水涸れした後はガレの詰め。表丹沢のガレ詰めよりスケールが大きくエグイ。木村は大きな音を立てて落石を起こしていた。ザレに埋まっている大きな岩をつかんで、それが根こそぎ取れて、岩とともに転げ落ちたらしい。下まで落ちて行ったのが木村でなくて良かった。また下に人がいなくて良かった。途中でガレルンゼの真ん中に現れる尾根っぽいのに乗るが、しばらく行くと岩場に出てしまいつまる。ひとまずここでたるむ。ガレを横切り、左側の尾根に乗ることも考えたが、岩場を登って右側の尾根に乗ることにする。自分、秋山、白濱は岩場を登って上で詰まってしまうが、少し右側をいった木村はうまく稜線に乗れたようである。初心者はTR手がかりでそちらを通すことにして、自分たちはそちらにトラバる。TRをしている間、霧で暗い上に、例の如くブユの猛攻に遭い、気分は最悪だった。その後鹿の踏み跡のようなのを辿って登山道に出られた。雲取山荘を経由して雲取山頂上にある避難小屋まで行き、そこで泊まる。久しぶりの惨め山行だったが、小屋泊まりできるのが大きな心の支えだった。
夕飯は酢豚。森谷が焼いてきた肉は、焼きすぎて炭化していて苦かった。肉の焼き方が足りないと言われ続けた自分らの世代とは隔世の感がある。しかし翌朝の汁のないラーメン餅は自分らの世代(もっと上も?)から変わらない味だった。
愚かにもパンツ一丁でシュラフに入った木村は、シュラフの中に入り込んだブユによって足に連射射撃を食らっていた。

7/1(日)小雨後曇  
5:20出発―6:00七ツ石山手前の唐松谷沿いコース分岐(タルミ)6:10―7:20林道に出る(タルミ)7:30―8:30林道沿いの水場(タルミ)8:40―9:15見晴亭(タルミ)9:20―9:30東日原バス停
秋山の希望で翌朝は寝坊して4:00起床5:20出発。大城トップで行く。霧雨の中稜線上を歩き、唐松谷沿いの登山道を下る。唐松谷沿いの登山道ははっかりとしていて、迷うことは無いが、時々高いところをトラバることがあり、少々怖い。比較的大きな沢を渡るところには木橋等が架かっているが、雨で路面が濡れてとても滑りやすい。唐松橋は大きな吊り橋。林道に出てからは、一年とだべりながらスタスタ下る。見晴亭の公衆電話で奥多摩の京王タクシーに電話をかけてみたが、つながらなかった。東日原バス停からバスに乗って奥多摩駅へ。奥多摩駅二階のそば屋で打ち上げ。そば屋には奥多摩の山で事故により亡くなった写真家が撮影した奥多摩の滝の写真が展示してあった。それを見ると川苔谷本谷には、綺麗な滝が多い。ワンゲルでは、あまり出ていないみたいだけど、行ってみたくなった。自分と木村はこの後奥多摩駅から7~8分歩いたところにあるもえぎの湯に浸かって帰った。

2 件のコメント:

  1. 荒沢谷は05年秋に、秩父演習林の大村さんや山岳会グループさわぐるみの方々、そしてキノコに詳しい高校の先生と一緒にゴミ拾い沢登りということで井戸淵手前まで行きました。拾った中には油圧ジャッキの残骸なんかもあって、拾ったゴミは25kgを超えました。夜は荒沢谷橋のところで、ホルモン&キノコBBQをしたのが懐かしいです。
    沢自体は、静かな秩父の沢ですね。秩父の沢はなかなか素晴らしいので、是非いろいろ行ってみてください。
    大村さん、まだ秩父演習林にいるかどうか知りませんが、渓流魚が好きで話をすると非常に面白いと思います。会う機会があれば、是非話をしてみてください。
    ではでは。

    返信削除
  2.  確かに荒沢谷はゴミが多かったですね。それだけ多くの人が入っているということでしょうか。沢屋の好きそうな谷ではなさそうなので、入っているのは釣師でしょうか。
     一昨日まで植物学実習で秩父演習林に行っておりました。雨の中雁坂峠への登山道や入川沿いのトロッコ道を歩いたりして、皆大ブーイングを起こしていました。自分は結構楽しんでいたのですが。台風直後だったせいもあり、川の水量が多く、普段より迫力があるように思えました。奥秩父の沢には、また機会があれば行ってみたいと思います。

    返信削除